ガンダム ビルドライバーズAnother   作:神楽

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第三十話『狐の絆、孤独な猫』

三回戦が全て終わり、次に始まるは四回戦。そしてその相手はホロメンの中で唯一絆を取り戻せていないおかゆだ。

 

おかゆはロボ子さんとの勝負を切っ掛けに今まで溜めに溜めてた気持ちが爆発してしまい今では白上達の事を只の邪魔者としか見なくなってた。現にロボ子さんの事もガラクタ呼ばわりしてた、以前のおかゆならそんな事絶対に言わなかったのに……

 

……いや、今はそれよりもおかゆとの戦いの事を考えないと。おかゆのディストピアアルスにはナイトメアっていうアーマーがあってそれにはワープ能力が備わっている。対抗するにはそのワープを上回る程のスピードと機動性が必要だ。そうなるとやっぱりフォクシードのオメガトランザムしかないかもしれないけど、あれは失敗すれば確実に負けてしまう諸刃の刃だから、あくまでもそれは最終手段にして他の方法を考えなきゃ……

 

「……といっても白上の持ってるアーマーじゃ他に適したのがないんだよね」

 

今白上は控え室のテーブルの上で持っているアーマーを全て並べてみた。

 

フォクシード

ドグレイト

ダッキンドネス

シープレシャス

ラビットラッパー

 

……これ等のアーマーを改めて見ると本編のプラネッツアーマーよりもクセが強いのが分かるなぁ。でもこれだとおかゆのナイトメアアルスには勝ち目が薄い。かといって新しいアーマーを作るにしても時間が無さすぎる。どうしたら良いんだろう……?

 

―コンコンッ―

 

「フブキー?入っても大丈夫?」

 

「あ、ミオ。うん大丈夫だよ」

 

―ガチャッ―

 

「ごめんね準備中に……」

 

「ううん、それは大丈夫なんだけど……あれ、あやめも一緒にどうしたの?」

 

控え室の扉が開くと其処にはミオだけじゃなくてあやめも一緒にいた。一体どうしたんだろ?

 

「……あ、あのさフブキちゃん。さっきミオちゃんから聞いたんだけど、おかゆが不正してたかもしれないってホントなの?」

 

「あ……う、うん。でも本当の処は分からないんだよね。証拠も無いし……」

 

「それなんだけど、スタッフさんに聞いてみたら誰かがサーバーに直接不正アクセスしようとした形跡があったんだって。近くに黒焦げになったパソコンも落ちてたみたい」

 

ッ!?やっぱりロボ子さんの言う通り誰かが不正アクセスしてたんだ!そうなるとおかゆのあの感じからして何も知らないなんて思えないし、やっぱりおかゆが誰かを使って不正してたって事だ!

 

「それで、もしまたおかゆがそんな卑怯な手を使ってきたら、今度はフブキちゃんまで……」

 

「だから大丈夫だよあやめ。サーバーのある裏方はあれから厳重な警備が敷かれてるんだから」

 

「そ、そうなんだ、なら一先ずは安心かな……?」

 

まだオンライン稼働してないから不正アクセスしていた人がサーバーに近づけないなら外部からアクセスされる事はない。妨害がないなら取り敢えずは安心出来るね。

 

「でも、本当なら逆に不正してくれた方が良かったんだけどね……」

 

「ミオちゃん?!一体何言ってるのさ!?もしかしてミオちゃんおかゆの味方するつもりじゃ……!?」

 

「違うよ!不正してくれた方が証拠を掴んでおかゆを失格に出来たかもしれないって事だよ!」

 

そう、不正アクセスがあった事は分かったけどおかゆ本人が差し向けたという証拠は何処にもない。いや、それ処か葵ちゃんやあやめの時にもその不正アクセスがあったかなんて今の処分かってない。押収されたパソコンも完全に壊れて証拠も残されてないみたいだし、ってか何で壊れてたんだろ?

 

「そ、そっか。ごめんミオちゃん……」

 

「あ……ううんウチこそごめんあやめ。仲違いしてるとは言えおかゆを陥れるような事言っちゃって……」

 

「二人とも……大丈夫だよ!確かにおかゆは強敵だけど、妨害がないって分かったなら充分にやりあえるよ!白上はおかゆに必ず勝って、そして連れ戻してみせるから!」

 

うん、此処まできたらもう不正があったかなんて関係無い。おかゆとは直接戦って、そして勝つんだ。そうじゃなきゃおかゆを本当の意味で連れ戻せない。

 

「フブキちゃん……うん、よろしくお願いするぞ!今おかゆを止められるのはフブキちゃんだけだから!」

 

「うん、フブキなら出来るよ!ウチ等もその為に協力しに来たんだから!」

 

「え、協力って……?」

 

ミオはそう言うとバックから箱を取り出して白上の前に置いた。箱を開けると其処に入ってたのは赤と黒のカラーリングが施されたアーマーと赤一色のカラーリングに刀が装備されたアーマーの二種類が入っていた。

