ガンダム ビルドライバーズAnother   作:神楽

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第三十一話『想いよ届け』

遂に始まったおかゆとのバトル。白上のダッキンドネスとおかゆのディストピアアルスがビームサーベルでぶつかり合い火花を散らしていた。

 

アルスはビームサーベルでぶつかりつつダッキンドネスにビームカノン砲を撃ち込み、白上もダッキンドネスの機動性を利用して空へと展開しながらアルスにビームライフルで応戦していく。

 

「チッ……蝿みたいにうろちょろして面倒くさいね」

 

「悪いけど空中戦だったらこっちに分があるよ!」

 

白上はダッキンドネスのスピードを駆使してアルスの攻撃を避けつつ反撃をしていく。ダッキンドネスは今あるアーマーの中では其処まで攻撃と防御は高く無いけどスピードはずば抜けて高いから仮にナイトメアで来られても対応出来ると思って使ってみたけど、これならこのまま押しきれそうだね。

 

「……お前、このままそのアーマーで押しきれると思ってるみたいだけど、僕のアルスがそんな事で倒れるワケないじゃん」

 

「?それってどういう―グサァッ!―?!な、何が……!?」

 

いきなりダッキンドネスがバランスを崩し何が起こったのか見てみると両羽の部分に何かが刺さってた。これは、アルスのバックパックについているウイング?!

 

❬これはなんという事でしょうか?!フブキさんのダッキンドネスの羽にアルスのウイングブレードが突き刺さっています!❭

 

❬どうやらウイングブレードにワイヤーを付けて遠隔操作出来るようにしたんだろう。本体に気を取られてる内にダッキンドネスのウイングに打ち込んだみたいだな❭

 

あ、レイくんいつの間にか戻って来てた。ってそうじゃない!このままじゃマズイよ!?

 

「ふふ、アヒルはアヒルらしく地べたに落ちな!」

 

―ズバアァッ!!―

 

ウイングブレードに両羽を切り裂かれダッキンドネスは飛行能力を失い墜落してしまう。このままじゃ無防備状態を狙われてしまう!早く違うアーマーに切り換えないと!

 

「バディチェンジ!ダックtoドッグ!」

 

白上の声と共に後方からドグレイトアーマーが飛来してきた。ダッキンドネスアーマーはパージされ、白夜ガンダムにドグレイトアーマーが装着されようとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪いけどそんなのは許さない!ジャックチェンジ!ハッキング、ゴー!!」

 

「えッ?!」

 

おかゆの声と共に白夜ガンダムに装着される筈のドグレイトアーマーがアルスの方へ勝手に移り、アルスがディストピアアーマーをパージすると代わりにドグレイトアーマーがアルスへと装着されていく。これって……原作にもあったアルスのアーマー奪取!?

 

「へぇ、これが犬女をイメージしたアーマーか。少し不恰好だけど、お前を串刺しにするには丁度いいよね?」

 

おかゆはそう言うとドグレイトアルスの両肩にあるフィンガードリルを展開し白夜ガンダムに襲ってきた。マズイ!早く体勢を立て直さないと!白上は慌てて白夜ガンダムの体勢を戻しその場を離れ、白夜ガンダムのいた所にドグレイトアルスのフィンガードリルが突き刺さりおもいっきり地面が抉れた。自分で作っといてなんだけど恐ろしいよこれ!?

 

「ふん、避けたか。だけど何時まで持つかな?」

 

ドグレイトアルスはそのまま脚部のアンカーを展開して白夜ガンダムを捕らえようとしてくる。なんとかアンカーを避けてはいるけど、この後どうすれば良いのか思いつかない。また別のアーマーを呼んでも奪われる可能性があるし……こうなったら一か八かやってみるしかない!白上は白夜ガンダムの動きを一旦停めてシールドを構えつつドグレイトアルスへと突っ込んでいく。

 

「……何企んでるか知らないけど、そっちから突っ込んで来るなら好都合だよ。そのシールドごとお前のガンプラ砕いてやる!」

 

ドグレイトアルスもフィンガードリルを回転させ白夜ガンダムへと突っ込んでくる。タイミングは一度だけ、失敗すれば負けは確実……絶対にミスは出来ない!

