ドニwith亡霊が征く! FE覚醒ロスト0チャレンジ!! 作:しやぶ
これは7年前──ペレジア王国とイーリス聖王国の戦争が、ちょうど終わった頃のお話。
「ごめんね……ごめんねロビン……ご飯、これしか用意できなくって……」
「問題ありませんよ、お母様。これだけあれば、
親子であろう、白髪の
彼女らの食事は、簡単な処理をすれば食べられる山菜のスープ一杯のみ。
「私より、ルフレの心配が必要ですね。お母様の健康状態が悪ければ、母乳の質と量が落ちますから。
ルフレも私と同じように、『調整』を受けた後だったら──などと言うのは、お母様の目的に反しますよね。すみません」
「……ごめんね。ロビンにばかり、苦しい思いをさせてしまって」
「構いません。過去はどうあれ、今1番苦しいのは、私ではなくアナタの方ですし」
ロビンの声には、隠しきれない憎悪の色が滲んでいた。
「……ごめんね」
「……謝らないでくださいよ。助けてもらっておいて、文句を言える立場じゃないことくらい、分かってるんです」
2人は親子であったが、直接話すのは今日が初めてだった。母と娘と言うよりは、共犯者と言った方が近い間柄だ。
3人は、ペレジアの国教である『ギムレー教』の重要人物である。
特にロビンは──信仰対象である
しかも、ただ血を引いているだけではない。その左手に、生まれつき刻まれた痣──『邪痕』は、特にギムレーと肉体の性質が近く、その魂と力を引き継ぐことが可能な『器』である証明。
それを知ったロビンの父は……彼女を改造した。よりギムレーに近付けるよう『調整』したのだ。
人間を別の生物に変える呪術と称し、ドラゴンや
しかもそれで実際、彼女がメキメキと力を伸ばしていったことで……『調整』は日に日に残虐さを増していったのがマズい。
遂には、産まれたばかりのルフレにまで『調整』を行うと宣った夫に愛想を尽かし、母がこうして脱走するまで……ロビンは『調整』という名の拷問を受け続けることとなったのだ。
だからロビンは、外に連れ出してくれた母に感謝はしているが……何年も己を放置したことを、恨んでもいる。いや、彼女の境遇を考えれば、憎しみ一色になっていないだけでも、充分以上に温厚かつ思慮深いと言えるだろう。
「いいえ。いいえ。ロビンには、私を糾弾する権利があるわ」
「……そうすることで、現状が良くなるなら、遠慮なくそうしますが」
「意味のないことだって、時には必要よ。特にまだ子供の、あなたには」
「……子供でいさせてくれなかったのは、アナタ達でしょう。この……この、汚い、土?」
「ふふっ、そんな罵倒初めて聞いたわ」
「むぅ……教団では、罵倒の語彙なんて教わらなかったんですよう」
「そうね……こういう時は、このビチグソがとか、クソアマ、尻軽ビッチ、後は年増とか──」
「うん分かった、もういい。自分で言って自分で傷付くのやめて」
「……優しいのね、ロビンは。誰に似たのかしら」
「……お母様ですよ。きっと」
「あり得ないわね。私も夫──ファウダーと同じ、人でなしだもの」
「でも、あの男に似ているよりマシです。それにこの白銀の髪、結構気に入ってるんです」
「……ありがとう、ロビン」
それから3人は、身を寄せ合って眠った。
夜の暗闇に隠れて見えなかったが、その表情にはもう──嫌悪の色はなかっただろう。