ゴールドシップとの3年間 in アオハル杯   作:あぬびすびすこ

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 長き時を経て再度芦毛の美少女へ戻ってまいりました
 最初の作品の再構成ものなのでウマ娘たちの関係が結構変わったり、ゴールドシップよりも先にトゥインクル・シリーズ参戦していたりします

 他の作品を読んだ方はちょっとした違いも織田沁みいただけると嬉しいです!


1,アオハル杯開催!

『さあ始まりました、トレセン学園主催! チーム対抗、アオハル杯!』

 

 大きな歓声がレース場に響き渡る。

 トゥインクル・シリーズと並行して行われるもう1つのレース。

 

 以前行われていたこのチームレースの復活に誰もが喜び楽しんでいる。

 しかし、これはただのレースではない――!

 

「学園の危機を、我々が救わねば!」

 

 決意を露わにするマチカネフクキタル。

 

「それって、ウララたちがヒーローになるってこと!?」

 

 楽し気に笑顔で話すハルウララ。

 

「ラ、ライスに、できるかな……?」

 

 不安そうに語るライスシャワー。

 

「ワタシたちならできマス!」

 

 元気よく声をかけるタイキシャトル。

 

「アタシのファイティングスピリッツについてこれんのかあー!?」

 

 そして一人だけ別のベクトルで燃えているゴールドシップ。

 

「力を合わせて――ファイ!」

「「「「オーーーッ!」」」」

「ファイヤーーーーーーッ!」

 

 全員で拳をを突き上げ、気合を入れて行く。

 

「へぇ……。それで勝てりゃ世話ないけどね」

「うん! つくづく同感!」

 

 リトルココンとビターグラッセ。

 それぞれが勝気な表情で他のチームたちを見る。

 

「――貴方たちに、私のチームが倒せますか?」

 

 理事長代理、樫本理子が腕を組んで睨みつける。

 

 アオハル杯をめぐる、波乱万丈なチームの物語が、今、始まる――!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴールドシップとの3年間

アオハル杯

~輝け、チームの絆~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいトレーナー! カブトムシ捕まえに行こうぜ!」

 

 トレーナー室の扉を吹き飛ばしながら入ってきた。

 そのウマ娘の名前はゴールドシップ。

 

 トレセン学園に所属もしていなかったトレーナー養成校時代に見学で来たところ、何故かものすごい気に入られたのだ。

 彼女曰く、前世の因縁だとか平行世界を観測したとかなんとか。転生者か何かかな。

 それから自宅に突撃して誘拐され、山を登ったり海で魚を釣ったり巻き込まれること数十回以上。

 そんなこんなで勉強してなんとか新人トレーナーとして学園に所属。理事長から許可を得て専属トレーナーになったわけだ。

 理事長は物凄い嬉しそうに快諾! って言ってたけども、俺のこと担ぎながら理事長室に突撃して許可をもらってたからなぁ。歓迎されてるのかはわからない。

 

「あん? なんだそのポスター」

 

 俺が見ていたポスターが気になったのか覗き込んできた。

 そこにはアオハル杯と大きく書かれている。

 

「アオハル杯? 聞いたことねーこともねーな」

 

 それはあるんじゃん。思わずツッコむ。

 

「それで? なんか新しいレースみたいなもんか?」

 

 これはチーム対抗戦なんだ、と説明する。

 アオハル杯というのはトレセン学園主催の非公式レース。

 成績には全く関係ない上、トゥインクル・シリーズと並行して行ったことで出走辞退が相次ぎ、結果廃れてしまったのだ。

 それをタイキシャトルというアメリカ出身のウマ娘がやってみたいと理事長にお願いしたところオッケーが出たので復活したという話。

 ただし理事長は数年間アメリカへ出張するため代理の人が統括するということも言っていた。

 

 というかこの前昼休みに放送あったから知ってるはずじゃんと話すと、すっとぼけた様子で口笛を吹く。

 相変わらず自由な娘だなぁ。

 

「ま、面白そうだしやろーぜ! アタシがメンバー捕まえてくっからよ! トレーナーはヤシガニ捕まえとけよな!」

 

 そう言ってトレーナー室から出ていった。

 ……沖縄に行かないとヤシガニは捕まえられないんだけどな!?

