作戦など無い。
ただ全力で、怪物に向かって駆けていく。
〝アシストレベルを引き上げます。負荷の上昇に注意してください〟
視神経に走る痛み。眼球が熱く、充血する気配。
それと共に、視界に大量の情報が浮かび上がる。
レーダーやマップ、相手との距離のような、俺にも分かる基本的戦闘情報。そして、
「■■■■■……!」
蹄が地面を踏みしめる。
魔獣は、その中から一際大きい長銃を引き抜いた。重機みたいな音を立てて、ミノタウロスが両手に重火器を構える。
常識破りの
避けはしない。あえて浴びるように身を晒す。
元より、これ以外に策などない。
見上げるような化物が、シュウ、と口から蒸気を漏らした。
極限の集中の中、絞られていく引き金。
来る。来る、来る、来る――!
――轟。
世界を掻き毟るような銃声の二重奏。
嵐の如き銃撃豪雨が、俺の体へと突き刺さり、
〝あなたは、銃弾を〝あなたは、3個の銃弾を拾〝あなたは、5個の銃弾を拾っ〝あなたは、9個の銃弾を拾っ〝あなたは、13個の銃〝あなたは、18個の銃弾を拾っ〝あなたは、25個の銃弾を拾〝あなたは、32個の銃弾を拾った〟〝あなたは――〟
〝――あなたは、
そのまま、自らの射手へと跳ね返った。
賭けに、勝った。
俺の身体には傷一つ無い。空気を裂く衝撃波ごと銃弾を『収納』し、ヤツに向けて跳ね返した。
やった。やったはずだ。頼む通用してくれこれで無理ならもうどうにもならない頼む――!
「『■■■』」
さらり。
銃弾は、怪物に触れた瞬間、塵になった。
「クソが!」
当然ながら損傷無し。わずかに眼を見開いていたような気もしたが、それだけだ。動揺すらしていない。
苛立ちのままにシャベルを投げつけた。
柄まで金属製のそれを、ミノタウロスは避けもしない。俺に通用しないと分かった重火器を捨て、空いた手で羽虫を払うように脆弱な飛び道具を弾く――
直感だが、恐らくヤツも『重量』だ。土に含まれる金属粒を加工したり、その逆に数十グラムがせいぜいの銃弾を金属粒に還すことは出来るが、今投げたシャベルを金属粉にしたり、重火器を別の白兵武器に加工したりはしない。なら、ある程度の重量があればすぐには加工できないと見た。
ならばこれは通じる。いや、今の作戦が通用しなかった以上、後はこれに託すしかない。
無手のまま突撃した。
相手も、武器作成は連続して行えないのか、あるいはこちらを舐めているのか、ゆらりと巨大な掌を伸ばしてくる。
互いに素手。しかしリーチの差は歴然。先に届くのはあちらの方だ。何せ単純にサイズが違う。
要は間合いの問題。――それならこちらが先に届く。
早すぎても遅すぎてもダメだ。
巨腕の射程距離に入る直前に。
俺は、長槍を『取り出し』た。
「――――」
何も無い所から武器が出てくるのは、流石にヤツも予想外だったらしい。
一瞬の停止。
狙い過たず、穂先は怪物の胸元に突き刺さった。
「……っ」
しかし、それだけ。ほんのわずか一センチ突き刺さるだけ。それ以上は進まない。まるで岩を突いたかのようだ。俺の腕の骨の方が痛む始末。硬度がそもそも生物のそれではない。
「■■■■――」
元より、存在としての格が違った。
かすり傷を付けるだけのひ弱な人間に、今度こそ魔獣の掌が迫りくる――
――ところで。
俺の能力だが、炎を浴びても銃弾を浴びても服は無事な様子を見るに、どうやら俺だけでなく、俺が身につけている物も俺の一部として『収納』能力を持つらしい。
