ウルトラマン 短編集   作:渚 龍騎

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※こんな展開あったら良いなと、投稿主の趣味やら全開の殴り書きなのでご了承ください。
独自解釈や独自設定が満載です。
公式の設定にないものや、投稿主の主観やら考察などが入っています。


ノアの章 絆は光
ULTRAMAN NOA


 

 

 

 

 

 

 この無限にある宇宙には、様々な伝説が眠る。

 

 

 それは地球にアーサー王伝説と呼ばれる騎士王の物語や、全知全能の神であるゼウスなどの様々な神話が眠るのと同じように。

 

 

 例えば──『ウルトラマン』と呼ばれる光の巨人。

 遥かなる昔から地球を守ってきた至高の光。その身に輝きを宿して、かつてないほどの脅威から地球を守り続けてきた伝説の巨人たちの名前。

 例えその先に待つのが絶望の暗闇でも、彼らから希望の極光を奪うことなどできない。彼らは決して諦めないのだ。

 

 だが、そんな彼らであっても()()()()()()()()

 

 ()()()、ウルトラマンであっても恐怖する破壊。

 ()()()、全てを虚無に返すまで破壊を続ける暗黒。

 ()()()太古の神(ノア)を模し造られた対となる邪悪。

 

 その名は邪悪なる暗黒破壊神──ダークザギ。

 

 人々の希望と声援を受けて光の巨人は蘇り、生命の絶望と憎悪を糧として闇の巨人は、自分の本物(オリジナル)と呼ぶべき存在に憎しみの雄叫びを上げる。

 

 ノア──それは、太古からの約束。

 ザギ──それは、破壊による虚無。

 

 漆黒に染められた身体に、紅蓮の如き真紅の瞳。

 暗黒の破壊神(ダークザギ)は両手を大きく広げ、雄々しく獣の如き咆哮を上げる。

 

『Uuuuuuuuaaaaaaaaaarrr──ッ!!』

 

 

 

 

 

 

 それはあまりにも突然で、理解し難い光景だった。

 目の前の巨人が自分の光線に耐え、人間などという不完全で弱き生命の声を浴びた瞬間──眩い光が巨人の身体を包み込んだ。

 

 見覚えのある極光。その輝きが消えた時、そこにいたのは《ウルトラマンネクサス》などではない。

 自分の本物(オリジナル)であり、自分が最も憎む奇跡の救世主。

 眩い白銀に身体を包み、胸に象られたY字型の輝き、そして背中に備えた究極の翼(ノアイージス)

 

 それは幼き頃憧れた銀色の流星(ウルトラマン・ザ・ネクスト)

 それは受け継がれて行く魂の絆(ウルトラマンネクサス)

 

 これらの姿を繋ぎ、人々の絆を受け継ぎ、光の巨人はかつての姿を取り戻して復活する。

 ウルトラマンネクサスの究極最終形態(ウルティメイト・ファイナル・スタイル)

 憎きその相手の名前は────、

 

Noaaaaaaaaaaaaarrr(ノアァァァァァァァァ)──ッ!!』

 

 獣の如き咆哮は大気を轟かせ、光と闇の戦闘を見守る人類にまたもや恐怖を植え付ける。だが、目の前に復活した伝説の超人(ウルトラマンノア)を信じ、人類は決して諦めようとはしない。

 

 破壊神(ザギ)救世主(ノア)が衝突する。

 振り回した豪腕に合わせてノアがザギを投げ飛ばす。だがザギは落下する瞬間に態勢を立て直して着地。すかさず攻撃を仕掛ける。

 しかしノアは素早い動きで前蹴りを放ち、数十万トンの剛力と、更には超重力波すらも纏った一撃はザギを軽く吹き飛ばした。

 

 普通の怪獣が受ければ一瞬で決着の付く一撃。

 ザギはただ吹き飛ばされるだけで耐える。やはり、ザギは常識を逸脱した存在。ノアも一切の容赦と油断をしない。

 

 ダークザギの肉体は超新星爆発にすらも無傷で耐える。

 神としても称えられるウルトラマンノアの究極技の一つ『ノア・ザ・ファイナル』を以て封印しても尚、ヤツの憎しみは限界を知らず、十八年の時を得て復活した。

 

『□□□□──ッ!!』

 

 憎しみを吼える。

 駆け出したザギに向かってノアは悠然と歩む。

 席巻した威圧感はビリビリと大気中を揺らし、ただただ人類は光の巨人を見守るしかなかった。

 否──応援をし続けた。

 

 ザギが右脚を振り上げる。だがノアは両腕で防御(ガード)すると同時に攻撃の足を叩き落とした。

 すかさずザギの腹部に超高速で右肘(ノア・エルボー)を叩き込み、更にはゼロ距離で極光刃(ノア・スパーク)に繋げる。

 稲妻の如き光がザギの不死身の肉体に傷を与え、よろけた瞬間にノアは左腕に右腕を翳し紅蓮を纏わせた。

 

『──シュアッ!』

 

 身体を一回転させ、渾身の一兆度の焔拳(ノア・インフェルノ)をザギに叩き込んだ直後、一兆度の焔から炎柱が伸び、ザギを空中へと吹き飛ばす。

 

『Uuuuuuuarrrrr──ッ!!』

 

 轟音を撒き散らし、憎悪を叫ぶようにザギが吼える。

 だが炎柱は勢いが止まることを知らずにザギを大気圏外──約八百キロ以上をも空中に吹き飛ばした。

 しかし威力が弱まった瞬間を逃さず、ザギは炎柱を振り払い、地上から見上げるノアを獰猛たる眼差しで睨んだ。

 

『──シュッ!』

『──□□ッ!』

 

 瞬間、ノアとザギが構えを取った。

 二人は必殺光線の予備動作を取り、この永くに渡る因縁に終結を。何万年もの長き戦いは、この最後の光線(いちげき)によって終わりが齎される。

 

 人類にとっては何が起こっているのかまるで分からない。

 ダークザギが吹き飛ばされた後に、ウルトラマンノアが空を見上げたと思えば、急に何かをしている──そのようにしか見えなかった。

 ノアが何を考えて、何をしようとしているのかなんて、人類には理解できない。

 

 太古から全宇宙の平和を守り続けてきた守護神。

 太古から全宇宙に破壊を齎し続けてきた破壊神。

 神の如き二人の戦闘は、人知を遥かに凌駕している。

 

 守護と破壊、光と闇、光明と暗黒──ノアとザギは対となり、絶対に逃れられない運命にある。

 

 救世主にして守護神(ウルトラマンノア)稲妻超絶光線(ライトニング・ノア)を。

 邪悪なる暗黒破壊神(ダークザギ)暗黒超絶光線(ライトニング・ザギ)を。

 

 一直線上に伸びた稲妻超絶光線(ライトニング・ノア)は、やがて大気圏外から放たれた暗黒超絶光線(ライトニング・ザギ)と寸分の狂いもなく衝突する。

 隕石の如く衝突し合った二つの光線は空で爆風と閃光を撒き散らし、その衝撃波は地上にまで届く。

 

 炸裂し、爆裂する光と闇。

 衝突し合った二つの光線の威力は同じ。

 ダークザギとはウルトラマンノアを模して造られた存在。それ即ち、ウルトラマンノアと同じ技を扱い、互角の力を持ったもの。

 ──故に、この光線も全く同じ威力。

 

 決着などつくはずがないのだ。

 ────しかし、今は違った。

 

 ウルトラマンノアは人の(ヒカリ)によって蘇り、その光はノアに更なる力を与えていた。

 ダークザギは人の憎しみと恐怖を糧に力を蓄え、復活を遂げた。だがその憎しみも恐怖も今はこの遍く世界から消えた。

 同格にして互角のはずだった光線は僅かにノアが押す。

 

 赤黒い光線は白銀の極光に押し返される。

 いくら無限に続く自己進化プログラムを以てしても、今の強化されたノアには勝てない。

 否、違う──強化されている訳じゃない。

 これこそが本来のウルトラマンノア。絆を受け継ぎ、光を繋ぎ、未来を紡ぐ伝説の超人。

 ()の前で、神の模造品など意味を成さない。

 

 暗黒が光に染まって行く。

 力を込め、憎悪を以て光線を更に強く放つが、ノアを押し返すことができない。

 そして稲妻超絶光線(ライトニング・ノア)が暗黒を消滅させる直前、ザギは一瞬で悟った。

 

 ──()()()()()()()()、のだと。

 

 自分の存在とは?