 

 

 

そして……

 

 

 

―ガキイィッ!!―

 

白夜ガンダムのシールドとドグレイトアルスのフィンガードリルが衝突し……

 

 

 

―ガガガガガ……バキイィッ!!ドゴオォォォンッ!!―

 

フィンガードリルがシールドを貫き爆発が起こった。

 

「ふん……なんだ、何かあると思ったら只の突進か。僕に勝てないって分かって自棄になったみたいだけど、流石にもう少しまともな戦いをしてほしかったな」

 

おかゆは爆発して煙幕が広がるフィールドを見て勝ち誇った顔をしている。だけどおかゆ……

 

 

 

 

 

この賭けは白上の勝ちだよ!

 

 

 

 

 

「バディチェンジ!ドッキング、ゴー!!」

 

「なッ?!」

 

白上の声におかゆは驚いているけど構わない!白上は煙幕に紛れて新しいアーマーを装着した白夜ガンダムを高くジャンプさせてドグレイトアルスの真後ろに着地差せると右手にある武器にエネルギーを溜めてそれを至近距離でドグレイトアルスへと撃ち込んだ!

 

―シュウゥゥゥ……ドゴオォォォンッ!!―

 

「うぐあぁッ?!」

 

ドグレイトアルス

HP:894

 

❬フブキさんの白夜ガンダムがおかゆさんのアルスに反撃を与えたぁ!これは凄いです!❭

 

❬恐らくだがさっきのぶつかり合い、フブキは直前にシールドを破棄してシールドの裏に仕込んでたボムを起爆させたんだ。それにより煙幕が起こりおかゆの視界を遮りその隙に新しいアーマーに換装したんだな❭

 

そう、レイくんの解説通り白上は白夜ガンダムのシールドがドグレイトのフィンガードリルにぶつかる直前に逃げてボムを起爆させて、その隙にミオがくれた新しいアーマーを装着してドグレイトアルスに反撃したんだ。これがミオがくれた新しい力『ウォルフェイトガンダム』だよ!

 

 

『ウォルフェイトガンダム』

ヴィートルーアーマーをベースにミオが改造してフブキに託したアーマーを装着した白夜ガンダムの新たな形態。本来射撃特化だった武装を右手のハンドミサイルポッドを改造したファイアパンチポッドのみにし、更に至近距離で撃つ程威力が上がるようにした為近距離戦用に近い仕上がりになった。全てのスペックはかなり高いが、武装がファイアパンチポッドしかないのと使用回数が最大でも僅か五発のみというかなりピーキーな機体となっている。機体のカラーリングは黒をベースに炎のような赤い模様が描かれている。名前の由来は狼を意味するウルフと定めを意味するフェイトを合わせたモノである。

 

ウォルフェイトガンダム

HP:1750

ATK:480

DEF:440

SPD:440

MOB:460

 

「な、なんなのそのアーマー?そんなの今まで使ってなかった筈……」

 

「試合前にミオとあやめが白上の為に持ってきてくれたアーマーだよ!この力でおかゆを止めてみせる!」

 

ファイアパンチポッドの攻撃でドグレイトアーマーが半壊してアルスも少しダメージを負っている。後四発分しか残ってないけど、それを悟られないように一気に決着をつけないと!

 

「……ふぅん、其処まで頑なに絆とか大事にするんだ?だったらそんなモノ、全部壊してやる!コアチェンジ!ドッグtoナイトメア!」

 

ッ?!ヤバい、おかゆがあのアーマーに切り換えようとしてる!アルスが半壊したドグレイトアーマーをパージして飛来してきたナイトメアアーマーに向かって飛び上がる。此処でナイトメアアルスになられたら厄介だ!ドッキングする前に撃ち落とさないと!

