ガンダム ビルドライバーズAnother   作:神楽

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第三十二話『残された者達』

おかゆが目を覚まし、ホロメン達と和解する少し前。本戦会場では残された試合が行われていた。今回はその一部始終を御覧に頂こう。

 

―控え室 鈴木ヒナ視点―

 

「いよいよだねヒナ!此処で勝てば次は準決勝、フブキちゃんとの対決だよ♪」

 

「う、うん、そうだね……」

 

ヤバい、今になって凄く緊張してきた……今残ってる参加者を見る限りどの娘もかなりの実力者ばっかり。何だかヒナ此処に残ってるの場違いな気がしてきて少しお腹が痛い……しぐれういさんの気持ちが今になってわかるよ……

 

「?ヒナ大丈夫?何だか顔色少し悪いよ?」

 

「え?う、ううん大丈夫だよヒメ!もう今からでも戦いたいぐらい元気だよぉ♪」

 

「お、おぉ、そりゃ良かった。次の相手はあのシロちゃんだからね、油断してたらすぐにやられちゃうよ~?」

 

そうだ、次の相手はあのシロちゃんだ。あのでっかいホワイトディマイスとすばしっこいホワイトルインを相手にしないといけないんだ。ヒナの機体はただカラーリングだけを変えた天ミナだから、機体性能で言ってしまえばかなり分が悪い。正直何処まで通用するかは分からないんだよね……

 

「でもさヒメ……ヒナ、シロちゃんに勝てるのかなぁ?」

 

「え?!う、うーん……だ、大丈夫だよヒナ!確かにシロちゃんは強いけど、ヒナだって此処まで勝ち残って来れたじゃん!此処で勝って玲二くんに田中工務店に来てもらうようにお願いするんでしょ?なら自信持っていかなきゃ!」

 

そう、だよね。もう此処まで来たんだから後は自分の力を信じて進むしかないよね!

 

「……うん、そうだね!ありがとヒメ!ヒナ頑張るよ♪」

 

「その意気だよヒナ!頑張って優勝目指そうね♪」

 

「「おぉーッ!!」」

 

よし!気合い充分!頼むよ、ヒナフレーム姫雛鳥!ヒナは気合いを入れてヒメと別れ会場へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―本戦会場ステージ―

 

❬さぁトラブルはありましたが準備は整いました!只今Aちゃんとご主人様が不在の為此処からは代役としてこの僕、犬山たまきが一人でお送りします!❭

 

そうだ、今玲二くん倒れたおかゆちゃんの付き添いで離れてるから此処にはいないんだ、ちょっと残念だな……

 

❬それでは続いての試合!シロさんVS鈴木ヒナさんの対決です!❭

 

……いや、もう試合が始まるんだ。玲二くんがいないのは残念だけど、気を引き締めないと!

 

そしてステージに上がると、其処には既にシロちゃんが自分のガンプラをセッティングして準備を行っていた。

 

「……あ、ヒナちゃん!今日はお互い頑張ろうね♪」

 

「う、うん。宜しくねシロちゃん」

 

シロちゃん……シロちゃんもヒナやヒメと同じ玲二くんの事が大好きな娘。いや、最早それは好きというレベルでは収まらないぐらいだと思う。さっきまでのおかゆちゃんの執着心も凄かったけど、シロちゃんはシロちゃんでまた違う感じの執着心がある。一体何で其処まで強い執着心を持ってるんだろ?

 

「あーあ、折角玲二にシロが戦ってる処見せたかったのに、おかゆちゃん何で倒れちゃったかなぁ?」

 

「え?そ、そんな言い方無いんじゃ……」

 

「え?だってそうでしょ?おかゆちゃんが倒れなかったら玲二がシロの試合を見てくれてたのに、あんな事で取り乱して気絶するなんて」

 

……流石に異常過ぎる。人が倒れて、それが大切な人なら助けるのは当たり前じゃないの?何でシロちゃんはそんな事言えるの?

