遂に始まるフブキとシロの対決。果たしてフブキは、この強大な力を持つ悪魔を攻略する事は出来るのか?
―サイバーエリア―
ゲームが始まって、最早お馴染みとなってきたサイバーエリアへとダイヴした白上。目の前にはシロちゃんのホワイトディマイスガンダムの姿が見えた。
「……ふーん、フブキちゃんまた新しいアーマー?一体どれだけアーマー作ってるのさ?」
「さあ?どれだけだろうね?」
そう、今回白上の白夜ガンダムはまた新しいアーマーを装備して出撃している。紫をメインに所々白いラインが入っていて、両腕には小型のビーム砲が備わっている。どんな特徴かって言うと……
「ま、別にどうでもいいや。シロはどんな相手だって、一撃で吹っ飛ばすだけだからね」
そう言うとディマイスの右腕の砲台が開き白上のガンダムに標準を合わせる。やっぱりシロちゃんは勝負を早めに終わらせようとする傾向がある…… けど!
「それじゃあフブキちゃん、早速だけどこれでおしまいだよ♪」
―ドゴオォォォォォォォォンッ!!―
ディマイスの右腕の砲台から一斉射撃が放たれ、白上のガンダムを飲み込もうとしていた。そして……
―ドゴォンッ!ドゴォンッ!ドゴオォォォンッ!!―
❬おぉっといきなりホワイトディマイスの一斉射撃が白夜ガンダムに命中!これは一溜りもありません!!❭
❬フブキ……ッ!❭
「アハハ♪これで終わり、シロの大勝利じゃ~♪」
ディマイスの攻撃が当たり爆発しAちゃんとレイくんが叫びシロちゃんは歓喜の声をあけだ。確かに誰が見てもこの状況、白上のガンダムが一方的にやられたように見えるよね……………
―ブォンッ!―
「………………え?」
「はあぁぁぁぁぁぁッ!!」
―ズバアァッ!!―
でも、それは間違いだよ!
白上のガンダムは“ディマイスの背後から現れ”ディマイスの左腕を切り落とした!
「なぁ………ッ?!」
❬こ、これはどういう事でしょうか?!やられたと思った白夜ガンダムが突然ディマイスの背後から現れそのまま左腕を切り落としましたぁ!?❭
❬これは……おかゆのナイトメアアルスのワープダイヴ!?そうか、あのアーマーは!❭
うん、やっぱりレイくんには分かっちゃうよね。そう、このアーマーはおかゆから貰ったナイトメアアーマーを白夜ガンダム用に改造した空間移動可能なアーマー。その名も『キャトライアンフガンダム』!
『キャトライアンフガンダム』
おかゆのナイトメアアーマーを白夜ガンダム用に改造したアーマー。基本スペックはフォクシードと殆ど変わらないが、元々あったスキルのワープダイヴはそのまま使えるようになっている。但し元のナイトメアの時にあったワープ時の硬直や使用後七秒間は連続で使えないといった欠点もそのまま残っている。名前の由来は猫の英名キャットと勝利を意味するトライアンフを掛け合わせた造語である。
「……成る程ね。おかゆちゃんのアーマーを引き継いで使ってるんだ?」
「そうだよ。このアーマーにはおかゆから託された想いが込められてるの。だから、白上はおかゆの……皆の想いを背負って此処にいる!必ず勝って、レイくんと皆と一緒に笑いあうって誓ったんだ!」
そして白上はまたワープダイヴを使い、今度は遠距離に移動してビームカノン砲をディマイスに向けて砲撃する。
このワープ能力確かに便利だけど、動きにムラがあるのは相変わらずだからなるべく遠距離で砲撃するようにしないといけない。
今の処シロちゃんがこのワープダイヴの欠点に気づいている様子はないけど、もし気づかれたら反撃を許してしまうかもしれない。
だから白上は安易には近づかないようにして遠距離からの攻撃のみでディマイスを追い詰めていく。これを繰り返せば、勝てる!