 

「これって……」

 

「余とミオちゃんがフブキちゃんの為に作った白夜ガンダム用のアーマーだぞ。この間の集まりには余達いなかったから、急いで作ったんだ余」

 

「今のウチ等にはこんな事ぐらいしか出来ないけど、少しでもフブキの力になれたらなって思って」

 

「ミオ、あやめ……ありがとう!白上絶対に勝つから!だから応援お願いね♪」

 

「「うん!」」

 

二人の想い、確かに受け取ったよ!白上は二人のくれたアーマーを含め全ての機体をケースに入れて控え室を後にする。皆の想いを背負って、白上は絶対に負けません!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―別控え室 猫又おかゆ視点―

 

……もうすぐだ。もうすぐでレイくんを僕のモノに出来る。その為には後三回勝てばいい。

 

あの只野が使い物にならなくなった今もう不正は出来ないが関係無い。このナイトメアアルスさえあれば他の奴等なんて恐れる事なんてない。

 

そんな次の相手は白上フブキ……幼馴染みだからと言ってレイくんの周りにベタベタくっつく憎たらしい奴!必ずこの手でアイツを……

 

―コンコンッ―

 

……誰だこんな時に?まさか只野か?アイツなんてもう用済みなんだけど……

 

「……ねぇおかゆ、ちょっと良いかな?」

 

いや、只野じゃない。この声は……ころさんか。またどうせ戻って来てとかふざけた事言いに来たんだろうか?

 

「何?要件があるならさっさと言って。また戻って来てとかくだらない事だったら……」

 

「ううん、それは今はいいんだよ。そうじゃなくて、おかゆにどうしても聞きたい事があってな……」

 

「……何さ?」

 

「……おかゆってどうして皆の事そんな目の敵にしてるの?今までそんな事なんて一度もなかったのに……」

 

……なんだそんな事か。そんなの決まってるよ。本当なら答える義理はないけど、ころさんはもう脱落したから言ってもいいか。

 

「ころさんはさ、レイくんがあのミライアカリと関係を持ってたって聞いてどう思った?」

 

「え……?」

 

「僕はね、凄く殺意が沸いたよ。僕ところさんは幼かった頃にレイくんと離れ離れになって、ホロライブに入って再会出来たと思ったらレイくんが知らないうちに他の女に取られていたと思うと、思わずソイツの所に行って殺してやりたいと思ったよ。だけどYAGOOからレイくんがこの大会の副賞になったって聞いた時はチャンスだと思ったよ、これで僕が優勝すれば、レイくんをずっと僕のモノに出来るって」

 

「そんなッ!?それじゃ玲二の気持ちなんて無視してるようなモンじゃん!?そんな事したら玲二だって絶対に幸せになれ「五月蝿い、黙れ!!」ッ?!お、おかゆ……?」

 

「レイくんが幸せになれない?だったらお前達はそれで良いのかよ?!部外者の女に取られ、悪魔や吸血鬼、それにあの頭のおかしい女や羊女に取られたままで!?僕は絶対に嫌だね!僕はどんな事をしてでもレイくんを手に入れる!そして僕もレイくんもホロライブを辞めて二人で誰も来れない場所でずっと暮らすんだ!レイくんの幸せはその後に僕が与えれば良いだけだ!」

 

そうだ、どんな綺麗事を言った処でレイくんを手に入れられなきゃ意味が無い!レイくんが幸せになれないなんてのは自分がそうさせれる自信がない奴の弱音でしか無いんだ!僕は違う……必ずレイくんを幸せに出来る自信はある!レイくんの身の回りの世話だって出来るし身体にだって自信はある!だからお前等弱者と僕を一緒にするな!!

 

「僕は必ず勝ち進んで、そして僕は優勝するんだ……そして、二度とレイくんをお前等に近づけないように二人だけの世界に行くんだ!分かったらとっとと消えろ!!」

 

「おかゆ………うぅ……」

 

僕が怒鳴るとあの“犬女”は泣きながら何処かへ行ったようだ。全く、試合前なのに気分が悪くなってしまったよ。

 

……まあいいや、もう僕には関係無い。例え何があってもレイくんは僕のモノにしてやる。その為にあのレイくんに纏わりつく虫ケラ達を排除しないと。

 

そうしていたら時間が来たみたいだ。僕はアルスを手に控え室を出て会場に向かう。待ってなよ白上フブキ……お前だけは僕の手で必ず倒す!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―試合会場 白上フブキ視点―

 

❬さあ遂にやってきました第四回戦!総勢六十四名いた参加者もいよいよ残るは七名となりました!❭

 

残り七人……漸く此処までやって来たんだ。最初は仲違いをしたせいでギスギスしていたホロメンも今では白上の事を支えてくれている。その想いに応える為にも、最後のホロメンであるおかゆを必ず連れ戻してみせる!

