TSクズ娘は百人の男を誑かしたい 作:げれげれ
皆さんこんにちは、私は傘子美音と申します。
聡明で正義感にあふれる美少女である私は、本日なんと霊能詐欺師の運営する集会へとお邪魔しています。
その理由は、簡単。詐欺師に騙された(頭が)可哀そうなネギネギを救うため、慈悲深い私が詐欺師の正体を暴くべく、乗り込んであげたのです。
ああ、私は何てトモダチ想いなのでしょうか。
「ネギネギの一家を騙して奪った金、まとめて返してもらいますよ!」
「お、おかしいデース。どうして彼女は、守護霊を信じてくれないのでショー……、まさか!」
私がアルビノの巫女少女……ミス
よほど痛いところを突かれたと見えますね。
「よ、よく聞いてくださいカサコボーイ。もしかしたら、貴女のすぐそばにいるのは守護霊ではなく悪霊かもしれまセーン!」
「は、言うに事欠いて悪霊ですか。クケケケケ、そんな非現実的な嘘に騙されるほど、アマネちゃんは馬鹿ではないですよ」
詐欺師は苦し紛れに、私が悪霊に取りつ憑かれたと言い出しました。
苦し紛れの、王道言い訳パターンに入りましたね。
大方今から信者を呼び出して私を取り押さえるという方向にもっていきたいのでしょう。
その女は悪霊に取り憑かれている! とか、悪霊を成仏させるために、取り押さえろ! とか、上様を騙る不忠者だ、出会え! とか。
「悪霊なんてこの世に存在しませんよ。まったく馬鹿らしい!」
「もう一度、貴女の近くにいる霊をよく見てくだサーイ。きっと、ロクな事を言ってませんヨ!」
────にしてもアルビノ巫女さんか、良いな。巫女さん凌辱系のエロゲ、最期にやったの何時だっけか。
「ほら、特に変なことは言ってませんけど?」
「本当ニ!?」
既に死んでいるのに、まだ有るんですね性欲。
「結構、気持ち悪いワードが聞こえましたヨ!?」
「適当な事を言って煙に撒こうなんて、そうはいきませんよ!」
「いえ、本当に大概な発言が……」
────あの巫女さんに気持ち悪そうな顔したまま、パンツ見せてもらいてぇなあ。
「ひぃい、やっぱり悪霊デース!!」
詐欺女は顔を蒼白にして、自らの袴を押さえつけました。
さすがは
「ほ、本当にこんなのに取りつ憑かれていて平気なのデスか? 今なら、しっかりお祓いしますヨ?」
「残念ですが、そんな手には乗りません。お祓いと称して適当な念仏を唱えた挙句、私に大金を請求するつもりでしょう!」
「え、いえ違クテ」
「今の私には、貴女の詐欺を暴いて友達の目を覚ますという大事な役目があるのです。いかなる言葉も無用です!」
────ああいう調子乗った成功者が落ちぶれて地獄を見る瞬間、それこそが何にも代えがたいエクスタシー……。さっさと世界滅びろ。
「ほら、
「いやソイツ、やっぱ結構な悪霊じゃないデスか! 世の中に恨み持ってるタイプのヤベー霊デース!!」
今の間に畳みかけて、このインチキ霊能力者を社会的にぶっ殺してやりましょう。
────数珠だ、数珠を狙え。その女の弱点は、ソレがなければ何もできないことだ。
「わかりました、相棒!」
「く、的確に嫌なことを……。この数珠を取られるわけにはいきまセーン」
相棒の指示は数珠の強奪でした。なるほど、おそらくあの数珠にインチキの種があるのですね。
流石は私、頼りになります。
「むむぅ、本当は貴女にも除霊に協力して貰いたいのですが……仕方ありまセーン」
私が影山に襲い掛かる構えを見せると、彼女は懐からお札みたいなものを取り出しました。
実に分かりやすい霊能詐欺の小道具ですね。
ソレで何人もの馬鹿を騙してきたのでしょうが、私はそうはいきませんよ。
「クケケケケ、そんなモノで何が出来ると言うのですか! おとなしく、その数珠を渡してくださーい!」
「そうはいきまセン!
エセ巫女は突然に九字を切り、数珠を握って私に掌を向けました。
まったく、この期に及んでなおエセ霊能力ですか。そんなモノが私に効く筈が……。
「浄化っ!!」
────ぐおおおおっ!? 体が、体が焼けるぅぅぅ!!