 

「……ねぇシロちゃん、流石に今の言葉は酷いよ。おかゆちゃんも頑張って戦って、それで傷ついたんだよ?それを仲間の玲二くんが助けるのは当たり前でしょ?」

 

「そんなの知らないもん。シロにとって玲二に寄り付く女がどうなったってシロには関係無いし。なのに玲二はシロよりもそんな女を優先するのが許せないんよ」

 

「………玲二くんはおかゆちゃんの事が心配で付き添っているのに、シロちゃんのその言葉、酷すぎるよ!ヒナ、絶対に許せない!」

 

最初は勝てるかどうか不安だったけど、今はそんな事言ってられない!シロちゃんは此処で絶対に倒さないと!

 

「許さない?許さないのはシロの方だよ。玲二に近づく女は皆、シロがやっつけてやるんだから」

 

シロちゃんはヒナを睨むと自分のヘッドギアを着けてスタンバイする。睨まれた時怖かったけど、負けるワケにはいかない!

 

❬お互い準備完了した模様です、それでは参りましょう!リンクスタート!❭

 

―LINK START―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―サイバーエリア―

 

ゲームが始まり、ヒナは姫雛鳥で空中を浮遊している。下にはシロちゃんのホワイトルインガンダムの姿が見えた。今回はディマイスは使わないのかな?

 

「シロちゃん、今回はいきなりルインからなんだね?」

 

「うん、玲二が見てないならさっさと終わらせたいからね。それじゃ、覚悟してねヒナちゃん?」

 

そう言うとホワイトルインが姫雛鳥に向かって襲い掛かってきた!ヒナはすぐに左腕のツムハノタチで防御し、トツカノツルギで反撃をする。ルインには切っ先が当たった程度だけど、先制ダメージは与えられた!

 

「へぇ、やるねヒナちゃん。とても塗装しただけのガンプラとは思えない操縦技術だね」

 

「そうでしょ?油断してるとすぐにやられちゃうよ?」

 

ルインは左手の指先からビームフィンガーを、右手の甲から実体剣デスダガーを展開し再び襲い掛かってきた。ヒナはトツカノツルギとツムハノタチを使って対抗していく。それにしてもさっきの発言からして、シロちゃんは玲二くんに関わる事以外本当に興味が無い感じがする。一体シロちゃんと玲二くんの間に何があったんだろう?

 

 

 

 

 

 

それから数分間、お互いの攻防は続き、一歩も引かない状態が続いた。シロちゃんの戦い方は荒っぽさがありなんとか対処出来るけどそれでもダメージを受けてしまう。ヒナは自分で言うのもなんだけど他の娘に比べて操縦技術がずば抜けてるから対応出来るけど、機体スペック自体が改造機に比べて劣ってるから決定打を与えられてない。このままじゃお互いにジリ損になっちゃう……こうなったら!

 

ヒナはなんとかシロちゃんの隙をついてルインの機体バランスを崩し、その隙に背中の翼、マガノイクタチを広げルインを捕縛した!

 

「きゃうッ?!こ、これって……!?」

 

「ヒナの機体は確かに皆と違って塗装しただけの無改造な機体……でもだからこそ、設定に準じた戦い方が出来るんだよ!」

 

そしてヒナは姫雛鳥の出力を上げてルインからエネルギーを吸収していく。これならシロちゃんの身動きも止められて、更にエネルギーも吸い尽くせる!このまま……

 

 

 

 

 

 

 

―チュドオォォンッ!!―

 

「キャアッ?!な、何?!」

 

いきなり背後から撃たれた!?一体何が……ッ!?あ、あれは、ホワイトディマイス!?な、何で……

 

「もーヒナちゃんってば油断し過ぎだよー。シロは確かに最初からルインで戦ってたけどディマイスを使わないなんて一言も言ってないよ?」

 

そう言うと解放されたルインが姫雛鳥に一蹴りした後ディマイスの方へと飛び合体していく。しまった、最初からルインで来ていたからディマイスの警戒なんて全然してなかった!

