気管支炎とカフェイン中毒でくたばってました……_( 」∠)_
短めですが、続きをどうぞ(っ´∀`)っドゾッ
堕ちる白。目覚める黒。
第四話 破滅ーじょしょうー
千冬side
「……なんだと!?」
アリーナから少し離れた位置にある、放送室。
そこで、受話器を耳に当てていた千冬は衝撃的な事実を伝えられる。
「一夏が……!?」
────一夏が、倒れた。
今まで、一夏が戦闘中にいきなり倒れるということは無かった。
……ISには搭乗者の生命を維持するための装置が付いている。
それのお陰で、大抵の体調不良は治せるはずなのだが……頭を抑えてもがき苦しんだ上、気絶したらしい。
今すぐにでも通話を切り、一夏の元へ駆けつけたい千冬だったが……立場上それは許されなかった。
『はい……今は治療室で様子を見ていますけど、担当の先生によると……原因は脳に強い負荷がかかったことによる気絶だと……でもその負荷の原因が分からないって……』
千冬が今通話している相手であり、気絶した一夏を医務室まで運んでくれた人物……相川清香が小さい声で言う。
千冬は、一夏を運んでくれた相川に感謝と申し訳なさを感じながら、口を開く。
「……そうか。すまないな相川」
『……あの、織斑先生。織斑くんは……』
「……なんだ?」
『……織斑くんは、大丈夫でしょうか……』
「…………」
相川の問いに、千冬は言葉を詰まらせる。
……いつものように、「あいつなら大丈夫だ」とは言えなかった。
昨日の、他人に甘えるほど弱りきった一夏を見てしまった、千冬には。
故に、千冬は相川へ伝えることにした。
「……相川。もし一夏が弱っているようだったら助けてやって欲しい。あいつは最近無茶ばかりしているからな。無茶が祟って精神も不安定だ。だから……一夏を、見ててやってほしい」
「もちろんです!!!私たちは織斑くんに何度も助けて貰いましたし!!!今度は私たちが返す番です!!!」
いきなり響いた大声に、思わず耳を抑えそうになるがこらえる。
「……ありがとう、相川」
千冬はそう呟き、通話を切る。
そして……微かに微笑む。
(……一夏。お前の頑張りは報われているぞ。だから……無茶をするな)
その、直後だった。
────ズドォォォォォン!!!!!
「!?」
「な!?なんですかぁ!?」
雷が轟いたかのような轟音が、地面の大きな揺れと共に千冬の居る放送室に響く。
慌てて千冬がモニターを確認すると、そこには。
「……ッ!?こいつは……!?」
アリーナに降り立つ数体の、
一夏side
「……ここは?」
目を開けてみると、俺は一面真っ白な空間に居た。
「……確か……俺は……」
タッグマッチ練習の最中に、突然強烈な頭痛が襲ってきて気絶したことは覚えているが……
とりあえず、ただ突っ立っているのは精神的に辛いのでほっつき歩いてみることにした。
────が、いくら歩いても景色が変わることは無い。
かれこれ1、2時間は歩いているはずだが、真っ白な世界が変わることは無かった。
「……とりあえず戻ってみるか」
進んで駄目なら戻ってみようと思い、俺は後ろへ振り返る。
……そこで、俺は初めて気付いた。
「……は?」
進んでいた時に見えた白とは対照的に、俺の背後の世界は……
『黒』に、染まっていた。
いや……それだけではない。
その黒の中に……記憶の世界に居た、ウェディングドレスを纏った少女が居た。
少女の目線は俺に向いているが、その目はとても嬉々としていて輝いている。
「……お前は、誰だ?」
返答が帰ってくることを期待せずとも、俺は黒の中に居る少女に聞く。
少しの間が空いてから、少女は口を開ける。
『……久しぶりだね、一夏♪
────元気にしてた?』
「……え」
……俺に対して笑みを浮かべる少女の、透き通るような声を聞いた瞬間。
雷に射たれたかのような感覚が、全身に広がる。
────この声を、俺は知っている。
そう直感した。
……記憶の世界で聞いたから聞き覚えがある訳では無い。
幼い頃に、自分の耳で、自分の鼓膜で、この声の響きを聞いたことがある。
更にその声は、警戒していた俺の心を……容易く解す。
『……その様子だと、まだボクのことは思い出せてないようだね』
少女が、悲しそうに目を細めて呟く。
そのまま、ゆっくりと俺の方まで歩み寄ってくる。
「…………」
逃げる気は起きてこない。
むしろ、俺の方まで来て欲しいとすら思ってしまう。
俺の目の前まで歩み寄った少女は、俺の右手を優しく包み込むかのように掴み、二人の間に持ってくる。
少女の目線が、俺の右手に付いている、灰色に変色した白のブレスレット……『雪灰』の待機形態に注がれる。
『……うんうん。一夏とボクのカラダは確実に戻りつつあるね。思ってたより戻るペースが早くて良かったよ♪これなら【◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️】も、キッカケがあれば発現して使えるね』
少女が、俺と『雪灰』を交互に見て呟く。
途中、ノイズがかかって聞こえなかった部分もあったが、聞く気は起こってこなかった。
────その代わり。
ぽふっ。
『……あれ?』
「……?」
視界一面が、急に黒く染まった。
それと同時に、懐かしい香りが俺の鼻を通り、柔らかい感触が頬に触れる。
(……???俺は今どうなっているんだ?)