 

 そんなことを思っていると、外れている扉の向こう側から緑色が見えた。

 ん? と思っていると、たづなさんが少し困った様子で顔を出す。

 

「お疲れ様です! アオハル杯の詳細についてお知らせに来たのですが……」

 

 言いにくそうに横たわってる扉をチラッと見た。

 慌ててたづなさんにも手伝ってもらい、しっかり取り付ける。よし、まだ金具は壊れていないな。

 

「では、説明させていただきますね」

 

 たづなさんは俺に資料を渡して説明してくれた。

 アオハル杯は、短距離・マイル・中距離・長距離・ダートの5部門で競い合うチーム対抗レース。

 半年に1度プレシーズン戦を行った後、3年目に本戦を行う。

 現在の実力やレースでの功績をチーム単位で計算して順位を出してくれるそうで、プレシーズンで自分より順位の高いチーム相手に勝利するとチームの順位も上がるらしい。

 

「順位が上がれば、トレーナーさんのチームに興味を持ってくれるウマ娘が増えますよ!」

 

 でも、俺みたいな新人トレーナーだとそもそもチームを作るのが難しいんじゃ……。

 そう話すと、たづなさんは大丈夫です! と話す。

 

「アオハル杯でチームを作れるのはサブトレーナーや新人トレーナーがメインです。大きなチームを作っているトレーナーさんは余裕がありませんから」

 

 どうやら経験の少ない俺のようなトレーナーたちでアオハル杯を行い、スキルアップも含めて開催するということらしい。

 なるほど、それなら大きく差は出ない……はず!

 

「もしチームメンバーが足りなければ、私たちの方でも探しておきます」

 

 ニッコリ笑ってそう説明してくれた。

 ありがとうございますとお礼を言うと、優しげな表情で俺を見てくる。

 

「……本当にトレーナーになったんですね。なんだか感慨深いです」

 

 ゴールドシップの一件でかなり学園にはよくお世話になった。

 特にたづなさんは何かあるとすぐ駆けつけてくれたし、ウマ娘のことでわからないことはなんでも教えてくれたのだ。

 俺からしたら面倒見のいい姉といった存在で、こうやって言われるとなんだか照れくさい。

 

「それと、大事なことを1つだけ」

 

 たづなさんは人差し指を立ててニコリと笑う。

 

「アオハル杯に参加するためには、アオハル杯用にチーム名が必要です。良い名前はチームの士気が上がりますから、じっくり考えてみてくださいね」

 

 わかりました! 元気よく返答すると、うんと頷いてくれた。

 

「ふふっ。それでは頑張ってくださいね!」

 

 嬉しそうに笑いながら、たづなさんはトレーナー室から出ていった。

 お世話になった理事長やたづなさんたちが恥ずかしくないように頑張らないと!

 

「捕まえてきたぜ! 大漁大漁! オラァ! マグロ一丁!」

「ちょっと、ゴールドシップ! いきなりなんだし!?」

 

 ……頑張らないと!

 

 

 

 

 

   ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 まずは人員確保ということで、ゴールドシップと一緒に人員確保をすることになった。

 彼女は数人拉致して来るだろうウマ娘はおおよそ中、長距離に適性のある娘が多い。

 俺はとりあえずダートと短距離、マイルで走れるウマ娘を探さねば!

 

 というわけやってきたのは練習場だ。

 アオハル杯はチーム対抗だが、正式なチームじゃない。

 そのため、いろんなチームからお願いして所属してもらってもいいのだ。優しい制度だな。

 

「お、期待の新人じゃねーか。ゴールドシップはどうした?」

 

 アオハル杯の仲間を探してます。

 そう話すと、ああーと頭をかき出した。

 

「多分、メンバー探しで来たんだろうが。俺のチームはトゥインクル・シリーズメインでいくって決まっててな。悪いがアオハル杯には出せない」

 

 そうですかー。

 少し残念だが、アオハル杯は勝利しても特に何かあるわけじゃない。

 注目度もあまりないだろうし、仕方ないことだろう。GⅠレースを勝利する方が大事だしな。

 

 わざわざすみませんと話すと、もし他の同期で参加したいって話があったら宣伝しとくぜと言ってくれた。

 ありがたく提案を受けよう。お礼を言って学園内をふらつき、他の先輩たちにも声をかける。

 

「ごめんなさい、トゥインクル・シリーズに集中させたいんだ」

「ああ、アオハル杯ねぇ。次のGⅠが近いからちょっとな」

「うーん……悪いわね、みんなあまり乗り気じゃなくって」

 

 が、ダメ……!