❬フブキさんの新たなアーマー、キャトライアンフガンダムのトリッキーな攻撃にシロさんなす術がない!このまま勝負がついてしまうのかぁ?!❭
❬……………………(……おかしい、あのシロが防戦一方だと?確かにさっきから相手の動きに翻弄されているように見えるが、それにしたって動きが機械的な感じが………ッ?!)まさかあれは!?❭
❬え?❭
?何だかレイくんが驚いてるような気もするけど、とにかく白上はワープダイヴを駆使して攻撃を仕掛ける。後もう少し、後もう少しで勝てるんだ!
「これで………ッ!」
―ブォンッ!―
「見ぃ~つけた♪」
「へ……?」
―ズシャアァッ!―
突然後ろからビーム攻撃をされキャトライアンフのアーマーの一部が破壊されてしまった!?え?一体どういう事?!
慌てて後ろを見ると其処にはビームフィンガーを展開したホワイトルインガンダムがいた。ど、どうしてルインが!?一体いつの間に?!
❬やっぱりそうか!シロはディマイスをオート操作しておいて本体のルインを他の場所に隠していたんだ!❭
❬そ、そんな?!それではディマイスには最初からルインは入っていなかったという事でしょうか?!❭
そんな?!それじゃあ白上はさっきまでルイン(本体)のいないディマイス(装甲)だけ攻撃していたって事?!
「もぉ皆本当に油断し過ぎだよぉ?フブキちゃんなら気づくかと思ったけど全然気づかないでディマイスばっかり攻撃してるもん」
「ウッ!?で、でも一体どうして?!どうして白上の現れる場所が分かったの?!白上シロちゃんに悟られないように動いていた筈なのに……」
「そうだね、フブキちゃんシロに悟られないように動いてたみたいだね?でもそれは全部遠距離攻撃だったし、そのワープダイヴにも移動する際の硬直があるのはおかゆちゃんの試合を見てすぐに分かってたから予めルインを別の物陰に隠して置いたんだ。良かったぁ、フブキちゃん絶対に何か仕掛けてくると思ってルインを別の場所に隠して正解だったよぉ♪」
嘘ッ?!全部読まれてたって事?!ワープダイヴの欠点にも最初から気づいて……いや、それ以前にシロちゃんは白上が対シロちゃん用の対策をしている事すら読んでいたなんて!?
「アハハ♪その顔凄くいいねぇ♪どうだった?自分が有利だと思ってたら全部シロの手のひらで踊らされてただけって分かった気分は?シロに勝てるなんて思って喜んでたフブキちゃんは本当に滑稽だったよ♪」
「グッ……」
「それじゃあ今度こそこれで終わりだよ♪玲二はシロが大切にしてあげるから安心してね♪」
安心……?出来るワケないじゃん!シロちゃんが優勝したらレイくんに二度と自由な時間が与えられなくなっちゃう!そんな事、絶対にさせない!
「白上は、絶対に諦めたりしません!オールバディアーマー!レディゴーッ!!」
白上の声と共に後方から幾つかの獣型サポートメカが駆け寄ってくる。それは白上や皆が作りあげてきたアーマーを纏ったサポートユニット達だ。サポートユニット達は半数はディマイスに、もう半数はルインに向かって攻撃を開始する。
「ッ!?へぇ、まだ楯突くんだね?だったら全部潰してあげる!」
シロちゃんはルイン、そしてディマイスを操作してサポートユニット達を撃墜しようとしてる。白上もこのままやられるつもりはないからビームサーベルを構えルインに向かって突進する。さっきの攻撃の衝撃でワープダイヴは使えなくなってしまったけど、基本スペックはそのままだからまだ戦える!
