ドニwith亡霊が征く! FE覚醒ロスト0チャレンジ!!   作:しやぶ

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神剣闘技と

 

 ──フェリア連合王国、西国。闘技場。

 

「──ハァッ!」

「クッ……俺の負けだ」

 

 剣を弾き飛ばし、首元に(ファルシオン)を突き付ける。するとロンクーさんは、素直に負けを認めてくれた。

 

「……? どうしたロンクー。あっさり負けちまいやがって」

「……面目ない」

 

 西フェリアの王──バジーリオさんが(いぶか)しむのも仕方がないことだ。本来ロンクーさんは、お父様に匹敵する剣士。武を尊ぶフェリアの中でも、最強の一角に数えられる精鋭なのだから。

 ただ、彼には致命的な弱点がある。それは──

 

「……おい貴様、『マルス』と言ったな。()()()()()()?」

 

 あぁ、やはり彼にはこの男装が通じないらしい。

 彼は、極端に女性が苦手なのである。

 

「すまない、訳あって英雄王の名を借りているんだ。仮面も外すことはできない」

「構わん。このフェリアでは、敗者が勝者に何か要求することはない」

「ありがとう」

「そうだな。そして勝者の要求を断ることもない──約束通り、『王を決める戦い』の西国代表は、お前に決定だ」

 

「──陛下。それについて、1つ提案が」

 

 今はまだ、次の『分岐点』まで余裕がある。

 だから少しだけ、実利に個人的な願望を含めてもいいだろう。そう思って、私はこのフェリアにやって来た。

 

「なんだ?」

「ロンクー殿も、本来の実力を発揮できなかったのは口惜しいでしょう。つきましては──()()()()など、いかがでしょうか」

「ふむ──面白そうじゃねぇか! フラヴィアもきっと乗ってくれるぜ!」

 

 あぁ、よかった。やはりフェリアの人達は気前がいい。

 

「ふふ……!」

 

 今から武者震いが止まらない。

 未来で私は、ナーガ様の加護を得た。今の私は身体能力も再生力も、人の領域を超えている。だがこれでも、ギムレーには届かない。

 

 だから奴と戦うその前に、格上との戦闘経験を積んでおきたい。だからそう──人の身で人を超えた『彼』こそ、この力を試す相手に相応しい。

 

 

 

 *

 

 

 

 ──御前試合、当日。

 第一試合。クロム対ロンクーは、クロムが優勢で進んでいた。

 

「うおおおおおおお!!!」

「ぐぅッ……!」

 

 クロムの振り下ろしを、ロンクーは後ろ跳びで避けたが……その表情は苦い。

 

 膂力ならクロム、技量ならロンクーが上だ。総合力的には、そこまで差はない。どちらかと言えば()()()()()()()()なくらいだ。

 だけどクロムの剣技は、身体能力を活かすために我流で編み出したもの。つまり『初見殺し』として作用するため、ここまで押されてしまっているという訳だ。クロムもそれを分かっているから、実は大分焦ってるぞアレ。

 でもまぁ、そろそろクロムが勝つ頃だ。本当はさっきのだって、ロンクーは受け流してから一撃入れたいところだったんだろうけど……もう既に一回、マトモに受け止めちゃった後だからね……腕が限界なんだろう。

 

「──これで終わりだ!!」

「クッ……俺の負けだ」

 

 ほら、予想通り。剣が弾き飛ばされちゃった。ロンクーも素直に負けを認めた。

 

 ……予想ができないのは、ここからだ。

 

『第二試合──()()()対クロム。始め!!』

 

「……その名、その剣……確かめさせてもらう」

 

 宣言するや否や、クロムは縦の回転斬りを放った。

 

 ──奥義『天空』

 原理はよく分からないが、この世界の戦士達が無意識に『パワードスーツ』のように纏っている『力場』を回転によって巻き込み、己の生命力に変換する技だ。鎧代わりの力場が消えるので、同時に防御力も低下させられる。

 クロムの馬鹿力で放たれたソレを──ルキナは真っ向から受け止めてみせた。あんな乱暴な使い方したら、ファルシオンじゃなきゃ折れてるぞ? どっちも。

 そして数合ファルシオンを交えた後、ルキナも『天空』を放ってみせる。膂力で負けているクロムは、飛び退いて回避した。

 

「その技、誰に学んだ?」

「──父に」

「お前の父とは何者だ?」

「僕に勝てたら教えてあげるよ──」

 

 そしてルキナは、神速の突きを放つ。

 ……おいおい、なんでもう『疾風迅雷』使えてるんだアイツ。原作より強くなってんじゃねえのか? クロム、喰らっちゃってるし。

 

「ぐふっ、まだまだ……!」

「いいや、終わりにさせてもらう。名残惜しいけど、次が控えてるからね」

 

