とあるオタク女の受難(魔法科高校の劣等生編)。 作:SUN'S
■月⊃日
私は横浜の中華街に来ている。
司波のお兄さんも到着次第に対象を狙撃すると言っていたが、自分は軍事関係の魔法師だからと人殺しの罪を背負おうとするのは止めてほしい。
私達は子供を守る大人だ。
本当なら私だけで台湾系国際犯罪シンジケート「無頭龍」を殲滅する予定だった。いや、どちらかと言えば彼の任務に無理やり割り込んだのは私だ。
しかし、それだけ危険な仕事だ。
そう思っていたのに無頭龍の密会に使われたホテルの警備はおざなり、各部屋の電子機器は元輔さんの携帯端末だけでハッキングできる程度のセキュリティしかない。
ハッキリと言えば日本を嘗めている。元輔さんの渡してくれた資料にあったジェネレーターという自我を剥奪された魔法師、どこをどう弄ればここまで弱くなるんだ。
九校戦を賭け事になんて無謀な事を考えず、ただのマフィアとして小競り合いしていれば、自ら安全な場所を出ずに暮らしていれば、自分の国で死ねたかもしれないのに、本当に無知で馬鹿な奴らだ。
■月⊇日
今日の特訓はお休みだ。
そして、まる一日使って娘の準優勝をお祝いする。
元輔さんは少し前にアメリカに連れ戻されたけど、今は「僕もお祝いしたかったのに」と愚痴を言いながら仕事してるって連絡がきた。
私が元輔さんの分までお祝いするから安心してと言ったから大丈夫だとは思うけど、元輔さんはテレビ越しにお祝いできないか、上司や部下に掛け合っているそうだ。
たぶん、私も同じことすると思うけど。
ちょっとお祝いされるのが照れ臭くて、ずっとソファのクッションを抱え、ずっと悶えている娘の写真を送信する。
これさえあれば仕事なんて一瞬だ。
ちらりと元輔さんが娘のために買っていた。どうやって家の中に運び込んだのか、それも分からない2メートルのクマの縫いぐるみを見上げる。
■月∋日
ちょっと二泊三日ほど友達の家に泊まる。
そういって友達と遊びに行った娘の事を考える。お母さん、お母さん、って後ろを着いてきていた娘が外泊する。なにも危険なことに巻き込まれてないと良いけれど。
それにしても何処か彼女の面影を感じる女の子だった。もしも私の考えていることが当たっていたら、絶対に面倒なことになる。
むしろ面倒だけしか残らない。
ああ、本当に嫌だ。
たとえ元輔さんの実家でも娘に危害を加えようとするなら全力で応戦するつもりだし、元輔さんだって婿入りするときに「僕も最後まで一緒にいるって覚悟は決めてるよ」と言ってくれた。
あの言葉には何度も救われた。
それでも彼に負担を掛けてしまっているのは事実だ。あの時、もっと私が二人を守れるぐらい強ければ良かったんだけどな…。