ウマ娘アルターダービー   作:めめめ

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トレセン学園は異常です(パラレルワールド)

 異様な光景に開いた口が塞がらない。

 いやだってさ、見たことない姿だ。

 スペシャルウィーク、トウカイテイオー。

 ゲームから現実になったこの世界でも、その二人だってことははっきりわかるくらいには髪色も顔も同じ。

 違うのは、衣装に表情に、兎にも角にも色々と。

 

「やはりお二人は早い。特にトウカイテイオーさんは、シンボリルドルフの跡を継ぐと言い放っただけはあります。実際公式レースでは負けなしです。ですが……スペシャルウィークさんとの模擬レースでは一度も勝ったことはない」

 

 と言う独り言がお隣から聞こえてくる。

 やはり二人であっているようなのだが、信じれないし信じてたまるかと言いたい。

 もしかしてゲームの世界より少し先、未来の話だったりするのか。

 にしてもはあまりにも異様と言うかなんと言うか。

 

 そこで一つ思いついた。

 俺の数少ない競馬知識で、この世界が原作の世界かどうか確かめられる、はず。

 もし原作通りで、さっきのシンボリルドルフの跡を継ぐと言う言葉が、彼女の引退を意味しているのならば。

 

「あの、シンボリルドルフ、さんって。引退、したんすよね?」

 

 何故か自然と敬語になっていたが、そんなことより「は? 何言ってんだこいつ?」みたいな顔で見られたことがなによりも辛い。

 だがそんなことよりも、転生した世界の事実を知らなければならない。

 

「……してますよ。なに当たり前のこと聞いてるんですか。本当にトレーナー何ですか?」

「と、トレーナーです、はい。そ、そんなことよりも、えーっと……普通に、引退したんすか?」

「いつも通りでした。たった一度も()()()()。有馬記念を最後に、彼女は引退しました」

 

 聞いたことある話と、全く違う。

 仮にウマ娘の世界で引退しているとしたら、海外遠征に行っているはずなのだ。

 その後、よくわからないが病気を患っていたはず。

 あまり詳しくないが、確かそうだった気がする。

 

 その辺り、全く違う。

 と言うことはだ。

 

「……パラレルワールド、ってことかよ」

「なに言ってるんですか?」

「なんでも、ないです」

 

 頭の中で思考が堂々巡り。

 はてさてどうしたものかと考えがまとまらない。

 まとまるわけがない。

 原作の世界ならば今までこの世界で生きてきた記憶がなくとも、なんとかなったかもしれない。

 

 だが、パラレルワールドとなると話は別だ。

 歩んできた歴史もクソもない。

 自分の全く知らない世界、未知の世界というやつである。

 

「なんで私、こんな人に話しかけてしまったんでしょう」

「なんかものすごく失礼なこと言ってないですか!?」

「気のせいです」

 

 そんなこと話しているうちに、既にレースは終了していた。

 勝ったのはどうやらスペシャルウィークのようで、そこまで盛り上がってる様子はなかった。

 ただ走っていた二人はなにやら話して何処かへと歩いて行った。

 自然と観客たちも散って行く。

 

 そんな中、隣の少女(?)は何やらメモを取っていた。

 だが俺の顔を見ると、なにやら思いついたようにメモ帳を閉じる。

 

「そう言えば、自己紹介がまだでしたね。私は楠木(くすのき) (かえで)と申します。トレーナー二年目の新参者です」

「あ、お、俺──私?」

「お好きなように」

「俺は、な、永原(ながはら)です。最近来たばかりの新人トレーナーです」

「永原さん、ですか。それでは永原さん、私は担当のウマ娘が待っているので。見つかるといいですね、担当のウマ娘」

 

 俺は声をかけて止めようとするも、楠木トレーナーは足早に離れて行ってしまった。

 さて、どうしよう。

 まずはこの世界を把握するところから始めるべきか。

 それともさっさと担当を見つけて、徐々に慣れて行くべきか。

 そもそもまず、担当が見つかるのだろうか。

 

「不安が尽きねぇ。現実に帰りてぇ」

 

 だがこれが現実である。

 帰るべき現実は、今はここである。

 

「マジでどうしようかなぁ……ん?」

 

 悩んで周囲を見渡していると、一人のウマ娘が目に入る。

 さっきぶつかった小柄で栗毛のウマ娘だ。

 座っていても猫背気味で、なにやら気分が悪そうだ。

 俺は近くに言って声をかける。

 

「君、大丈夫?」

 

 さっき声をかけた時と全く同じことを言う。

 他に言うことが見当たらない、と言うやつだ。

 語彙力の低さもここまで来たら感心すべきだろう。

 

 さてウマ娘の方に話を戻す。

 そのウマ娘は、え? と声を上げて顔を上げた。

 俺はその顔を見て、何処かで見たことがあるような顔だと考える。

 思い出せはしないが。

 

「え、えっと。あの、あ、えっ、はい……だ、だ、大丈夫、で、です」

「本当に? かなり顔色悪いけど……」

「そ、そのこれは……うぅ……」

 

 少女は言葉に詰まって黙ってしまう。

 黙られると俺もなにを言ったらいいかわからなくなる。

 取り敢えず話題を上げるべく脳をフル回転、たわいもないことを聞いてみることにした。

 

「君、ここの生徒だよね?」

 

 はい、どうでもいいことです。

 いや、まぁ、分かり切ってることなんだよ。

 だって制服着てるし、聞かなくてもわかるだろ。

 この後。返事が返ってきても会話が続くような話題ではない。

 

「は、はい、そうで……あっ、ち、ちがっ。その、もう、退学……するん、です」

「た、退学? なんでまた……」

 

 これは意外な話題が。

 と言うか退学ってなぜだろうか、いくらエリート揃いのトレセン学園とは言え、そう簡単に退学などならないはずだ。

 パラレルワールドだから少しキツイのだろうか。

 

「が、学校。行ってなくて……その、あの……退学の手続きするために、きょ、今日は、来て……」

 

 なるほどな、古典的な引きこもりタイプだろう。

 俺も一時期こう言う時があった。

 あの時はネットに救われたものだ。

 

 俺は取り敢えず一旦、話を区切って名前を聞かねば始まらないと。名前を聞くことにする。

 これが、始まりだとは知らずに。

 

「……えーっと。君の名前は?」

 

 名前、人として象徴できるもの。

 名前というのは時と場合によっては後世に残る。

 俺は少女の名前を聞いて驚愕した。

 

 いや、驚愕する他なかった。

 だって、なんせ、彼女のその姿は、聞いた名前とは全く違ったからだ。

 

「わ、わた、私は……さ、さい、サイレンス、スズカ、です……」

「……サイレンス、スズカ? え? え? マジ?」

 

 混乱する俺は自然とそう呟いて、少女はうんうんと頷く。

 これが俺とサイレンススズカの始まりである。




何も考えずに書き始めたせいで、ガバが垣間見えてきちゃう。

登場させてほしいウマ娘

  • 【芝の王】キングヘイロー
  • 【シラオキ教教祖】マチカネフクキタル
  • 【絶走驀進王】サクラバクシンオー
  • 【救い無き者】メイショウドトウ
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