「ハアァァァァッ!!」
―ガキィンッ!―
「もぉいい加減しつこいよ!どうやったってシロには勝てないんだからさっさと倒れてよ!」
「そうはいかないよ!白上は必ず勝って、レイくんと皆と一緒に笑いあえるあの日々を取り戻すんだ!」
「玲二にシロ以外の女なんていらない!そんなフブキちゃん達との日々なんて玲二には要らないんだよ!」
「なんで?!シロちゃんはなんでそうまでしてレイくんから他の娘から離そうとするの?!レイくんはシロちゃんの物じゃないんだよ?!」
「そんなのフブキちゃんが知る必要なんてないよ!シロと玲二の世界に他の女……いや、他の人なんていらない!!」
激しい攻防が繰り広げられる中、白上とシロちゃんの言い合いも激しくなっていく。最初はサポートユニットの助けもあってなんとか戦えていたけど、次第にサポートユニットが撃墜されていき、キャトライアンフのアーマーも既にボロボロになってしまい満身創痍状態になってしまった。
キャトライアンフガンダム
HP:486
ホワイトルインガンダム
HP:681
「ハア、ハア、ハア……」
「ハア……フ、フフフ、もうシロちゃんのアーマーも使い物にならないみたいだね?これで分かったでしょ?フブキちゃんはシロには絶対に勝てないって事がッ!!」
―ドゴオォッ!!―
「きゃうぅッ!?」
キャトライアンフガンダム→白夜ガンダム
HP:486→207
ルインの強烈な蹴りを受けキャトライアンフのアーマーは全て剥がされ白夜ガンダムへと戻ってしまった。まだかろうじて動けるけど、このままでは負けちゃう……
「もう遊びはおしまいだよ。これ以上はシロも付き合ってられないからね」
シロちゃんはそう言うとディマイスを操作して白夜ガンダムの前に立ち攻撃をしようとする。サポートユニットのおかげでディマイスもボロボロだけど、それでもまだ白夜ガンダムを踏み潰すだけの力は残っているみたい。
「バイバイフブキちゃん♪恨むならその程度の力しか発揮出来なかった自分のガンプラを恨んでね?」
……その程度?
「…………シロちゃん、確かに白上はシロちゃんに比べたら制作技術は低いかもしれない……けど!白上がこれまで皆と一緒に作り上げたバディシステムをバカにするのは許せない!このアーマー達にはホロライブの皆の想いが込められてるんだ……だから!例えどんな強敵だろうと皆となら絶対に乗り越えられる!」
「皆?何言ってるの?フブキちゃんのアーマーはもう全てボロボロなんだよ?そんなのでどうやってシロに対抗する気なのさ?」
確かにシロちゃんの言う通り、サポートユニットは全てやられ装着してるアーマーも破損してる物もある……けど、全部が使えないワケじゃない!
「リライズのヒロト君がプラネッツシステムに限界はないって言ってたように、白上のバディシステムにも限界はない!エクストラリミテッドチェンジ!ドッキング、ゴー!!」
白上のその言葉と共にサポートユニット達が一瞬光ると其処から無事なパーツが次々と白夜ガンダムへと飛来してくる。
「ッ!?さ、させないよ!」
ディマイスが白夜ガンダムを踏みつけようとするがその前に白夜ガンダムの両足にシープレシャスのアーマーが装着され踏みつけようとしてくるディマイスの逆の足を蹴り飛ばしバランスを崩す。
そして右腕にウォルフェイトアーマーが装着され倒れるディマイスに向かって最大パワーのファイアパンチポッドを叩き込む!
更に左腕にラビットラッパーアーマーが装着されディマイスが完全に倒れる前にその下へ駆け込みトラップを仕込みすぐさまその場を離れる。
―ドゴオォッ!ドゴオォッ!ドゴオォンッ!!―
トラップに引っ掛かり爆発を起こすディマイス。だけどまだまだ!今度はその頭部に両肩に装着されたドグレイトのフィンガードリルを叩き込む!この一撃によってディマイスは爆発を起こし、白上はダッキンドネスの翼で飛翔し、オーガイオウのボディアーマーによって爆発からダメージを軽減した。
「そ、そんな……シロのディマイスが?!」
「どうシロちゃん!これが皆の力を合わせたエクストラリミテッドチェンジだよ!」
白夜ガンダムリミテッドチェンジによってディマイスは倒した!これで残るはルインのみ!
