サマナー?の日常 外伝 作:むむむ
違法COMPを回収したことが評価され上司から仲魔をもらった。
「やーい! ざーこざーこ!」
「こんのガキ……」
━━押しつけられたの間違いだな。
適当な理由付けてコイツを手放したかったんだろうよ。……ふざけてやがる。
……褐色の少女の妖精。
手にGUNPを持ち見下しながらひたすら煽る。
まさか盗まれるとはな。
大人しそうだったから油断しちまった。
人の形をしてようが悪魔ってことか。
フォルネウスとデカラビアが変わり者だからな。
大丈夫だろう、と軽い気持ちでいた。
仲魔には恵まれてたんだな。
はぁ……拳銃じゃないだけマシだと思うべきか。
「弱い弱ーいに妖精なんかにCOMP取られるってどんな気持ち? ねぇどんな気持ち?」
……眉間に風空けてやろうか?
壁に穴が空く未来が見える。
ムショにぶち込まれる未来もな。
冷蔵庫を開けて缶ビールを取り出す。
「……後で返せよ。ったく……んぐっ」
プシュッとプルタブを引き抜く音。
勢いに任せ喉に流し込む。
…久々の休み。
三賀日の最後だけ休みとかふざけんな。
ガキに構ってられるか。
「逃げるんだー? しっぽを巻いて逃げるんだー? ぷふっ、雑魚サマナーじゃん」
……うるせぇな。
「……はいはい雑魚だ雑魚。雑魚は雑魚らしくひれ伏しとくから起こすんじゃねぇよ?」
「うわぁー雑魚って自覚あるんだぁ。……サマナーやめちゃえばぁ?」
無視だ無視。
飲み干した缶ビールをゴミ箱に投げる。
外したか……後で入れりゃいいだろ。
新調したソファに寝転がる。
……なにがクリスマスプレゼントだ。
こちとらガキの世話したくてサマナーになったつもりはねぇっての。
突っ返してもいいが…………クソッ。
妖精は珍しい種族だ。強いか弱いかといわれれば弱い分類だな。
ピクシーなんかは初心者入門向け悪魔とも言われてるが間違い。滅多に出会えないし大体がやスライム、餓鬼辺りを初期仲魔にすんだろう。
知る限り複数体仲魔にしてるサマナーは
当たり前のことをいうが悪魔召喚プログラムはあくまで召喚をするプログラム。制御できるわけじゃねぇ。
気まぐれの妖精がいうことを聞くかといわれれば正に本人次第だ。……スライムと餓鬼も怪しいところだがな。
交渉成立なんて夢のまた夢、よしんば仲魔にできても逃げられるってことは珍しくない。
それ故に裏で高額で取引されたりする。
現金ではなくħでだ。ピンキリだが定価でピクシーが50000ħぐらいか。
一番安い
1ħのレートは100円。
……面倒な悪魔押しつけやがって。
「……面白くないの。あ…えいっ! …きゃっ!?」
「ん? なんだサマ」
あん? 呼んでね……っ!? ……なんだなんだ!?
轟音が響き強い揺れが起こる。
……止まったか。地震にしては……違和感が……?
……立ち上がる。
褐色の少女……
一点を見つめ尻餅をついていた。
視線を辿れば━━
「……は?」
なんで壁にフォルネウスがめり込んでんだ。……そういうことか。
ナジャが落としたGUNPを拾う。
「…ぁ」
「
短気じゃねぇから大丈夫だろうが殺し合いに発展したらデカラビア呼ぶだけだ。
「……はい」
事の重大さに気づいたのか項垂れる。
……パスワード設定しとくか?
旧型のせいでルーン文字になっちまうけど零距離なんてされりゃ流石のフォルネウスも木っ端微塵だ。
もうやんねぇだろうけど。
さっきの威勢はどこにやら。
黙りをきめている。……自分もされると思ってんのか?
アレ見ればビビるか。
……しゃあねぇな。
「安心しろ」
ナジャの頭に手を置く。
……風呂入れた方がいいか?
「んっ」
「あんな召喚しねぇから。……フォルネウス以外は」
「……弾切れしたら」
「GUNPで殴り倒せばいい。……風呂入ってこい。臭うぞ」
COMP全般にいえるが頑丈だからな。並の刃物なら傷一つ付かねぇよ。
「っ! ……へんたーい」
気になるのか臭いを嗅ぐ。
……悪魔でも女の子か。中途半端に寄ってるから割り切って扱えねぇな。
「男はみんな変態だ。着替えは洗濯機に入れとけ」
「そういって脱ぎ捨てた服に変なことするつもりでしょうー? ローリコン」
減らず口は変わらない、か。
「ちんちくりんに興味はねぇよ。グラマラスになって出直してこい」
「……ふーんだっ! 変なことしたら警察に通報するんだから」
「その
停職食らってるけどな。
「え…? ……今度から嘘つきって呼んであげる。……ふんっ」
…………ガキは嫌いだ。
なんでコイツを渡したのか分からねぇ。分かりたくもねぇ……。
どうせ面白そうとかそんなクソみたいな理由だ。
……クソが。
「サ、サマナー……引き抜いて…く、れ…」
……忘れてたわ。
「すまんすまん」