新しい魔法も使います!(一応)
こんにちは中層!
そいつの、地龍カグナのステータスを見た時の感想はたった一文字。
は?
数値がおかし過ぎんだろ‼︎
(く、く、く、蜘蛛ちゃん!なにあの化け物!)
(私が知るか!でも、今やることはひとつ)
((逃げる!))
全速力で少しでも遠くへ遠くへ逃げる。
チラリと後ろを振り返るとカグナはまったく動いていない代わりに口に光を集め始めた。
もしや、あれは異世界のドラゴンで定番『ブレス』というものでは?
というかあんなのに当たったら一瞬で死ぬ‼︎
あっ!
(蜘蛛ちゃん!登り坂‼︎)
(おお!遂にこの地獄の下層から抜け出せる!)
その歓喜のまま私たちは坂を駆け上がった。
さようなら下層!
でも、世界はそんなに甘くないのである。
視界を埋めてきたのは赤。真っ赤だった。
目の前に広がるのはマグマが湧き上がり、いるだけでダメージを受けるほどに熱い灼熱の大地。
えええええぇぇぇぇ…
いくらなんでもこれはないだろ‼︎
現状の確認をしよう。
周りは煮えたぎるマグマが流れている。
『炎熱無効』のおかげでダメージは受けてないけど熱い。
スキルで無効化されていても熱さなくならない。
生まれ変わってからずっと暑くも寒くもない快適な気温の中で生活してたからね。
今すぐこの中層から出たいけどあんな化け物がいるところには戻りたくない。
そうだ。蜘蛛ちゃんは種族柄炎が苦手なはず…
(蜘蛛ちゃん大丈夫?)
そう声をかけて振り向くと、お尻が燃えている蜘蛛ちゃんがいた。
(く、く、くもちゃん!燃えてる!)
(え?この中層はどこでも燃えてるよ?)
(違う!糸!糸!糸切って!)
(糸?って、うわぁぁぁぁ!)
ようやく気づいた蜘蛛ちゃんは慌ててお尻から出ていた糸を切った。
(あ、危なかった……あれ?HP減ってない)
(私が『炎熱無効』持ってるからね。今スキル共有してるし)
(ありがとう、モコちゃん!君のおかげで間抜けな死に方をしなくて済んだよ!命の恩人‼︎)
そんな大袈裟だよ!急にやめてよ!照れるじゃんか‼︎
こういう時は話題を変える!
(それにしてもこの中層を抜けないと上層には戻れないんだよね)
(うん。上層や下層があんなに広かったんだから中層も相当広いに違いない。大陸を繋ぐくらいだし。あー。一体何日かかるんだろ…)
(気にしない方がいいよ。気楽にいけばいつか終わるさ)
お、魔物発見。
鑑定!
〈エルローゲネラッシュ LV.5
ステータス
HP:159/159(緑)
MP:145/148(青)
SP: 145/145(黄)
116/145(赤)
ステータスの鑑定に失敗しました〉
中層についてから始めてみる魔物。
タツノオトシゴみたいな魔物だな。
マグマの中を悠々と泳いでいる。
ないわー。
こっちに気づいてなさそうだし、スルーしたいけど進行方向にいる。
ここは一戦やっておくか。
中層でも同じように戦える試しておきたい。
蜘蛛ちゃんも同じ意見みたい。
まず、蜘蛛ちゃんが糸を飛ばす。
けどオトシゴに届く前に燃えてしまった。
今までずっと使ってきた糸が使えなくなってちょっと凹んでる…
あ、なんか飛んできた。
火の玉か。
じゃあこっちは雷の玉だ!
『蒼電魔法LV.1 雷弾』
相殺したかと思えば、雷弾の威力の方が強かったらしく、オトシゴに当たった。それで火の玉は効かないと気づいたのかマグマから這い出してきた。そのまま突進してくる。
馬鹿だなー。火の玉が効かないのにただの突進が効くわけないじゃん。
私だったら戦略的撤退するのに。
遅い突進を避けて魔法を使って拘束する。
『雲魔法LV.1 雲作成』
でも、熱すぎるせいで蒸発し始める。
そんな⁉︎
蜘蛛ちゃんはオトシゴの背中に取り付き、爪に毒攻撃を乗せて突き刺す。
猛毒に侵されたオトシゴはコロっと生き絶えた。
初戦はなんとか突破。
でも、ずっと頼りにしてきた雲が蒸発するなんて…
でもでも!ちょっとの時間なら使えるし!
しかし中層、最大の敵は地形かもしれん。
私が考え込んでいると蜘蛛ちゃんが話しかけてきた。
(モコちゃん、大丈夫?)
(うん。お互い今まで頼りにしてきたものが使えないね…)
(うん)
(オトシゴ刺した時にHP減らなかった?あいつマグマの泳いでたし)
(うん。減った。痛かった…)
(回復させようか?)
(できるの?お願いお願い!)
(うん!)
『雲魔法LV.7 癒し雲』
雲が霧のように広がった…ら、すぐに蒸発し始めた。
(うー。回復手段が…)
(ちょっとしか回復しないね…まあ、元気だしなよ)
(うん)
(回復ありがとう!)
(っ‼︎べ、別に普通だよ!)
なんで急にそういうこと言うんだよ!
照れるじゃんか‼︎