機憶顕出都市 新宿   作:タングラム

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東京ドールズサイド オリジナル主人公紹介

三隈 颯(ハヤテ/イメージCV:渡辺明乃さん)

シナリオ上の流れは原典と同じ。

─だが、実は薄目状態ではあったもののサクラの選択と変容を見ており、ドールハウスに迎え入れられてからもかなり気にかけている。

某ソーシャルゲームから知ったメソポタミア神話を特に好んでいたため、「機械仕掛けの天使」の在り方に原典より早いタイミングで心当たりを見出した様子。

■■桜とはクラスが違うものの、同じ学年で同じ学校に通っていたことを記憶の奪還時の共鳴現象で思い出している。


ピグマリオンにより存在を食われたはずの都市、新宿。
何の前触れもなくそれがよみがえる、という事件が起きる。

そこへ調査に向かった際に陸斗らと出会うことになり…



1節 虚都

 

青く淀んだ霞に覆われた瓦礫の街、その中で何かが…いや、人影が一つ身じろぎする。

 

「っく…何なんだよ一体……」

 

頭を振り、その人影…青年は立ち上がった。

年のころは二十代を少し過ぎるかどうかの若々しい顔立ちだが、その年代に似つかない精悍さを秘めた顔立ちをしている。

 

服装はというと、上は黒を基調とした半そでに、襟元にはひし形を鎖のように重ねたエンブレムが光る。

下は灰色のズボンにバッグを通したベルトを巻いている─

 

人影…人理保障機関カルデアの最後のマスターとなってしまった藤丸陸斗は、明らかに異界のど真ん中と化してしまった街並みを呆けるように見つめていた。

いたのだが、その彼の脳裏に響いたのは、軽薄さを漂わせる声。

 

【よぉ、マスター。目ぇ覚めたか?】

「っ…燕青?守ってくれていたのか」

 

会話にこたえ、もう一人の人影がにじむように姿を現した。

 

つややかな黒髪を後ろにまとめ、むき出しの胴には龍と牡丹の刺青。

紺色の籠手と黒いバンテージを腕に巻き、ゆったりとした中国様式の拳法着を下に穿いている。

 

名を燕青という。

その彼が、陸斗に肩を並べ声をかける。

 

「しかし参ったね。微小特異点解決の為に新宿に飛んだはずが似ても似つかない異世界だとは」

「そうだよな…俺が知っている新宿の町並みはこんな瓦礫と明らかな異世界なんてもんじゃない」

 

 

そう話している間にも周りには不可解な光をまとう蝶が飛び交い──

 

「こいつぁ…マスター」

 

燕青の警戒を促すかのような声音を感じ取り、陸斗も礼装の…カルデア極地用制服の魔力の通りを確かめなおす。

 

「何かがいる、けど何だ──ッ!?」

 

ほんのわずかに感じ取った風切り音。

直感そのもので彼は横転し、すぐに立ち上がる。

 

 

《キキッ》

 

 

あざ笑うかのように顕れたのは、鎌のような爪に口しか顔を持たない異形だった。

 

 

彼らは知る由もないが、この世界で「ソレ」はこう呼ばれていた。

 

死神、『リーパー』と。

 

 

― ― ― ―

 

 

来訪者たちが死神の襲撃を受ける少し前。

 

十人の人影が異界化した新宿を進んでいた。

その影の形─おそらく衣装だろう……は、一人を除いてどこか華やかなシルエットをしている。

 

そのうちの一人が、なんとなしというように口を開く。

 

「しっかし、この新宿にまだ生存者がいるなんてにわかに想像できないっすねぇ」

 

どこか真剣みの薄い口調で話すのは、水色の髪を短く切りそろえた少女だ。

それに対し、桃色の髪をセミロングにし、アンテナのように髪の一部を伸ばしている少女が反論するように切り返す。

 

「けどけど、ルリちゃんみたいな事もあるかもしれないですよ?!」

「あー・・その名を出されちゃったらなぁ。サクラさんは相変わらず真面目さんというか」

 

その二人の声に割って入ったのは、ボディアーマーにまだあどけない顔立ちをした少年だ。

ついさっきやり取りをしていたサクラという少女と、年のころは同じくらいだろう。

 

「二人とも、お喋りはいいけど目的ポイントまでもう少しだから抑えてよ?」

 

「あ・・御免なさいマスター」

「へーい」

 

 

そうやり取りをし終えるが否や、衝突音が一行の耳を打つ。

 

「ひよっ!?誰か戦ってるの!?」

「けどあり得ないわ、自衛隊がこの新宿に入ったなんて話は聞いてない」

 

小柄な姿にポニーテールの少女があわてたような口調をすれば、鋭い目に紺色の髪をした少女がそれを否定する。

そう考えたのも無理はない。

 

 

記憶と存在を喰らう異形、ピグマリオン。

それはある特殊な才覚を持った少女や後天的に因子を注入された者でしか見えない存在。

 

ましてや何も措置が取られていない一般人が戦い、なお踏みとどまれるような存在では決してない。

 

「時は一刻を争います、マスター命令を!」

 

得物である長銃を構え、紫髪に眼鏡の少女が指示を促す。

それにコクリとうなずき、彼は指令を下した。

 

 

「DOLLS、戦闘音の方角へ急行する!要救助者がいればその救助を最優先に!!」

『了解ッ!!』

 

 

― ― ― ―

 

 

「ははっ、なんてタフさだよこいつ!!」

 

一方の燕青と陸斗はリーパーと死闘を繰り広げていた。

 

この異界そのものの力は、礼装と陸斗自身の身体をフィルター代わりに魔力の代用として当ててはいる。

だがそれでは戦況を押し切る決定打にはならず、均衡状態のままだった。

 

だが、ついにその均衡が揺らぐ─

 

「う……っ」

 

カ■デ■の施設から送られる魔力ではないものを無理やり使っていた反動が、ついに陸斗を蝕み始めたのだ。

その足元が不意に揺らぐ。そして、その膨大な隙を死神が逃すはずがない。

 

「ちぃっ!!」

《キキキキキ!!!》

 

■青の守りをすり抜け、リーパーがその爪を振りかぶる!

 

 

 

 

 

「(どこともつかない世界で死ぬのか、■■■■■■■に帰れないまま……待て、俺はさっき何を思った…!!?)」

 

時間が一瞬に延ばされ、思考と走馬灯が巡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だがそこに更なる音が、声が響く!!

 

 

「間に合った!リーパー確認!DOLLS攻撃開始!!」

『了解!!!』

 

少年の声と、声音の違う少女の声が三つ。

かと思えば、自分の身は誰かにひっつかまれていた。

 

 

リーパーに打ちかかっているのは、一人は金髪のツインテールに蔦を巻いた意匠の両刃剣を持った少女。もう一人は白銀のロングヘアにハルバードを構えた少女、最後に長銃を手に射撃体勢をとった紫髪の少女だ。

呆気にとられたまま、陸斗は自分を引っ張った腕の先を見る。

 

その先には、桃色の髪に赤目を光らせた少女の顔があった。

 

 

「お前ら、……誰、だ…」

 

そうセリフを残し、彼はついに意識を手放した。

 

 

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