だとするなら。
俺が身につけている物が俺と同じ能力を持っているとするのなら。
それには『収納』する能力だけでなく、『取り出す』能力も当然にあるのではないだろうか。
「■ッ、ガァアアアアアアアアッッ!?!?!?」
仮説は無数の刃の発生により証明された。
僅かに食いこんだ槍の先から『取り出さ』れる、短剣包丁刀鉾槍長剣長槍三叉槍。
魔獣の背中を突き抜け、血の噴水と共に咲き誇る武器の華。
人智及ばぬ怪物が、初めて生き物らしい叫びを上げた。
〝あなたは、
しかし、俺への反作用もゼロではなかった。バトルモノなら空間属性の技は防御無視というのがお決まりだが、俺の『取り出し』は単純に強い力で障害物を押し退けているだけのようだ。穂先から生え出した武器の勢いに、反対方向へと弾き飛ばされる。
「っぎ……!」
ろくに受け身も取れず地面を転がった。
だが、やった。確かに心臓を穿ち貫いた。確実必殺致命傷。
これで、と、確信のままに立ち上がりながら振り返り、
「な」
怪物の拳が、寸前まで迫っていた。
〝あなたは、悲痛な叫び声をあげた〟
土手っ腹で爆発が起きたかと思った。
五臓六腑が揺れる。視界に赤い色が混じる。バラバラになりそうな衝撃が、鳩尾から末端まで響き渡る。
酩酊、酩酊、酩酊。痛みより苦しみより先に吐き気がした。絶叫混じりに吐瀉される血。
「おげ、っが、ば、ぁ!? あ、っぎ!?」
何も考えられない。何も感じられない。脳が全く役に立たない。気持ち悪い、苦しい、痛い。
ガシャン。咄嗟に腹から『取り出し』て盾にした鉄板と、クッション代わりに挟んだ段ボールが地面に落ちる。
防御が間に合ったのはただの奇跡だ。即死は、即死だけは避けられた。だが、もう、無理だ。立てない。いや、立つどころか指の一本さえ動かない。もはや可動する部位は眼球だけだ。
脅威を見上げる。ミノタウロスは十メートル近く離れた場所にいた。今のパンチで、それだけの距離をふっ飛ばされたのだと理解する。
ダメージは、あった。
俺が放った攻撃は確かに致命傷だった。
怪物はふらつきよろめき、瀕死という言葉が相応しい状態だ。
だがその怪物は、出血量が増えることも
「■ッ、■ァア――」
ベキボキゴキガキグキ、と、唇を裂きながら強引に刃を咀嚼する。鋼を噛む。鉄を食う。そして――喰らった分で補填したかの如く、胸の穴が塞がっていく。
瞬きの間に回復は完了した。
完全に傷が無くなる。どころか、その肌は鋼の色を帯びて、硬度を増したようにさえ見えた。
〝――兵主神『
頭の中で、声が響く。
〝人の身体に牛の頭と鳥の蹄を持ち、石や鉄を喰らったとされる中国の魔神。
戦の神であり、ある書では「この世の優れた金属の武器は、全てこの神に造り出された」とも語られます〟
〝現在表示できる情報数:3。
一つ。それは、金属の武装を錬成する。
二つ。それは、金属を食らって回復する。
三つ。それは、金属を食らう度に硬質化する〟
なん、だそりゃ……。じゃあつまり不死身ってことじゃないか。ここの土、全部が金属含んでるんだぞ。使い切らせろとでも言うつもりか……?
〝
なら、結局無理じゃねえか。いや、そうでなかったところで、俺は、もう――
〝推奨:気合〟
急な精神論やめろ。
〝
好き勝手言いやがって……! こっちだって踏ん張ってはいるんだよ……!
