TSクズ娘は百人の男を誑かしたい 作:げれげれ
私の名前は
今までは平穏無事な輝かしいJK生活を送っていた私ですが、つい先日もの凄い凶悪犯罪に巻き込まれてしまいました。
それは何と、連続殺人事件。可愛すぎる私は、殺人ビデオの撮影をしている凶悪犯にロックオンされてしまったのです。
私自身に油断があったのかもしれません。あんなに躊躇い無く他者を害する人を、私は今まで見たことがなかったのです。
そんな凶悪犯とはつゆ知らず、ナンパされて浮かれてしまった私はノコノコと殺人犯の部屋までついていってしまいました。
殺されても不思議ではない状況でしたが、辛くもラーメン定食を携えたイケメンの乱入により私は九死に一生を得ることができました。
そのイケメンの名前はセイさん。私は命を助けられた感謝を伝えるため、彼の働く『まんまる餃子亭』に遊びに行くことにしました。
しかし、ここで問題が。この間男性に襲われたばかりの私は、一人で出かけるのが怖かったのです。
この物騒な世の中、何処に人殺しが潜んでいるか分かりません。
どうか一緒に来てくれませんかとお願いすると、マス子とネギネギは快諾してくれました。
持つべきものは友人です。お金も貸してくれましたし、二人には感謝してもしきれません。
そして。
その後なんやかんやあって、現在私は金を貸してくれる
「まったく、焦ったのう。あんなに男子と密着したのは初めてじゃ」
「お帰りなさいネギネギ。見てましたよー?」
「う、うるさいのう。私だって足を滑らす事くらいあるわい」
しかしセイさんは、本当に格好いいですね。
あの奥手なネギネギが、あんなに積極的に誘惑するだなんて思ってもいませんでした。
恋愛経験の少ないネギネギの事です、何も考えず色香に惑ってセイさんに抱きついたのでしょう。
男を見ると本能的に媚を売る、まことネギネギは卑しいですね。やはり若いウチから金持ってる人間は、品性に欠ける様子です。
「ん? 何じゃ、そんなに私を見つめて」
「いえ、特に何も? ネギネギは可愛いですねと、思っていただけですよ」
「は? 何じゃ、気持ち悪い」
これは、元友人として彼女の人格を矯正してあげないといけません。
人間というのは、中身が大事です。しかし、皆が皆性格が良いとは限りません。
私のように外見も中身も完璧な女性が存在する傍ら、ネギネギの様に見た目も性格もゴミクズな卑女もこの世に生まれ落ちているのです。
ネギネギの脳味噌をクチュクチュして、アッアッしてあげましょう。
「おいアマネ落ち着けって。ほら、セイさん注文取りにきたぞ」
「……おお」
「お礼言って、プレゼント渡すんじゃなかったのかよ」
「そうでした、まずはそちらが優先ですね」
マス子に袖をつつかれて、大事なことを思い出しました。
そうです、彼にお礼を述べるのが先です。何よりの優先事項です。
セイさんの前ではしたない行動をするのも気が引けますし、ネギカスの始末は後回しにしましょう。
「はい、いらっしゃい」
「あ、セイさん!」
見れば、もう目と鼻の先にセイさんが来ているではありませんか。袋のネズミです、捕まえてお礼を言わないと。
「えっと、君が俺に用事あるんだっけ?」
「は、はい。えっと先日、助けて頂いてありがとうございました」
「あーっ! 君か、覚えてるよ。確かノコギリ男に襲われてた娘だな、怪我はなかったか?」
セイさんは私の顔を見ると、すぐに思い出してくれました。
それだけではなく、私の身を案じてくれています。本当に良い人です。
「セイさんのお陰で、無傷で済みました。……改めてお礼を申し上げます」
「良いって良いって。たまたまその場に居合わせただけだな、俺」
「それで、つまらないものですがお礼の品を。甘味です、良ければ後でお食べになってください」
「あー。これはご丁寧に、どうも。いやー、金欠だから食い物は助かるな」
ネギネギから譲り受けた1万円で用意しておいたお菓子を渡すと、セイさんは笑顔で受け取ってくれました。
良かったです。男の人が何を貰って喜ぶか分からなかったので、無難に高いお菓子をお渡しして正解でした。
「おー。アマネにしちゃ、随分まともにお礼を言うとるのう」
「あは、ははは。まぁ流石のアマネも感謝してんだろ」
「聞こえてますよ二人とも。私が普段まともじゃないような言い方はやめてください」
「ん?」