 伝説の超人(ウルトラマンノア)の模造品として奴らの道具にされる──それらに苦悩し、真の平和を齎すが為に万物を破壊し続ける。

 永遠の平和とは『虚無』。

 心と生命が消え去れば、苦しみも悲しみも消え失せる。

 

 そのはずだった。

 人間とは苦悩し続ける生き物。苦しみと悲しみしか生まない存在。そのはずなのに、なぜ──なぜノアはそんな奴らを守るのか。

 曖昧なものを信じて行くのが分からない。

 

 光は、なぜ闇に勝てる?

 闇は、なぜ光に勝てない?

 

 ダークザギに付けられたプログラムを以てしても、そこに解答はない。『夢』、『希望』、そんな不確実で意味不明で、道理もクソもない理由。それでいて、この世のどんなものよりも強い想い──そんなものでなぜ強くなれるのか分からない。

 

 自分(ザギ)が存在する意味など分からない。

 本物(ノア)を超えれば、意味が生まれる。そこに意味がある。

 

 故に、此処で負ける訳には行かない。

 十八年の時を経てようやく姿を取り戻し、ノアも復活した。負けられない。此処で負ける訳には行かない。

 

Noaaaaaaaaaaaaarrr(ノアァァァァァァァァ)──ッ!!』

 

 吼えた。

 吠えた。

 咆えた。

 憎しみの限りを、叫んだ。

 ザギに残された自己進化プログラムが、憎悪によって無限に進化を始める。

 闇を増幅させ、憎しみを猛る。

 

 ────その時、()()()()()()

 

『──ッ!?』

 

 ノアが驚愕した。

  押されていたはずの暗黒超絶光線(ライトニング・ザギ)が、稲妻超絶光線(ライトニング・ノア)の勢いを殺される。

 転瞬、二つの光と闇の光線は相殺。二人の間で大爆発を巻き起こし、青空を紅く染めると大地に爆風を散らした。

 

 ノアは空を見上げたまま再度攻撃の構えを取る。

 空高くから一直線上に落下する暗黒の流星。爆心地(グラウンド・ゼロ)を中心に暗黒破壊神(ダークザギ)が降臨する。

 

 だが、どこかザギの様子が違っていた。

 その背中には究極の翼(ノアイージス)によく酷似した暗黒の翼を備えている。似て非なる翼を持ち、ザギはゆっくりと立ち上がった。

 

『────』

『────』

 

 沈黙。

 互いに見つめ合い、油断をせずに横に動く。

 少しの油断もできず、少しの慢心でさえも命取りとなり、一瞬で決着が付く。

 

 両者共に両腕に力を込める。

 ノアの腕には紺碧の蒼き光、ザギの腕には紅蓮の紅き光。両者は対となる構えから両腕を開いた。

 放たれた超重力波動の光線──グラビティ・ノアとグラビティ・ザギの、対象を極限まで圧し潰す超重力の塊が衝突する。

 

 二つの同種に当たる光線が衝突すると、辺りの空間は圧し潰され、周囲のビル群が波動に耐えきれず一瞬で崩壊。

 

 二つの超重力光線が弾ける。

 

 銀色の救世主と暗黒の破壊神は互いの翼を広げ、その身に膨大なエネルギーを纏わせた。

 一瞬、二人は流星となりて衝突。測定不能の飛行速度で舞い上がり、光の尾を引きながら流星がぶつかり合う。

 それはもう超スピードの等という速度ではない。相応しい言葉があるのなら、あれはもはや()()()()と呼ぶ他ない。

 

 ザギの姿が消え、続いてノアも姿を消す。

 二人の神が姿を現したのは砂漠の地帯。一瞬早く姿を見せたノアに、ザギは背後から攻撃を仕掛けた。

 だが回避され、ノアの姿が消える。

 

 次に現れたのは()()()()()のどこか。

 二つの流星が暗闇の宇宙で舞い、衝突する度に振動と衝撃波を撒き散らしていた。

 神速で飛翔する流星は時折この次元から遊離する。

 互いに次元から離脱した途端、二人の神は次に相手がどこに出現するのか見当を付けて飛躍する。恐ろしい眼力と未来予知に勝るその予測能力は、決して間違うことがない。

 

 両者は一兆度の焔拳を同時に叩き込む。

 必殺技が炸裂して、吹き飛ばされた両者は距離を取る。

 肩を大きく上下させ、両者のエネルギーは極限まで増幅、そして使われ続けていた。

 

 やがて幾つもの次元を超えて、地球に戻る。

 二つの流星は舞い落ち、辺りの建物を破壊しながら態勢を立て直した。

 

 (ヒカリ)を受け継いだノアと、憎しみ(ヤミ)を糧としたザギ。二人の力は現在互角。この決着が付かない光と闇の勝負は、永遠に続くものだと思われた。

 だが、互角に思われたこの戦いは、圧倒的に()()()()()()()()

 

「頑張れ! ウルトラマン!」

「負けるなウルトラマン!」

「アイツを倒してくれウルトラマン!」

 

 辺りから湧き上がる声援。

 ノアは背中に受けた声援を力に拳を握り締める。

 そうだ──光の巨人にとって、生命の応援は何よりも強い力となる。憎しみとは全く違った概念。

 諦めない心こそが、不可能すらも可能にする。

 

 だがそれは、応援があればの話だ。

 

 ザギにとってはただの雑音。

 しかし進化したプログラムによって、その音を真っ先に消さなければならないと理解していた。

 

 ザギが吼える。ノアが気付く。

 ザギは一瞬でノアに声援を送る人間のに向けて、暗黒の光弾を撃ち放った。

 

 ノアが不利な理由、それは────()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 光弾が人間を降り注ぐ直前、ノアは両腕を広げ自分を盾にする。ノアの背中に光弾が直撃し、火花や閃光を撒き散らす。

 幾つもの光弾を受け止め、ノアは人類を見下ろし、優しく頷いた──それはまるで「大丈夫だ」とでも言うように優しく。

 

 その直後、ザギがノアを掴み空へと投げ飛ばした。

 

 空中へと舞い上がり、ノアはザギを見下ろす。

 ザギが両手を広げた瞬間、その身体から闇が広がり始めた。

 瞬間、太陽の光が消え去る。世界に遍く青空が暗黒へと呑まれ、全ての(ヒカリ)が闇に変わっていく。

 

 それはノアが持つ三大究極技『極限至高・次元封印(ノア・ザ・ファイナル)』と同じにして全く別の究極技。

 ザギの身体に流れ続ける暗黒を解き放ち、全ての遍く光を闇へと変えていく究極技。

 

