今回の調査内容は魔物の急激な減少についてだ。ここ2週間ほどで上層の魔物の数が驚くほど激減した。その原因を探る。
恐らく生存競争で生き残った魔物が進化を続けて強くなったのだろう。
今回の調査では短い期間で魔物が激減したため、儂とブイリムスが一緒だ。
まったく…人族最強の魔法使いでもある儂にこんな誰にでも出来る簡単な調査をさせおって…
なに?ここまでの魔物の激減は前代未聞?下手したらA,Bランク相当の魔物が出現した可能性があるだと?
だから、儂に調査して欲しい?
ふふふ…そうか!それならば仕方ないのぅ!
人族最強の魔法使いである儂が一瞬で解決してやるわ!
さあ、行くぞ!
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〜エルロー大迷宮 上層〜
ふむ。確かに魔物が全然居ないな。今の時期はクイーンタラテクトが下層から上がってきて卵を大量に産むはずだが…
1時間に1匹襲われる程度じゃな。
これは流石に少なすぎる。
調査に来てよかったかもしれん。
「ロナント様、どうしますか?」
「必ず何が原因があるはずじゃ。探索するぞ」
広い上層のどこに原因がいるかは全くわからない。
食料は一応1ヶ月分ある。多めに持ってきてよかった。
食料が足りる限り探索を続けるとしよう。
今日で14日目。
明日には引き返さないと食料が持たない。
皆も長い間、日の光が当たらない迷宮にいることで気が滅入ってきている。
だが、魔物が減った原因が全く見つからん。
強い魔物が出現したのだろうと予想しているが、位置さえ分からないとは…
「うわぁ!」
「どうした?」
「身体が…動きません!」
光を当てるとキラリと光るものが見える。
ふむ。極細の糸が張り巡らされているようじゃな。
「光を当ててよく見てみぃ。糸に引っかかっておる。恐らくタラテクトの巣じゃ。恐らく今回の異変はこの巣の主が現れたことで起こったことだろう。ちょっと待て。すぐに燃やしてやろう。」
魔法で火をつけると糸は予想以上に弱く、すぐに全体に燃え広がった。
「あちゃあ…やり過ぎてしもうた」
「ロナント様…今はいないようですが巣の主帰ってきたら怒り狂いますよ」
その時だった。あの方々の片割れが現れたのは。
「ロナント様、あれはなんでしょう?」
ブイリムスにそう言われて巣の奥に目をこらす。
……雲?雲の魔物なんて聞いたことがないが…
突然現れた雲のような魔物に驚いていると雷の弾が大量に飛んできた。
さっき放った炎に引火し、大きな爆発が起きる。
すぐに風のシールドを張り、防御する。
だが、シールド越しにも凄まじい衝撃が伝わってきた。
「…大丈夫か⁉︎」
「はい…なんとか…」
凄まじい威力の魔法じゃ…
あんな威力のものをポンポンと撃たれてはたまらん。爆風が晴れる前に風の刃を飛ばして牽制する。
爆風が晴れると謎の魔物は身体を構成する雲の量が減ったように見えた。
魔法が当たったようじゃな。
雲であるがゆえに風とは相性が悪いようじゃの。このまま攻めるぞ
先程よりも強い魔法を放った時、突如現れた雲に防がれた。
雲を作り出せるのか…
分厚い雲を突破できるように一点に集中して魔法を当てる。
雲が晴れた。突破できたようじゃな。
その魔物は青く輝く瞳を怒りで染めると睨みつけた。
その視線に思わず怯んでいる隙に魔物は素早い動きで距離をとり、また雲を作り出した。
その雲から出てきた魔物は雲の量が元に戻っていた。
自身を治療することもできるのか…
その厄介さに唸っていると巣のさらに奥から白い蜘蛛が現れた。
協力しているようだ。
(***!****!)
(**********…)
なにかを念話で話しているようじゃが、知らない言語で話しており、内容がわからない。
魔物達が会話に夢中になっている隙にスキル『鑑定』を発動させる。
チャンスは今しかない。未知の魔物のことだけでも鑑定しなければ…
〈雲猫 LV.1 名無し
ステータス
HP 300/300 MP 350/350 SP 200/200
平均攻撃能力:200
平均防御能力:350
平均魔法能力:650
平均抵抗能力:200
平均速度能力:500
スキル
「雲猫」「蒼電魔法LV.1」
「天候魔法LV.1」「雲魔法LV.3」
「MP自動回復LV.1」
「気配感知LV.1」「暗視LV.3」
「飛翔LV.10」「念話LV.10」「無限話LV.2」「怒LV.1」
「剛…《鑑定が妨害されました》〉
なんじゃと⁉︎鑑定を妨害?そんなことができるのか⁉︎
それに雲猫だと?聞いたことがない種族じゃ。新種かもしれん。
そのうえまだLV.1だというのにステータスがかなり高い。
成長したら危険じゃ。
魔物たちは話し終えたようで、話すのをやめ、こちらを向いた。
これから先ほどよりも激しい戦いが始まるだろう…
なっ⁉︎消えただと⁉︎
雲が現れたかと思うと2体の魔物は跡形もなく消えていた。
まるで夢のようじゃった。
「ロナント様!魔物は⁉︎」
「なんらかの魔法を使って逃げたのだろう」
とりあえず負傷者が出なくてよかった。
このことを報告するために帰るとするか。