このあと、オールマイトとヘドロかー。
しんどい
でも、入試まで書いた方がいいのかしら?
個人的にはA組に梅組の外道会話をさせたいのよ
あ、拙作は白日と怪物をヘビロテしながら書いてます。
「煙堂、進路志望早く出せ」
「……関係ないだろ」
「お前な、爆豪と緑谷の気持ちも考えろ。あいつら、お前を待ってるんだぞ」
「……待たなくていいよ」
「煙堂……!」
言うべき事は言ったと、煙羅は生徒指導室を後にする。
どうにもならない現実がある。煙羅がヒーローになりたくても、父の遺した悪名がそれを阻む。
二人と同じ雄英に、入学願書を出す事は簡単だ。だが、あの〝黒腕〟の娘をヒーローの卵として、あのオールマイトの母校が受け入れるのか。
答えは否、ヴィランの子供を受け入れて、そこから生まれる批判を見過ごす筈が無い。
きっと、雄英に願書を出しても弾かれる。仮に入試を受けれても、雄英が生徒の情報に見抜かりを残す筈が無い。
未来の禍根を、態々輝かしい光の中に迎える訳が無い。
煙羅の短い人生経験でも、はっきりと分かる。
人は悪と悪に連なる者を嫌悪し排斥する。
違うと言う者も居るかもしれない。だけど、現実としてそうだった。
だが、二人は違った。
「ああ、そっか。アタシはすがりたいだけなんだ……」
出久と勝己の正しさにすがりついて、自分は違うと言いたいだけ。
なんだ、どうしようもない奴じゃないか。
自分の正義も無く、意思も無く、ただあの日くれた優しさと暖かさ、そして正義にすがっていただけのどうしようもない奴。
それが煙堂煙羅だったのだ。
「ははっ、ほんと、どうしようもない奴……」
そんな奴が、どうしてヒーローになれるのか。
最初から、なれる筈も無いものに憧れた愚か者。
煙は煙、ただ理想という空に舞い上がり、現実という風に踊らされて消えるだけ。
なら、
「今消えても、変わらない、か」
緑谷出久は不安だった。原因は、自分が無個性でヒーローになれるのかというものと、大切な幼馴染みの一人の事。
「煙羅さん、どこ行っちゃったんだ」
「だーから、それを探してんだろが!」
同じ幼馴染みである爆豪も苛立っている。いや、爆豪の場合は苛立ちより怒りが勝っている。
幼馴染みである煙羅の事を見ずに、彼女の父親の事しか見ない周囲の人間。
その視線と中傷をそのまま受け取り、そうなろうとして逃げている煙羅に。
そして、彼女の心に余計な負担を掛けた自分達に。
少し考えれば分かる事だった。
自分達の期待が、煙羅の心の重石になっている。彼女は悪ぶってはいるが、本質は優しく自虐的で事ある事にそれを一人で背負いこんでしまう。
だからこそ、二人は煙羅が暗闇へ行ってしまわない様に、ヒーローになろうと誘っていた。
だが、それが仇となってしまった。
「デク、バカ煙の家は?」
「お婆ちゃんも知らないって、一応母さんと光己おばさんにも聞いたけど、やっぱり……」
「クソが……!」
爆豪も緑谷も分かっている。煙羅はヒーローにならなければ、二人の知らない所で野垂れ死ぬか、最悪ヴィランとなる選択肢を選び、彼女の父親と同じ道を辿る事になる。
それを煙羅が望んでいなくても、世の中が煙羅を〝黒腕〟の娘としか見ていない以上、最悪の結末は避けられない。
爆豪は自分の後ろで、辺りを見回しながらついて来る緑谷を見る。
――煙羅、テメーがデクに惚れてんのは分かってんだ――
数年来の付き合いだ。その程度の事は解る。
爆豪は、煙羅がヒーローにならなくても、緑谷と一緒になれば、最悪の結末だけは確実に回避出来ると確信していた。
――デクなら煙羅を守れる。俺なら二人を守れる――
だから、爆豪は煙羅と緑谷の三人でヒーローを目指した。だが、緑谷は無個性で、煙羅は境遇が境遇だ。二人がヒーローになるのは難しい。
だから、自分がオールマイトを超えるヒーローになれば、二人を守る事は簡単だ。もしなれなくても、爆豪に迷いは無い。
煙羅を守る緑谷を守り、緑谷に守られる煙羅を守る。
「おい、デク。二手に別れるぞ。テメーは裏路地を回れ。俺は商店街の方に回る。あと、最近ヴィランが出てるって話だから、気ぃつけろや」
「分かった。かっちゃんも気をつけてね」
二人は、消えた煙羅を探す為に別れる。
この瞬間から緑谷と爆豪、煙羅の今までで一番長く、そして三人にとって一番重要な一日が始まった。
「煙羅さん!」
煙羅が隠れているであろう裏路地を、緑谷は右へ左手へ走り続ける。
煙羅の行動範囲は把握している。どんなに遠くても、隣町の繁華街周辺が、煙羅の行動範囲だ。
だから、その範囲内の裏路地を徹底的に洗い出す。
スマホの地図アプリと、地元民の土地勘を頼りに緑谷は走り続けた。
「……ここにも居ない」
乱れ始めた息を、二、三度深く吸い込み整え、また走り出す。
緑谷は嫌な予感がしていた。何か言い様の無い寒気、このままでは煙羅を失ってしまうのではないか。
それは嫌だ。緑谷にとって、煙羅はただの幼馴染みでも友人でもない。生まれて初めて、母以外で自分の事をヒーローだと言ってくれた人。
だから、失いたくない。
「ここも違う」
焦る。こうしてる間に、煙羅はもう手の届かない場所に行ってしまっているのではないか。
もう無理なのではないか。
煙羅は待ってはいないのではないか。
「それでも……!」
彼女を、煙羅を一人にはしない。
最後に会った昨日、別れ際に見た彼女の目は、緑谷の見間違いでなければ、確かに助けを求める目をしていた。
なら、緑谷出久は止まらない。
あの日、彼女が自分の事をヒーローと言ってくれたから、緑谷は無個性でもヒーローになろうと決心した。
例え力の無い無個性でも、誰かを救う事は出来る。
あの日、彼女は自分をヒーローだと言ってくれた。
自分を救ってくれたと言ってくれた。
だがそれは、緑谷も同じだ。
無個性はヒーローになれない。だけど、煙羅はそれでも緑谷の事を、ヒーローだと言ってくれた。
その言葉に、彼がどれだけ救われただろうか。
「煙羅さん……!」
緑谷は走った。
届かないかもしれない手を伸ばす為に
届くかもしれない手を伸ばす為に
確かに求められた助けに届く為に
助けを求めた煙堂煙羅という、大切な人を助ける為に
煙羅コスチューム
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軍服風
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作業着風