 

白上はウォルフェイトのファイアパンチポッドのエネルギーを溜めてアルスに向かって放った。しかし……

 

―ブォンッ……―

 

「遅いッ!」

 

「ッ?!」

 

着弾する前にナイトメアアルスにドッキングされ、そのままワープダイヴをされウォルフェイトの背後にワープされた。アルスはビームサーベルをウォルフェイトに向かって振り下ろしてきたけどすぐに回避、一度アルスから距離を取った。

 

❬遂に来てしまいました!おかゆさんの切り札、ナイトメアアルス!❭

 

❬あぁ、コイツのワープ能力はロボ子との戦いで如何に厄介か分かってるからな。フブキはこれにどう対処出来るかが勝敗の分かれ道になりそうだ❭

 

うぅ……もう現れてしまったモノはしょうがない。それに遅かれ早かれナイトメアアルスと戦うのは分かってたんだ。まずはレイくんの言う通り、あのナイトメアアルスのワープダイヴをどうにかしないと!

 

「もうお遊びは終わりだよ。さっさとお前を倒して、他の奴等も潰してやる!」

 

―ブォンッ!―

 

再びアルスが消え、レーダーからも反応が消えた。一体何処から……!?

 

―ブォンッ!―

 

「はあぁッ!!」

 

ッ!後ろから!?白上はすぐに回避したけど、左肩のアーマーにビームサーベルがかすってしまった。

 

「まだまだぁッ!」

 

ナイトメアアルスは再び姿を消し、今度は右側から現れて攻撃してきた。今度は……交わす!

 

そして何度もアルスがワープをしながら攻撃を仕掛けられ、白上は回避を繰り返すも何度かダメージを負ってしまう。

 

❬フブキさん、おかゆさんのナイトメアアルスの前に避けるのが精一杯のようです!このままなす術なくやられてしまうのでしょうか?!❭

 

❬……いや、そうでもないかもしれない❭

 

❬え?❭

 

❬フブキはもしかしたら窺ってるのかもしれない……反撃のチャンスを❭

 

……やっぱりレイくんは鋭いなぁ。そう、白上は今アルスのワープダイヴの動きを避けながら観察してたんだ。と言うのも実は試合前に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―試合前 控え室―

 

「うーん……やっぱりこのワープ能力が厄介だよね」

 

「こうもあっちこっちにワープされちゃ狙いようがないよね……」

 

そう、実は試合前、白上はミオとあやめと一緒にロボ子さんとおかゆの試合を見直してたんだ。ナイトメアアルスに対抗する為の何か糸口が見つかれば良いと思って何度も見返してたけど、中々良い案が浮かばない。

 

「そもそもこんな一瞬で移動出来る相手にどう対処すれば良いんだか……」

 

「いや、一瞬じゃないぞ?」

 

「「……え?」」

 

白上が悩んでいるとあやめは何かに気づいたのかナイトメアアルスがワープして再び現れるシーンまで映像を巻き戻して見せてきた。

 

「ほらこれ、おかゆんがワープする前とまた出てきた時一秒か二秒ぐらい硬直してる余。もしかしてこれ、ワープしてる間はおかゆん動けないんじゃないかな?」

 

「え…………ッ!本当だ!僅かだけど硬直してる時間がある!」

 

さっきまでワープの凄さに気を取られて気づかなかったけど、確かに消える前と現れた後僅かだけどアルスの動きが止まっている。もしこれが本当ならやりようによっては攻撃も回避もなんとかなりそうだ。更に……

 

「ねぇフブキ、ウチも気づいたんだけどさ、このワープってもしかして連続で使えないんじゃない?」

 

「え?連続で使えない?」

 

「うん、この映像見る限りだけどおかゆってワープしてから直ぐにまたワープしてるって最初思ったんだけど、よく見たらワープしてから次のワープするのに最短でも七秒ぐらい掛かってるんだ。だからもしかしたら現れたと思ったらまた消えるみたいなフェイントが出来ないんじゃないかな?」

 

確かに映像を見てるとアルスはワープした後フェイント等は行わず現れては攻撃しまた消えるの繰り返しだけだ。これがもし本当ならおかゆのワープダイヴは使用中の前後一、二秒は身動きが出来ず、直ぐには次のワープ出来ない。もしかしたらこの時のおかゆがロボ子さんを舐めて掛かってただけかもしれないが、もしこれが本当なら幾らでも対応が出来る!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―戻ってサイバーエリア―

