ゲーム舐めんな現実世界!   作:かりん

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折れる

 城壁から見下ろすのは、凄まじい量の魔物の群れだった。

 しかし、俺の心に恐怖はない。これは夢だと知っていたから。

 そして、頼れる仲間達がいたから。

 見たこともない魔物達は、どこか愛嬌のある可愛らしい姿で、けれど確実に戦士達を屠っていた。

 魔物も人も、倒されれば消えてしまう。

 それはそうだ、これは夢なんだから。

 

 胸を高鳴らせ、夢の中の俺は仲間達と下品に笑いながら城壁から飛び降りた。

 絶対に死んでいる高さだけど、ほら、夢の中だから平気。

 

 飛び降りながら、「スキル」を放つ。

 

 それは魔物たちを一気に数体消滅させた。

 そして、俺達は剣を振ってドンドン魔物を消滅させていく。

 城壁の上では、相棒が魔法でドンドン敵を片付けてくれていた。

 夢の中の俺は、その時によって魔法使いだったり剣士だったり男だったり女だったりしたが、そのときは男の魔法剣士だった。

 魔法を剣に纏わせて戦うのだ。普通、剣が燃えれば熱くて持っていられないけれど、そこはほら、夢の中だから。

 相棒の魔法が直撃しても、夢の中だから影響はない。倒されるのは敵だけ。

 

 それにしても、本当に。俺は、楽しそうに戦うなぁ。

 

 

 

 

 

 

 小さい頃から、よく夢を見た。

 夢の中の俺は、とても楽しそうに魔物退治をしていた。たまに、人間も切っていた。

 夢の中の俺は英雄で大悪党だった。

 夢の中だから、切っても切られても血しぶきはない。ただ、倒したら消えるだけだ。

 

 俺は、夢の話を婚約者のフラウ・ピンクにだけ話した。

 

「そして! 俺は、お姫様を助けたんだ!」

「そしてお姫様と結婚したの?」

「あはは、お姫様とは結婚できねーよ。意味もないし。やっぱり結婚相手は、俺と同じくらい強くて気心がしれてなきゃな。夢の中のリーンって俺の相方は、とっても強くて、とっても」「じゃあ、フラウも冒険者になりますわ!」

 

 ふんすふんす、とピンクの縦ロールを揺らして、フラウは宣言する。

 

「お前なんか、全然リーンに敵わねーよ! でもリーンいないしな。テストしてやる、早速二人で冒険だ!!」

 

 そんな事を言って、フラウとチャンバラばかりしていたから、かなり怒られた。

 性別は関係ない、俺と同じくらい強いやつじゃないと結婚しない!! なんて言ってぶん殴られた。そして、どんだけ躾けてもガラの悪さが抜けずに頭を抱えられた。

 

 親父なんて、グリーディ(強欲)なんて名付けるからだと理不尽な責められ方をしていた。

 

 俺は、どうにか夢を現実にしたかった。

 夢の中よりずっと魔法は自由度があるし(魔法剣は出来ないけど)、剣だって練習しているけど、やっぱり夢の中のほうが強そうだった。

 10歳まで、俺はイケイケドンドンだった。

 

 そして、10歳の時。

 初陣を、俺は乗り越えられなかった。

 フラウは女騎士になるべく頑張り、首を掲げて討ち取ったりー! って笑顔で言ってたのに、俺は泣いて吐いて漏らして真剣を相手に向けられなくなったのだ。

 

 木剣での訓練はしているけれど、それだけ。それも、寸止めしかできなくなった。

 あんなにキラキラして見えた戦場が、汚らわしいゴミに見えてしまって。

 俺は、折れてしまったのだ。

 

 肩を落とす俺に、フラウは言った。

 

「グリーディが戦えなくても、私が守りますわ!」

「フラウ……ありがとう。じゃあ俺、領地経営頑張る!! 家は俺が守る!」

「任せましたわ!」

 

 親父は、それに顎を落としていた。

 もちろん、異例オブ異例である。

 だが、その後、戦役は全てフラウが変わってくれた。

 フラウほど頼りになる女の子はいない。

 フラウは俺の大切な相方である。リーンは夢の中にしかいないのだから、リアルでは相方はフラウでも良い。

 




うーん。一生懸命プロットを練っても、一話目から外れてしまう、このポンコツ具合。
とりあえず、リーンが出てくるところまでは頑張りたいです。
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