 

❬えー、只今解説役の佐々木さんは席を外しておりますがすぐに戻って来ますのでそれまでは私だけで進めさせて頂きます。それでは参ります、四回戦第一試合!白上フブキさんVS猫又おかゆさんの対決です!❭

 

あ、レイくん今席外してるんだ……まあ、それは今は考えなくて良いとしてAちゃんの声と共に白上達はステージへと登り準備を始める。おかゆは前よりも鋭い目つきで白上の事を睨んでいた。まるで、獲物を狙う猫のような……いや、殺意が混じったような目つきだ。

 

「……おかゆ、戦う前に聞かせて。おかゆは本当に白上達と……ホロライブと対立する気なの?」

 

「……そうだよ。僕にとって本当に大切なのはレイくんだけだからね。“お前達”ホロライブにレイくんは絶対に渡さない」

 

お前達って……前までおかゆそんな言い方しなかったのに、やっぱりロボ子さんとの勝負が切っ掛けで白上達の事を完全に敵対してるって事だよね……

 

「……悪いけどそれは絶対に止めてみせるよ。今のおかゆには絶対にレイくんを任せられないから」

 

「……なんだよ偉そうに。じゃあお前ならレイくんを幸せに出来るっていうの?」

 

「そうじゃなくて!今のおかゆは明らかにレイくんの気持ちを無視してるじゃん!そんなんじゃレイくんも「黙れよ!!」ッ?!」

 

「お前といいあの犬女といい何が気持ちだよ!?そんなんじゃいつか他の女にレイくんを取られてしまうじゃん!気持ちを無視してるだの幸せに出来ないだのそんなの最初からそうする自信がない奴等の戯れ言だろ!僕は絶対にレイくんを幸せに出来るし身体でも満足させられる自信はある!だからお前なんかにレイくんは絶対に渡すもんか!」

 

「おかゆ……分かった。これ以上はもう何を言っても無駄みたいだからいいよ。だけど、白上にだって譲れないモノがあるから、絶対におかゆには負けないよ!」

 

今のおかゆは、本当にレイくん以外の皆と前みたいに戻るつもりはないんだね。レイくんを独占したい気持ちが此処まで膨らんでいたなんて……もう今のおかゆを止める為には勝って分からせるしかない!皆の気持ちを白上のガンプラに乗せて、必ずおかゆを倒す!

 

「ふん、言ってればいいさ。お前なんかじゃ僕には例え天地がひっくり返っても勝てるワケないんだから」

 

おかゆはそう言って自分のコクピット席に戻ってヘッドギアを装着していく。白上も準備を終えてヘッドギアを装着した。ミオ、あやめ、皆……白上に力を貸して下さい!

 

❬……お互いの準備が整ったようですね。それでは始めましょう、四回戦第一試合!リンクスタート!!❭(……私は実況という立場なので声に出しては言えませんが、佐々木さんやおかゆさんの為にもフブキさん頑張って下さい!)

 

―LINK START―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―サイバーエリア―

 

試合が始まりサイバーエリアへとダイブした白上達。白上は最初はダッキンドネスガンダムで、目の前にいるおかゆはディストピアアルスの状態で始まった。

 

「……てっきり最初からナイトメアで来ると思ってたけど?」

 

「そっちこそいつものフォクシードじゃないんだ?そんな飛行能力が取り柄なだけのアーマーで大丈夫なの?今の内にフォクシードになっても良いんだよ?」

 

「ううん、白上にだって考えがあるんだから。遠慮せず挑んで来なよ」

 

「へぇ……後悔しても知らないよ」

 

お互い張り詰めた空気の中様子を伺う。そして……

 

 

 

―フッ!―

 

―フッ!―

 

―バチィィンッ!!―

 

同時に距離を詰めてビームサーベルをぶつけ合う!互いに譲れない戦いが、今始まった!!

 

 

 

 

 

片や大切な日常を取り戻す為、片や大切な人を独占する為、己の主張をぶつけ合う戦いが始まった。果たしてフブキはおかゆに勝てるのだろうか?

 

―to be continued―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ 玲二視点―

 

「……そうか、漸く捕まえられたか。態々頼んで済まなかったな」

 

❬イエイエ、兄貴の為ならばワタシは何時だって協力しますヨ!ソウ、兄貴がお前のカラダが欲しいッテ言えば何時ダッテ喜んで股開く覚悟はありマス!❭

 

「いや、それはいい……それじゃあ今からソイツ連れてこっちに来てくれないか?」

 

❬リョーカイしまシタ!取り敢えずこのブタもう少しヤキ入れてカラそっち行きマスね♪❭

 

「……程々にしろよ。そんじゃまた後でな」

 

……よし、これでアイツを確保出来たから一安心か。社長から話を聞いた時は半信半疑だったがまさか本当に勝手に帰国して更に大会を妨害しようとしてたとは……とにかく奴への尋問はアイツが此処に連れて来てからだ。それまでは試合を見届けないと……こんな事言ったら不平等かもしれないが、おかゆの為にも勝ってくれフブキ。

 

俺はとある娘との電話を終え、急いで解説席へと戻って行くのであった……

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