とあるオタク女の受難(魔法科高校の劣等生編)。 作:SUN'S
俺と深雪が共通して交遊を持つ拝郷信乃、彼女が深雪の悪影響となる危険性は限り無く低い。しかし、桐原先輩の高周波ブレードを弾く瞬間、僅かに見えた日本刀のような物質はなんだ。
サイオンその物は見えなかった。
それ以前にアレは魔法に分類されるものなのか?彼女は体術の延長線と言っていた。そうだとしても高周波ブレードを体術で弾くなど有り得ない。それが彼女に出来たとして超振動を続ける竹刀を掴むことは出来ない。
彼女が俺を庇ったところで、彼女に何かメリットはあるのか。ただの同級生の兄というだけで、通常の魔法に関しても彼女の方が優秀だ。
先日のブランシュ事件に関してもだ。
ハイパワーライフルの弾丸を見て避けるという荒業をやってのけ、桐原先輩の高周波ブレードを弾いた日本刀を公共の場で見せ付けるように左手のひらから引き抜き、誰一人として殺さず、武装したテロリストの集団に千葉エリカと競うように斬り込み、もっと前へと突き進んだ。
あれは下手すれば死ぬ状況だ。むしろ、彼女達は怯むどころか嬉々として銃弾を避ける、反撃を加えて倒すのを一呼吸の間に行った。
エリカと彼女が競う必要はないと思ったが、あそこまで白熱している二人を止めるのは無理だった。もしも、二人を止めようと割り込めば特殊警棒と日本刀で斬られていた。
「お兄様、なぜ信乃を見詰めているのですか?」
僅かに冷気を発する深雪を宥めつつ、今のは観察していただけと説明する。あまり他の女性を見ないでほしいと言われたが、俺が大切なのは深雪だけだ。
そう深雪に伝えると「ああ、いけません。この様な公共の場で、そのようなことを言われては、深雪はどうにかなってしまいそうです!」と嬉しそうに頬を染めた。
「おはよう、司波君」
「……ああ、おはよう」
彼女から視線を外したのは数秒だ。
たった、それだけの時間で距離を詰めてくるのは予想通りだが、なにか深雪に用事でもあったのか?と考えていると彼女が喋り始めた。
「この前はごめんね。壬生先輩のお見舞いに誘ってくれたのに寝坊しちゃってさ」
あまり当たり障りのない言葉を選んで「それに関しては問題ない。君の母親から面白い話を聞けたよ」と返すと、不思議そうに首を傾げながら「面白い話って『志念の法』について?」と聞き返された。
どうやら彼女は勘も良いようだ。
普通であれば困ったように言葉を濁すか、どういった話だったのかを聞いてくるはずだ。…だというのに、彼女は秘密を晒すように問い掛けてくる。
「わたし、司波君が知りたいなら教えるよ」
クスクスと笑いながら言ってくる拝郷信乃に不信感を抱いてはいるが、彼女の使う魔法に興味を惹かれているのも事実だ。
それに彼女がCADを使ってブランシュの構成員に放った
なにより背丈も動きも違いすぎる。
あの人は自己加速術式を展開せず、微弱な電流による身体強化と並行して魔法を使っていた。拝郷信乃の関係性を考えたとして、俺が得るのはあの人のかもしれないという不確定な情報だけだ。