力の入らない俺に、鈍い足取りでミノタウロス――いや
黒土の凝縮と共に錬成されていく長大な破壊の斧。振り上げられる鉄塊が、俺の身体に影を落とした。まずい、死ぬ。
だが、斧はそこでピタリと止まる。
困惑する俺。
ただ、苦悩に悶えるように顔を歪める。
歪めて、歪めて、歪めて――、歪まりきって変形する。
「■、■■ァ、ぎっ……! ぐ、ぅ、
変形した果てに現れる――人間の、顔。
「
十日ぶりの親友の顔。
理解する。つまり、そういうことだ。こいつもあの四人と同じだ。あの副担任によって化物に変えられた内の一人だった。
「あ、あァ、頼、む、空間――」
「分かっ、てる……! 大丈夫だ、どうやって助ければ――」
「――殺してくれ」
は?
「頭だ……脳を吹っ飛ばせば、死ぬ、死ねる……! だから、」
「ナメたことほざいてんじゃねえぞ馬ッ鹿野郎がァアアアアアアアアアアアア!!」
いつの間にか、勢いよく立ち上がって馬鹿の頬に右ストレートを叩き込む俺がいた。なるほど、確かに気力の問題だ。
「何が殺してくれだクソボケ! これ以上おかしくなる前にとかそういうアレだろンなモン気合でどうにかしとけこの根性無しがァ!
「テメ、こ、の、馬鹿、空■、■■■■■■――ッ!!!」
埋没するように
今度こそ振り下ろされる長大な斧。それを、表示されていた攻撃予測線を頼りに一瞬早く回避した。そのまま、斧での連撃を気合で躱す。
飛び退く俺。唸る
鈍重な斧では捉えきれないと判断したのか、一度捨てて新しい武器を造り始めている。ほんの数秒、余裕が生まれた。
しかし実際問題どうする。どうすればアイツを殺さず無力化できる?
〝難易度は
答えなんて決まっていた。
〝了解しました。以下、攻略のヒントを表示します〟
〝方法自体は簡潔です。殺さずにダメージを与え続ければ、迷宮主:
〝それは、回復するほど硬質化する。しかしノーリスクではありません。先の硬質化以後、柔軟性の低下による速度低下を確認。このまま
なるほど、確かに簡潔だ。
後のことは考えない。今は室久の無力化だけに集中する。
アイツの身体を
生命質量とやらの意味は分からないが、「HP」のルビが振ってある以上はつまりそういうことだろう。これが室久の残り体力だ。
先の一撃で減ったHPは5%。なら最低でもあと十八回、さっきと同じだけのダメージを与える必要がある。
室久が長剣を両手に構え、猛牛の如く突進してくる。
急接近する破滅的威圧感。この爆走に比べれば、暴走トラックの方がまだ穏やかだろう。
――これを相手に、あと十八回。
「上、等――ッ!」
ギリギリまで引きつけ、飛び退く。
直前、足元の土を数キログラムほど『収納』した。
〝あなたは、土を拾った〟
「■ッ――!?」
要は即席の落とし穴だ。大した大きさじゃないが、足を取るには十分なサイズ。
バランスを崩したヤツに向けて反転し、長槍による刺突からの『取り出し』攻撃を放った。再度咲き誇る武器の華。
〝あなたは、
「グ■ァアアアアアアアアアア!!」
「耐えろ室久ァアアアアアアア!!」
迸る血と刃と絶叫。
ヴン、と苦し紛れに振り回される左の長剣を、『取り出し』た鉄板でガードした。攻撃予測線を頼りにどうにか受け流したが、それでもなお染みる斬撃。右腕の皮膚が弾け、肉が裂け、骨がひび割れる。
「知ったことか……ッ!」
次いで迫り来る右の長剣。
邪魔な長槍を弾き飛ばそうとする一撃に、俺は渾身の力で飛ばされまいと堪える――ように見せかけて、打ち合う直前に長槍を『収納』する。
「■――ッ」
空振る斬撃。俺はナイフを『取り出し』て、室久の懐に潜り込もうとする。
