転生と勘違い
なんの変哲もない日常。 普通の生活を今日も送る。…はずだった。
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あの雲なんていうんだっけ…雲の上で寝たらふかふかで気持ちよさそうだな…
空を眺めながらそんなことを考える。
教室の黒板のところでは古文の先生"岡ちゃん"が大きな身振り手振りで授業をしている。聞いてる人なんてほとんどいないのに…
まあ、私も聞いてないけど。
「じゃあこの問題を隠れてスマホを弄っている漆原ちゃんに答えてもらいましょう」
「えっ」と漆原さんが驚く。休み時間に弄ればいいのになんで今弄ってだんだろう。同じくスマホを弄っていた夏目が勝ち誇ったような顔をしている。
「夏目くんも他人事ではありませんよぉ」
「うぐっ」夏目がうめく。
ふふ ざまぁ
結局、二人とも答えられなかった。
「なら、空を眺めていた雲間ちゃんに答えてもらいましょうかぁ」
当てられた。夏目は私も答えられないだろうと思っているのかニヤニヤしている。
「孔子の子孫の家から見つかった竹簡をひとつ答えてください」
なるほど。それなら…
「礼記」
「正解ですぅ。雲間ちゃんは授業を聞いているようには見えないのになんで答えられるんでしょうか…相変わらず不思議ですねぇ」
「ちっ」
夏目が舌打ちをしている。
「負け犬の遠吠え」ボソッ
「んだとコラァ!」
「事実じゃん」
「はいはーい、二人とも喧嘩はやめましょうねぇ。雲間ちゃんは煽っちゃダメですよぉ」
その時だった、天井に黒い大きな亀裂がうまれたのは。次の瞬間、物凄い激痛に襲われ、意識は闇の中に堕ちていった。
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んう…はっ。
ここは?何かやわらかいものに包まれているような感覚がある。病院かな?あの後どうなったんだろう。
とりあえず起きよう。何が起こったのかも聞かなくちゃ。
バッ
フカフカしたやわらかいものから出ると目の前に広がっていたのは真っ青な空。空。空。時々雲。
は?
どこだよここ。
教室で大爆発が起きたと思ったら雲の上にいた件。
これはVRの仮想世界に違いない。きっとそうだ。
最近のゲームは凄いなぁ…(高校生が言うようなセリフじゃない)
おっ。あそこから下が見れそうだ。雲の端まで行ってみよう。
モフッモフッ
ん? 歩いた時に違和感を感じて足を見る。
………雲になってる。
Why⁉︎
というか四足歩行してる。ちょっと意味がわからない。
ゲームっぽく「鑑定!」と心の中で唱えてみる。
シーン…
さすがに無理か。
《現在所持スキルポイントは150000です。スキル『鑑定LV.1』をスキルポイント100使用して取得可能です。取得しますか?》
うぇい?!、ビックリした。ひとまず、取得!
《スキル『鑑定LV.1』を取得しました。残りスキルポイントは149900です》
いやー、ファンタジーだなー。よし、早速自分を『鑑定』と念じてみる。
〈雲〉
ん?それだけ?
イヤイヤ、そんなわけない。
きっと失敗しちゃったんだね…
〈雲〉
え?本当にこれだけ?
〈雲〉
は?何にもわかんないじゃん!『鑑定』にかかったポイントをどうしてくれるんだよ!
そういえばさっき残りのスキルポイントがどうとか言ってたな…
物は試しだ!こういう時は、課金?
えーっと『鑑定』に課金するよ!
《スキル『鑑定』をもう一度取得しますか?》
YES!
《スキル『鑑定LV.1』を取得しました。『鑑定LV.1』が熟練度に変換されました。残りスキルポイントは149800です》
もう一回!
《スキル『鑑定LV.1』を取得しました。『鑑定LV.1』が熟練度に変換されました。残りスキルポイントは149700です》
まだまだ!
《スキル『鑑定LV.1』を取得しました。『鑑定LV.1』が熟練度に変換されました。残りスキルポイントは149600です》
もういっちょ!
《スキル『鑑定LV.1』を取得しました。『鑑定LV.1』が熟練度に変換されました。残りスキルポイントは149500です》
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《スキル『鑑定LV.1』を取得しました。『鑑定LV.1』が熟練度に変換されました。熟練度が一定に達しました。スキル『鑑定LV.1』が『鑑定LV.2』になりました。残りスキルポイントは149000です》
ふぅ。やっとLV.2になった…同じスキルを取得しまくっても全然上がらない⁉︎
地道に使っていくしかないか…
さて、レベルアップした『鑑定』はどうかな?