 その名は──『極限至高・暗黒降臨(ザギ・ザ・ファイナル)

 

 それは光を闇へと変える。

 光を頼りとし、力とする伝説の超人(ウルトラマンノア)や、希望(ヒカリ)を信じ続ける人類にとって、その闇は邪悪そのものであり、効果が抜群の究極技だった。

 

 光が消える。

 ノアは自分の力が徐々に消えて行くのを感じ、人類はもう既に希望を失い、絶望の中で倒れる者もいた。

 光──それは心の拠り所であり、希望と強さの源。

 光を失った者は(ザギ)に従い、異生獣(スペースビースト)へと変化する。それ即ち『死』である。

 

『──フ』

 

 ザギが肩を揺らして笑みを溢した。

 そしてノアに手を伸ばして囁く。

 

『──()()()()

 

 ノアのエナジーコアから光が溶けていく。

 もう彼には既に、立ち上がる力すら無かった。

 片膝立ちになりながら、ノアは肩を大きく上下させる。

 光は闇へと変わり、暗黒の力は最早ノアすらも超え、宇宙を呑み込む程の大規模な闇へと変わっていた。

 

 模造品(ザギ)救世主(ノア)を超えた。

 

 その闇は意思を持ち、進化を続け、この結論に至る。『この(ザギ)を全て喰らえば、ザギをも超える闇のエネルギーが手に入る』のだと。

 

 ノアを殺す。

 動けずにいるノアの側に、ザギはゆっくりと歩み寄る。完全な止めを刺す為、両腕を引き絞り、暗黒超絶光線(ライトニング・ザギ)を使ってノアに終焉を齎す。

 

 その時────声が聞こえた。

 

「諦めるなぁッ!!」

 

 誰が叫んだのか分からない。

 だがノア──孤門一輝には声がはっきりと聞こえた。

 

「立って! ウルトラマン!」

「負けないでウルトラマン!」

 

 次々と声が響く。

 人類は闇という絶望に呑まれながらも、まだその一条に輝く希望を諦めていなかった。

 ノアは自分を奮い立たせ、命を静かに燃やして最後の力を振り絞り、また立ち上がる。

 

 ザギがその行動に驚愕した隙を見逃さず、ノアは超重力波動光線(グラビティ・ノア)でザギを吹き飛ばした。

 

 その瞬間、全てを呑み込んでいた闇がザギに降り注いだ。ザギの中に流れる暗黒を喰らい尽くし、地球上に漂っていた始まりの災厄(ビースト・ザ・ワン)の分子を吸収する。

 

 暗黒破壊神(ダークザギ)を超える闇。

 始まりの災厄(ビースト・ザ・ワン)が持つ無限の進化。

 この二つを得て、闇は最悪の邪悪を生み出した。

 

 真の闇が降臨する。

 その闇は、ウルトラマンノアですらも一歩退き、恐怖を抱く程の強大なエネルギーだった。

 

 闇が形を象り、今まで地球を恐怖と絶望に陥れた異生獣(スペース・ビースト)暗黒闇人形(ウルティノイド)の全てを得る。

 

 悪魔の如き暗黒の翼を広げ、全身に血管のような紅きラインが駆け巡った漆黒の身体。

 その瞳はザギとは異なり蒼く、鋭利な爪と牙を持ち、凶悪な顔の下──首元にはダークファウストとダークメフィストの顔が付いている。

 

 それは、全てを呑み込む闇そのもの。

 光を呑み込み、闇を超えた至高の暗黒。

 何者にもこの闇を消し去ることはできず、全てを虚無に変えるまで万物を破壊し続ける神を超えた魔神。

 

 その名は──究極暗黒魔神ダークルシフェル。

 

 ルシフェルは自分の身体をゆっくりと眺める。

 拳を握り、開く。その動作だけでも、大気中を張り詰める威圧感がビリビリと伝わってくる。

 今まで構えを取らなかったノアが、初めて構えを取り、拳を握り締めて強く相手を睨んだ。

 

 ルシフェルの側で倒れるザギ。

 力の源でもあった憎悪と闇を全て失い、ザギはまるで死んだように動かず、その場で倒れ伏せていた。

 ルシフェルはノアなど眼中に収めずザギを見下ろし、そして蹴り飛ばした。

 

 五万tあまりある巨体が、ビルを巻き込んで大地に転がる。するとルシフェルはザギの身体を踏み付け、更には何度も叩き付けた。

 踏み付ける度に地震のように日本中が揺れ、辺りのビルが崩れ落ちる。

 それは無雑作に憎悪を撒き散らして、人類に、ノアに恐怖を植え付けようとしていた。

 

 完全に無防備。背中を見せるルシフェルに向けて、ノアは両腕に超重力の波動を溜め、超重力波動光線(グラビティ・ノア)を撃ち放つ。

 だが一瞬だった。

 ルシフェルは振り返り様にたった腕一本で、超重力の光線を振り払ってしまった。

 

『────』

 

 紺碧の瞳がノアを捉える。

 憎悪と憎しみを極限までに圧縮したような眼光はノアを鋭く射抜き、その心に恐怖を植え付けようとする。

 刹那、ルシフェルはノアの背後に立っていた。

 

『──ッ!?』

 

 一瞬の判断で拳に一兆度の焔を纏わせて振り払う。

 だがルシフェルは、片腕でそれを受け止めた。

 まるで効いていない。それどころか、そのままノアの腕から一兆度の焔を吸収。ルシフェルの腕に暗黒の焔が纏い、ノアに叩き付けた。

 一兆度の焔──否、それの数倍、数十倍の火力に増加した一撃。ノアは幾つものビルを巻き込んで地面を転がる。

 

 地球全土を呑み込んだ闇はあらゆる生命の光を奪い、それを糧にしたザギは恐怖と憎悪によって更に力を増幅させた。

 ダークルシフェルはそれらを取り込んだだけでなく、地球上に散らばった始まりの災厄(ビースト・ザ・ワン)の無限に進化をする分子をも吸収した。

 

 暗黒破壊神(ダークザギ)は、自己的に進化をしなければならず、それには越えられない壁があった。

 始まりの災厄(ビースト・ザ・ワン)は、生命を喰らわなければ進化できず、それには限界があった。

 二つは無限に進化をするもの。だがいずれも、光には届かないものだった。

 

 ダークルシフェルはそれらを凌駕する。

 戦う事は必要ない。喰らう事も必要ない。ただそこに存在するだけで、無限に進化を続ける邪悪。

 ウルトラマンノアのスペックは既に超えた。

 たとえ、どんな奇跡が起きてウルトラマンノアがどれほど強くなろうとも──もうこの邪悪を超えることはない。

 

『──ノア』

『────』

 

 ルシフェルが右腕を振り翳した。

 瞬間、大気が揺れた。闇を切り裂いて、宇宙に漂う小惑星群が一気に降り注ぐ。

 

『──シュワッ!』

 

 ノアは残りの力を絞り出す。

 孤門一輝とて最後まで諦めるな事なんてしない。その心が、ウルトラマンノアの命を静かに燃やした。

 ルシフェルと同じように手を振り翳し、ノアは超能力を用いて流星群(ノア・ギャラクシー)を発動。小惑星群を呼び寄せる。

 一つでも破壊し損ねれば地球に甚大な被害を齎す。故に、全てを確実に破壊していく。

 