私が真剣にお礼を言っているのが珍しいのか、二人が茶々を入れてきます。
もう、邪魔しないでくださいよ。セイさんに笑われたじゃないですか。
「ハハハ、随分と仲がいいんだな君達」
「お見苦しいところを見せてすみません、二人は少し調子乗りなので」
何故かずっと疑問符を浮かべている二人を無視し、セイさんに弁明しておきます。
まったく、私が変な子だと思われたらどうするんですか。
「初めまして宮司間さん、私の名は
「ああ、これはご丁寧に。宮司間清太です、よろしく」
「先程は迷惑かけて申し訳のう。
「さっきのことは気にしないで良いよ。事故だしな」
私に続いて、マス子とネギネギも自己紹介を始めました。
これで一通り、名前は交換できた感じですね。
「じゃあ、改めて注文を聞こうか。決まってる?」
「おお、じゃあ私は炒飯定食を────」
私達がそれぞれ注文をすると、セイさんは笑顔で対応してくれました。
ああ、良いですこの感じ。こんなに簡単にセイさんとお喋り出来るなんて。
今後、このお店に通ってしまうかもしれません。
「注文は以上でしょうか? デザートはどうっすか、ウチの店の名物は『胡麻揚げ団子』ですが」
「おー、確かそれ旨かったヤツだ。私、ソレもお願いします」
「セイさんのおススメなら、私もいただきます!」
「ほんじゃあ、私もお願いするかのう」
やはり女子は、甘いものに目が無い生き物。ごま団子に声を合わせて全員食い付きました。
そんな私達を見て『了解』とセイさんは微笑み、厨房に戻って行きました。
ああ、不思議です。
さっきまでネギカスをどう処刑しようかで頭がいっぱいだったのに、今は幸せな感じに包まれて頬が緩んでしまっています。
「なんじゃ、妙にアホ面しとるのうアマネ。呆けとらんか?」
「まあまあ、アマネにも色々あるんだよ。放っておこう」
改めて見ると、セイさん結構筋肉質でしたね。細マッチョという奴なんでしょうか。
私が襲われた時の、セイさんの雄姿が思い起こされます。とても頼りがいがありました────
「にしてもさっきは焦ったわい。あんな失態は初めてじゃ」
「まぁ、こういう店は滑りやすいから気を付けな~? 割と命の危機だったぞネギネギ」
「え、そんなに危ないコケ方しとったか?」
「ああ、うんまぁ。世の中には、人の命を奪う事に躊躇いがない危険人物も居るんだぞ」
「そうじゃのう、アマネも災難じゃったな。それと私が滑ったことに何の関係が……?」
はっ、そうです。ボーっとしている場合ではありませんでした。
ネギネギの始末方法を考えないといけないのでした。
「ネギネギは華奢だから、そう言う事になるんですよ。もっと体を鍛えないと」
「そんなこと言われてものう。インドア派じゃけぇ、運動は苦手じゃ」
「一度、ウチのバスケ部に体験入部してみるかネギネギ? 女バスは比較的緩いぞ、なんたって私がキャプテンだからな」
「ヴェッ」
マス子に突然バスケに誘われ、ネギネギは顔を真っ青にして首を振ります。
女子バスケは緩い、ですって。この女は本気でそれを言っているのでしょうか。
「マス子あなた、部活は結構ガチでしょう。幾つか情報ありますけど、部員からかなりビビられてますよ」
「え、マジで!? 私、めっちゃ皆に優しくしてるぞ」
「『笑顔でシゴいてくるドSバスケ馬鹿』と女子部員から呪詛の嵐が、そしてマゾ男子からは熱愛の目線が刺さっていると聞いてます」
「えっ」
私の話を聞いてマス子の笑顔が凍り付きました。自覚無かったんですか、貴女。
マス子率いる女子バスケ部は近辺でかなり強豪らしいですが、同時に練習がきつい事でも有名です。
そのお陰か女子バスケ部員の実力は高く、中でもエースのマス子は日本代表候補に選ばれた事も有るのだとか。
「嘘だろ……? 私、あんまり話したことない男子に告られることが多かったけど、それってもしかして……?」
「知りたくなかった情報を知ってしまったようじゃのう。すまんマス子、その噂は私も聞いた事あるけぇ」
「有名ですよ、女バスの部長は校内一のサディストだって」
「……マジでか?」
ガーン、とマス子はかなり大きなダメージを受けている様子です。
マス子がどうやってマゾ男子を調教していたかの手口を知りたかったのですが、どうやら無自覚にやっていたみたいですね。
マス子は天然のドS女という事らしいです。まったく使えない。