 

白上はあれからアルスのワープの軌道を探っていた。さっきから来ているワープ移動はあやめやミオの指摘してきた通り、僅かながらのタイムラグがある!けどそれでもまだ完璧に避けきれてるワケじゃない。このままでは間違いなくやられてしまう。チャンスは一度だけ……これに全てを賭ける!白上は一度アルスから距離を取ると身体の力を抜きウォルフェイトを無防備状態にした。

 

「ふん、漸く観念した?なら……これで終わりだ!」

 

―ブォンッ……―

 

おかゆがそう言うとアルスはまた消える。

 

集中しろ、白上。アルスが現れる場所を感じるんだ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ブォンッ!―

 

ッ!後ろ!

 

「其処だあぁッ!!」

 

―ドッゴオォォォーーーーーンッ!!!―

 

「なあッ?!!」

 

真後ろからアルスが現れたのを感じ、直ぐに白上は力を込めて振り向きウォルフェイトの残された三発分のエネルギーをファイアパンチポッドに込めてアルスへと撃ち込んだ!

 

ナイトメアアルス

HP:894→71

 

❬なんとぉッ?!これはどういう事でしょうか!?フブキさんまるでアルスが現れる場所を読んでたかのように強力な一撃を叩き込んだぁッ!!❭

 

❬やはりフブキは気づいてたんだ!あのナイトメアアルスのワープに隙がある事を!それを見越してカウンターで強力な一撃を打ち込んだんだ!❭

 

よっしゃーッ!これでおかゆのワープ攻撃攻略だよ!けど今の一撃でもアルスは倒れてはいなかった。と言っても既にアーマー処かメインのボディまでボロボロになり動くのが精一杯のようだ。

 

「はあ、はあ……な、何で僕が後ろから出てくるって分かったのさ……?」

 

「……おかゆって他の対人戦ゲームでもそうだけど相手にトドメを刺す時かなりの確率で相手の背後を取るよね?だから今回もそうくると思って待ち構えてたんだ。ワープした直後は二秒弱ぐらい動けないみたいだったから、読みさえ当たれば後は一撃叩き込むだけだよ」

 

「ぼ、僕の癖を……はあ、はあ……知ってたんだ……流石だよ、フブキちゃん……だけど、僕は負けない……此処で負けたら、レイくんが他の女に取られちゃう……」

 

おかゆはボロボロになりながらもアルスを動かしビームカノン砲をウォルフェイトに向けてきた。もう誰が見ても勝負は決してるのに……

 

「おかゆ……其処までしてレイくんの事が欲しいの?」

 

「……当たり前だよ!レイくんは僕にとって掛け替えのない愛する人なんだ!そんな人が僕の知らない所で誰かに奪われていく……そんなの堪えきれない!だから僕は勝つんだ!レイくんをずっと僕の元から離れないように、他の女なんかに二度と奪わせない為に!」

 

「その為にレイくんを束縛するの?大切な人の意思と自由を奪うつもりなの?」

 

「うるさい………うるさいウルサイウルサイウルサイウルサイウルサイウルサイッ!!!レイくんの意思とか自由とか関係ない!僕が勝って、レイくんを手に入れて、レイくんには僕から欲しい物を与え続ける!それ以外なんて何も必要ない!」

 

おかゆは半狂乱状態になりビームカノン砲をウォルフェイトに向けて撃ってくる。だけど狙いを定めてない為簡単に交わせる。

 

おかゆ……もうこんな辛い思いし続けないように、白上が此処で終わらせてあげる!

 

「バディチェンジ!ウルフtoオーガ!」

 

白上の声と共に赤いアーマーを纏ったユニットが現れ、ウォルフェイトのアーマーをパージすると代わりにそのアーマーが白夜ガンダムに装着されていく。着物や袴をイメージした赤いアーマーに腰に備え付けられた刀。ガンダムフェイスが半分隠れる程の鬼の半仮面が今までのアーマーとは明らかに異質なアーマーである。これがあやめがくれた力『オーガイオウガンダム』!