「うぅ……!でもそんなバラバラなアーマーじゃ突発的な動きしか出来ないでしょ!?そんなその場しのぎのアーマーなんてルインの敵じゃ……」
「分かってる。だから白上は最後まで残してたんだよ。このアーマーを……バディチェンジ!ドッキング、ゴー!!」
白上の声と共に後方からもう一機のサポートユニットが駆け寄ってくる。それはもしもの時の為に残しておいた白夜ガンダムの最後のアーマー、フォクシードアーマーだ。白夜ガンダムはリミテッドチェンジしたアーマーを全てパージしサポートユニットから飛来したフォクシードアーマーを装着しフォクシードガンダムへとチェンジした。
「フォクシード……!そう言えばまだこの勝負で出てきてなかったね……でもそんな初期アーマーなんかでシロのルインを倒せるワケ……!」
そう、フォクシードは白上の持つアーマーでは初期アーマー。故にスペックも他のアーマーに比べたら平均的だし特殊な装備があるワケでもない。けどただ一つ、このアーマーだから出来る事がある!それはアキちゃんとの練習試合でのみ使ったフォクシードの奥の手!
「いくよシロちゃん!フォクシード、オメガトランザム!!」
―OMEGA TRANS-AM―
「なぁッ……?!」
白上がフォクシードのオメガトランザムを発動し一瞬の間にルインへと詰め寄りビームサーベルを振りかざす!
「さ、させない!こんな攻撃避け……」
「遅いッ!!」
―ズバアァッ!!―
ホワイトルインガンダム
HP:681→248
フォクシードのビームサーベルがルインの右腕を斬り裂き、そしてそのままコックピット部分を狙って再度ビームサーベルを振り下ろした。
「グゥ……まだまだあぁッ!!」
―バキィッ!―
シロちゃんも最後の力を振り絞りビームフィンガーで抵抗してくる。
「シロは負けないもん!絶対に勝って、玲二と一緒にいるんだから!!」
「白上だって!白上も勝って、皆一緒に笑いあえる日を取り戻すんだあぁッ!!」
―ジジッ……ジジジジィッ!―
お互いの攻撃がぶつかり合い、火花が散る。そして……
「でやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
―ズバアアァァァァァァァァァッ!!!―
最後の一撃を叩き込んだのは………
ホワイトルインガンダム
HP:248→0
―WINNER 白上フブキ―
フォクシードガンダムだった。この勝負、白上の勝ちだよ!
❬き、決まりましたぁッ!!激しい攻防の末、見事に勝利したのはぁ!白上フブキさんです!これでフブキさん決勝進出です!❭
❬凄い戦いだったな……どっちが勝ってもおかしくない、まさに紙一重の戦いだったな❭
や、やっと終わった……今まで戦ったどの相手よりも疲れたよ……けど、これで漸く決勝進出できた。後はそらちゃんが勝ってくれればレイくんはホロライブに居続けられる!望みが見えてきたよ!
……あれ?そう言えばシロちゃんどうしたんだろ?試合が終わったのにまだコックピット席に座ったままうつ向いてるけど……
「………う……うぅ……ううぅ………うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんッ!!」
「え、えぇ?!し、シロちゃん!?」
ど、どうしたの一体?!シロちゃん顔を上げたと思ったらいきなり大声で泣いちゃったんだけど!?