しかし、事態は想定外の方向に進みます。
なんと彼女が掌を向けた瞬間、なんと
「ふふふ、どうデース! 私が激しい修行の末に習得した、必殺の悪霊祓い術」
────貴様、何をした!
「これは、邪な存在を退散させるとっておきの奥義デース。生きる者を惑わす魑魅魍魎よ、おとなしく成仏してくだサーイ!」
────ぬおおおおおっ!! 溶ける、体が溶ける……っ!!
それだけではありません。
彼女の謎のトリックの影響は
「ぐええええええっ!!! 頭が痛い、体が引き裂かれます! な、何をしたんですかこの詐欺師!」
「あれ!? 何か
私までもを苦しめ始めたのです。
彼女に掌を向けられた瞬間、私も激しい頭痛と吐き気に襲われ、動悸が止まらなくなりました。
これは、一体どんな卑怯な手を使ったのでしょうか。
「あっあっああああ!! 頭蓋骨が割れそうです……っ!」
「え? え? この術は、悪霊とか悪魔にしか効かない筈デ……」
─────ぬうああああああ! 死ぬぅぅぅう!!!
「ぐえええええええっ! 死んじゃいますぅぅぅぅ!!」
「え、えぇ……?」
こんなに苦しいのは生まれて初めてです。
まるで、精神をまるごと引きちぎられているかの様な感覚。このような拷問を平気な顔で行えるあの女は、まさに悪魔としか言いようがありません。
「か、解除デース」
「ぷはああああっ! し、死ぬかと思いました」
しばらく私の苦しむ顔を見て満足したのか、影山は変な攻撃を中止しました。
この、変態サディスト女が……!
「よ、よくもやってくれましたね! もう容赦しませんよ!」
────URYYYYYYYYY! この我が、気分が悪いだと……!
「ど、どうしまショー。あのまま続けてたら死にそうだったので解除しちゃいまシタけど」
「クケケケケケケケ! 明日の朝日を拝めると思わないでくださいね……」
「あの悪霊を何とかしないと、カサコボーイも危ないデスし……」
こうなれば、とっておきを使うしかありません。
必殺、数の暴力アタック。
つまり近場に居そうな不良どもに連絡を取り、この女を数の暴力で蹂躙するしか────
「む、邪な気配! やっぱ浄化デース!」
「ぐえええええええっ!」
頭が、頭が割れるぅぅぅう!!!
この女、許せません!!
────我よ、落ちつつつつけ! れれれ冷静になれ!
────お前なら感じられる筈だ! あの女の正体に! つまり、あいつはあべべべべべばばば!?
────痛い、痛い痛い痛い! もうやだ、消滅すりゅぅ!
駄目です。一瞬何か助言をくれそうでしたが、奴の謎パワーに負けて
なんて耐え症の無い、打たれ弱い魂なんでしょう。しかし、彼の言おうとしたことは何となく理解しました。
「分かりましたよ、相棒! つまり、心を重ねるのですね」
「……何をするつもりデース!?」
「いい加減に、全部白状しろって話ですよ! この詐欺師!」
近しい魂は、惹かれ合うと言います。
つまり、
目の前の女────自称霊能力者の影山は、私の守護霊を呼び出そうとしました。
しかし現れたのは、神様公認の『屑の中の屑』である
無論、この私は屑ではありません。
ともすれば、ここに
あの女が屑だからに他ならないのです!
「お前の正体は、まるっとお見通しです!」
「な、何を言っているデス?」
「……
私は格好のいい口上を述べ、消えかかっている
「
「悪霊を、自分の体内に取り込んだ!?」
そのまま、自分の体に取り憑かせてやりました。
────どくん。
直後、胸の鼓動が大きくなり、世界がぼんやりと歪んできます。
これが、魂のシンクロ。前世のクズと、この私の魂が共鳴し合って力を増していきます。
……漲ります。無限の力が漲っています。
「これで、貴女の変な攻撃にも耐えられるようになりました。形勢逆転ですね」
「ひぃぃぃ、悪霊に取り込まれてしまいまシタ。このままじゃ傘子ボーイまで……っ! こうなっタラ!」
「させませんよ!」
何かまた、妙なトリックを仕掛けようとししている詐欺師に私は飛びかかりました。
そのまま抱き着いて、動きを封じます。
「やめ、やめてくだサイ! ああ、駄目デス、傘子ボーイ!」
「ククク、数珠を渡して貰いますよ」
アルビノ女は顔を真っ赤にして、私の腕を振りほどこうとしています。が、時すでに遅し。
この距離で組みつかれたなら、どうあがこうと脱出は不可能です!
