ゲーム舐めんな現実世界! 作:かりん
「フラウの誕生日プレゼントを作るので手伝ってはくれまいか!」
ジャラ!
俺は放課後、金貨の入った袋を鳴らして、クラスに依頼した。
「おまっ 殿下もいるのにそういう事する……?」
「もちろん、この金貨はほんのお気持ち。全員にそれぞれ別に御礼するし」
「まあまあ。具体的に何をするのかな?」
「良くぞ聞いてくれたっ!!」
俺はピシッと計画を記した。ゲームで鳴らしたイベント企画の手腕を見よ!
「まず、満月の夜にフラウを誘い出す!」
「おう」
「それで、湖を凍らせる!」
「なんて?」
「火炎弾を空中で撃って、空に炎の花を咲かせる!」
「なんて?」
「そこで、流れる愛の歌! 氷上を踊って滑るドレスの女の子達!」
「はぁ?」
「そこで俺が歌いながら、フラウの前に行って氷の薔薇をプレゼント!」
「えええ、お前歌うの?」
「さらに、氷の花吹雪、そして空飛ぶ氷の蝶と花火! 以上! 完璧な計画だ!」
「それ全部前例のない魔法ですよね?」
というわけで、フラウのお誕生日プロジェクト発動である。
まずは基本である炎と氷、あとついでに風魔法を徹底的にアレンジしてみようという計画でもある。
「とりあえず、全員、今日の夜集合! 許可は取ってある!」
一番簡単な花火の練習からである。
率先してやらねばな。
「皆、よく聞いてくれ。これはあくまで見て楽しむもの。見た目優先だ!」
そうして、俺は試しにいくつか撃ってみる。
特急で試作魔法陣を作ってきたのだ。よしっ うまくハート型になった!
「こんな感じで、ハート型とか、星形とか、笑顔マークとか、基本の丸でも色とりどりにしたりとか、そんな感じで爆発魔法を撃つんだ。試作の魔法陣がこれ。安全には十分に注意してくれ」
おお、殿下が喜を掲げてくれている!
それから、一週間。
王都の空は夜になると炎の花に彩られ、大変な話題となった。
花火を撃つのが上手いのを選出し、それはそれで任せる。
最悪の最悪は花火だけプレゼントで行けるな。オーケー。
「ここで、魔道具が音楽を自動で鳴らします」
「どうやって?」
「色々案を考えたんだけど、楽器が自動で演奏とか、音を録音するとか。より短期間でできる方法を検討して欲しい。曲は俺が考える」
前世の曲を使おうにも、言葉が違うから、微妙に修正が必要なのだ。
普通に吟遊詩人にも手伝ってもらうつもりだ。
「殿下は綺麗に湖を凍らせてください。上を滑れるくらい……は無理かな。一回磨くか。自動掃除機は試作品があるんだ」
あとは、スケート靴を作ってスケートの練習だな。
あと、女子全員分の衣装も作らねば。ヒラヒラキラキラのやつ。
ダンスの振り付けは任せろー!
最後の空を舞う氷の花弁、蝶、そして氷の薔薇は俺の仕事だ。
頑張らないと!
むむ? そうだ、氷の城を作って例の歌を歌うのもありだな。
そうして。
俺はフラウの誕生日、緊張しながらフラウを呼び出した。
フラウは何か言いたそうだったが、俺はそれを押し切って強行してしまった。
フラウが、女の子達を連れて歩いてくる。
露店や貴賓席があってフラウが来るの見えないや。
でもこんなことも有ろうかと、ソードが合図をくれるから大丈夫。
「では、これよりグリーディのプロポーズを始めます!」
司会が宣言すると同時に、花火が空で弾けた。
大音量で音楽が流れる。
湖が凍り、クラスの女子達が踊りなあがら滑る。
さすがエリートクラス、運動神経の良い子も多く、トリプルアクセルが炸裂する!
女の子が踊り終わると、次は殿下のターン。
湖に結界を張り、万が一にも殿下の魔力が湖の外に漏れないようにする。
そして氷の階段を作りながら駆け上がる殿下!
建設した氷の城で舞う殿下。ヒューヒュー!
殿下が氷の城を滑り降り、氷の城が砕け散って水になる。
そこで真打、俺登場!!
湖は薔薇園となり、ハートの花火が上がる。透明な蝶が美しく照らされる。
そうして、俺は魔法の維持に血管焼き切れそうになりながら、花をプレゼントする。
「フラウ。卒業したら結婚してください!」
それに答えたのは平手打ちだった。
集中が解けて、俺はべちゃっと湖の氷を踏み外して落ちる。
引き上げてくれるフラウ。
「私が、あなたと一緒に頭を悩ませて火炎魔法を使いたかった」
「私が、あなたの歌を歌いたかった」
「私が、ドレスを纏って踊りたかった」
「全部、私の為だって分かってる」
「でも、あなたの全部を分かち合いたいの」
「あなたの全部が欲しいの」
「嫉妬で気が狂いそう」
「今度は、一緒に誘ってよ、グリーディ……!」
「君のプレゼントを作るのにも?」
「私のプレゼントを作るのにも!」
そうやって泣きじゃくるフラウは、ウルトラ可愛かった。
「可愛いフラウ。ごめんね。これからはずっと一緒だよ。君は僕の相棒だ!」
「ああ、グリーディ!!」
2人、抱き合う。
気を利かせてくれたパープルが花火を打ち上げてくれた。
万雷の拍手である。
「あと、プロポーズを見に王族や国中の貴族が見学に来るのはちょっと恥ずかしいかなって……」
「それはごめん」
フラウとの愛を確かめ合った俺は、今度はフラウも交えて、今回の協力のお礼に殿下に楽しい青春を送らせる作戦を開始したのだった!