「し、シロちゃん?一体どうし……」
「やだぁ!シロ負けてなんかないもん!まだ終わってなんかないもん!まだシロ戦えるもん!!」
な、なんて事だろう……シロちゃん負けた事を認めたくないのか叫びながらレバーをずっとガチャガチャ動かしてる……ヘッドギアの間からは涙が流れ、必死に動かないホワイトルインを動かそうとしている。
「ねぇ動いてよ!まだシロ戦えるんだよ!?シロが戦うって言ってるんだから動いてよおぉッ!!」
「お、落ち着いて下さいシロさん!」
「やだぁ!離してよぉ!まだシロ戦えるんだからやらせてよおぉッ!!」
とうとうスタッフがやって来てシロちゃんが取り抑えられたけど、それでもシロちゃんは泣きながら暴れて抵抗してく。そんな中……
「シロ!」
「あ、レイくん……!?」
「玲二……?玲二いぃぃぃ~!」
この騒ぎに見かねたレイくんが駆けつけて来て、それに気づいたシロちゃんはレイくんに向かって駆け寄り抱きついた。
「玲二!シロ負けてないよね?!まだ終わってないよねぇ?!シロ、玲二と一緒になる為に今まで一生懸命頑張ってきたんだもん!だから負ける筈ないもん!!」
「シロ…………残念だがシロ、この試合はお前の負けだ。お前の戦いは、此処で終わりだ」
「ッ?!そ、そんな…………そんなのってないよぉ……ひどいよぉ……うわあぁぁぁぁぁん………」
レイくんから負けを突きつけられ、シロちゃんはその場で崩れ落ちながら泣き叫んだ。其処まで泣く程負けたくなかったなんて、一体何がシロちゃんをそうさせたんだろう……?
―それから暫くして……―
「グスッ……ヒッグ……」
あれから白上とレイくんはシロちゃんを落ち着かせる為に会場のロビーでシロちゃんを落ち着かせてた。漸く落ち着いた頃に他のホロメンも集まってきて、白上達はシロちゃんの話を聞く事にした。
「……ねぇシロちゃん。どうしてシロちゃんは其処までレイくんに固執してたの?はっきり言ってシロちゃんの行動や言動は異常過ぎるし、一体レイくんとの間に何があったの?」
「…………」
だ、だめだ。シロちゃん全く喋ろうともしない、困ったな……
―パラッ……―
「?あれ、シロさん何か落としたよ?」
「………え?……ッ!?か、返して!」
シロちゃんのポケットから何か紙のようなものが落ち、それを近くにいたかなたんが拾うとシロちゃんは慌ててそれを奪い返そうと手を伸ばしてきた。けどその際にバランスを崩し倒れそうになった処をレイくんが支えてくれた。それよりもこれってもしかして写真?其処に写ってるのは……
「……これってもしかして小さい時のシロちゃん?車椅子に乗ってるみたいだけど……」
「それにその横に写ってるこの怪我した男の子って……」
其処に写っていたのはおそらく小さい時のシロちゃんが車椅子に乗ってる姿とその横に松葉杖を突いてる男の子の姿だった。この男の子、もしかしなくても……!
「あぁ!これ兄ちゃんだよ!スバルが病院で入院してた時の兄ちゃんこんな感じだったし」
「え?!じゃあシロちゃんってその時から玲二君と知り合っていたって事?!」
「レイくん、この写真って……」
「……この時か。まあ、隠す事でもないし、話していいかシロ?」
レイくんがそう言うとシロちゃんは観念したのか黙って頷いた。そしてレイくんはそのままシロちゃんと出会った頃の話をしてくれた。
「昔シロが両親と買い物に出掛けていた時の事だ。どうやらシロはその時両親とはぐれてしまったみたいでな、泣きながら横断歩道を歩いてたんだよ。そしたら其処に昼間から酒を飲んだトラックの運転手が飲酒運転してたらしくそのトラックは暴走しながら走ってたんだ。其処に偶々居合わせた俺が危うく引かれそうになってたシロをなんとか助けたものの、俺は片足と後頭部を怪我してシロは両足を失ってしまったんだ」
そ、そんな事があったの?!っていうかシロちゃん両足を失ったって、今普通に足があるし歩けてるよね?!
