ガンダム ビルドライバーズAnother   作:神楽

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第二十三話『烈火の鬼神と堕ちた猫』

ヒメヒナの田中ヒメちゃんとの戦いの末、見事に二回戦を突破出来た白上だったけど、勝った喜びよりも今は今日最後の試合になるあやめとおかゆの対決が気になっていた。

 

二人とも同じホロライブの仲間だけど……申し訳ないけど今の二人を見ていたらどっちも応援する気にはなれない。二人ともレイくんを手に入れる事に固執してるし、そのせいで皆とも関わろうとしない。

 

そんな二人がこれからバトルをする。一体どんな結果になるんだろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―本戦会場―

 

❬さあ本日最後の試合、遂にこの時が来てしまった!この大会のキーマンである佐々木玲二さんの勤めるホロライブに所属するアイドル同士の対決!百鬼あやめちゃん対猫又おかゆちゃんのバトルです!❭

 

❬二人とも一回戦の時は尋常じゃない程の強さを見せつけてくれました!恐らくこの勝負、一筋縄ではいかないと思います!❭

 

実況席にいる二人が熱く実況解説をするが、当の本人達は至って冷静……いや、絶対零度の如く冷めきっていた。同じホロメン同士のバトルだというのにも関わらず二人は鋭い眼光をギラつかせながら睨み合い準備を進めていく。

 

「……まさかこんなにも早くホロメン同士でやるなんて思ってなかった余」

 

「そうだね。まあ、僕にしたらどうだって良い事だよ。誰が来たって、立ち塞がるなら倒すだけだもん」

 

「……やっぱり今のおかゆに玲二様は任せられない。此処でおかゆを絶対に倒して余が勝ち上がってみせる」

 

「へぇ……やれるもんならやってみなよ」

 

❬お、おぉっとぉ!戦う前から闘争心がバチバチだぁ!これは激しいバトルが期待出来そうです!それでは早速いきましょう!リンクスタート!!❭

 

―LINK START―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―市街地エリア―

 

今回の舞台はビル等の建物が並ぶ市街地エリア。障害物も多く普段戦うエリアに比べて動きも制限されてしまうこの場所に二体のガンプラが対峙していた。

 

一つは戦国アストレイを改造したあやめの『煉獄頑駄無』

鬼○の刃の人気キャラをモチーフにした塗装に四本の炎のデザインが施された刀。そして機体全体に付けられた無数の傷跡があり、いかにも歴戦を戦い抜いた武者を彷彿とさせる。

 

そしてもう一つはアルスアースリィを改造したおかゆの『ディストピアアルス』

アルスアースリィのアーマーは更に刺々しくなり所々に出ている赤い動力パイプが血管のように見えて不気味な仕上がりになっている。なんともおかゆらしくない禍々しい機体である。

 

煉獄頑駄無

HP:950

ATK:320

DEF:175

SPD:290

MOB:310

 

ディストピアアルス

HP:1380

ATK:250

DEF:240

SPD:250

MOB:260

 

❬おぉっとあやめちゃんのガンダム、戦う前から随分ボロボロだ!これでまともに戦う事なんて出来るの?❭

 

❬これはGVWの特有スキル『不屈の闘志』を発動させる為のダメージ加工だね。HPや防御力を下げる代わりにその他のスペックを大きく上げるんだ。しかもあれだけのダメージ加工ならその恩恵はかなりでかい。実際にあやめちゃんは一回戦目は一度も被弾せず相手を撃破しているから上手く立ち回れば実質プラス要素しかないって事だね。対して……❭

 

あやめの煉獄頑駄無の紹介した後におかゆのディストピアアルスを見るが、その姿は禍々しく、黒いオーラのようなものがアルスを中心に辺りに広がっている。

 

❬おかゆのディストピアアルスはスキル『立ちはだかる強敵』という主にボスとかの敵キャラが使用していた機体が持つスキルを発動しているね。一定のダメージを受けると発動しなくなる代わりに戦いが長引けば長引く程スペックが徐々に上昇していく厄介なスキルだよ❭

 

❬おかゆちゃんはこのガンプラで一回戦の葵ちゃんを完膚なき迄に叩きのめしていたって聞いたけど……何だかちょっと怖いよね❭

 

余りにも異質過ぎるディストピアアルスにアイとたまきも思わず身を震わせてしまう。そしてあやめとおかゆはそれぞれ武器を構え間合いを詰めていく。

 

「……一回戦の試合見てたけど、やっぱりその機体おかゆらしくないね。前のおかゆだったらそんな機体絶対選ばなかった筈だ余」

 

「そんなの僕の勝手でしょ?それに比べてあやめのはドストレート過ぎるよね。お陰で対策が取れやすいよ」

 

「そう……やれるもんならやってみな余」

 

互いが睨み合いながら徐々に間合いを詰めていく。そして……

 

 

 

―ダッ………ガキィィンッ!!―

 

お互い距離を一気に詰めて煉獄の刀とアルスのビームサーベルがぶつかり合い、其処から激しい斬り合いが始まった。

 