 

「確かに設定に準じた戦いがスムーズに出来るのは良いと思うよ?けどそれって、相手がその設定を知ってたら逆に利用されたりするんだよ」

 

「利用……ッ?!まさかシロちゃん、マガノイクタチの性能を知った上で敢えて受けてたの?!」

 

「そうだよ、相手のエネルギーを吸収するマガノイクタチは厄介だからね。だから敢えて受けて油断してる処にディマイスで一発撃ち込んだんだ。まさか此処まで上手くいくとは思わなかったけどね」

 

そう言うとディマイスの砲門が全て開いて姫雛鳥に狙いを定めてくる。

 

「覚えておいてヒナちゃん、シロと玲二の仲を邪魔するのなら、例え相手が友達だったとしてもシロは容赦しない。全力で潰して、二度と玲二に近づけないようにしてあげるよ」

 

その言葉と一緒に強い光が放たれ、ヒナの視界が真っ白に染まった……

 

 

 

ガンダムアストレイヒナフレーム姫雛鳥

HP:0

 

―WINNER シロ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あっさりとした形で試合が終わってしまい、ヒナは終了のアナウンスがあった後も呆然としていた。ヒナの心にあったのは負けたショックとか何も出来なかった事に対する悔しさとかじゃなく、ただ目の前にいるシロちゃんに対する恐怖心だけだった。それを自覚した瞬間、ヒナの手が震えて止まらなかった。

 

「これで分かったでしょ?ヒナちゃんじゃシロには絶対に勝てないって。もうヒナちゃんはシロがいる限り絶対に玲二に近づく事すら許されない。分かってくれるよねぇ?」

 

シロちゃんは笑顔のままヒナにそう言って会場から姿を消した。いや、あれは本当にヒナ達の知ってるシロちゃんだったんだろうか?違う……あれはそう、悪魔だ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―待機場 ミライアカリ視点―

 

「……今残ってるのはフブキちゃんとシロちゃん、そしてそらちゃんか。おおよそ予想通りだね」

 

アカリはシロちゃんの試合結果を見てやっぱりなと思った。もしかしたらヒナちゃんがワンチャン勝つかなって思ったけど、やっぱり無改造じゃ厳し過ぎたね。

 

……さて、次はアカリの番だね。相手はハニストの周防パトラちゃん。玲二とは何回か仕事をしていたみたいだけど、あの娘は玲二の事をどう思ってるんだろうか?もしひまちゃんやオメシスのように賞金目当てなら、その時は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―本戦会場ステージ―

 

❬遂に此処までやって参りました!四回戦最終試合、ミライアカリちゃんと周防パトラちゃんの対決です!お二人とも此処までほぼノーダメージで相手を撃破してきました!果たしてこの試合、どちらが勝つのでしょうか?!❭

 

「こんばんわんわーん♪アカリちゃん今日はよろしくね~♪」

 

「うん、こっちこそよろしくねパトラちゃん♪」

 

試合開始前、アカリはいつも通り相手に挨拶をする。それは最低限の礼儀だし、玲二にも大切な事だと教わってきた。そして挨拶のついでにアカリは毎回相手に必ずといっていいほど確認している事をパトラちゃんにも聞く。

 

「……ねぇ、パトラちゃんは玲二の事どう思ってるの?」

 

「佐々木さん?そうだね~、とっても優しい人だと思うよ?気遣いも出来るし、ホロライブの皆が好きになるのは分かるなぁって。でもパトラ的には佐々木さんというよりフレアが欲しいから“そのついでに”一緒にハニストに来てもらおうかなぁって思って♪」

 

「………ふーん、そうなんだ。玲二は“ついで”なんだ?……分かったよ、有難うね」

 

そう言ってアカリは自分のコックピット席へと行きセッティングを始めた。そして決めた……パトラちゃんは徹底的に潰そうと。

 

❬はい、それではお互い準備が整ったようですので始めていきましょう!リンクスタート!!❭

 

―LINK START―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―サイバーエリア―

 

ゲームが始まり、アカリのフォーチュンガンダムが地面に着地する。そして目の前にいるのはパトラちゃんのガンプラ……成る程、確かにこれは凄いね。まさかデビルガンダムの改造機とはね。

 

❬遂にバトルが開始されました!アカリちゃんの機体はUCのサイコフレームを仕様したガンダム三機をミキシングしたフォーチュンガンダム!対するパトラちゃんの機体は旧キットのデビルガンダムとバルバトスプスレクスをミキシングした最恐の機体『ディアボロスガンダム』だあぁッ!!この機体の前に立ち向かった娘達はなす術無く倒されてしまったという、まさに悪魔と呼べる機体だあぁッ!!❭

 

 

『ディアボロスガンダム』

旧キットのデビルガンダムとHGのバルバトスプスレクスをミキシングした機体。地面に張り付くような構造の為その場から動けないが、代わりに高い攻撃力とデビルガンダムが持つ再生能力がある。離れていればビームカノンが、近づけば改造クローの餌食となってしまう。