「その後俺とシロの両親が到着して俺等は病院に直行、俺は全治三ヶ月の怪我を負い、シロは両足を義足にする事を余儀なくされてしまったんだ。ほら、ロボ子の身体にも応用されている疑似パーツ。あれを応用して普通に歩けるようにしてもらったんだ」
そうだったんだ……シロちゃんのその両足、義足だったんだね?見た感じ全然分からなかった……
「それから俺達はリハビリを続けて、俺は三ヶ月、シロは半年して漸く完治する事が出来たんだ。スバルに出会ったのもそのタイミングだな」
「そ、そうだったんスか……」
「で、でもそれでシロさんはなんで其処までレイさんに固執してたの?確かに前に言ってた命の恩人っていうのは分かったけど、それにしたってあれは異常過ぎるって言うか……」
……確かにそうだよね?それに恩人って言ってる割にはレイくんを束縛しようとしてたし、一体どうしてそんな事をしようとしたんだろう?
「……なあシロ、お前に一体何があったんだ?お前、最初にあった頃はそんなんじゃなかったのに「……そうさせたのは玲二なんだよ」……俺が?」
「そうだよ。あの後シロは退院して家に帰れて、パパもママも凄く喜んでくれた。けど……シロには二人とも“灰色の塊”にしか見えなかった」
は、灰色の塊?
「パパやママだけじゃない、学校の先生やクラスメイト、道歩く全ての人が灰色の塊にしか見えなかったの。最初はそれが怖くて仕方がなかった……何度も何度も引きこもってしまいそうになってた……けどある日偶々街に出掛けてた時に玲二の姿を見つけたの。あれだけ周りの人が全部灰色の塊にしか見えなかったのに、玲二だけは普通に見えてたんだ。それからたまに玲二の姿を見つけてはこっそり追いかけてたけど、やっぱり玲二だけは普通に見えて他は灰色にしか見えなかった。だからシロ気づいたんだ、シロの世界には玲二しかいないんだって。シロには玲二だけいれば良いんだって」
そ、そんな事があったなんて……シロちゃんは事故のショックで一番近くにいたレイくん以外が全部同じように見えてしまってたんだね?確かにそれならあの異常なまでの固執の仕方は分かる気はするけど……
「だからもう嫌なの、玲二が傍にいてくれないとシロはもうこの世界全てが灰色にしか見えないの……だからお願い玲二、シロとずっと一緒にいてよぉ……もう一人ぼっちは嫌なのぉ……」
シロちゃん……
「……シロ、お前の気持ちは分かるよ。誰だって一人なんて嫌に決まってる……けど思い出すんだ。お前は本当に一人ぼっちだったか?お前の周りにはお前の両親やドットライブの仲間、それに多くの友達がいた筈だ」
「え……?」
レイくんはシロちゃんの頭に手をやると優しく撫で、真剣な表情でシロちゃんに語り等かけた。
「お前は恩人ってだけで俺に固執してたみたいだけど、お前の周りにはお前の事を大切にしてくれてる人達が沢山いるんだ。だから少しずつでいい、また皆と一緒に楽しく笑いあえるようになろう。それまで俺もドットライブやホロライブの皆も協力してやる、な?」
「玲二……うぅ……ふえぇぇぇん、玲二ぃ……」
シロちゃんはまたレイくんに抱きついて泣き出した。シロちゃんはずっと、自分が作り出した孤独に怯えてたんだね……でも、レイくんの言ってた通りシロちゃんには沢山の仲間がいる。白上達も協力出来る事があれば何時だって力になるよ。だって……シロちゃんも白上達の大切な友達なんだから♪
シロとの戦いに勝利し、遂に決勝進出を果たしたフブキ。次の試合はそらとアカリの対決。果たして、勝つのはどちらだろうか?