ドニwith亡霊が征く! FE覚醒ロスト0チャレンジ!!   作:しやぶ

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王都へ征く!〜自警団に入団するべ〜

 

 イーリス聖王国は今、未曾有(みぞう)の危機に陥っていた。

 12年前に先王が急死するまで長年行われていた戦争により、国が疲弊。跡を継いだ現聖王エメリナは、当時9歳。政治のやり方なんて全く分かっていない子供だった。

 しかし国民は彼女の年齢なんて気にせず、不満をぶつけるだけぶつけた。

 結果何が起こるか──()()()()()()()()()()()()()()()()のである。

 その最たるものが、過剰な軍縮だ。

 本来イーリスは、気候の関係上熱砂の国ペレジアや雪国フェリアよりも人的資源に恵まれた国である。

 にも関わらず今のイーリスでは、マトモに『軍』と呼べる組織が天馬騎士団以外存在せず、()()()()()()()()()というありさまだ。

 力に重きを置くフェリア連合王国とは比べるのも烏滸(おこ)がましいほどの差が発生し、ただでさえ経済力でイーリスを上回るペレジア王国にも負けている。

 

 このままでは国が危ない──そう気付いた王弟(おうてい)クロムは、『自警団』を立ち上げた。

 性別・年齢・種族・家柄など全て不問。イーリスを愛する心さえあれば入団可能。要請があれば大陸の端にある辺境の村まで飛んでいく、そんな組織だが……

 

「──合格です。いつから勤務できますか?」

「えっ」

「あぁ、先に担当区域を決めた方がいいですか?」

「担当区域はイーリス全域。勤務は今日から可能──ってそうじゃないべ! 試験はどこにいったんだか!?」

 

 当然、入団には試験がある。組織の性質上、出自による合格率の変動を避けるため、採用試験は必然的に面接となる訳だが……何故か今回は、少年が名乗る前に合格が言い渡されていた。異例の事態だ。

 

「貴方に試験なんて必要ありません。ならず者と日々対峙していれば、必ず『鍋を被った小柄な傭兵とは戦うな』という言葉を聞きます。お会いできて光栄です──『不殺』のドニさん」

「まぁ、合ってるけんども……人違いだったらどうするんだべ?」

「ふふっ、それならそれで構いませんよ。貴方の強さは一目で分かりますから」

「それはそれで、クロム様に害意のある輩だったら──なんてのは、それこそいらねぇ心配だべな」

 

 クロム自警団副団長兼人事部長、『近衛騎士筆頭』フレデリク──関係者からは『執事そのもの』と称されるほどの忠臣である。彼の仕事に手抜きはない。

 また、彼の肩書きの多さは縁故ではなく純粋な優秀さ故である。常に『人材』を見続ける立場にあった彼の目は、それを知るカイトにとって、カイトを信頼するドニにとって、信用に値するものだった。

 

「しかし何故、自警団に応募を? 我々はあくまで非営利団体。お給料は出せないので、渡せるのは心ばかりの謝金程度です。貴方なら、正規の騎士や戦士としても大成できるでしょうに」

「地位名声に興味はないべ。そもそも生活費を稼ぐなら、傭兵稼業の方が儲かるってのもあるけんども。正規の騎士はお給料が一定って話だからなぁ。それに──」

「それに?」

「『英雄王』マルスと『覇王』アルム。ファルシオンの担い手に選ばれた人間は、いずれも大いなる脅威を打ち払う使命があったべ。

 同じファルシオンを持つクロム様もきっと、天命を持つお方だ。おらの力はきっと、その露払いをするためにある。そう思ったんだべ」

「……なるほど。やはり貴方には、試験など必要なかったようですね」

「……もしや今のって」

「はい。流石に志望動機くらいは把握しておきませんと」

 

 ニコリと悪びれなく告げられた言葉に、ドニは軽く身震いした。『フレデリクは笑顔の時が一番怖い』という某聖王子の感想が、よく理解できた瞬間だった。

 

「今日から働けるとのことですが、ドニさんにお願いしたい大規模巡回は3日後です。それまでは英気を養っていてください」

「分かったべ。じゃあしばらく王都をゆっくり観光してみることにするだ」

「そうですか。楽しんできてくださいね。個人的には、夜に行われるファイアーダンスは見て行ってほしいですね。あの手際がいい火起こしは、彼らにしかできません」

「踊りじゃなくてそっちを見るんだか!?」

「ハハハ。よく驚かれます」

「ま、まぁ。せっかくだから見ていくべよ。火起こしも、いい加減覚えないといけねぇべし」

「おや、意外ですね。火起こしは苦手なのですか?」

 

 火起こしは、護衛により野宿を経験することの多い傭兵には必須技能の筈だ。二つ名まで持っている彼が、そんな初歩的なことを苦手としているなんて……『意外』と言う他ないだろう。

 

「いや、苦手というか、させてくれないというか……」

「させてくれない?」

「『炎はボクの領分だ』と言って聞かない、世話焼きの弟分がいてなぁ……」

「なるほど。『華火(はなび)』のロビンさんですか」

「んだ。()()()()()()()()()()って話だったから、よろしくなぁ」

 

 ──そう。結局2人は、ロビンを連れて行くことにした。正史との乖離(かいり)は、自分達の存在がある時点で今更だと判断したのだ。

 

 ドニは退出し、入れ替わりでローブを纏った女性(男性)が入室する。

 

「──お初にお目にかかります。私はロビン。巷では『華火』の名で知られる傭兵です。護衛には慣れていますので、きっと役に立てますよ」

 

 この選択の意味を……彼はまだ知らない。

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