SAO☆TOKI   作:偽馬鹿

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おまけというかトキ視点というか。
ノリがちょっと違うので、求めているものとはちがうかもしれません。



第6話

「ユリア」

「百合です。覚えてください」

 

いつも通りのやり取りの後で、今日から私はSAOに囚われる。

準備は万全。

 

百合を適当にその辺に追いやり、ナーヴギアに手を伸ばす。

なんだかんだ言って楽しみである部分もある。

βテスターには選ばれなかったからだ。

それはそれとして緊張するが。

 

「では始める。ユリア、家のことは任せたぞ」

「百合です、間違えないでください」

 

ユリアと名付けたはずなのに百合を名乗る謎の女。

それが私の相棒兼相方のユリアである。

 

とりあえず、彼女に任せれば安心だろう。

何を考えているのかは微妙にわからないが、私の不利益になることはしないだろう。

多分。

 

というわけでいざログイン。

さあ、ソードアートオンラインの世界だ。

 

 

 

「ふむ」

 

スッ……と拳を突き出すとゴブリンがぐちゃりと潰れた。

リアル筋力による補正だろうか。

とにかく鋭い一撃を繰り出した結果がこれである。

 

装備は既に売った。

重い物は邪魔だ。

とりあえず素手でどこまで行けるかを知りたかったのでゴリゴリ殴ってみる。

 

すると、どこまでも行けてしまった。

何だかスキルツリーがどんどんと伸びて行って、#$`%&PYという欄が見つかった。

折角なので選んだ結果、その項目が変化した。

 

そう……北斗神拳だ。

 

 

 

「これが特典か……?」

 

多分そう。

脳裏に何かがよぎる。

気のせいかもしれないが。

もしかしたら普通にただのバグか、もしくはカヤバーンや開発スタッフが気まぐれで入れたデータリソースかもしれない。

 

まあいいか。

とりあえず楽しそうなのでぽちり。

以降、このスキルを育てていくことを誓います。

 

しゃきーん。

 

 

 

気付けばトッププレイヤーと言われるようになっていた。

おかしい。

もっと目立たないように行くつもりだったのに。

 

……無理か。

ちょっとトキになった結果楽しすぎた。

まあ元々トキのような姿だったが。

 

「ふっはっゆくぞっ!」

 

このゲーム、頑張れば簡単に上限突破できるのは知っているので。

頑張った結果、無想流舞もこなせるようになった。

目まぐるしく変わる景色に慣れるまでに時間がかかったが、今は余裕。

 

なので。

 

「ゆくぞっ! ゆくぞっ! ゆくぞっ!」

 

無想流舞を連打することも可能……!

ボキボキボキと砕けていくボーンゴーレムMark122。

 

「またつまらぬものを殴ってしまった……」

 

いやまあ、あれは通称カンチョーなのだが。

とりあえず今日の日課は終了。

最上層での鍛錬はいつも刺激的である。

 

「さて……」

 

気付くと周りには謎のプレイヤーたちが。

そのカーソルはオレンジ。

いわゆる違反行為を犯した者たちだ。

 

「ふむ……」

 

珍しいこともあるものだ。

本来であれば低層でPK行為に勤しむであろう集団が、このようなところで集団でいるとは。

予想外の出来事である。

 

しかも狙いが自分。

それこそ不明である。

確かに最近オレンジプレイヤーを改心させたが……あ。

それか。

 

「死ね」

 

特に何の感傷もないような台詞だった。

そしてその声と反して的確な攻撃。

確実に殺すつもりのようだ。

 

「ふっ」

「なにっ!?」

 

しかし、わざわざ見える攻撃を喰らってやるほど私も善人ではない。

ギリギリのところで避けて、その男の顔面に裏拳を叩きつける。

そして突き、蹴り、空中で連続突き、そしてボコボコにしてKO。

あわれ男Aは瀕死になり、スタンもついて動けなくなった。

 

「くっ!」

「こんなに強いなんて聞いてないぞ!」

 

そしてその一瞬で力量差がわかったのか、オレンジプレイヤーたちは散り散りになっていった。

スタン状態の男も担がれて運ばれた。

 

「……」

 