 あやや、クロムが後ろを取られるとは。そしてルキナは柄頭で首筋を叩いて気絶させた。

 ……首トンって、ガチでできるんだな……

 

 そして気絶したクロムは衛生兵に運ばれ、最終試合が始まる。原作には無い戦いが。

 ルキナの狙いは、特異点であるドニのハズ。こちらも色々と聞きたいことがあるから丁度いいと言えば丁度いい。

 

「おめさん、なんで試合の形式を変えたんだ?」

「…………昔の師匠は訛りが酷かったって話、本当だったんですね……

「なあ、聞いてるんだか?」

「……どうしても、両腕がある(本気の)貴方と戦ってみたかったんですよ」

「へぇ……? そいつは光栄だべ」

 

 まあ状況的に分かっちゃいたが、言質は取った。このルキナは『カイト(オレ)のいる世界線』のルキナだ。

 

 つまりオレは……どこかで失敗したんだろう。

 

 ──だからと言って、諦める気なぞ全く無いがね。

 

「「──征くぞ」」

 

 同時に『疾風迅雷』を発動し、鍔迫り合いを仕掛ける。

 気が合うな。最初はパワー比べだ!

 

「ぐ、うぅっ……!」

(受け止めた腕が痛い……! 素の力でこれ程とは、流石ですね……!)

 

「ハハッ、おめさん凄いなぁ! おら、()()()()()のは初めてだべ!」

「それでどうしてピンピンしてるんですかねぇこのヒト……!」

 

 例の『力場』を意識的に使えるからね、オレ。力で勝っても腕を痛めたら意味ないから、キチンと比重は調整してんのよ。まぁ──

 

「今は秘密だべ!」

「当然だね!」

 

 もう一回、真っ向から打ち合う。第一試合でクロムがやったように、剣を飛ばしてやる……!

 ──と、息巻いていたのだが。うん、()()()()()わ。裏剣の効果を忘れてた。しっかり回復が追いついてやがる。このままだとジリ貧だ。

 

 うーん、マズイ。ここで東国が負けるのは非常にマズイ。

 バジーリオさんなら話せば軍を出してくれるだろうが……説得のために滞在期間が伸びると、テミス領の件に間に合わない。ファウダーに炎の台座が渡ってしまう。

 そうなったら終わりだ。なんとしても、フラヴィアさんに王権を渡さなばならない。

 

 しょうがないから──()()()だ。

 

「オオオオオオオオ!!!!」

 

 ──()()()()()

 

 

 

 *

 

 

 

(これは、力の叫び……? いや、()()()()()()()ですね)

 

 そしてルキナはファルシオンを握り直し、()()()()()()ドニをよく観察して次の動きを──

 

(──え、()()?)

 

「動くな。首が落ちるぞ?」

「ひゃっ、ひゃい」

 

『──そこまで! 勝者は東国代表、ドニ!!』

 

 観客達は立ち上がり、大きな拍手で出場者達を称え始める。

 ルキナは試合が終わったという実感が持てずに、呆然として問いかけた。

 

「な、な……なんですか、今の」

「……今は拍手でいい感じに音が消されてるからいいが……随分声と口調が変わったな()()()()()?」

「それはこっちの台詞です! 普通に喋れるなら最初からそうしてくださいよ!」

 

 どうやらもう、性別を隠す気はないらしい。

 

「あー、それは説明すると面倒だから後。それより、一つ答えろ」

「……なんですか?」

()()()、お前のいた未来で、()()()()()()()()()()?」

 

 ──そしてカイトもまた、『未来を知る者』であることを隠す気はない。

 

「──っ!? どうして……」

「時間がない。どうなんだ?」

「……はい。ギムレーは復活しました」

「……そう、か。それで、未来のオレから何か伝言とかないのか?」

「……手紙があります。()()()()()()()()()()()らしく、読めるか分からないのですが……一刻後、控え室に来てください。ここで渡すのは、いらぬ疑いを招きます」

「分かった」

 

 

 ──彼が『未来』で起こした失敗を知るまで、あと少し。

 

 

 

 *

 

 

 

 ここからは新コーナー『私の師匠がこんなに弱いワケがない!!』の時間です。

 

 

仮面マルス「──終わらせてもらうよ」

クロム  「ガハッ……」

 

ルキナ(よし、これで師匠と戦える!)

 

司会『最終試合、マルス対()()()!』

 

ルキナ(……え? 師匠は? まさか客席?)

 

ドニ 「ルフレさ〜ん! 頑張るんだべ〜!!」

ルフレ「うん、頑張るよー!!」

 

ルキナ(…………師匠が小さくてルフレさんが大きい!?!!?)

 

 ※尚、このあとしっかり接戦を演じて負けた模様。

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