 

 

『オーガイオウガンダム』

白夜ガンダムがあやめの作ったオーガイオウアーマーを装着した姿。他のアーマーとは違い基礎フレーム以外全てあやめがプラ板等で作成した為他のアーマーとは異なる和風な見た目をしている。武器は刀一本のみだがその高い機動性により相手との間合いを一気に積めて一刀両断する事が出来る一撃必殺型のアーマーとなっている。名前の由来は鬼を表すオーガと鎧の王、鎧王(がいおう)を合わせたモノである。

 

「また新しいアーマー……けどそんなモノで……「……ねぇおかゆ、おかゆってレイくんの何処が好きなの?」ッ?!い、いきなり何を……」

 

「白上はレイくんの優しい処が好き。笑ってる顔も、いつも気にかけてくれる処も、たまに見せる子供っぽい処も、そしてどんな時でも皆を見捨てたりしない処が好き。そしてそれはおかゆも、皆も同じだと思う」

 

おかゆは白上がいきなりこんな事を言い出したから困惑してるみたいだけど、それでも白上は構わず話し続ける。

 

「おかゆはレイくんの事を本当に束縛したいの?まるで人形のように扱われて、意思や気持ちを押さえつけられて……おかゆが求めていたのは、そんな辛い思いをするレイくんなの?」

 

「ッ?!ち、違う!僕はレイくんと一緒に幸せになってほしいんだ!レイくんが他の女に取られないように、レイくんが僕を捨てないようにする為に……!」

 

「おかゆはレイくんがそんな簡単に自分達を見捨てるような薄情者だと思ってるの?」

 

「ッ?!そ、それは……」

 

「今のおかゆは大切な事を見失っている。だから白上が此処で、おかゆを止めてみせる!」

 

白上はオーガイオウガンダムを動かし刀を取って構える。トレースタイプの操作だからある程度は白上の動いた通りに動くけど、今はいつも以上にガンダムと一体になってる気がした。刀の柄(持ち手)を強く握り、目を閉じ気を集中させる。

 

「ぼ、僕は……僕はただレイくんと一緒になりたいだけなのに……う、うぅ……うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

錯乱したおかゆの発狂が聞こえてくる。そして再びビームカノン砲を構える音が聞こえた。

 

「これで……終わりだよ!」

 

そして白上はオーガイオウを動かしアルスに一気に距離を積めて、そして………

 

 

 

 

 

―シャキィンッ!―

 

刀を一振して通りすぎ、そのまま刀を納めると……

 

 

 

 

 

―スパアァンッ!!―

 

アルスの身体が真っ二つに裂け崩れ落ちていった。

 

―WINNER 白上フブキ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

❬決まりましたぁ!四回戦第一試合、勝者は白上フブキさんです!❭

 

試合が終わり白上はヘッドギアを外して一息ついた。漸くおかゆとの勝負に決着をつけれた……そう思いながらおかゆの方を見てみると、おかゆは座席に座ったまま全然動いてなかった。

 

「おかゆ?どうしたのおか……ッ?!おかゆ!しっかりしておかゆ!?」

 

心配になって近づいて見るとおかゆの腕がダランと下がっていて口から泡を吹いていた。慌ててヘッドギアを外すとおかゆは白目を剥いて気絶していたんだ。一体どうしちゃったのおかゆ!?

 

「フブキ!おかゆは……」

 

「れ、レイくん!おかゆが、おかゆが気絶していて……!?」

 

「恐らく情緒不安定の中衝撃を受けたショックかもしれない……急いで医務室に運ぶぞ!」

 

レイくんはそう言っておかゆを抱き抱え医務室へと向かっていった。おかゆ、大丈夫かな……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―医務室―

 

「…………………う、うぅ……此処は?」

 

「あ、おかゆ!良かったぁ!皆ー、おかゆが目を覚ましたよー!」

 

医務室に運ばれてから二時間後……おかゆは漸く目を覚まし身体を起き上がらせた。医務室には既にロボ子さんを除く他のホロメンも集まっていて、ずっとおかゆが目を覚ますのを待ってたのだ。

 

「み、皆……どうして……?」

 

「皆おかゆが心配で集まって来たんだよ。あの試合の後おかゆが気を失っちゃったんだから」

 