しかし。

あの時改心したオレンジプレイヤーはどうしたのだろうか。

殺されてしまったのだろうか。

もしくは監禁でもされているのだろうか。

 

わからない。

わからないが、まあ行くか。

私は即座にその散り散りになったプレイヤーたちの中で、動きの遅い奴を狙って追いかけることにした。

 

 

 

「はぁーん!」

「ぐえー!?」

 

門番らしき奴らを蹴散らし、アジトっぽいところを襲撃する。

すると、背後から続々とプレイヤーが現れる。

カーソルは普通の色。

人数はかなりのものだった。

 

「何をしている!?」

「こちらのセリフだ」

「これは大規模掃討作戦なんだぞ!」

「私は私怨でここまで来た」

「逃がしたらどうするつもりだ!」

 

どうやらオレンジプレイヤーを倒すために人間をたくさんあつめたようだ。

しかし、話してみたがなんか張りつめている。

それもそうか。

 

「私は行く」

 

とはいえ私が退く理由にはならない。

他のプレイヤーには悪いが、先行させてもらおう。

 

「北斗! 有情断迅拳!!!」

「ひきゃあ??」

「あへあえあ!!!」

 

がちゃがちゃと鳴る鎧をすり抜けるように秘孔を突いていく。

いや、本当に秘孔なのかわからないが。

なんだか流れるように突くと相手が爆散する。

だから多分秘孔突いてる。

 

 

 

奥に進むと、何やら牢屋っぽいところに辿り着いた。

そして、そこに改心させたプレイヤーが一人。

 

「あ……」

「待て、今助けよう」

 

鎖でつながれていたその人物を抱き上げ、鎖を素手で破壊する。

そして、その人物の恰好を見て色々と察する。

というかこの子、女だったのか。

 

「う、あ……」

「喋らなくていい」

 

そういう気分ではないだろう。

というわけで抱き抱えたまま疾走する。

他のプレイヤーと鉢合わせるわけにもいかない。

この子もオレンジプレイヤーだからだ。

 

 

 

「……」

「……」

 

自宅である。

そう、私はアインクラッド内にも自宅がある。

買ったのだ。

装備がいらないから。

 

「あの……」

「ふむ」

「ありがとう、ございます」

 

その子はぽつぽつと話し始めた。

 

彼女は彼氏の影響でSAOを購入、プレイしてアインクラッドに囚われたのだという。

そして、最初にお遊びだと思っていた頃にPKをしてしまい、オレンジプレイヤーになってしまったということだった。

 

「そうか……」

「あの人は……死にました」

 

しかも誘った男は自殺したという。

なんという無責任。

許されざるよ。

 

しかし、どうしようか。

つい勢いで連れてきてしまったが、プランとか何もない。

ただまあ、放っておくのも夢見が悪い。

 

「落ち着くまでここにいるといい」

「え、あ……いいん、ですか?」

「乗り掛かった舟、という言葉がある」

「え……?」

「気にするな、ということだ」

 

通じなかったようだ。

ちょっと恥ずかしく思いながら、素材を取り出す。

料理をするのだ。

こういう時は美味しい物を食べるに限る。

 

「ちなみに私の料理スキルはマスターだ」

「???」

 

通じない。

この子、ノリが悪い……!

まあいいんだけど。

 

 

 

「それでは」

「い、いただきます」

 

はぐはぐと私が作った料理を食べる。

ちょっと嬉しい。

初めてユリアに料理を振舞ったのはいつだったか。

ユリアも適当な返事をしていたが、まあそれは置いておこう。

 

というかこの子、名前なんだろう。

今の今まで聞けなかったので、逆に聞きにくい。

仕方ない、この子が言い出すまで待つか……。

 

 

 

そんなこんなで一週間。

この子の名前を知らないまま時が過ぎた。

 

料理ははぐはぐと食べるし、元気になってきた。

そろそろ立ち直るだろうかと思ったが、未だに私が近づくと震えたりする。

まあ仕方ない。

 

 

 

『ありがとうございました』

 

そして、更に一週間が経過する手前で、彼女は出て行った。

結局名前はわからないままだった。

まあ、感謝されたからいいかなって。

 

 

 

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