煉獄の両手と大袖が変形した巨大アームに持ってる四本の刀で斬りながら攻めていき、アルスは左手から発せられたビームサーベルで防ぎながら後退しつつビームカノン砲で煉獄を射撃していくが全て刀で弾かれていく。

 

「グッ……やっぱあやめは手強いね。一撃一撃がとても重たい」

 

「当たり前だよ、この為に刀の強度を上げて、それを補強する腕も強度を上げて一撃の威力を上げてるんだから」

 

❬あやめちゃんの激しい攻撃がおかゆちゃんのガンプラを攻め続ける!おかゆちゃんも反撃こそはしてるもののあやめちゃんに押されッぱなしだぁ!❭

 

❬アルスのスペックが徐々に上昇するとは言え、このまま続けばおかゆは押し負けてしまうね❭

 

実況席が盛り上がる中でもあやめは煉獄の攻撃の手を一切緩める事はなくアルスに斬りかかっていく。そして……

 

 

 

―ガキイィンッ!―

 

「ウグッ……!?」

 

❬おぉっとおかゆちゃんのガンプラが弾かれて、そのままバランスを崩してビルに直撃したぁ!❭

 

❬これはマズイ!このまま決着が着いてしまうのかぁ?!❭

 

「これで……決めるッ!!」

 

倒れたアルスの隙をつき煉獄はトドメを刺す為に刀を構え一気にアルスに詰め寄っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし……

 

 

 

―ガクンッ!―

 

「え…………?」

 

アルスにトドメを刺す一歩出前の所で煉獄が突然バランスを崩し地面に倒れ込んでしまった。あやめは何が起こったかも理解出来ず呆然としてしまうが、その隙をおかゆは見逃さなかった。

 

「……どうやら機体トラブルか何かみたいだね。なら、この隙に反撃させてもらうよ」

 

「え…………ッ?!し、しまッ……!?」

 

あやめは我に返るも時既に遅し。アルスは既に体勢を戻しビームサーベルで倒れてる煉獄を容赦なく斬りつけていく。両腕を斬り飛ばされ頭部も踏みつけられ既にボロボロの状態にまで追い詰められてしまった。

 

煉獄頑駄無

HP:61

 

「……もうこれだけやれば戦う事なんて出来ないでしょ?これ以上は同じ事務所のよしみで勘弁してあげるからさっさと降参しなよ」

 

アルスはビームサーベルを納めると煉獄から離れ背を向けようとする。しかし……

 

「……ヤダ余。まだ余は負けてないぞ」

 

「……へぇ、まだやる気なの?そんなボロボロな状態でよく戦おうなんて思えるね。あやめもよっぽどレイくんが欲しいみたいだね」

 

「当たり前だ余、だって………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玲二様がいなくなったら、ミオちゃんや皆が悲しむから!」

 

「…………………は?」

 

あやめの予想してない言葉におかゆは思わず呆然としてしまう。

 

何故皆の事が出てくる?これは玲二の隣に立つに相応しい相手を決める為の大会、それなのに何故自分以外の皆が出てくるかおかゆには理解出来なかった。

 

「玲二様がこんな大会の景品にされてしまって、もしかしたら他の事務所に取られてしまうかもしれないなんて事になって、そんな事になったら皆悲しむから……だから余はそんな事にならないように勝たなきゃいけないんだ!」

 

あやめはボロボロになった煉獄を残された巨大アームを使ってなんとか立ち上がり、最後の刀を拾い構える。

 

「鬼は受けた恩は自分で返せ。余が母百鬼から受けた教訓だ余……だから、余は自分の手でなんとしても玲二様と皆の居場所を守る!それが余の居場所でもあるから!!」

 

―ゴオォォォォォォォッ!!―

 

あやめが力強く言うと煉獄の機体の周りから赤い炎が渦巻くように現れ、そして炎は徐々に刀に吸収されていく。

 

❬な、何これ?!一体何が起こってるの?!❭

 

❬こ、これは一体なんなんだ!?❭

 

突然の出来事に実況席の二人も困惑するが、全ての炎が刀に収まると刀身が赤く輝きを放ち煉獄はそれを構えていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが百鬼流奥義!烈火抜刀・紅蓮斬ッ!!」

 

赤く輝く刀を構えたまま煉獄はアルスに向かって突進していく。それに伴い煉獄のボディも赤く燃え上がり巨大な火の玉となってアルスに迫っていく。そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―チュドオオォォォォォォォォォォォオンッ!!―

 

辺り一面の建物を吹き飛ばす程の巨大な爆発が起こり煙が巻き起こった。

 

❬な、なんという事でしょうか?!あやめちゃんの最大の攻撃がおかゆちゃんに当たって大爆発してしまったぁ!!❭

 

❬こ、これは激しい衝撃!これではおかゆも一溜りもない、これは今度こそ決着が着いたかぁ!?❭

 

激しい衝撃の末、いよいよ見えた決着の時。そして煙が晴れていくと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……やっぱりあやめは侮れないね。でもこの勝負、僕の勝ちだよ」