「マス子がそれなりの
「いや、良い。お前に頼むとロクなことにならん、自分の行動で何とかする……」
「ちぇ」
友人が傷ついているっぽいので手助けを提案しましたが、蹴られてしまいました。
そういう噂の操作は得意なのですが。せっかくのお小遣いのチャンスが……。
「安心せい、私はマス子が優しいのは知ってるけぇ。何事にも、一生懸命なだけじゃ」
「ネギネギ……」
「だけど、女子バスケ部に入部するのはごめんなんですよね」
「いや、それは私がインドアじゃけぇ、その」
「良いんだ、良いんだ。そっか、少し自分を見直すかな」
マス子は微妙にショックから立ち直っていないまま、曖昧な顔でネギネギの頭を撫でています。
ですがマス子は、
『元気な時に入るシュートは、疲れると入らなくなる。でも疲れている時に入るシュートは、いつでも入るんだ』
等とほざいて、バスケの練習前から陸上部並みに走り込ませてると聞いています。
そんな彼女が多少優しくなったとて、評価が変わることは無いでしょう。
「マス子は、キツい練習させてるのに部員が付いてくるだけのカリスマを持っとるんじゃ。人望が有るんじゃ。そこはマス子のエエところじゃろ」
「うん、うん……。ありがとなネギネギ」
「そうですよマス子。自分の性癖欲望を満たす為にバスケ部を支配しているなんて、素晴らしいです。それは1つの人間としての究極のあり方と言えるでしょう。他者を支配し、蹂躙する喜びに勝るものはありません」
「お前にはお礼を言えねぇな」
そんな可哀想なマス子を慰めながら、セイさんに持ってきてもらったラーメン定食を頂きました。
この店の料理は何というか、まあ普通に美味しかったです。
「おまちどう、デザートの胡麻揚げ団子」
「おお、来た来た」
私達が入店してからジワジワ客が増え始め、セイさんも忙しそうにし始めました。
あんまり長居すると迷惑になりそうです。さっと食べて帰るとしましょう。
「これがカリカリで旨いんだ」
「おお、確かに美味しそうじゃのう。……熱っ!?」
「かなり熱々だから、猫舌なら少し冷ました方が良いかもな」
「そ、そうする」
ネギネギは一口かじりついて、そのまま団子を皿に落としました。
本当に揚げたてなんですね。
「うう、食べたものを落とすとは、はしたないわい」
「……」
……ふむ。そうか、その手がありましたか。
少し良いことを思いついた私は、テーブルの脇に置いてあった調味料コーナーに目をやります。
見つけました。『ハバネロ濃縮★激辛ラー油』、と書かれた真っ赤なソース。
く、くくく。これさえ有ればクソネギに地獄を見せてやることが出来ます。
この女は、重度の猫舌です。辛いものも苦手で、ピリ辛ですら敬遠する筋金入りのお子様味覚。
そんな卑ネギが、ラー油の詰まった胡麻団子を食べたらどんな顔をするでしょうねぇ……。
よし、奴の団子にラー油を仕込みましょう。
これは良い案です。上手くやれば、セイさんにこの女の団子リバースな超汚い絵面を見せつけ、幻滅させることが出来ます。
ケケケケケ。セイさんの目の前で無様にゲロを吐かせて、アダ名をゲロゲロにしてやりましょう。
「ネギネギ、お水は彼処でセルフサービスですよ。前もって注いできたらどうですか」
「うむ、そうするかの」
今がチャンスです。
私はマス子が余所見しているのを確認し、私はネギネギの胡麻団子にラー油容器の先端を突っ込み、ダクダクと中に注ぎ込みました。
これで、ミッションコンプリート。
ネギネギが口を付けた箇所からラー油を流し込んだので、新たに穴を開けたりしておらず、見た目からは絶対分かりません。
────まさに、完全犯罪。
く、くくく。これでネギネギを毒殺し社会的に追い詰めてやりましょう。
さあ、どんな汚い声で鳴くか今から楽しみです。
「あ、見ろよアマネ。何かセイさん、お前の方を見てないか?」
「えっ!? マジですか!?」
突然マス子に声をかけられセイさんの方を見ると、彼は爽やかな笑顔で筋肉質な男子集団を接客中でした。
欠片もこちらを見ていません。
「……見てないじゃないですか」
「あれ? そっかぁ、勘違いだったか」
まったく、マス子はなんなのでしょう。
「悪い悪い」
「もう、まったく」
そうこうしているうちに、トテトテとネギネギが歩いて戻ってきました。
両手に3つ、水を持っています。どうやら、全員分注いできてくれたみたいです。