「うわあぁぁぁぁぁん!おがゆが目を覚まじて良がっだあぁぁーーー!!」

 

目を覚ましたおかゆにころねが泣きじゃくりながら抱きついていく。

 

「ころ……さん………そっか、僕負けちゃったんだ」

 

「うん、フブちゃんがおかゆを止めてくれたんだよ」

 

此処でおかゆは自分が負けてしまった事に気づき、その目にはうっすらと涙が溜まっていた。そんな時……

 

「おかゆ……」

 

「ッ?!レイ、くん……?」

 

医務室にレイくんがやって来ておかゆに声をかけてきた。おかゆは戸惑っていたが、レイくんは構わずおかゆに近づき、おかゆの頭に手を乗せ撫で始めた。

 

「れ、レイくん?」

 

「……済まなかったなおかゆ。俺のせいでお前に辛い思いさせてしまって。俺がもっとしっかりしてたらお前にそんな思いさせなかったのに……」

 

「そ、そんな!?違うよレイくん!全部僕が勝手に……!」

 

「そんな事ないさ。お前はちっちゃい時から我慢する事が多かったからな。俺がそれに気づいてちゃんと接してやればこんな事にはならなかった筈だし」

 

……え?ちっちゃい時って、それってレイくん……

 

「れ、レイくん?もしかして知ってたの?小さい時白上と遊んでた子がおかゆところねだって事?」

 

「あぁ、と言っても気づいたのはつい最近だ。この間実家に帰った時に偶々アルバム整理してたら幼い頃の写真が出てな、それに俺とフブキ、そしておかゆところねが写ってる写真があってその時に昔の事を思い出したんだ」

 

ッ!そうだ、白上達は昔一度だけ、白上達が小学校に上がる前に一枚だけ写真を撮ったんだ。その写真白上も部屋に飾ってたけど、レイくんもちゃんと残してくれてたんだ。

 

「本当にごめんなおかゆ。これからはもうお前に辛い思いをさせないようにする。だから……もう一度戻って来てくれないか?皆のいるホロライブに」

 

「レイ……くん……うぅ……うわあぁぁぁぁぁぁ……ごめんなさい、ごめんなさぁい……」

 

レイくんの言葉におかゆはまるで子供のように泣きながら謝ってた。うん、大丈夫だよおかゆ。皆許してくれるよ、だって……大切な仲間なんだから♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……皆、今まで酷い事言ってごめんなさい。ころさんには特に酷い事言っちゃってた」

 

「そんな気にしないでいーよおかゆぅ♪こおねはおかゆが戻って来てくれて嬉しいよぉー♪」

 

「ちょ、ちょっところさんくすぐったいよぉ~」

 

あれから暫くして泣き止んだおかゆは改めて皆に謝ってたけど、さっきも言った通り皆許してくれた。これでホロライブメンバー完全復活だよ!ただ……

 

「おかゆ、一つだけ聞かせて?ロボ子さんから聞いたんだけど誰かがおかゆの試合中に不正アクセスをしていたって言ってたんだけど……おかゆ、もしかしてその不正アクセスした人について何か知ってたりするの?」

 

白上が聞こうとした事をミオが代わりに聞いてくれた。あの不正アクセスによる妨害がおかゆの差し金ではないと思いたかったけど、やっぱり可能性としては高すぎる。そして……

 

「……そうだよ、僕が頼んである奴に妨害させてたんだ。今思えばあの時は本当にどうかしてたと思う。本当にごめんなさい……」

 

やっぱり……けどその件についてはもう過ぎた事だから仕方ない。あやめももう気にしてないって言ってるし。でもそれだと一体誰がおかゆに協力を?

 

「おかゆちゃん、一体誰がおかゆちゃんに協力してたの?」

 

「それは「ソレについてはワタシが説明しマース!」え?」

 

おかゆの声を遮るかのように誰かが大きな声をあげた。ってこの声、もしかして……

 

 

 

 

 

―バアァンッ!!―

 

「ドーモ皆さんこんドラゴーン!久しブリに会いに来たゼー♪」

 

『ココ(ちゃん)(ちゃ)(会長)?!』

 

医務室の扉が勢いよく開き、其処から現れたのはかつて白上達と一緒に活動していた元ホロライブ四期生のドラゴン娘『桐生ココ』ちゃんだった!一体どういう事?!

