SAO☆TOKI   作:偽馬鹿

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許してくれ、頭がこいつでいっぱいなんだ。


その名もトキ!

少年――キリトにはかなり変わったフレンドがいた。

フレンドというか知り合いというか知り合いたくなかった奴というか。

とりあえずそんな奴がいた。

 

その名前はトキ。

某漫画の主人公の兄であるトキを極限までトレースした変な男である。

筋肉ムキムキ、無精ひげ、そして灰色の毛髪。

その全てをトレースした。

というか本人じゃないのかこいつ。

キリトはそう思っている。

 

「いやまあ……流石にそれはないか……」

 

それはともかく。

トキは色んな面を見逃してみると普通の男である。

というか好青年と言ってもいい。

だが、トレースした人格がトキなので変人である。

 

「……そういえばTOKI☆Tubeとかやってたらしいな……」

 

トキの技を再現して披露する動画だそうだ。

再現度の割には再生数は悪かった。

それはそうだ。

普通にネタ動画、もしくは釣りだと思われたのだろう。

 

というわけで、何故そんな男の話をしたかというと。

なんとその男、単身でエリアボスに挑むというのだ。

確かにその男は強い。

というか恐らく自分よりも色んな意味で強烈な人間なのでもしかしたらという思いもあるが。

それはそれとして、自殺一歩手前である。

流石にそれは止めるだろう。

いや止める。

 

というわけで止めに来たのだった。

 

「……折角キリト君と一緒だったのに……」

 

……アスナを連れて。

トキさえいなければデートであったか。

そんな気持ちは欠片もないキリトであるが。

 

「おいトキ! 何考えてるんだ!」

 

個人宅に押し入り、キリトは大声でトキを呼んだ。

なんとトキ、個人で家を持っているのだ。

曰く「装備がいらないから全て売ったら結構な額になった」とのこと。

羨ましいようなおかしいような。

 

 

 

とにかく、キリトが家に押し入ると、トキが胡坐をかいてすわっていた。

その姿はまるで無駄に洗練された無駄のない無駄な彫刻のよう。

というか無駄の産物だ。

キリトはそう断じてトキの肩を叩いた。

 

「流石にソロ討伐は無理だ! 考え直せ、トキ!」

 

しかし、トキは動じない。

というか動かない。

寝てるのかと思ったキリトであったが、その時になってからトキが動き出した。

ゆっくりと立ち上がったのだ。

 

「無理ではない」

 

きりっとした顔つきで言うトキ。

 

「激流を制するは清水……」

「いやエリアボスの攻撃は激流でも濁流でもないから!」

 

キリトのツッコミが冴え渡る。

流石主人公である。

なんでもできるな。

 

トキは肩に置かれたキリトの手をすっとどかし、そのまま歩いていこうとした。

 

「行かせないって言ってるだろ!」

「む、止めるなキリト。私は天啓を受けたのだ」

「それは天啓じゃなくて妄想! 絶対そうだ!」

 

叫ぶキリト。

止まらないトキ。

そして初めて見るキリトの狼狽する姿にちょっとドキドキするアスナ。

誰か止めろ。

 

「く……! とりあえず片っ端からフレンド呼んで討伐に行くぞ!」

「ええ!?」

「仕方ないだろ! 腐ってもトッププレイヤーをむざむざ死なせるわけにはいかない!」

 

キリトは再度叫ぶ。

そう、このトキ、腐ってもトッププレイヤーの一人だ。

βテスターでもないのにトッププレイヤーに名を連ねている上に、ユニークスキル持ちだ。

トキは北斗神拳とか言っているが多分嘘だ。

 

「とにかく! 援軍呼ぶからちょっと待ってろ!」

 

キリトははぁはぁ肩で息をしながらトキを説得していた。

というかこいつ全然動じない。

筋力値がけた外れに違うのだろう。

それどころかなんか強い。

主に絵面が。

 

それはともかく。

トキとその愉快な仲間たちは今日、突発でエリアボスに挑むのだった―――――!

 

 

 

「勝っちゃったよ……」

 

勝ちました。

 

しかもトキは体力を半分以上維持している。

何やったらああなるんだ人類。

 

「あの人、本当に強いんだね……」

「ああ、変な奴だけどな……」

 

キリトはげっそりとしているが、それと一緒にドロップ品の品定めとかもしていた。

ちゃっかりしている。

流石ゲームプレイヤー。

 

「とはいえ、犠牲者無しでの突破は久し振り、か」

 

トキは毎度毎度エリアボスに挑んでいるが、それでも犠牲者は出ていた。

それは、トッププレイヤーだとしても質にはどうしても差が出ることと、相性によるものだった。

 

今回のエリアボスは人型だった。

腕はたくさんあったが。

それでも人の域を出ない相手であり、格好の的と言えた。

 

とにかくトキ、対人においては最強だった。

キリトも二刀流全力で殴りかかっても勝てるかわからないレベルだ。

いや本当に。

 

だからこそ、こんなところで死なせるわけにはいかなかった。

流石にトキだけに任せるつもりはないが、それでも肩を預けらえる男をむざむざ殺されるわけにはいかないからだ。

 

「だがまあ、こいつなら変なことやらかしそうだな……」

 

キリトはそう呟いたが、それは現実になるのだった。

 

 

 

 

「刹活孔! ふぅん!」

「無駄だ! その拘束は破れなにぃ!?」

「はぁーん!」

「ぐわー!」

 

 

 

 

カヤバーン、トキのリバサ刹活孔に散る!

 

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