「お、盛り上がってるが何の話じゃ?」
「何でもありませんよ。あ、お水ありがとうございます」
「ついでじゃけぇ」
ネギネギから水を受け取り、グビリと飲み干します。
ううん、勝利の1杯は旨い。
「ネギネギ、そろそろ団子も冷めてきたと思うぞ」
「そうかのう、では頂くとするか」
おお、マス子よナイスアシストです。適当に折を見て私も団子を促すつもりでしたが、マス子がやってくれるとは。
愚かにもネギネギは何も疑う様子なく、団子を口に持っていきました。
さあ、地獄を見てもらいますよネギネギ。
「アマネは食わねーのか?」
「おお、私も食べます食べます」
さあて、ハバネロ入りの激辛調味料の味をしっかり堪能してくださいね────
ぶちゅっ、と変な感触がして。
私の口の中に、熱くて酸っぱい液体がドロリと流れ込んできました。
「…………」
「おう、どうしたよアマネ」
額から脂汗が滝のように流れてきます。
同時に、針で刺された様な激痛が口腔内を暴れまわっています。
「んぶっ……えほっ……」
余りの激痛に噎せ込んでしまい、鼻に汁が逆流してツンと酸っぱい鼻水が鼻腔粘膜を焼き付くします。
これ、は。
「ん~! 旨い、これは旨い! この団子はさくさくしてモチモチじゃ、餡もしつこくなくて上品じゃ」
「お、気に入ったかネギネギは」
「こりゃ、名物と謳うだけあるわい。はー、美味しいのう」
クソネギは頬を押さえて弛んだ笑顔を浮かべ、胡麻団子を咀嚼しています。
おかしい、貴様の団子にはラー油が大量に仕込まれているハズ……っ!!
これは、これはまさか!
「おいどうしたアマネ、頬が痙攣している様子だが?」
「は、は、は……。何でゅえも、ありましぇんですよ……?」
「どうしたんじゃ? アマネ、体調でも悪いのかの?」
わざとらしく笑いかけてくる、マス子。
このアマ、まさか、まさか……!
「心配要らねぇよネギネギ。ちっと口に合わなかったんじゃねぇの?」
「こんなに美味しいのに? ああ、さてはアマネも猫舌なんじゃな」
「しょ、そんな感じ」
やってくれましたねマス子ぉ! 貴様、私とネギネギの団子を取り替えましたね!?
なんて非道、なんて外道。これが人間のやることですか。
や、やばいです。一歩間違えたら口に含んだもの全てリバースしてしまいます。
セイさんの前で、そんな無様を晒すわけにはいきません。
私の吐物の処理をセイさんにされるなんて事になれば、私はこの先生きていける自信がありません。
「お、お、おいしゅいデェス」
「片言になっとるぞ、アマネ」
劇物を体内に孕んだことでガタガタと全身が痙攣していますが、何とか平静を装って笑顔を作ります。
ははは、私は完璧クール美少女のアマネちゃん。公共の場で食べたものをリバースするなんてことが、有ってはならないのです。
あ、でもダメですコレ。体が1秒でも早く外にぶちまけろって大騒ぎしてます。胃の粘膜がやべーことになる前に吐しゃ物をぶちまけろと叫んでいます。
だっておかしいですもん、さっきから胃の動き方がバイブみたいです。胃ってもっとゆっくり動くものでしょう?
「ち、ちょ、ちょっとお花を摘みに行ってまいりましゅわ」
「……どうしたんじゃアイツ」
「ああ、何というか自業自得だ」
「さよか、ならどうでも良いわ」
ヴぉご、おごごごご。胃が焼ける、我が体躯に灼熱の呪刻印が暴れ狂ってます。
ああ、炎系の超能力者の気持が今ならわかります。体が焼けるってこんなに苦しいんですね。
死ぬ、本気で死にます。あ、あ、あもうだめ、胃液が、光が逆流する─────
おのれ、おのれマス子ぉぉぉぉ!!
「ぐヴぉぁ!!」
「お、お客さんどうした!?」
その日。
私は経験したことがないほど痛い灼熱の吐物を垂れました。
食道って、割と痛みを感じる部位なんですね。体を貫くような酸っぱい火傷なんて、人生で初めて経験しました。
そして、その次の日。
私の肛門粘膜がとんでもないことになってました。
女の子なので詳細は伏せますが、もうやべーことになってました。とてもじゃないがお嫁に行ける状態ではなくなってしまいました。
これも全てマス子のせいです。あのアマ絶対に許しません、変態サディストとして有ることないこと吹聴してやります。
この私を怒らせたことを後悔するがいい─────おごぅ!
ああ、お尻が痛くて泣きそうです。