 

「ココぉー!久しぶりだねぇ♪」

 

「オウ、かなたも元気そうで何ヨリだなぁ♪皆さんも相変わらズ元気ソウで♪」

 

「うん、ココちゃんも元気そうだねってそうじゃなくて!一体どういう事なの?!何でココちゃんが……」

 

「俺がココ率いる桐生会に頼んだんだ。ある男を捕まえて来てくれって」

 

レイくんが桐生会に?其処までして一体誰を……

 

「ソイツが今回大会に不正アクセスを働いた張本人でもあるかもしれないんだ。それでココ、奴は今何処に?」

 

「hey兄貴!アノ不届き者なら此処に連れて来てマス!オウお前等、連れてコイ!」

 

ココちゃんがそう言うと医務室の外で待機してた強面の桐生会組員が縄でグルグル巻きになった汚い肉の塊のような物を持ってきた。地面に投げ捨てられるとソイツは「ブフゥッ!?」といった鳴き声をあげた。

 

こ、コイツは……!?

 

「こ、コイツは!?…………………………………誰ぺこか?」

 

「…………いや、ちょっと待って、あてぃしコイツどっかで見たような………?」

 

「まつりも……なんだろう、すっごく思い出したくないような気がするんだけど……」

 

……白上もどっかで見た事がある気はする。けど何でか脳が思い出したくないのか拒否反応を起こしてるような感じだ。一体誰だっけこの人?

 

「……ああぁぁーーーーーーッ!!思い出した、コイツ只野だよ!昔はあちゃまや皆にセクハラばっかりしてた最低野郎!」

 

只野?ただの、タダノ、只野………あぁぁーーー!!そうだコイツ!昔問題起こしてアマゾンに左遷された只野喪不男だぁ!え、何で此処にいるの?!

 

「ブ……フフ、皆酷いなぁ。折角の感動の再会なのに俺の事忘れるなんてぇ」

 

「何が感動の再会だよ?!スバル達漸くお前の事忘れられたのに何しに来たんだよ!?」

 

「て言うかあんた、今アマゾンにいる筈でしょ?!何で勝手に戻って来てるのさ!?」

 

スバルやフレアの言う通りだよ!折角あのセクハラされまくった辛い日々を忘れられてたのに何で戻って来てんのさ?!

 

「ブフゥ、だってあんなアマゾンの奥地なんかに新人候補なんているわけないし、成果が出なかったから帰って来てみればなんか佐々木を取り合う大会がやってたし、其処で偶々おかゆちゃんを見つけて、大会に優勝したら佐々木を手に入れる代わりに俺をスタッフリーダーに使命してくれるって言うから……」

 

「そ、そんな約束してたのおかゆ?!」

 

「……ごめんなさい、本当にどうかしてた……」

 

おかゆは本当に申し訳なさそうに布団に顔をつけながら謝ってた。コイツがスタッフリーダーなんて出来るワケないじゃん!

 

「……まあ、それは良いとして。只野、お前一体何考えてんだよ?社長からは向こうで新人候補が見つかるまでは帰って来るなって言われてた筈だろうが?」

 

「フン!何で俺があんな何も無い所で燻ってなきゃいけないんだ?あんな所にいたって何も意味無いんだから戻って来ても別に構わないだろうが」

 

コイツ、左遷させられたのは自分のせいなのに何開き直ってるのさ?!