 

ディアボロスガンダム

HP:1890

ATK:440

DEF:360

SPD:0

MOB:100

 

「よぉーし!それじゃあアカリちゃん、全力でいくよぉ~♪」

 

「……………」

 

バトル開始と共にディアボロスからビームカノンが放たれるが、アカリはあっさり避けてビームライフルで反撃する。ディアボロスは動けないからあっさりと命中する、けど……

 

ディアボロスガンダム

HP:1890→1710→1840

 

……やっぱりデビルガンダムをベースにしてるだけあって再生能力は備わってるんだ。撃った所がみるみる再生していってる。

 

「ふふーん、そんな攻撃じゃパトラのディアボロスはすぐに回復しちゃうよ!」

 

❬出ました!ディアボロスガンダムの脅威の再生能力!例えダメージを受けてもすぐに回復してしまうまさにチート級の能力です!❭

 

……確かに再生能力は厄介だね。ダメージを与えてもすぐに回復してしまう……けど、“ただそれだけ”なら何も問題ない。

 

「それじゃあアカリちゃん、覚悟してね~?この最恐の悪魔、ディアボロスガンダムでアカリちゃんのフォーチュンガンダムを「この程度で最恐の悪魔?随分と笑わせてくれるね?」……え?」

 

「どうやらパトラちゃんが此処まで勝ち進めたのは機体性能に助けられたのと運が良かっただけみたいだね?これならシロちゃんのディマイスの方がよっぽど脅威だよ」

 

アカリの言葉にパトラちゃんは驚いた顔をしている。そりゃそうだよね、今のアカリは自分でも分かるくらい冷めきった声をしてるもん。

 

「……もういいや、さっさと終わらせてあげる」

 

アカリはそう言うとフォーチュンのバックパックにあるサイコプレートを改造したサイコファンネルを八基射出してディアボロスに向かって一斉射撃を放つ。

 

―ドゴォッ!ドゴォッ!ドゴォォンッ!!―

 

「キャッ!?」

 

ディアボロスガンダム

HP:1890→1645→1230→1400

 

「うぅ……で、でもいくら攻撃した処でディアボロスの再生能力がある限り回復を「うん知ってる。だから再生しきる前にHPを0にまで狩り尽くすつもりだから」ッ?!」

 

アカリはサイコファンネルを駆使してディアボロスを追い詰めていく。ディアボロスもビームカノンで対抗してくるけど、そんなの当たんなきゃ意味がない。更にアカリはフォーチュンの両肩から伸びてるビームエネルギーをサーベル状にしてディアボロスへと接近していく。

 

「ッ!?さ、させないよ!」

 

パトラちゃんもディアボロスのクローで反撃しようと両腕を上げてきたけど好都合、その上げてきた両腕に目掛けて……

 

―ズバアァァッ!!―

 

一刀両断、ディアボロスの両腕を切り裂き使い物にならなくしてやった。

 

「そ、そんな……」

 

「覚えておいてパトラちゃん。アカリは玲二の事が大好き……ううん、愛してるの。だから他の娘を引き抜くついでなんて考えてるパトラちゃんには絶対に玲二を渡さない。玲二の幸せを考えない娘は……潰す!」

 

そしてアカリはビームサーベルでディアボロスを斬りつけた後すぐその場から離れ……

 

―チュドオォォォォォォオンッ!!!―

 

サイコファンネルの一斉射撃でトドメを刺した。

 

ディアボロスガンダム

HP:0

 

―WINNER ミライアカリ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合が終わった後、アカリはパトラちゃんに一言も声をかけずに会場から出ていった。やっぱり玲二そのものを欲してない娘なんてたかが知れてる。これならまだ咲ちゃんの方が数倍マシだ。まぁ、あっちは完全に実力不足だけど……

 

「……次はそらちゃんとの勝負。それに勝てばその次はおそらく………待っててね玲二。アカリ絶対に勝って玲二を迎えに行くから」

 

そしてアカリはそのまま待機場へと戻っていった。次はいよいよ準決勝、勝ってアカリは必ず玲二を手に入れるんだから!

 

 

 

 

 

四回戦全てが終わり、残すは後三試合。果たして優勝を手にするのは、一体誰なのだろうか?

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