仮面ライダーハーメルンジェネレーションズ外伝 仮面ライダーツルギVS仮面ライダーシェリフ 作:大ちゃんネオ
「カンナ……!」
対峙する二人の仮面ライダーと魔性の女、カンナ。
今回の事件の黒幕であり、謎多きこの世界の悪性との邂逅。
ツルギとシェリフに緊張が走る。
「お前の目的はなんだ! 俺を利用して……!」
シェリフの怒号。
カンナに対する怒りは利用されたからこそ。
利用されてしまって自分自身への怒りも含まれてはいたが、それゆえにシェリフの怒りはこれまでにないほどであった。
だが、そんな怒りを向けられてもカンナには何も響かない。
「黒神恵理也……。何故、生きているの……?」
「質問に質問で返すんじゃねぇ!!!」
「私の能力……"停止"によってあなたは私の虜になった……。利用価値の無くなったあなたはあのまま尽きて、消えていくだけのはずだったのに……」
「そんなこと俺が知るかよぉぉぉ!!!!!!」
「ッ! 駄目だ恵理也さん!」
殴りかかるシェリフ。ツルギが止まるよう叫ぶが怒りが爆発した彼を止めることなど出来ない。
カンナに向けて突き出される拳。
だが、白い花弁のような障壁が阻む。
「チッ!」
「……」
シェリフは障壁ごと殴って押し切ろうと更に力をこめる。だが、障壁が突如吹雪となってシェリフを襲う。
諸に食らい、全身から火花を放ち後退させられたシェリフにツルギサバイブが駆け寄った。
「大丈夫ですか!」
「御剣燐……。あなたも、どうして生きているの……? 殺されたはずでしょう……?」
次に、ツルギへと同じ質問をカンナは投げ掛ける。
その問いに、ツルギは毅然と答えを投げ返した。
「仮面ライダーだからだ」
「仮面、ライダー……」
「お前達のような悪をそのままに死ぬなんて出来るかッ!」
スラッシュバイザーツバイを構え、カンナに向かいツルギサバイブは駆ける。嵐となりて、放たれた砲弾のごとき勢いでカンナとの間合を詰めスラッシュバイザーツバイを振り下ろす。
「……!」
「なッ……!?」
瞬間、カンナの姿が変貌した。
真白い雪の華を思わせる怪人態に。
振り袖のような前腕から垂れる衣でツルギサバイブの斬を受け止めると、吹雪を放ちツルギサバイブを攻め立てる。
「くっ……! こいつ、は……」
吹雪を風の障壁で防御し、一旦カンナから距離を取るツルギサバイブ。
シェリフと共に、カンナ怪人態に向き合った。
「やはり、彼女は……」
「ドーパント、じゃねえな……!」
「……私は、デリーター。ヴァンダル・リーグの一柱……」
「ヴァンダル・リーグ……」
それが、敵の名と息を飲む燐。
改めてカンナと向き合い直すとその強大さを感じられずにはいられない。
どれほどの力を持つのか、どのような能力を持つのか。
頭の中で、仮想戦闘。
戦略を組み立てていく。
だが、そんなことをしている暇が無くなった。
「ダンベルだかなんだか知らねえが……お前だけはこの手でぶっ潰すッ!!!」
「恵理也さん! むやみに突っ込んじゃ!」
「うおおおお!!!!!!!」
「……私をこの姿にさせたこと、後悔させます……」
愚直にも真っ直ぐカンナへと向かっていくシェリフ。
先程と同じ轍を踏むとしか思えない行動にカンナもまた、同じく吹雪の攻撃を繰り出した。
凍てつく白がシェリフを襲う。
「恵理也さん!」
「……ぉぉおおおおお!!!!!!」
「……!」
吹雪の中から、現れる黒。
仮面ライダーシェリフは吹雪を突っ切り、カンナとの距離は零距離。
シェリフの拳が、カンナ怪人態の顔面を捉えた。
白き異形が泥の中に倒れ、シェリフは雄叫びを上げる。
「しゃあっ! まず一発!」
「何故……?」
その痛みはカンナにとってあり得ないものであった。
カンナはシェリフに驚愕の視線を向ける。
そして、更に驚愕。
「シェリフから、何かが吹き上がっている……」
ツルギの言葉の通り、シェリフの体から黒い炎のようなものが燃え上がっていた。
オーラのようにも見えるそれは見た者にこう思わせる。
危険、と。
「まさか……適合率が……」
ガイアメモリの知識を有しているカンナは、今のシェリフの状態について一つの仮説を立てた。
シェリフが使用しているハザードメモリと黒神恵理也の適合率の高さから来る現象だと。
ガイアメモリは人と惹かれ合うと言われている。
人それぞれに運命のガイアメモリがあり、黒神恵理也とハザードがそれなのだと。