『……ふふっ、あははっ』
現状を不思議に思っていると、突然少女が声を上げて笑い出す。
その声は、負の感情を微塵も含まない嬉しさを感じさせた。
『……記憶が消えても、甘えん坊なトコロは消えなかったんだね♪』
少女が嬉々として言った直後。
頭に暖かいものが当たり、それが優しく俺の頭を撫でてくる。
……その暖かいものが少女の手だということと、今自分が少女の胸に顔を突っ込んでいることを自覚するのに、そう時間はかからなかった。
いつもの俺なら……申し訳なさと恥ずかしさですぐ離れるところだが。
(……懐かしい)
何故か俺は、見知らぬ少女の胸の内に居ることを、ひどく懐かしく感じていた。
のほほんさんに抱きしめられた時より、強い安心感に包まれる。
一生離したくなくなるほどに、その温もりは俺にとって悪魔的な魅力を持っていた。
垂れていた腕が自然と上がり、少女の細い腰に巻き付く。
『……っ!?一夏……?』
腕を巻き付けて少女に抱きつくと、少女は驚いたような声を上げる。
『……こんなになるまで……抑圧してたのか……!!!!』
突然、少女の声色が、怒りと悲しみが混ざったような声に変わる。
少女は俺の頭を撫でることを止めると、その細い腕で俺の頭を抱き寄せ、強く抱きしめてくる。
『……辛かったよね……一夏は皆に優しくしてたのに、それにつけ込まれて酷いことされて……辛かったよね……』
少女が俺の耳元で、心地よい透き通った声で囁く。
その言葉は、俺の頭にするりと入り込んで、今までの思考を否定させ始める。
(……そうだ。俺は皆に優しくしてたのに、なんで仇で返されなきゃいけない?
箒の理不尽に文句を言わずに耐えたのに。
鈴の言うことを聞いてやってたのに。
セシリアのクソマズ料理を我慢して食ってやってたのに。
シャルロットのことを助けてやったのに。
ラウラの嫁発言を、認めなくとも辞めろとは言わなかったのに。
もう……我慢の限界かもしれない)
ギリギリ理性を保っていた俺だったが。
遂に、少女が放った、次の一言で。
『……もう、一夏は我慢しなくていいよ。
壊したいものは壊しちゃえ。
暴れたかったら暴れちゃえ。
もう……我慢は疲れたでしょ?』
(……確かに。
────もう、疲れたな。
────やられたことを、やってやろう)
「……うん」
俺の中で、何かが壊れる音がした。
それと同時に、視界が暗転する。
────ウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!!!
「……」
目が覚めると、そのサイレンと耳障りな破裂音が最初に聞こえた。
ゆっくりと起き上がって周りを見渡すと、今いる場所は学園の医務室だということは理解出来た。
サイレンの正体が気になった俺はスマホを取り出してみると、画面には『緊急警報発令中』の文字が大きく表示されていた。
更には……千冬姉からの通話が。
急いで通話ボタンを押して、千冬姉と回線を繋げる。
『一夏か!?すぐにシェルターに逃げろ!!!無人機の改修型が襲撃してきた!!!病み上がりのお前は足手まとい』
「千冬姉。悪いけど……今俺さ」
千冬姉の言葉を遮り、俺は口を開く。
『なんだ!?さっさと言え!!!』
「……クッッッソイライラしてんだよ」
歯を食いしばりながら千冬姉に言い放ち、スマホを握り潰して通話を終了する。
その後、スマホを放り捨ててから医務室の窓を開けて、辺りの様子を確認する。
閃光が何度もアリーナで瞬いており、そこで戦闘が行われていることは簡単に分かった。
「……あそこか」
俺は窓から飛び降り、体に『雪灰』を纏わせる。
そして────いつもの俺なら言わないであろう一言を、放つ。
「……皆殺しだ。うるせぇ奴ら、全員ぶっ殺してやる」
背部のスラスターと<堕天翅>を起動し、音を超えた速度でアリーナまで向かう。
???side
「……あいつら……なんて事をしでかしてくれたんだよ……!!!!」
暗い、鉄で覆われた部屋。
そこで、ウサミミとメイド服というコスプレとしか思えない服装をした、一人の少女が怒りの形相で呟く。
彼女の目線の先には、パソコンの画面一杯に灰色が映っており、それは『ある少年』の精神状態のようなものを表したものである。
「……目覚めさせる気かよ……優しい優しいいっくんじゃなくて、あのクソガキを……!!!!」
少女は頭を掻きむしり、画面の表示を変える。
今度は二分割された画面に二人の少女が表示され、片方は特徴的な髪飾り、もう片方はのほほんとした雰囲気が特徴的な少女らが現れる。
「こいつはいっくんを傷付けてクソガキを目覚めさせる原因を作った、こいつはクソガキを半分目覚めさせた上にいっくんを誑かした。
────殺してやるよ。このクソ女共が。
────いっくんには、可愛い可愛い私の愛しの箒ちゃんが相応しいんだよ」
パソコンのキーボードを打ちながら、少女は怨嗟の声をぶちまける。
break down Phese……1.5
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