 たとえ伝説の超人ウルトラマンノアとて、数百数千とある小惑星を操るのは簡単ではなく、尋常じゃないエネルギーを消費する。

 だがダークルシフェルにとっては()()()()()

 

『──ウルトラ、マン……ノア』

 

 闇が溢れる。

 恐怖が滾る。

 ルシフェルに、暗黒に恐怖する者たち。その恐怖心が新たな異生獣(スペースビースト)を生み出す。

 既に地球の範囲は超え、太陽系、銀河系、多次元宇宙(マルチバース)へと規模は広がっていた。

 このままウルトラマンノアが負ければ、全宇宙は闇に呑まれ、異生獣(スペースビースト)が全ての宇宙を滅ぼす。やがては全宇宙の恐怖を糧に、ダークルシフェルが全宇宙を破壊する。

 

 突発的に現れた異生獣(スペースビースト)は、ルシフェルの命令に従ってウルトラマンノアを殺す。その数に制限は無く、現時点でノアの周りには百体以上。更に増え続ける。

 

 形容し難い恐ろしい異形の怪物は、ノアに向かっていく。ノアは全ての小惑星群を破壊し、全身に漲る光を両腕に纏わせた。

 闇を照らす極光。それはまさに光輝ある極光(シャイニング・ノア)。両腕から放たれる眩い輝きは辺りの異生獣(スペース・ビースト)を包み込み、一瞬で消し去る。

 だが、その輝きは街一つを呑み込むと一瞬で消え去った。今のノアのエネルギーでは、その一瞬が限界だった。

 

 ノアが膝を付く。

 胸に紅き灯火を照らすエナジーコアが、鼓動のような音を鳴らし点滅を始める。

 そのノアを見下ろし、ルシフェルはその凶悪な牙を揃えた口を開いた。

 

『ノア、なぜお前はこの弱き生命を守ろうとする?』

 

 ノアを鋭く射抜く紺碧の眼差し。心臓を鷲掴みにする獰猛な眼差しが、ノアへと問い掛けた。

 生命を守る理由──孤門一輝にとっても、ウルトラマンノアにとっても、特にこれといった理由などない。

 ただ昔からそうやってきただけのこと。

 決して生命は弱くはない。想いだけで、どんな道理よりも、どんな絶望よりも強くなる。

 胸の奥底で燃え続ける命。それが燃え尽きぬ限り、生命は何よりも美しく輝き続ける。

 

『なぜ光を信じる? 光など闇に呑まれてすぐに消える』

『…………光は、絆だ』

 

 孤門(ノア)は、そう呟く。

 彼ら絆を継ぐ英雄(デュナミスト)たちは絆を受け継ぎ、光をより彼方へと届ける。

 たとえ闇に呑まれて輝きが消えようとも──、

 

『──それは誰かに受け継がれ、再び輝く!』

 

 孤門が叫んだと同時、ルシフェルが()()()に吹き飛ばされ、大きく地面を振動させながら転がった。

 ノアが振り返った視線の先──そこにいたのは漆黒に身を包み、瞳に光を灯した()()()()()の姿だった。

 

 だが、なにかが違う。

 

 漆黒の身体は白銀に包まれつつあり、紅蓮だった赤き瞳は光へと変わっている。その姿からはさっきの憎悪と殺意は感じられず、ゆっくりとノアの近くまで歩み寄る。

 

 そして──ザギは拳を静かに開き、ノアに差し出した。

 

 その瞳に憎悪も殺意も何もない。

 あるのはただの『光』。かつての『闇』はそこになく、姿は然程変わらずとも、感じるのはノアと同格の光だった。

 今、目の前に立つ奴は暗黒破壊神(ダークザギ)ではない。

 ウルトラマンノアを模して造られ、そのプログラムから闇と憎悪が消え去った有り得べからざる姿。

 ようやくザギは気付いた。

 

 この力は──破壊のために存在するのではない。

 この力は──生命を守るために存在しているのだと。

 自分の存在に苦悩し続け、ようやく見つけた自分。

 

 この瞬間を以て──()()()()()()

 

 

 

暗黒破壊神ダークザギ

 

 

 

 絆を受け継ぐ究極の巨人(ウルトラマンノア)の横に立つその巨人。

 名付けるならば、光と居並ぶ究極の巨人。

 

 その名は────()()()()()()()()

 

 ノアは、ザギの手を取って立ち上がる。

 瞬間、ザギのエナジーコアが光を灯し、そこからノアへと光が与えられる。

 そのエネルギーを通して確信する。

 今のザギには『闇』も『憎悪』もない。なぜダークザギがウルトラマンザギへと変わり、光を得て立ち上がったのか分からない。

 

 しかし、ザギがウルトラマンに至ったのには一つの経緯があった。

 本来の未来にはなかった一つの奇跡。

 ルシフェルによってザギは闇と憎悪の全てを奪われた。それによってザギの身体には『負』が消え、残ったのは肉体と無限に続ける自己進化プログラムのみ。

 

 空っぽになった肉体の下に近寄ったのは、絶望しきっていた人間たちだった。

 ウルトラマンノアが必死に戦う姿を見た人間は、最後まで絶望に呑まれず、希望を信じてザギに声を掛けた。

 ただ──「助けて」と。

 

「お願い──!」

 

 ただ願った。

 

「ウルトラマンを助けて」

 

 ただ信じた。

 

「あなたも()()()()()()なんでしょ!」

 

 彼が模造品ではなく()()()()()()であると。

 人間にとってザギがノアの模造品などと知らない。ただ見た目が似ているだけで、ウルトラマンだと思っていただけの事。

 だがその思い込みこそがザギを変えたきっかけ。

 

 模造品でないと。

 自分がウルトラマンであると、人間がそう言った。

 

 ────()()()()()()

 

 僅かな希望に縋った人間が、ザギの歪んだ思考のプログラムを塗り替え──否、その人間の信じる想いこそがプログラムを大幅に上回った。

 このザギこそが、本来の姿であり、()()()が本当に望んだウルティノイド・ザギである。

 もうザギは模造品などではない。

 ウルトラマンノアと同格にして、絶望の闇に復活した新たなウルトラマン。

 

『──立て、ノア』

 

 ザギの手を握り締め、ノアはもう一度立ち上がる。

 ウルトラマンノアとウルトラマンザギ。

 二人の究極の救世主は己の身体に駆け巡る光を一気に解き放ち、地球を包み込む闇を全て打ち消した。

 その極光にルシフェルは顔を覆い、辺りの絶望から生まれていく異生獣(スペースビースト)の全てを消滅させる。

 まさに──希望の光。

 

『──なぜだ! なぜ貴様は立ち上がる!? ザギ、貴様はただの模造品でしかない。闇を失った貴様など星屑にもならない!』

 

 耳を聾するようなルシフェルの叫び。

 声を荒げてはザギの存在を否定し、()()()()()()だと豪語し続ける。

 かつて自分の存在に苦悩しては、歪んだ進化を遂げた末に、その思考は『破壊』を求め続けたザギ。

 だが、今そこにあるのは『破壊』ではなく『救世』にして『守護』。ノアの鏡写しとしてきたザギは模造品などじゃなく、()()のウルトラマンと新たに生まれ変わった。

 

 人々の信じた希望。

 ノアの繋いだ奇跡(キズナ)

 ザギは誰よりも近くでそれを刮目して来た。

 恨み、憎み、ただ最悪の概念として認識してきた物が、ザギにチカラを与える。

 

 救世主たち(ノアとザギ)魔神(ルシフェル)を睨んで構える。

 二人は己の背中に携える(イージス)をたたみ、極限まで素早く動けるように腰を落として力を込めた。

 