「あ、あ、あ! ダメ、そんな所を!」
「良いからとっとと渡してください!」
アルビノの巫女さんを押し倒し、体を弄り続けました。
うん、私は特に意識していないのですが、前世のクズが興奮してる気がします。
「ゲヘヘ、いい身体してるじゃないですか、詐欺師の分際で。どれ、イヤらしい部分はここですか?」
「ひっ! ほ、本格的に駄目です! ちょ、ああっ、助けっ!」
「おお? さっきまでのエセ外人口調はどうしましたか? ほらほら、巫女服がはだけて肩が見えてきましたよ」
「い、いやあああ!! こんな、人目の多い場所で、ダメです!」
これは仕方ありません。
私はたいして興奮していないのですが、私と憑依合体した屑が大層ハッスルしてしまっています。
「さぁて、良い声で鳴いてくださいね────」
ま、減るモンでもないですし、このままこの巫女の貞操もいただいておきますか。
「何やっとるんじゃお前は!」
「騒がしいと思ったら、何でそう言う事になる!!」
「あ痛ぁああああ!?」
そして欲望のまま巫女さんの服を脱がそうとした瞬間、頭に鈍器で殴られたような鈍い衝撃が走りました。
そのまま、私はいつものように流れで関節を極められ、
「だ、大丈夫ですか教祖様!」
「ふっ、ふぅぅ。うえええええん!!」
せっかく捕らえた巫女さんを、信者共に救出されてしまいました。
「違うんです。悪霊のせいなんです、そうですよね教祖様」
「……」
数分後。正気に戻った私は、全員の前で正座させられていました。
「先程、私が教祖様を襲ったのは決して私の意思ではなく、めっさヤバい悪霊に取り憑かれたのが理由なのです」
「……それで?」
「つまり、私は悪霊に取り憑かれた被害者であるのです。そう、私も被害者です」
「……で?」
「残念です。私は教祖様なら除霊してくれると信じてこの集会に来たのに、除霊に失敗されてしまったんです。なので、教祖様に謝罪と賠償を要求します」
「お前の脳天カチ割ってやろうか」
詐欺師に騙されているネギネギやその一家は勿論、マス子まで私を怖い目で見下ろしています。
ぐぬぬ、どうして信じて貰えないんでしょう。私は嘘なんか滅多に吐かないのに。
「いえ。じ、実際、彼女には結構な悪霊が憑いていまシタ……。除霊に失敗したのは、私の力不足デース」
「お、おい教祖様? こんな奴庇わなくても良いんだぞ」
「嘘は、吐けマセンから。彼女が暴走したのも、一重に私が悪霊を祓えなかったからデス」
「ほら見た事か! 謝罪! 賠償です!」
「黙っとれカス」
詐欺師は悲しそうな目で、私を見つめていました。
よく身の程が分かっているじゃないですか。良いからとっとと、金を払って下さい。
「先程は、準備もなく除霊することになったので、悪霊に遅れを取ってしまいました。大丈夫、次こそ祓って見せマース」
「さ、流石は教祖様……。お優しい」
「なぁネギネギ。やっぱこの人、本物だよなぁ」
「じゃから、私は最初からそう言うとる」
どうやら、マス子達はもう完全に騙され切ったみたいですね。
彼女達の残念な知能では、仕方ないでしょう。
「では、改めて彼女を救いまショー」
「何か手伝えることはありますか、教祖様」
「えっと、除霊の間に襲われないように、彼女を拘束してもらえると助かりマース」
「おっし、了解だ」
「ぎにゃあああ! マス子、何で今私の腕を変な方向に曲げようとしたのですか!?」
「へし折った方が楽だし」
そして、詐欺師の手先となってしまったマス子は、迷いなく私の腕をへし折りかけました。
コイツ、やるときは容赦ないですからね。
ここから、何か口先で丸め込んで脱出する方法は無いでしょうか。
「いえ、なるべく手荒なことはしたくありまセーン。ガムテープか何かで、優しく捕らえまショー」
「……本当に優しいな、アンタ。こんなクズ相手に慈悲は要らないぜ?」
「……彼女は、私にとって特別デスから」
そう言うと、教祖と呼ばれている巫女は不思議そうな表情で私を見つめました。
「────ねぇ、私の事を覚えていませんか傘子ボーイ」
「はい?」
彼女の言葉にキョトンとした顔を返すと、寂しそうな顔になりました。
いやいや、お前と会った覚えなんぞありませんよ。
デース口調のアルビノ巫女とか、お前みたいな特徴の塊みたいなヤツに1度会ったら絶対忘れないと思うのですが。
「知り合いなのか、アマネ?」
「いえ。まったく身に覚えがありません、誰かと勘違いしていませんか?」
「イエイエ。傘子美音、なんて名前でこんなに可愛らしい女の子、間違えようがありまセーン」
ふむ。確かに、私のように美しい女がそう何人もいるとは思えませんね。
うーん、しかしこんなキャラが濃いヤツを忘れたりするでしょうか。
「でも、無理もないデス。私、昔は髪の毛や瞳の色が、普通でしたカラ」
「そうなのか?」
「霊能力を習得したときに、こうなりました。恐山の修行は、とても凄まじかったので」
む? 昔は普通の髪の毛だったですと?
