ドニwith亡霊が征く! FE覚醒ロスト0チャレンジ!!   作:しやぶ

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ドニwithカイト&ロビン 支援会話C(ロビン視点)

 

「──ビン、ロビン。起きるべ」

「ん……」

 

 『パチパチ』と、焚き木が弾ける音がする。それにこの香りは……

 

「ほら、おめさんの好きな山菜のスープだべ」

 

 あぁ、やっぱりだ。あの日と同じ……質素で、苦い……でも、何より心に沁みる味。

 もっとも母が作ったものと違って鋼の味はせず、苦味の奥に旨味のある、極上のスープなのだが。

 

「……やっぱり変わってるなあ、ロビンは」

「何が?」

「魔法が使える上に、礼儀作法の下地がある時点で、そこそこ上流階級の生まれであることは確実……だと思えば、今こうして、庶民でも好んで食べねぇようなモンを、心の底から美味そうに食ってるべし……」

「生まれは……そうだね。そこらの貴族なんかよりは地位のある家系だったよ」

 

 国教の教主の家系。神の血を引く一族の長女。家柄・血筋の面だけ見れば、確かに優れていただろう。だからと言って、もう二度と、帰る気なぞ全くないが。

 

「……おらから話を振っといて何だけども、それ話して大丈夫なんだべか?」

「ドニなら聞いたところで態度を変えたりしないだろうなーって思ったから話したんだけど。何? 今からでもボクにへりくだってみる?」

「……まぁ、敬ってほしいならそうするし、今まで通りが良いならそうするべ」

「じゃあ今まで通りで」

「おうおう。じゃあ、見張りは頼んだべ」

 

 個人的に、今ドニと交代でやってる不寝番(ふしんばん)は、傭兵稼業をやる上で1番キツい仕事だと思っている。

 本来傭兵の仕事は戦うことだが……ならず者というのは、基本的に弱い。私とドニが強すぎるという点を差し引いても、非常に弱い。

 それは何故か? 考えてみれば当然の話。力しか取り柄がないくせに、正規の騎士や戦士になれなかった落ちこぼれの集まりが、ならず者なのだから。

 

「あぁそうだ、ついでにもう一個聞いてもいいべか?」

「んー?」

「……ロビンの手、年中手袋付けてるべ。なんか、傷でもあるのか?」

「あー、コレ? うん。火傷」

 

 手袋を外して、ドニに左手の甲を見せてやる。

 

「右手の方はほら、普通なんだけど。片方だけ手袋着けてても変でしょ?」

「……そっか。ありがとなぁ」

 

 そう言って、ドニは今度こそ眠った。

 

 ──ものを隠すとき、()()()()()()()()()()()()()()()()

 敢えてあからさまに隠して、(あば)かせて、本当に隠したいものはその奥に。

 隠されているものが見つからない間は、誰だって探し続ける。だから『相手に見つけたと誤認させる』この手法は、本当に役に立つ。

 

「ごめんね、ドニ」

 

 コレは、この『邪痕』だけは、見せるワケにはいかないのだ。

 

「『だけは』 ね……ふふっ。未だに性別すら、騙したままのクセに」

 

 もう、彼に拾われてから4年経つ。

 沢山料理を教えてもらった。中でも『テンプラ』は、私のファイアーでしか作れないと聞いて……村中の皆が、私に『テンプラ』を作ってくれと押しかけて来た時は、大変だったけど、頼ってくれたのが嬉しかった。

 沢山娯楽を教えてもらった。ドニは手先が器用で、『ベイゴマ』や『ケン玉』といった珍妙なものから、『とらんぷ』や『おせろ』と言った、簡単に作れて奥が深いものまで作ってくれた。

 

 ……そう。ドニは私に『故郷』をくれた。

 あの村に帰れば、ガルシアおじさんが獲物を狩って待っている。カルラおばさんが、破れた服を縫ってくれる。そして私は獲物を料理して、村の外の話をしながらご飯を食べるのだ。

 

 もう、吐き気を我慢して生き血を啜らなくていい。私のために、誰も死ななくていい。私はもう、何も奪わなくていい。そんな幸福が、当たり前のように広がっている……彼は私に、そんな場所をくれた。

 

 だが、私は彼に何を返せた?

 ……何もない。何もないのだ。

 ドニは『ロビンが居るから、安心して眠れる』と言ってくれるけど……彼ほどの力があるなら、不寝番の交代要員なんて、最悪非戦闘員でも事足りる。

 

「ねぇドニ……あなたは何が欲しいの?」

 

 いつも誰かを助けるばかりで、何も望まない。どこか遠くを見据えていて、常に焦っている。

 

「傭兵として名を売って、その後どうするの?」

 

 直接聞いてみたことはあったけど、答えてはくれなかった。

 

「あなたが望むなら──」

 

 こんな回りくどい方法なんか止めて、国一つくらいなら潰してあげるのに

 

「……なーんて。あなたは望まないわよね」

 

 ドニは優しいから。きっと私が邪竜の力が使えるのだと知っても、その力を、彼のためなら使ってもいいと考えていることを知っても……人助けにしか、使う気はないだろう。

 

「……でもごめんね。私は、悪い子だから。この力は私自身と、あなたのためにしか使ってあげない」

 

 あまり使い過ぎて、ファウダーに見つかりたくはないのだ。

 ここはペレジアじゃないし、私はピアスの魔道具で性別の認識を変えた上でローブを着て体格を誤魔化してるし、ギムレー教団の服はペレジアで捨ててるし、邪痕は焼いて見えなくしている。ここまで徹底したのに、見知らぬ他人のためにまたあの地獄へ戻ることになるなんてまっぴら御免だ。

 

「ねぇドニ……あなたの望みは何かしら?」

 

 あなたが、あなただけのために何かを欲した時、私は力を振るうことを厭わない。

 だから早く──あなたに願いができますように。

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