 

「お前がそんな勝手な事をするから社長も困ってるし、こうして桐生会の方々にも手伝ってお前を探してたんだぞ!少しは自分がやってる事の悪さを自覚しろ!」

 

「ハッ!俺は何も悪くねぇよ!それにどうせ俺がいなくなってから作業とか上手く回ってないんだろ?だから俺は会社の為を思って戻って来てやったんだ!社長もきっと喜んでくれると思うしなぁ♪」

 

「そうだな、私もその事で君を呼び戻そうとしてた処だ」

 

只野が騒いでいる中、タイミング良くYAGOOが入って来た。何だかかなり怒ってるみたいだけど……

 

「しゃ、社長!?どうして此処に?」

 

「私も佐々木君と一緒に桐生会に頼んでいたんだよ。ココ君、急な依頼済まなかったね」

 

「とんでもナイ!YAGOOもそうデスケド、兄貴に頼まれたらこの桐生ココ、一肌も二肌も、何だったら全裸になって兄貴と合「しなくていい」ムゥ……」

 

こ、ココちゃん、相変わらずフルスロットルだね。昔からレイくんの事兄貴って呼んでるし、かなりオープンな発言ばっかりしてるけど一体何があったんだろ?

 

「……それはともかく、君にどうしても渡さないといけない物があってね。本当なら君を呼び戻して渡すつもりだったが、手間が省けた」

 

そう言うとYAGOOは一枚の紙と何やら大きめな封筒を一つ只野に渡した。只野は最初は何事かと紙を見ていたけど、その顔はどんどん青ざめていく。

 

「しゃ、社長!?そんな、どうして俺が……!」

 

只野は何か焦った様子でYAGOOにすがりついている。その際に落とした紙を見ると、其処には大きく『懲戒解雇』と書かれていた。

 

「社長!どうして俺が解雇されなきゃいけないんですか?!確かに勝手に戻ったのはちょっと不味かったかなって思うけど……」

 

「……あの後お前がいなくなってから色々と調べたんだよ。そしたら叩けば叩く程埃が出てきた。お前、会社の同僚達に色々と酷い事をしてきたようだな?女性スタッフやアイドル達からはセクハラで、男性スタッフ達からはパワハラを受けていたと報告が多数寄せられている」

 

「ブフゥ?!」

 

「更にはお前、会社の金や備品を横領していたな?しかも盗んだグッズをフリマアプリで転売していただろう?調べてもらったらすぐに分かったぞ」

 

「ブフフゥッ?!!!」

 

コイツそんな事もしてたの?!完全に犯罪じゃんそれ!?

 

「だからお前は会社にとって不利益になると判断し、懲戒解雇を言い渡す。それと、横領した分の損害賠償とスタッフやアイドル達に対する慰謝料も請求するから覚悟したまえ」

 

「し、しかし社長!俺がいなかったら会社の仕事が回らないんじゃ……」

 

「お前がいなくなってから社内の仕事効率が飛躍的にアップした。つまり仕事の面でももうお前に任せる事は何もない。慰謝料と損害賠償については後に弁護士を通して伝える。逃げられると思うなよ」

 

「そ、そんなあぁぁーーーッ?!」

 

只野は叫びYAGOOを追いかけようとするが、桐生会組員が只野を押さえつけ何処かへと運んでいった。

 

「アノ豚野郎はワタシ達桐生会が責任持って監視するんで安心して下サイ!それじゃあ兄貴、次にあったらその時は子づ「だからしないって」ムゥ……こんな事ならホロライブ辞めなイデ大会参加すりゃ良かッタデス。ともかく、また近い内に遊びに行きマスね♪おー疲れ様デシター!」

 

ココちゃんも組員と一緒に自分達の居場所へと戻っていった。本当に相変わらずだったなココちゃん……

 

「……取り敢えずこれで一先ずは安心だね」

 

「うん、後は残された試合だけだよ」

 

そう、ホロメンに関するいざこざはこれで解消されたけど、まだ大会自体は終わってない。おかゆが気絶していた間も残りの四回戦は全て執り行われ、残るは準決勝と決勝のみ。残る参加者は

 

 

 

 

 

白上フブキVSシロ

 

ときのそらVSミライアカリ

 

この四人。レイくんをホロライブに居続けさせるには白上かそらちゃんのどちらかが優勝しなきゃいけない。アカリちゃんもシロちゃんも強敵だけど、絶対に勝ってみせるよ!

 

 

 

 

 

おかゆの心を救い、全てのホロメンと和解出来たフブキ。残す試合は後二回、果たしてフブキとそらは勝ち残る事が出来るのか?

 

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