なら、話は変わります。よし、顔の造形を観察してみましょう。
うーん、言われてみれば見覚えがあるような。
そして、名前は確か、影山……。影山さん?
「……あっ。まさか、カゲぴー!?」
「フフフ、思い出して頂けまシタか」
それは、まるでフラッシュバックの様に。
彼女と共に過ごした記憶が、流れるように思い起こされました。
「本当に知り合いなのか」
「へー、世間は狭いのう」
「傘子ボーイ……、いえ。アマネは、私の大事な友人でシタ」
それは、影山……。いえ、カゲぴーも同じだったようで。
当時を懐かしむように、彼女は過去の話を語り始めました。
「アレは、私達が小学校に通っていたときの話デース……」
昔、幽霊が見えると言い張って、周囲から苛められていた娘がいました。
あそこに霊がいる、あそこは祟られている、等とごく普通の雑談のように話をしました。
しかし、見えている彼女にとってそれは当たり前の事も、見えない小学生からすれば気持ち悪いヤツにしか見えません。
結果として彼女はクラスで孤立してしまい、とても寂しい日々を送っていました。
とある少女と、出会うまでは。
『貴女は素晴らしいですよ。その歳から、そんな未来を見据えて行動できるなんて中々出来ることではありません』
その少女は、まだ幼いのに非常に聡明でした。
『昨今のブームを鑑みるに、霊能力はきっと伸び代のあるビジネス分野です。実は、私もプランを幾つか考えていたのです』
『ほ、本当に? 私の言ってること、気持ち悪くないの?』
『いえいえ。一通り貴女の主張を聞いてみましたが、一応話のは筋が通っています。矛盾点も有りません。なので、騙されるバカは騙されるでしょう』
『え、騙さ……?』
彼女にとって、悩みの種でしかなかった霊能力。
それを、聡明な少女は社会に貢献するため活用する方法を考えていたのです。
『そうですね。いずれ私は、霊能力を使った組織を設立するつもりです』
『す、スゴい。そんな事、出来るのかな』
『出来ますよ。そして、霊能力グッズを売り付けて多額の利益を得るのです。そうすれば組織は益々大きくなり、その不思議な力を欲した衆愚が集ってきます』
傘子美音の語った話に、彼女は感銘を受けました。
皆から気持ち悪いと言われたこの力で、誰かを救うことが出来る。
それはなんて、素晴らしい事だろう。
『う、うん! やってみる、私もそれをやってみたい!』
『ほうほう、貴女はなかなか見所がありますね』
『えっと、本当にそれをやるなら、どんな事を練習すれば良いかな?』
『おすすめはイタコ一択ですね。何せ破綻しにくく、色々と手間隙をかけずに騙れますし』
『……そっか。うん、私分かった』
そして、彼女は決心します。
きちんとした修行を積んで、しっかりと霊能力を扱えるようになろうと。
『私、イタコを目指す!』
『ほう、それは素晴らしい。是非とも、私が作る組織の教祖になってほしいですね』
『うん、私もそうしたい』
────その日の晩。
彼女は、親に土下座をしてあるお願いを頼み込みました。
『お母さん。私、イタコの修行をしたい』
『へ?』
不登校になりかかっていた彼女は、両親の心配の種であり。
環境を変えてみるのも悪くないかもしれないと、両親は彼女のお願いを聞くことにしました。
そして彼女は青森まで転校し、その足で恐山に乗り込んで有名なイタコの弟子にして貰う事になり。
本場の恐山で、辛く激しく厳しい修行にずっと耐えました。
苦節数年を経て、とうとう一人前になったと太鼓判を貰った後。
彼女────影山は、この街へと戻ってきたのでした。
かつての友人────傘子美音との約束を守るために。
「と、いう話デース」
「おお! じゃあこの教団、実質私の宗教団体だったんですね! クケケケケケケケ」
「アマネお前っ……。お前ってヤツは、本当にお前ってヤツは……!」