間合いを詰めての近距離戦に、室久は剣を捨てて対応しようとし――
「学習しねえな脳筋野郎!」
「■■、■ッガァアアアア!?」
即座にナイフから長槍へ切り替えて、中距離からの突き。三度炸裂する『ブレイドブルーム』。
俺は反作用に弾き飛ばされるまま後退し、これ見よがしに様々な得物を一秒単位で切り替える。リーチの概念は既に失われた。
〝あなたは、
残り83%。
室久は貪るように武器を喰らう。完全回復の後、さらに光沢を増して鋼の色に近づいていく皮膚。
しかし、動きは眼に見えて鈍くなっている。再度の突進が来るが、そろそろ回避にも慣れてきた。常人よりはよほど速いが、アシストによる攻撃予測があれば躱すことは出来る。その上、ヤツは次々とリーチを変える武器に気を取られ、下手に近づくことを躊躇っている。
〝あなたは、
続け様に奇跡を起こした。残り36%。
やれる。押し切っている。優勢なのはどう考えても俺の方だ。
「――――。■■、■乱」
だが。
それまでろくに人語を発さなかったアイツが、何かを唱えた。
「
鉄分を奪われ、本来の茶色に戻っていく周囲の土。反して、室久の足元へと集まっていく深い深い漆黒。
そして、凝縮した暗黒から無数の鉄杭が飛び出した。
「ぎっ、がぁッ!?」
室久を中心とした大物量の全方位攻撃。
全力で飛び退いたが、避けきれない。足の肉をいくらか削がれる。
攻撃は終わらない。
凝縮した黒は
「
室久が浮かぶ黒を掴み、こちらへと投擲した。
不定形の砂鉄蛇が、自身を加工しながら流星の如く飛翔する。その果てに生まれるのは、群れを成して襲いかかってくる幾百の短剣の雨。
回避は不可能だ。ここまで『収納』してきた中でも一際大きい鉄板で全身をガードする。
絶え間なく五体を鞭打つ衝撃の中、視界に映る戦闘情報がヤツの接近を予見した。自ずから視界を塞いでしまった俺に、室久が凄まじい勢いで近づいてくる。
どこから来る。右か、左か。それとも下か。
いずれでもなかった。
長大な破壊の斧が、俺の頭上で振りかぶられている。
「このッ――!」
全霊の防御。もう二度と出せないほどの全力を振り絞る。
受け流しは完璧だった。村雨空間という人間が本来行える百パーセントすら超えた、限界突破のベストパフォーマンス。
だがその上で、右腕をへし折られた。
斧が地面を叩く衝撃だけで、軽く三メートルは吹っ飛ばされる。
室久は、蚩尤は止まらない。アイツの肩から腕のように伸びて浮かび上がり、とぐろを巻く砂鉄の蛇。超常にて補われる行動速度の低下。
構わない。走り寄った。
蛇がこちらに迫り来るが、それを迎え撃ち、包み込むように毛布を『取り出し』振り回した。
〝あなたは、砂鉄を拾った〟
そう、流体ならこうやって無力化出来る。
武器を失った室久に、片手で槍の連撃を叩き込んだ。
「ご、ガ、■ァアアアアアアアッ!」
残り9%。
もし室久が正気なら、こうはいかなかっただろう。本当のあいつは空手の経験者だし、俺よりよほど喧嘩慣れしている。いくら俺に収納能力があったところで、こうまで見事に出し抜くことは出来なかったはずだ。
既に室久の速度は俺と同域にまで落ちていた。あと一撃、叩き込めばそれで終わる。
これまでの十数回と同じように、槍での突きを放った。
この刺突によって、ヤツを完全に無力化し――
「――な、」
「■■■■■――」
「くっ――!」
〝あなたは、
刃の群れを放つ。しかしダメだった。これを使っても傷一つつけられない。
武器の華はあえなく散り、身体が無意味に後方へ弾き飛ばされる。
