IS 化け狐と呼ばれた男 リメイク   作:屑太郎

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闇 《シュウゲキ ト ジッコウ》

そこは闇。とはいっても、物理的な闇ではないし、概念的な闇(つまりは悪意の塊みたいなものだ)でも無い。

その闇は、社会的な闇だ。この時代が生み出した、社会から反した化け物ども。

 

頭に銃を突きつけあって過ごしているような緊張感の中、僕は居た。

 

「さて、それではブリーフィングを開始する」

 

「どれだけ精力的に悪事に勤しめばいいんですかねぇ。」

 

僕は疲れていた。この場にある妙な緊張感ではなく連日の仕事によってだ、幾らISがあるからといって国から国へ飛び回り過ぎじゃないか?

 

「ま、ここを出て行ってただで済むと思っているのなら。ここを出てってもいいわ。」

 

「まさか、なにされなくとも野垂れ死にできる自信がありますよ。」

 

とりあえず、軽口を叩くのを止めて会議を先に進めさせる。そろそろ、会議を進めないと不味い。

 

「今回はキャノンボールファストを襲撃する。」

 

まあ、キャノンボールファストは、国家同士でやるIS大会みたいなものだがまだその時期ではないはず。

 

「IS学園のキャノンボールファストだ。これを襲撃する。」

 

心を読んだかのように、補足説明をされた。なるほど。なぜにここまでIS学園に執着するかのように襲撃するかと言うと、これは俺の推測なのだが、とても効率がいいのだろう。手足れと言ってもそれを使うのは教師だ取り入る隙はある。

 

「まず、『男』が潜入。大会を引っかき回せ。それで襲撃からそれでも大会には支障をきたさないようにしろよ。」

 

「無理言いますねぇ。ま、好都合ですよ。」

 

()はイタズラ程度のことしか出来ないし。つーか、潜入ってなんだよ。

 

「そしてMは上空から陽動。オータムは陸路を使いISの奪取を」

 

「「了解」」

 

名前を呼ばれた二人が返事をした。俺は片手を上げる程度だった。だからなんだと言う話だが。

 

「男は退室していいぞ。」

 

「ウィッス」

 

僕は自室に戻る為に、許可も出たのでこの部屋を出る事にした。あ、そうそう。

 

「そうだ、スコールさん。ちょっと出る前に要望というか要求というかまあ、そんなものがあるんですが、少し良いですか?」

 

「…………いいわ、言ってみなさい。」

 

「すこし、危なくなるからさ。この作戦が終わったら、あのうちっぱなしコンクリートの部屋を変えてくれませんか?せめてベットぐらいは置いてくれないと、寝ると痛くなってしょうがない。」

 

「その位なら」

 

「いや、本題はそっちじゃないんだよ。それと僕のISを整備している奴らに会わせてくれないですか?命を預ける人の顔も判ってなければおちおち戦うことも出来ませんし」

 

「…………分かったわ。この作戦で生き残れたらね」

 

「ありがとうございますねぇ。それでは僕はこの辺で。」

 

 ◆ ◆ ◆

 

「とまあ、作戦はこんな所だが何か質問はあるか?」

 

その場に静寂が来る。だれも、質問は無いようだ。そのまま解散を言い渡しその部屋には二人ばかりが残る。スコールとオータムの二人だ。

 

「…………ねえ、オータムどう思う?」

 

突然スコールが口を開く。聞かれた本人は首を傾げたくなるほどの疑問が脳内を飛び交う。

 

「ああ、あの「男」のことよ。」

 

『男』は最近ファントムタスクに加入したISを使える男性だ。本人は「あはは、じゃあ。さしずめ僕は三人目だね」って言ったところだ。

 

「…………男なんて全部同じよ。」

 

「いや、そういうことを言っているんじゃないの。私たちに危害を加えるかどうかと言うことよ。」

 

少し、オータムの顔が羞恥に歪む。

 

「そ、そう言うことなら…………私は、クロだと思っている」

 

「私もよ。」

 

その言葉にオータムは頬を緩ませる。多少だらしないと思うような顔だった。

 

「でも、本当に疑う材料が無い」

 

 

 

「無さ過ぎるのが問題なのよ」

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

「とか思っているんだろうな。」

 

 

俺は殺風景過ぎる自室で、考え事をしていた。

俺は利害が一致すれば何にも言うことは無い。それに、何かに所属するってことはそれだけで生存率を高めることが出来るからな。俺としては物乞いから社会人にランクアップしたようだ。

 

まあ、誰も就職先がテロ組織って言うのは予想の斜め上だろうが。

裏切るどうこうよりも、害を加えるつもりは無いんだけどなぁ。

 

「おい」

 

急に扉が開かれ声を掛けられる。声の主は聞き覚えの無い声だった、いや何処かで聞いたことがあるような。そこまで考えて遮るように来訪者は告げる。

 

「覚えていないのか?」

 

いや、電波も程ほどにしてくださいませんかね?とりあえずそのサンバイザー見たいな物を取れといいたい。

 

「いいや、全然覚えていない」

 

正直に返すとしよう。そもそもまともにMに話しかけられたことはない。

 

「そうか失礼したな。」

 

確か『M』と言ったか。Mが一言、言って退席した。少し部屋が広くなった気がする。

 

「じゃあ、頑張りますか。」

 

僕は頭の中で作戦を繰り返し頭に入れる。自分のやることはそれだけだ。そして僕の悲願を。

 

 

 ◆ ◆ ◆ 

 

外は騒がしいだが内は耳が痛くなるほど静かだ。こういう大会にありがちな開会式はすでに終わった。今は、個人がこの内なるプレッシャーに耐え忍び、来るべき断頭台かと思うほどの大会会場に思いを馳せる時。

 

かくいう俺も少しは心臓が高鳴り、手はなにかの中毒者のように振るえきっている。これが武者震いだったらカッコいいんだが、そんな大層なものでは無い。ただ怯えきった小動物のように惨めにおびえているだけ。

 

「クククッ…………」

 

演技がかった口調で俺は笑う。それが呼び水だったのだろう、俺の中でさまざまな感情が無い混ぜになり狂ったように笑った。狂ったように腹のそこから響きあがるようなそんな笑い声が室内にこだまする。

 

感情が、内臓と一緒にぐちゃぐちゃと掻き混ぜ合わせるようなそんな感覚。その感覚が途轍もなく気持ち悪い、吐き出してしまいそうだ。しばらくして心を抓るような自虐の痛みで少しは落ち着いた。

 

「これで、始まるか。」

 

俺の戦いのまくが今。下ろされるのだ。

 

 

 

『○○市主催 IS学園キャノンボールファスト。開催』

 

 

 

この大会でなにが引き起こされるのか。まだ、誰も分からない。

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