煙の少女のヒーローアカデミア   作:ジト民逆脚屋

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女子会

「女子会をしよう!」

 

事の発端はピンキーパーティーガール芦戸の提案だった。

 

「女子会?」

「女の子だけが集まる遊びの事よ。煙羅ちゃん」

「わー、噂だけ聞いた事ある!」

 

煙羅から飛び出た薄らぼんやりした闇を聞き流して、芦戸は続けた。

 

「この雄英に入学してクラスの結束は強まったけど、女子同士だけのパーティーはまだ未開催! ならば休みが明後日に控える明日しか無い!」

「まったく無い訳じゃないと思うけど?」

「甘いよ、耳郎隊員! マック○スコーヒーより甘い!」

「それただの砂糖やない?」

 

耳郎の疑問に芦戸がやけにキレのある動きで指差し、麗日がそれに突っ込む。

しかし、耳郎も女子会自体に否定的ではない。

 

「いきなりだし、予定合うの?」

「予定なら無問題! 予め今居ないメンバーには予定聞いてる」

「行動力すごいな」

 

煙羅がぼんやりと言えば、芦戸は得意気に胸を反らした。

 

「じゃあ、予定空いてる人!」

「けろ、私は大丈夫よ」

「アタシもー」

「ウチも大丈夫」

「私も大丈夫かな」

「よし! ならば明日の夜はパーティーだ! 煙羅の部屋で!」

「アタシ? ……んー」

 

煙羅の部屋は最低限の家具と、趣味の道具以外無い。

A組女子全員が入れるスペースは充分にあるし、緑谷と爆豪も事前に言えば来ないだろう。

 

「まあ大丈夫か。あ、でも机の上にある道具箱は触らないでよ。刃物とかあるから」

「オッケー! その話も詳しく聞きたかったからね」

 

かくして、A組女子会開催が決定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっじゃまー」

「おーう、入って入ってー」

 

部屋着だけが浮かぶ葉隠を筆頭に、A組女子がわらわらと煙羅の部屋に集まる。

 

「部屋王の時にも見たけど、THE工房って感じの部屋だー」

「そんなにガチャガチャしてるかな?」

 

葉隠の言葉通りに、煙羅の部屋は木目調の家具をメインとし、革細工の工房めいた内装となっていた。

 

「すっごいなんかおっしゃれー!」

「なんかお店みたいだね」

「分かる。ちょっとこの辺りにサンプルとか置いてたら、一気に専門店感出てくる」

 

さて、どうしたものか。

家具の配置やセンスは全て爆豪と緑谷のものだ。

逃亡生活に近い人生を送ってきた煙羅は、インテリアに関する拘りは無い。

必要最低限、何かあればすぐに離れられる様なものしか置かない。

趣味の道具を全て箱に納めてあるのも、持ち出し易い様にしてあるだけだ。

だが、雄英に入学して変わった。

もう逃げなくていいと、爆豪と緑谷による改装が施され、今の煙羅の部屋となった。

 

「勝己と出久のセンスだし、アタシは何も……」

「その辺りも聞きたかった!」

「ひえっ!」 

 

芦戸が黒瑪瑙の様な目を爛々と輝かせ、煙羅に詰め寄る。

不思議だったのだ。

爆豪と緑谷は正反対と言ってもいい程に性格が違うし、煙羅は見た目かなり取っつき辛い。

端から見れば、不良二人に挟まれるいじめられっ子だ。

だが実際は爆豪が前に立ち二人を守っているし、二人も爆豪の隣に立っている。

雄英の三羽鴉とは誰が言い始めたのか、実に奇妙な関係性の三人だ。

 

「煙堂煙羅さん、二人との馴れ初めは?」

「え、なにそのキャラ?」

「まあ、確かに気にはなりますわね」

「八百万も? えっと……」

 

いや、本当にどうしたものか。

今日は噂に聞いた楽しい女子会、煙羅も二人と出会うまでの自分の過去を楽しいとは思えない。

隠して話すというのも手だが、隠したところでいずれは察されるだけだろう。

なら、いっそのこと正直に話すのが早い。

そう判断した煙羅は、ウキウキした様子の女子連に、自分の過去を話し出した。

 

「えっと、馴れ初めはアタシが苛められてて……」

「いきなりヘビー!」

「そう? よくあるでしょ。でまあ、出久と勝己だけが助けてくれたんだ。誰もアタシの事を助けてくれる人なんか居なかったのに」

「あの、煙堂さん? 出始め右ストレートはやめよう」

 

耳郎がそう言うが、これより前だと更に重くなるし、ヒーローに殺されかけた経験は話さない方がいいだろう。

 

「でも、緑谷ちゃんなのね。爆豪ちゃんが飛び込んだと思ってたんだけど」

「そうだよ、梅雨ちゃん。出久が一番に助けに来てくれたんだ」

 

涙目で震えながら、怖がりながら、それでも誰かの涙の為に恐怖に立ち向かえる。

その小さな背中が、煙羅が初めて見たヒーローの姿だった。

 

「だから、私のNo.1ヒーローはオールマイトより、出久なんだ」

「うーわ、緑谷くん想われてるー」

「デクくんは昔からヒーローなんやな」

「そうだよ。出久は昔からヒーローなんだ」

 

あの日から緑谷出久と爆豪勝己は、煙堂煙羅のヒーローだ。

もう一人、助けてくれた人は居るが、顔もよく覚えておらず、名前も知らない。唯一分かっているのは鳴羽田で活動していたヴィジランテという事だけ。

後は、異様な怒りを感じる太刀筋だけが煙羅の記憶に刻まれている。

あの人は今、何処で何をしているんだろうか。

ヴィジランテを辞めたのか、もしかしたらヒーローになったのか。

マイクからもあまり情報は入ってこない。

 

「流石というか、緑谷さんは昔から緑谷さんなのですわね」

「爆豪ちゃんもその時からなのかしら?」

「うん、勝己もその時に出久を探しに来たついでに」

「普段の言動だと、爆豪が助けるのはあんまりなー」

「まあ、勝己はあんなだけどイジメだけはしなかったし、させなかったよ」

 

持ち寄った菓子を食べながら、女子連は普段の爆豪を思い返す。

態度も言動もヒーロー志望とは思えないが、それでも芯はしっかりとヒーロー志望なのだと言えた。

しかし、あの言動はどうにかした方がいいだろう。

 

「まあ、言動はなぁ……。あいつ、昔からだし」

「まったくブレんのもすごいな」

「本当にブレないんだよ、あいつ」

「ねえ、エンエンちゃん。これが道具箱?」

「ああ、うん。それに使う道具は詰めてる」

「煙羅ちゃんはお裁縫得意なのよ」

「え、梅雨ちゃん知ってんの?」

「ええ、耳郎ちゃん。時々だけど、煙羅ちゃんに習ってるのよ」

「うわー、私も教えてー」

 

と、煙羅の話を中心に夜は更けていく。

そして、もう間も無くヒーローになる為の試金石とも言える職業体験が迫る。

その未来で、煙羅は二度の最悪の再会を果たす事となる。

 




飯田の事件はちょっとズラして、この後日に起きます。
まあ、書くかは未定ですけど!




















はあ、女が集まるとかしましいとは言うが、こいつら中々だな。
……まあ、良かったじゃねえか

煙羅コスチューム

  • 軍服風
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