『──Grrrrrraaaaaaaaaaaッ!!』

 

 ルシフェルが吼え猛ける。

 転瞬──ルシフェル、ノア、ザギ、三人の姿が消えた。

 三つの光球は渦を巻きながら上空へと打ち上がり、暗黒に向かって二つの光が突進し続ける。

 光を超えて超光速。三人が巻き起こす戦闘の衝撃は宇宙全土に響き渡り、隕石だけでなく惑星をも消滅させかけていた。

 

 ノア・インフェルノとザギ・インフェルノ。

 一兆度などと常識を超えた超爆温の拳。

 

 かつて全知全能とされるレイブラッド星人が、ゼットンが持つ『一兆度の火球』を用いて平行世界を吹き飛ばそうとしていた事がある。

 

 渾身の一撃(フルパワー)で放たれる二人の拳は、それに匹敵するといっても過言ではない。だがルシフェルは、二つの拳を片腕で受け止めて弾き飛ばす。

 

 ルシフェルは超能力を扱い、小惑星群を二人に向けて突進させる。それだけではない──。

 

 ノアとザギの視界が染まる。

 暗黒の宇宙ではない。それは──惑星だった。

 太陽系で最も巨大で、地球の約十一倍ある木星。それがノアとザギに向けて投げられていた。

 

 地球を背にして戦っていたノアとザギは、ここで避ければ地球はどうなるのか一瞬の思考で悟る。故に、逃げなかった。

 二人は両手を大きく広げ、超重力波動光線を木星に向けて撃ち放つ。進行を続ける木星の動きは止まり、ルシフェルが念力で更に押し込めた。

 

 瞬間、木星は大爆発を起こす。

 宇宙に巻き起こる大爆発は炎を生み出し、視界が紅に染められると、その吹き荒れる紅蓮の中から、二つの光がルシフェルに突進。

 

 光は既に超えた。

 一動作一動作全ての動きが超光速へ至り、全ての攻撃が回避不能の必殺の一撃。

 だがルシフェルはその全てを受け止め回避する。

 ノアとザギ、ウルトラマンを超越したウルトラマン。その二人とルシフェルは互角に戦い続けていた。

 

 太古から全宇宙を守護し続けて来たノア。

 太古から全宇宙に破壊し続けて来たザギ。

 対となっていた二人は、闇が光に目覚める事で共に手を取り合う。敵対するのは暗黒を超えた魔神。

 

 今こそ希望(ノア)絶望(ザギ)が輝く時。

 

『──シュッ!』

『──ウァッ!』

 

 二人が構えた。

 爆大なエネルギーが全身から両腕に流れ、光に煌めく。ノアにはᐯ字の光、ザギには逆ᐯ字の光。一瞬の光を溜め込み、縦にした腕に拳を叩き付ける。

 

 ライトニング・ノアとライトニング・ザギ。

 二つの超絶稲妻光線は、真っ直ぐに狙いを過たずルシフェルへ伸びて行く。

 ただでさえ強力で強大なチカラを持った二人の最強の光線技。その威力は超新星爆発でさえも遥かに凌駕する。

 流星のように輝き、闇に伸びる二本の光線は暗黒の宇宙を照らし、ルシフェルに直撃。

 

『□□□□□□──ッ!』

 

 眩い光の粒子を散らしてルシフェルは受け止めた。けれども二つの超絶光線を受け止めきれる筈もなく徐々に押される。そして一瞬の閃光を撒き散らして大爆発を起こした。

 

 激闘の果て、勝利を収めたのは光の巨人。

 ────否。

 

 爆発したルシフェルの空間が歪む。

 宇宙に撒き散った紅蓮が渦を巻き、まるで元に戻るかのように──否、『時間』が巻き戻っていく。

 やがてその場の時間が巻き戻され、光線を受ける前のルシフェルがそこに現れた。

 肩を回し、何事も無かったかのようにノアとザギを睨んだ。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()

 それはダークザギも同じであり──当然、ザギを超えた闇を持つルシフェルも同じだ。

 ダークルシフェルの場合、自分の肉体が消え去った瞬間に()()()()()()()()()

 

 ──それこそ、()()()()

 

『──我は不滅。例え、あらゆる概念を操作し、我の存在を消そうとも、我が消える事はない』

 

 ルシフェルが顔を抑え、笑いを漏らす。

 無限にある多次元宇宙(マルチバース)、その中に恐怖がある限り、ルシフェルは不滅であり、ルシフェルが存在する限り、恐怖は存在する。

 

 それが──究極暗黒魔神ダークルシフェルの本質。

 奴こそが恐怖と憎しみであり、恐怖と憎しみがダークルシフェルである。

 

『──さあ、終焉の時だ』

 

 その言葉と共に、ルシフェルは両手を広げた。

 宇宙よりも暗黒に染まった『闇』がルシフェルに収束していく。ノア達はその『闇』に憎しみを感じ、漠然した邪悪な気配を感じた。

 

 故に、考えるよりも早く行動に移していた。

 

 ノアとザギは素早く予備動作を開始。

 ルシフェルに向けて稲妻超絶光線を撃ち放つ。だが伸びて行った光線は闇に包まれ、二人は驚愕。その中から、二人の光線が撃ち返された。

 

 超新星爆発にも勝る光線を自分たちで受け、二人は叫び声を上げながら宇宙で舞って行く。

 

 瞬間、闇が弾けた。

 無数の闇が幾つも形を作り、この全宇宙の過去や未来に残る恐怖の象徴を生み出す。

 

 

 一つ。

 それはかつて、宇宙の全てを破壊したとされる超進化を遂げた最強の怪獣。

 その名は、超進化怪獣ギラ・ナーガ。

 

 

 二つ。

 それはかつて、ウルトラ兄弟が全力を以て封印し、怨念を溜め続けて現れた究極の超獣。

 その名は、究極巨大超獣Uキラーザウルス・ネオ。

 

 

 三つ。

 それはかつて、恐怖を糧に成長を続け、全宇宙に死を齎す者として誕生した滅亡の邪神。

 その名は、宇宙恐竜ハイパーゼットン《イマーゴ》。

 

 

 四つ。

 それはかつて、名前を口にしただけでも呪われるとされ、最強の新世代(ニュージェネレーションヒーローズ)を一歩も動かずに圧倒した邪悪そのもの。

 その名は、邪神魔獣グリムド。

 

 

 全ての宇宙、全ての時間軸に残る恐怖の権化。ダークルシフェルの『闇』によって、最強にして最悪の邪悪たちが時を超えて顕現した。

 

 

『『『『□□□□□□□──ッ!!』』』』

 

 

 邪悪の神たちが吼え猛ける。

 その咆哮は多次元宇宙(マルチバース)中に轟き渡り、万物万象が震えた。

 

 ウルトラマンノアとウルトラマンザギの二人は、技の連発や長時間の激闘の末にエネルギーの大半を失っていた。

 相手は全宇宙を滅ぼしかねない最悪の敵ばかり。だがノアもザギも諦めようとはしていなかった。

 此処で退けば全宇宙は滅び、消滅する。

 だから逃げなかった。

 最後の最後まで諦めず、その矜持を捨てずに構える。

 

 その姿は、まさに『英雄』という言葉が相応しい。

 

 しかしその姿はルシフェルからすれば『英雄』ではなく『無謀』と言う他ない。

 この邪神たちはルシフェルの闇によって更に強化され、かつての力を遥かに凌駕する。

 だが、ノアとザギは構えた。

 