カゲぴーの話を聞くと、マス子は何故か悲痛な声を上げて、頭を抱えてしまいました。
一体どうしたのでしょう。
「……こんな純粋そうな娘の、人生を大きく狂わせて……。アマネはどれだけ罪を重ねれば良いんじゃ……?」
「待っていてくだサイ、アマネ。今、貴女を救って見せマース」
「そんなことよりこの教団の利益率を教えてください。私の取り分はどんくらい貰えますか?」
まぁ良いです。
この教団がカゲぴーのモノであるなら、邪魔をする理由がなくなってしまいました。
ここは彼女に頑張ってもらって、たっぷり稼いで貰いましょう。
「あの、教祖さん。あんまり言いたくないが、コイツは見て聞いての通り救いようの無いクズで……」
「確かに今は、アマネに似つかわしくない下衆な発言も見られますね」
「こいつほど下衆な発言が似合うヤツを知らんが」
話をしながらペタペタと、カゲぴーは私の身体中にお札を張っていきます。
何をしてるんでしょうか。
「しかし、あんな下衆い悪霊が取り憑いていれば、性格も悪くなって当然デース」
「そ、そうなのか?」
「きっとその邪悪な悪霊を祓えば、きっとアマネは元の優しい性格に戻りマース」
「……元の優しい、アマネ?」
マス子は優しい、というワードに致命的な違和感を感じてそうでした。
きっと、心の貧しいマス子は人の優しさとかを理解できないのでしょう。
「じゃ、じゃあ。つまり、除霊に成功すればアマネの性格が良くなるってことかの!?」
「その通りデース」
「何だと!? そんな、そんか奇跡みたいな事が本当に起こるのか!?」
「奇跡も魔法も、ここに有りマース」
「おおおおおっ!!」
そして、ネギネギとマス子は手を取り合って喜び始めました。
感情の起伏が激しい連中ですね。
「さあ、今度こそ行きますよ。おん、あびらうんけん、さとばん────」
「……何ですか、いきなり変なお経を……。うぐ、うぐぐぐぐ!?」
カゲぴーが妙な言葉を口にした直後。
先程より強い頭痛が、鋭く私を襲ってきました。
「痛い、痛い、ギャああああ!!」
「おん、のうまくさらまんだ、ばざら、だとばん……」
「ウゴゴゴゴゴゴゴ!? やめてください! 痛い、痛い、死ぬ、死んじゃいますぅ!」
「た、耐えるんだアマネ! 真人間になりたくないのか!」
「除霊に成功すれば、どれだけの人が救われるか……。応援するけぇ、耐えるんじゃ!」
カゲぴーに騙された馬鹿どもが勝手なことを抜かしていますが、私はそれどころではありません。
その謎の儀式を何とかして止めなければ、死んでしまいます。
「やめてくださいぃぃぃい!! ぎえええええええっ!! ぐぎゃあああああああああ!!」
「効いてる……効いていマース」
「大丈夫だ、私がついてるぞアマネ! それ、ひっひっふー!」
「ひっひっふー! じゃ!」
ダメです、マス子達の力が強すぎて身動きがとれません。
こいつら、本当に私の友達ですか?
「おん、あろりきゃ、そわか……」
ああ。私はこれで、終わってしまうのでしょうか。
意識、が、遠の、く────
「おお、何ということでしょう。これは、残念ですが手遅れデース……。彼女はもう悪霊と一体化していマース」
「……」
「やはり私の術が、本体であるアマネにも効いてしまってマス。このまま除霊をすれば、アマネごと消えてしまいマース」
「そりゃ効くだろ」
「悔しいですがこれ以上は……」
「背に腹は代えられん、やってくれ」
「人類の発展に犠牲は付き物じゃ」
「ワッツ!?」
その後の話。
私が目を覚ましたら自宅でした。そして、なんか妙に肩が軽くなっていました。
起き上がるとマス子達がいたので、挨拶代わりに今回の依頼料を請求しました。
軽やかな表情の私とは対照的に、部屋でマス子とネギネギは悲嘆にくれた顔をしていたのが印象的でした。
何か悲しい事でもあったのでしょうか。