どうすると悩む暇もなく、室久の身体にさらなる変化が起こる。
密度を高めるかのように、二メートル強に膨れ上がっていた室久の身体が圧縮されていく。
出来上がったのは、十日前に見た室久と同じ、百八十センチ程度の引き締まった体躯。
静かな動きで取られる姿勢は、見紛うはずもない。
肉体に染みつけられた流れる歩法で、室久がこちらに近づいてくる。
繰り出される拳撃を躱す――が、何だこれは。
今までと違い過ぎる。速度だけなら最初の方がよほど速かったはずなのに、ありえない。
アシストの攻撃予測さえ追いつけない。武器のリーチ差さえ問題にならない。一手毎にこちらを追い込んでいく、詰め将棋のような技量の冴え。
五手目で、追いつかれた。
今まで造っていたどんな武器より鋭い回し蹴りが、折れた右腕に叩き込まれる。
「がッ、あ!?」
咄嗟に『取り出し』た鉄板の防御など、あまりにも軽く貫かれた。
折れた右腕をさらに砕かれ、サッカーボールのようにかっ飛ばされる身体。
「ぎ……ぐ、ッ……!」
気合を振り絞って立った。立てはした。
だが、もはや右腕は完全に使い物にならない。動くのは指ぐらいのものだ。
そして、こちらの攻撃は効かず、あちらの攻撃は防御も回避もろくに出来ない。
勝ち筋が、無い。
「――――」
少しずつ迫ってくる魔獣の武人。
考えろ。要は、攻撃力だ。わずかにでもアイツの皮膚を貫くことができれば、『ブレイドブルーム』は圧力によって効果を発揮する可能性がある。
ならば、アレを使うしかない。
室久に向けて突撃する。互いに走り寄る俺たち。
激突の直前、毛布を投げた。
「――――」
当然、ただの目くらましにしかならない。すぐに毛布は払われる。
だがその間際に、ヤツの横を走り抜けた。
追ってくる室久。最初ならすぐに追いつかれていただろうが、今ならば速度は同等。そう簡単に捕まりはしない。
そして目的地にたどり着き――地面に転がっていたライフルを、渾身の力で持ち上げた。
適当な紐を取り出し、壊れた右手にどうにか固定する。
分かっている。今の室久に弾丸は効かない。俺が弾丸に触れた瞬間に『収納』するのと同様、触れた瞬間に分解される。それは分かっている。
だが。
室久に槍を突きつけている、この状況。
「
来る。
やはり、今の室久には本能と技はあれど知性が無い。警戒をしていない。だから勝てる。
そして俺は――
〝あなたは、銃弾を拾った〟
〝あなたは、
銃を握った事も無い高校生に、槍の石突きを狙って弾丸を当てるなど土台無理だ――それでも、これならば当たる。
怪物用に作られた銃の反動で、右腕が完全にぶっ壊れたが構わない。
端を握って突き出した槍の底面に、掌から飛び出した弾丸がぶち当たる。足りない攻撃力を補填する。
「■ッ――!?」
刺さった。
残り
室久は、必死になって俺に手を伸ばすが――もう遅い。
「踏ん張れ室久ァ!」
〝あなたは、
残りの武器全てを、この一撃にぶち込んだ。
「グ――、ガッ、■ァアアアアアアアアアア!!!!!」
刃の華が、硬質化した身体を貫く。生命質量を削り飛ばす。
ドサリと倒れる室久。瀕死の身体で、必死になって刺さった武器を抜こうとしている。
「■っ、ガ■ァ……!」
「死ぬな……」
「■、■、■■■■……!」
「死ぬな室久ァアアアア!!」
痙攣しながら室久が鉄を喰らう。刃を喰らう。
少しずつ傷がふさがり、肉体が硬質化し――そして。
「■……、」
動きが、止まった。
「……すま、ねえ。助かった」
いつの間にか、倒れ伏す顔は、いつもの友人のそれに戻っていた。
〝あなたは迷宮を解放した。