『──シュワッ!』

『──ウァァッ!』

 

 二人の光が声を上げる。

 全てのチカラを振り絞り、闘い抜く覚悟をした。

 どれだけ傷付き()燃え尽きようとも、二人は決して闇に屈する事なく闘い抜く。

 

 

 

 

 

 ────その瞬間だった。

 

 

 

 

 

 眩い輝きが、宇宙を照らした。

 金色に輝くその煌めきは多次元宇宙(マルチバース)中の闇を燃やし尽くし、光をより彼方へと届ける。

 その()()は、全宇宙を守って来た戦士達に届く。

 その()()は、全ての者たちの想いによって光を顕現させた。

 

 光は、闇を照らしてノアとザギに襲い掛かる邪神たちを吹き飛ばす。

 何が起こったのかルシフェルは勿論の事、ノアとザギにも理解不能の出来事だった。

 

 

 全ての神々と居並ぶ至高の伝説。

 その光は全てを超越し、その力と栄光が語られる英雄の伝説が、今此処に彩られる。

 極限至高の伝説が、今此処に絢爛す──!

 

 

 ──その時、誰もが上を見た。

 希望を信じた者たちの心が、彼らを呼んだ。

 絶望に呑まれ行く世界ならざる宇宙の果てより──伝説の英雄たちが、今こそ此処に顕現する。

 

 

 一人目。

 それは、あらゆる宇宙に語られる伝説の戦士。

 希望を諦めぬ伝説の巨人ウルトラマンレジェンド。

 

 

 二人目。

 それは、絆と想いによって生まれた無限の可能性。

 未来を築きし悠久の巨人ウルトラマンメビウス メビウスインフィニティー

 

 

 三人目。

 それは、本当の覚悟から生まれた奇跡の光。

 覚悟が望んだ奇跡の巨人ウルトラマンサーガ。

 

 

 四人目。

 それは、絆を以て邪悪な闇を打ち砕く新たな戦士。

 運命を変える神秘の巨人ウルトラマンレイガ。

 

 

 

 まさに神話の体現。

 この奇跡は、全宇宙で希望を諦めなかった者たちが祈り続けた結果。ウルトラマンを信じ続けたその想いが、彼らを呼んだ。

 

 あらゆる宇宙から現れた伝説の英雄たちは、ゆっくりと振り返り、ノアとザギに向けて手を伸ばす。光の粒子が二人を包み込み、失ったエネルギーを凌駕する力を取り戻した。

 

『──愚かな光の英雄たち。全てが闇に包まれるのを見ているがいいッ!』

 

 ルシフェルの号令と同時に、邪神たちが突進。

 

『──光は、絆だ』

 

 ザギが悠然と呟き、孤門(ノア)が紡ぐ。

 

 

『──その輝きは決して消える事はない!』

 

 

 その叫びと同時に、六人の英雄が飛翔する。

 ギラ・ナーガとウルトラマンレジェンド。

 Uキラーザウルスとメビウスインフィニティー。

 ハイパーゼットンとウルトラマンサーガ。

 グリムドとウルトラマンレイガ。

 

 全てを超越した者たちの激闘。

 一撃全てが必殺技であり、邪神と英雄は己の技を躊躇することなく全力で撃ち放ち続ける。

 

 ギラ・ナーガは惑星三つを貫き破壊する火力の光線を放つが、レジェンドはオーロラルパワーで吸収。接近戦に持ち込んで壮絶な戦闘を繰り広げた。

 

 Uキラーザウルスから放たれる無数のミサイルを、メビウスは目にも止まらぬ速さで全て回避。コスモミラクル光線を放ち、ダメージを与える。

 

 ハイパーゼットンは暗黒火球と瞬間移動(テレポート)を多様し続け、サーガは火球全てを相殺しながら瞬間移動に加速(アクセラレーション)で対抗していく。

 

 己の身体を超巨大化させ、グリムドはグリムボルトやグリムレイ等の変幻自在の攻撃をするが、レイガは全てを弾き、徒手空拳のみで闘い抜く。

 

 

 そして────、

 

 

 ルシフェルの放たれる闇に対抗するのは二人の光。

 法則を超え、理を壊し、概念を捻じ曲げるルシフェルだったが、何故かノアとザギはその存在を保ち、ルシフェルに怒涛の攻撃を仕掛け続けていた。

 

 存在を抹消。無理だった。

 時間停止。しかし奴らは動いた。

 百兆度の火球を、奴らは拳で相殺した。

 

 理解不能。理解フノウ。リカイフノウ。

 時が進むにつれ、戦う中で、ノアとザギは尋常ではない速度で進化し続ける。

 エネルギーが増大。必殺技の威力も、かつての奴らを凌駕している。

 

 ノア・スパークがルシフェルの身体を削り、怯んだ瞬間にザギ・ギャラクシーが発動。頭上に超巨大な暗黒の球体が召喚され、圧し潰そうと落下する。

 

『□□□□□□□□□□□□──ッ!!!』

 

 暗黒球体を破壊し、闇の波動光線を放つ。

 ザギが前に出て両拳を突き出しグラビティ・ザギを波動光線にぶつける。空間が大きく揺れ動き、ぶつかり合う衝撃は宇宙中に轟く。

 二人の競り合い。ザギの横からノアが飛び出ると、隙だらけになったルシフェルにノア・インフェルノを叩き付ける。小惑星を貫通させ、ルシフェルは地球に叩き落とされた。

 

 爆心地(グラウンド・ゼロ)を中心に砂を巻き上げ、クレーターを生み出す。

 苦痛に声を漏らし苦悶の表情を浮かべたルシフェルが空を睨み、なにを考えるよりも速く飛び退いた。

 瞬間、クレーターを二つの光が撃ち抜く。

 

『──貴様らァッ!』

 

 声を荒げると、二人の光が悠然と降り立つ。

 永遠と続く極限的な進化の果て。ルシフェルの無限進化に、ノアとザギは追い付こうとしていた。

 だがルシフェルとてただの『暗黒』ではない。戦い抜く度に無限に進化を続けている。そしてあの二人にルシフェルを仕留める手段はなく、ただ耐久戦。無尽蔵に闇を蓄えるルシフェルの方が優勢であった。

 

『──オォォォォォォォォッ!!』

 

 闇を増幅させ、憎しみを猛けた。

 まだ進化を続ける。更に強く、更に暗く、更に黒く、ルシフェルの身体に暗黒が纏い、宇宙全土を呑み込む闇を喰らった。

 

 ルシフェルが闇を振り払った。

 瞬間、ザギの身体が吹き飛ぶ。視線をザギに向けた直後、ノアが巨大な闇の手に掴まれた。

 

『──ッ!』

 

 自分の光をエネルギーと変え、力の限りその手を離そうとするが、ノアのエネルギーを吸い取り、闇の手は更に力を増す。

 一から一兆、爆発的に闇を強くする。超新星爆発にも無傷で耐えるノアの身体が軋み、身体中が悲鳴を上げた。

 

 ルシフェルの身体に纏う闇が振り払われ、凶悪な見た目へと更に進化を遂げた。

 究極暗黒魔神ダークルシフェルの究極最強形態(アトロス・ファイナル・スタイル)──デモニック・ダークルシフェル

 

 ノアとザギが光の究極最終形態(ウルティメイト・ファイナル・スタイル)なら──ルシフェルは憎しみをただ喰らった究極最強形態(アトロス・ファイナル・スタイル)