「あなたは……危険……」
再び吹雪を放ち、シェリフを牽制する。
この攻撃が今のシェリフに効かないことは百も承知。
だから、牽制なのだ。
カンナの左右に形成される、杭のような巨大な氷塊。
「チッ!」
ミサイルの如く放たれる氷塊。
流石にあれを喰らうのは不味いとシェリフは回避の姿勢を取る。
【SWORD VENT】
その音声が鳴り響くと、氷塊に向かって何かが空を翔た。
氷塊とそれは正面からぶつかり合い、氷塊は二つとも両断され勢いを失い失墜。
氷塊を切り裂いたそれはツルギサバイブのもとへ戻り、彼の纏う風に乗り浮遊した。
風に乗り、変幻自在な機動を魅せる六枚の龍の鱗、リュウノゲキリンである。
「僕もいるぞ!」
「ツルギ!」
「行きましょう、シェリフ!」
「おうッ!」
シェリフとツルギが並び立ち、今一度カンナへと立ち向かうダブルライダー。
それを迎え撃たんとカンナは先程まではまだ全力の1/10ほどであったと言わんばかりの冷気を放ち、出力を増した吹雪と氷塊弾の一斉射。
二人の仮面ライダーを襲う氷河であったが、二人がその足を止めることはない。
「僕が道を切り開きますッ!」
「ああ! そして俺が決めるッ!!!」
ツルギサバイブの烈風がカンナの吹雪と拮抗し、迫る氷塊達はリュウノゲキリンとスラッシュバイザーツバイで切り裂き、徐々にカンナへと距離を詰めていく。
「やはり……仮面ライダーはあってはならない……。私の、この手で……刈り取ります……」
更に勢いを増すカンナの攻撃。
徐々にツルギサバイブが押されていく。
だが、これで諦めるような男ではない。
ツルギは、賭けに出た。
氷塊の迎撃に当たらせていたリュウノゲキリンを集結させ、スラッシュバイザーツバイの刀身に纏わせる。
大剣形態となったスラッシュバイザーツバイを風の力で振り上げ、斬る────。
「ぜあああああああッ!!!!!!」
吹雪と氷塊が切り裂かれ、カンナへの道が開かれる。
「シェリフッ!」
「決めるッ!!!」
《Hazard!!Maximum Drive!!》
「ライダーキックッ!!!」
大地を蹴って、放たれる奥義。
黒いオーラを靡かせ、ツルギサバイブの風も身に纏い、悪を滅する怒りのパワーが炸裂する。
「くっ……」
カンナは障壁を形成し、ライダーキックを阻む。
シェリフ一人だけの力であれば打ち破れなかったであろう。
だが、このライダーキックはツルギの力も加わった二人で紡いだライダーキック。
カンナ一人の力でこれを防ぐなど、不可能。
「おらぁぁぁぁぁ!!!!!!」
破られる、氷のバリア。
カンナ怪人態の胸にライダーキックが直撃する。
吹き飛ぶカンナは地面を転がり、人間態へと姿を変えた。
純白の着物は泥で汚れ、雪のような肌をも汚していた。
「まだ、私は……」
「チッ……。存外、しぶとい奴だ……! もう一発喰らわせ……ガハッ!」
幽鬼のように立ち上がるカンナに対し、今度はシェリフが膝をついた。
変身が解除され、吐血する恵理也の姿が晒される。
「恵理也さん!」
カンナから庇うようにツルギサバイブが恵理也の前に立つ。
ファイナルベントという切り札を切ってしまったが、まだ残るカードで打倒は可能だと構える。
「仮面ライダーは……私が……」
『カンナ』
「どこから声が……!」
どこからか響く荘厳な男の声。
敵の新手かとツルギは得物を握る手に力が入る。
恵理也も戦おうと立ち上がろうとするが身体に激痛が走り、泥に沈む。
メモリの力が最大限にまで高まったことによる反動が恵理也の身体を痛め付けている。
『仮面ライダー。今回はこれで手を引こう』
「なに……?」
『我々、ヴァンダル・リーグはガイアメモリによる計画を破棄する』
「……そう、ですか……。しかし、まだ私は……」
『カンナよ、傷を癒すのだ』
謎の声がそう言うと、カンナの姿が陽炎のように消えた。
逃がされたかと、内心舌を打つツルギは声の主に向かって叫ぶ。
「お前は……お前達は何者だ! 何を目的としている!」
その叫びは虚空へと消えゆく。
謎の声はもう彼等に語りかけることはしなかった。
「くそ、が……!」
恵理也はそう吐き捨てると同時に意識を失った。
恵理也の名を燐が叫ぶ。
戦いは終わった。
しかし、謎を多く残したまま。
二人にとって、後味の悪い戦いになったのであった。