 

其処にいたのは右半身を失くしながらもビームサーベルで煉獄のコクピット部分を貫いているアルスの姿があった。

 

煉獄頑駄無

HP:0

 

―WINNER 猫又おかゆ―

 

それによりあやめの敗北が決まり、おかゆは三回戦進出が決定した。

 

「………ごめんなさい、玲二様、ミオちゃん、皆………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―試合終了後 フブキ視点―

 

「グスッ……うぅ……」

 

試合が終わり白上がミオと一緒にあやめの控え室に行くと、其処には試合に負けて涙を流すあやめがいた。

 

「あやめ!」

 

「え……み、ミオちゃん?」

 

そんなあやめを見たミオはあやめの元に駆け寄り抱き締めた。その目には涙が溜まっている。

 

「ごめんねあやめ!あやめがレイさんだけじゃなくてウチや皆の為に戦ってたなんて……そうとは知らずにウチ等レイさんの事ばっかり考えて……本当にごめんね!」

 

「ミオちゃん……ううん、ミオちゃんは全然悪くないぞ!余が自分の力で玲二様を取り戻そうとしただけだから……」

 

そう、あやめはレイくんを独占したかったワケじゃなかった。あやめは他の事務所やアイドルにレイくんを取られないように、また皆で一緒に楽しい日々を過ごせるようにする為に一人で戦っていたんだ。今まで白上達と一緒に戦わなかったのは自分の母親に言われてた教訓を守る為だったんだね。

 

「あやめ、ありがとう……でももう大丈夫だから。あやめの想いも、フブキの想いも皆ウチ等に届いてる。だから此処からはウチやフブキ達があやめの代わりに戦うよ!」

 

「うん!必ず皆で元のホロライブに戻そう!」

 

「ミオちゃん、フブキちゃん……ありがとう♪」

 

白上とミオが想いを伝えるとあやめは泣き止み、笑顔になってくれた。これで残るはラミィとおかゆだけ……この二人はかなり手強いけど、必ず元に戻してみせるよ!

 

「……それにしても、さっきの戦い惜しかったね。あの時機体の整備不良がなかったらおかゆにも勝ってたかもしれなかったのに」

 

「……それについてなんだけど、ちょっと変なんだ余」

 

「?変って何が?」

 

「あの後余は自分のガンプラを確認したけど、何処にも不備なんて無かったんだ。塗装も合わせ目もしっかり処理されてたし機体の破損も無かった。それに余の煉獄頑駄無がトドメを刺そうとした時に急に機体がバランスを崩して、なんだかタイミングが良すぎる気がしたんだ余」

 

「!?それって……」

 

ガンプラに不備は無く、余りにもタイミングが良すぎる機体の不備に白上は思わず考えてしまった。葵ちゃんの時も同じ事があったし、もしかしてこれって……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―おかゆ視点―

 

「ブフフ~♪おかゆちゃん見事三回戦進出だねぇ♪」

 

「……全く、やるならさっさとやってくれれば良かったじゃん。お陰で余計な苦戦を強いられてたし」

 

三回戦進出は出来たものの僕は苛立っていた。あのあやめの言葉……何が皆が悲しむだよ?結局最後にレイくんの隣に立てるのは一人なんだからそんな一時的な仲良しごっこなんて要らないよ。

 

「ごめんごめん、でもおかゆちゃん分かってるよね?あの約束」

 

「分かってるよ、僕が優勝したらレイくんを僕のモノにする代わりにお前をホロライブのスタッフリーダーにしてあげるよ。他のホロメンはお前の好きにすれば良いよ」

 

「ブフフ~♪そうそう、覚えてくれてるなら結構だよ。本当ならおかゆちゃんも一緒に俺のモノに―ドゴォッ!!―ブヒィ?!」

 

「……調子に乗るなよ。僕の身体はレイくんだけのモノだ。お前みたいな気持ち悪い屑に触らせる事すら許さない。分かったら次の試合まで用はないからさっさと消えろ、“只野”」

 

僕が男の顔の横の壁を蹴りそう言うと、その男『只野喪不男』は慌ててその場から逃げるように出ていった。

 

あいつは以前会社で問題になってアマゾンに飛ばされた筈(番外編参照)だけど、何で此処にいるかは知らないけど僕はこいつを利用する事にした。

 

あいつに舞台裏に忍び込ませて其処にある装置を操作してもらい、相手の機体を一時的に動きを封じてもらいその間に僕が相手を倒していたんだ。これで葵ちゃんの時もさっきのあやめの時も一時的に動けなくして僕が勝った。勿論バレてあいつが何か言ってきてもあいつは元々虚言癖があるからこっちがシラを切ればそのまま切り捨てられるから問題はない。

 

「フフフ、待っててねレイくん♪僕は必ず優勝して君と一緒になってみせるよ、どんな手段を使ってもね……」

 

こうして僕もやる事がなくなったので控え室を出て自宅に帰る事にした。

 

 

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