 

 ルシフェルは身体から闇を解き放ち、()()()()()を生み出す。

 かつてウルトラマンネクサスが、被害を最小限に抑える為に生み出していた不連続時空間(メタフィールド)

 ダークルシフェルの使うそれは不連続時空間(メタフィールド)の完全なる上位互換。多次元宇宙(マルチバース)にも劣らない規模の暗黒世界(ダークフィールド)を展開する。

 全てを闇で包み込み、闇が統べる。光は概念から消え去り、この世に残るのは魔神ただ一人。

 

『──全てを消し去る。まずは貴様らからだ』

 

 闇を纏って生み出した超巨大な手でノアを握り潰そうと、更に力を込める。光を喰われ続け、ノアの力は徐々に消えて行く。

 危険な状態にあるノアを助けるべく、ザギがルシフェルに飛びかかった。

 

 未来を予知。ルシフェルの動きを視る。

 その上で瞬間移動を駆使。超光速以上の速度で振り払った一兆度の焔拳(ザギ・インフェルノ)を、ルシフェルは視線を向ける事なく片腕で受け止めた。

 

 ルシフェルの腕を振り払い二撃目──側頭部を狙って回し蹴りをするが、首の動きだけで躱され、素早く足を組み替えて後ろ回し蹴り。だがこれはルシフェルの片腕によって容易く弾かれた。

 

 そしてルシフェルが腕を振り払う。緩やかに払われた腕から豪風が吹き荒れ、ザギの五万tあまりある肉体がいとも簡単に吹き飛んだ。

 

 想いによって無限に進化を続けるウルトラマンに対して、ダークルシフェルは己の憎しみによって無限に進化を続ける。

 もう既にノアとザギのチカラを超え、この世の何者にも勝る最強の魔神と化した。

 

 その瞬間に、エネルギーを奪われ続けたノアのエナジーコアから光が消えた。

 藻掻き続けていたノアの身体から力が抜け、ルシフェルは肩を震わせて不気味に笑った。

 

 

 その笑いは他の宇宙で戦闘を続ける戦士にも届き、力を増し続ける相手に苦戦を強いられていた。

 『全能の神』とすら言われるウルトラマンレジェンドでさえも、ギラ・ナーガの超進化には手こずり、未だ決着が付かずにいる。

 戦闘が長引けばいずれはレジェンドを超え、ルシフェルと互角に近い力を手に入れてしまう。

 

 Uキラーザウルスが無制限に放ち続けるミサイルは、一つが破壊されればそこから分裂して新たにミサイルを生み出す。

 厄介であったのは、新たに生まれた『受けた全ての攻撃をコピーする能力』。もう既にコスモミラクル光線すらもコピーし、無制限に放っていた。

 メビウスは回避し攻撃の手を止める事なかったが、例えスーパーウルトラマンといえどエネルギーの消費が激しく、いずれは敗北する可能性があった。

 

 ハイパーゼットンは瞬間移動(テレポート)を多様して翻弄するが、サーガは予知に近い予測能力を以て加速。

 両者は互角の力を持ち、戦闘が終わることのない暗示を示す。そこでハイパーゼットンが行ったのは、ルシフェルの闇によって生み出された『超分身』。

 一瞬によって生まれた分身は一千。その全てが残像ではなく実態を持つハイパーゼットンと同格の分身。

 

 グリムドに与えられし力は『憎悪を以て敵を打ち砕く闇』。レイガから受ける攻撃の全てを憎悪が変換させ、更に凶悪に、更に強大に闇を増幅させる。その巨躯は体長四kmにまで巨大化し、レイガの力を遥かに上回り始めていた。

 

 

 このままでは負ける。

 思考の隅でそんな言葉が過った。

 これが本物の『暗黒』。今まで味わったことのなかった『絶望』。そんな最悪の中で、ザギはルシフェルを恐れる訳でも、諦める訳でもなく──()()()()()

 

 今まで何故ノアが諦めなかったのか。

 何故人類は希望を信じ続けていたのか。

 今まで理解できなかった事を、ようやく理解した。

 

『負けたくない……。生命は皆──笑って明日を迎えたいのだな』

 

 絶望や憎しみから生まれる明日は何もない。けれども絶望に抗い、希望を信じ、憎しみを捨てる事で、新しく輝かしい未来が待っている。

 泣き、笑い、怒り、その輝かしい未来で、あらゆるものが生まれる。

 

『こういう想いか……』

 

 ザギは立ち上がる。

 かつて『英雄』が諦めず立ち上がったように。

 模造品として生み出され、ウルトラマンとしてまだ『青い果実』だったザギは此処で『英雄』へと変わる。

 己の身体に眠っていた『光』を呼び醒ます。眩い極光はルシフェルの視界を覆い尽くし、『闇』が悉く消え去って行く。

 

 ダークザギが使っていた究極技は『全ての光を闇へと変換させる』もの。だがウルトラマンザギの使う新たな究極技『極限至高・英雄勇増(ザギ・ザ・ファイナル)』は、『全ての闇を光へと変換させる』技である。

 

『ノア、お前の教えてくれた光を──絆を信じる。故に、我が肉体に生まれた光を──!』

 

 ザギの肉体が光に包まれる。

 全てを焦がす。

 その光は、戦闘の行方を見守る事のできない者たちにも届ける。『絶望』に照らす一条の『希望』。『闇』を照らす黄金の『光』を。

 肉体は光の粒子に変わり、ノアのエナジーコアへと全てが入り込んで行った。

 

 今こそ、復活の時──!

 

 ルシフェルの巨大な腕からノアが消える。

 辺りを見渡してもその姿はなく、上空から眩い極光が全てを照らし、ルシフェルが空を見上げた。

 

『なんだと……黄金の光……』

 

 ポツリと呟く。

 視線の先にいるのは一つの輝き。それは一気に光を増幅させ、ルシフェルの生み出した暗黒世界(ダークフィールド)を消し去った。

 輝きの中にいたのは、太古より全宇宙を守り続けて来た伝説の超人。

 

 その身に纏うのは宇宙を照らす希望の光(グリッター)

 そこには燦然と輝く──グリッターノアの勇姿が!

 

 黄金に眩く奇跡の光。

 誰もが、ノアを見て笑みを浮かべた。

 誰もが、ウルトラマンの勝利を望んだ。

 そして────、

 誰もが、ウルトラマンと共に『諦めず戦う事』を願った。

 

 『光』を信じ、『希望』を諦めなかった者たちの光が次々にノアへと集結していく。

 人は誰でも英雄になれ、光にもなれる。

 

 奇跡が生み出した希望の光──それこそがグリッター。

 

 一手目、腕を振り払った。

 空を割く一撃がルシフェルを吹き飛ばし、眩い輝きが新たな世界を生み出す。

 ネクサスが使っていた不連続時空間(メタフィールド)を、ザギや人々の光によって強化──ノアは、全ての闇を照らす世界を展開した。

 それはまさに黄金の宇宙。闇など一切ない眩い極光の世界。光の化身たるウルトラマンこそが唯一この場所で()()()を発揮する。

 

『──ノ゛ア゛ァァァァァッ!!』

 

 轟き叫びながらルシフェルが猛進する。

 拳に百兆度の焔を纏わせ、渾身の一撃をノアに叩き付ける。しかし驚愕したのはルシフェルの方だった。

 ノアは拳を片手で受け止め、軽く投げ飛ばした。

 

 空間を削り、ルシフェルが吹き飛んだ直後にノアは右腕を振り上げる。その動きに連動して地面から光の柱がルシフェルを穿いた。

 

『そんなバカな……傷が治らない!?』

 

 不滅性を持つルシフェルの誤算──それは、今この全宇宙から『恐怖』が『光』によって打ち消されている事。

 戦闘の行方を見る事のできない者たちでも、全ての生命が()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 その想いはノアだけでなく、他の戦士にも伝わる。

 瞬間──伝説の戦士たちの絆が一つになる。

 グリッターノアと同じ黄金の光を身に纏い、戦士たちは『全宇宙に遍く奇跡の絆(クロスオーバーフォーメーション)』を発動。

 黄金に輝きし戦士たちは一斉に必殺技の予備動作を開始した。

 

 ウルトラマンレジェンドが両腕を天に掲げた。

 メビウス インフィニティーは敵に向かって突進。

 ウルトラマンサーガは追撃を仕掛け、拳を握る。

 ウルトラマンレイガは右腕を掲げて光を溜めた。

 

 全身に漲る極光が巨人たちに集結。

 眼前で吼え猛ける暗黒に引導を引き渡し、太古から渡る光と闇の戦いに終止符を打つ。

 

 宇宙最強と謳われし究極の技。

 ウルトラマンレジェンドは両腕を天に掲げる。全身に漲る極光(オーロラ)が渦を巻いていき、大きく腕を回した。

 

『──ジュアッ!』

 

 更に腕を回転させた瞬間に放たれた《スパークレジェンド》がギラ・ナーガに炸裂。一瞬で消し飛び、光の粒子となって宇宙に溶けていく。

 

 宇宙最強のチカラを身に纏う技。

 無限に増え続けるミサイルを紙一重で全て回避。メビウスインフィニティーは遥か上空に飛び上がり、左腕のメビウスブレスに手を当てて爆大なエネルギーを解放する。

 

『──シュアッ!』

 

 七色の輝きを身に纏い、メビウスインフィニティーはコピーされたコスモミラクル光線すらも押し返しては、流星の如く一直線に突進。《コスモミラクルアタック》でUキラーザウルス・ネオを体内から一瞬で焼き尽くす。

 

 宇宙を轟かす覚悟の雄叫び。

 ウルトラマンサーガは胸の輝きからサーガエフェクトを発生させ、その強大なチカラを更に巨大化。一気に撃ち放つと、ハイパーゼットンの分身の悉くが消え去る。

 

『──サーガァァッ!』

 

 全ての覚悟(エネルギー)を拳に乗せ、ウルトラマンサーガはハイパーゼットンに向けて突き出す。放たれる暗黒火球を霧散させ、突き出された《サーガ・マキシマム》はハイパーゼットンに直撃。瞬間、大爆発を巻き起こした。

 

 宇宙の闇を打ち砕く絆の必殺。

 超巨大化するグリムドの攻撃を、恐れることなくウルトラマンレイガは受け止め、弾き飛ばし、一気に距離を詰めてレイガ・フォトンブローを以てグリムドを吹き飛ばす。

 グリムドが怯んだ瞬間、レイガは右腕を掲げてから両腕を引き絞った。

 

『──シュワッ!』

 

 七色の輝きがウルトラマンレイガに集結。

 両腕で十字を組んだ直後──《レイガ・アルティメットブラスター》が撃ち放たれ、グリムドの瞳を狙い過たず撃ち抜いた。

 

 

 そして、残されるは暗黒の魔神。

 グリッターノアは地球にて人々の声援を受けながら更に進化。超絶強化されたライトニング・ノアでルシフェルの身体にダメージを与える。

 人々の光によって全てが強化されているグリッターノアの光線を以てしても、ルシフェルは耐え切り、両腕を突き出して暗黒の光線を放った。

 空間を削り次元崩壊すら引き起こす光線を、ノアは両腕で受け止めて無理やり振り払う。一歩を踏み出して一気に距離を縮め、ノア・インフェルノからノア・スパークと流れるようなコンボでルシフェルを吹き飛ばした。

 

『──ウルトラマンノアァァァァッ!』

 

 ルシフェルが全ての闇を溜め込む。

 肉体にも精神にも感じるほどの爆大な闇。ヤツはこの全てを吹き飛ばすつもりでいた。

 最後の一撃。これを以て光と闇の戦いが終わる。

 思考は一瞬だが、それでも時間は進む。

 

 光と闇、互いに足を踏み込む。

 ルシフェルに闇が集まる。そしてノアの背中に備えられた究極の翼(ノアイージス)が変形して伸ばした腕に装着。その形はくの字に変身した究極にして最強の弓。

 

 その技は『名前』のみで、詳細は一切不明。

 ウルトラマンノアが持つ最強の究極技であり、それはかつて未だに使われたことが無かった。

 

 

 ────なぜ?

 

 

 それはウルトラマンノア一人だけでは、放つ事すら叶わない究極技だからである。

 全身を巡る光が究極の弓に込められ、辺り一帯から金色の光が徐々に集められて行く。

 ザギが残した光と、光となりノアと共にある人々の光がこの技の使用を可能としていた。

 

 

 それこそ光を糧として、絆を紡ぐウルトラマンノアの究極技──燦然たる輝きを以て闇を穿く希望の矢が今此処に絢爛する。

 

 

 

『──ウルティメイト・ノアッ!』

 

 

 

 全力を以て引き絞られた輝きの矢が放たれ、その勢いはノアが踏み締める大地にクレーターを生み出すほど。奔り抜ける光矢は大地を削り、大気を吹き飛ばし、宇宙に轟かせる。

 膨大なエネルギーが巻き起こす光の奔流。立ちはだかる闇の悉くを打ち払い、闇の彼方へと伸びる──まさに一条の光。

 

 これは孤門だけじゃない。ノアだけでもない。

 光となったザギの願い──未来を信じた人々の想い、ありとあらゆるらもの全てをその矢に乗せていた。

 

 理由はいらない。道理は必要ない。

 意味もない。確実じゃなくていい。

 だがこの世のありとあらゆるらものよりも強い想いだけを感じて、その願いだけを信じていた。

 

 

 闇を滅する燦然たる想願(ウルティメイト・ノア)

 それは希望の矢。

 絶望を生み、暗黒の彼方へと導く闇。この輝きは全ての者に応えるもの。それに勝るものはなにもなく、それを超えるものは存在しない。

 ただ強い想いに応える。それのみだ。

 

 ──故に!

 この世のなによりも強く、なによりも明るく輝き続ける。流星にして魂の約束を、光を望んだ者たちに届けて行く。

 

 立ち塞ぐ闇の波動は一瞬にして押し返される。

 束の間、すべての物語がゆっくりと流れた。

 散りゆく光と闇がスローモーションで視界に映じる。舞い散り消え行く光の中で、ルシフェルと眼が合った。

 ヤツは、短くポツリと呟く。

 

『──闇が負けるなど』

 

 風の吹き抜ける音が耳の奥で響き、時間の流れが戻る。

 光矢が暗黒を撃ち抜く。瞬間、一瞬の閃光。

 そして────、

 

Noaaaaaaaaaaaaarrr(ノアァァァァァァァァ)──ッ!!』

 

 天を覆い尽くさんとばかりの爆発が巻き起こり、荒れ狂う炎がルシフェルの咆哮と轟き、儚くも光と共に消えて行く。

 

 

 

 やがて────、

 炸裂した紅蓮は光に満ちる。そして無数の星々、無限の宇宙、月光もない闇が、祝福するように光で消えた。

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