 全部ダメだった。やはりトゥインクル・シリーズとの並行開催はなかなか難しいようだ。

 意気消沈しながらトレーナー室に戻り、ふぅとイスに腰かける。

 

 たづなさんからもらった資料を見てアオハル杯のルールなどを確認していると、ズドドドドと脚音が聞こえてくる。

 すかさず走って扉を開けると、ゴールドシップが何かを抱えながら吹っ飛んで入ってきた。

 そのままソファで受け身を取って跳ね飛び、綺麗に着地した。うーん、10点。

 

「うっし! 着水もバッチリだぜ!」

「飛び込みではありません! 危ないですわ!」

 

 まあそうだろうと思ったが、拉致してきたのはメジロマックイーンだ。

 一番仲がいいというか、絡みまくっている相手だろうからな。

 対面する回数がゴールドシップの次に多いから、お互い顔馴染みだ。

 

「つーわけでマックイーン入社決定な。部長にしとこうぜ。アタシは漁師やっから」

「意味が分かりません! トレーナーさん、説明してくださいます!?」

 

 どうどうとマックイーンを落ち着かせて、説明する。

 アオハル杯に参加してくれるメンバーを探していること。ゴールドシップにメンバー集めを頼んだこと。

 それを聞いた彼女は、そうでしたの、と頷いた。

 

「それならそうと言ってくだされば……」

「どーせ嫌ですって言うじゃねーか」

「あなたが勝手に抱えるからでしょう!」

 

 ぷりぷり怒りながら俺の方を見る。

 

「申し訳ありませんが、私他の方とチームを組むことが決まっております。お誘いはありがたいのですが、お受けできませんわ」

「ちぇー、どうせテイオーだろ?」

「ええ、そうです」

 

 マックイーンはどうやらトウカイテイオーと組むらしい。

 マックイーンもトウカイテイオーもケガ明けで復帰していなかったはず……大丈夫なのだろうか。

 

「トゥインクル・シリーズは走れませんが、アオハル杯なら非公式ですし。レースも半年に1度、いいリハビリになります」

「無理せず走るなら丁度いいレースだよなー」

 

 どうやら復帰の前哨戦みたいな扱いで出るらしい。

 よく考えるとそういう使い方もありだ。アオハル杯に焦点をあてるとGⅠなどのレースに出れないけど、トゥインクル・シリーズに出られない理由があるなら、アオハル杯で力をつけるというのもありだ。

 

「それに、私たちのチームはサブトレーナーさんが指揮を執るのです。少しターフから離れている私たちのほうが、きっとやりやすいですわ」

 

 それもそう。

 実力があってある程度自分で判断できるウマ娘を指導できるほどの実力はない。

 しっかり考えてるんだなぁ、マックイーンは。

 

「メジロ家として、ウマ娘界の発展を考えるのは当然ですもの」

「スイーツの発展もな」

「ゴールドシップさんは静かにしてくださいます!?」

 

 またも怒ってしまった。

 マックイーンが甘いものを好きなのは知っているし、隠すことでもないと思うんだけどなぁ。

 

「こほん! それよりトレーナーさん、知っていますか? 理事長代理のこと」

 

 そう言えば代理が来るとは聞いたが、いつ来るのかは知らない。

 

「もういらっしゃるのです。先ほどゴールドシップさんが代理の方らしき人にお小言を」

 

 お小言?

 そう聞き返すと、ゴールドシップがつまらなそうに口を尖らせた。

 

「アタシがマックイーンを連れていこうとしたら『トレビアンな時間を無駄づかいしてる』とか言いやがってよー」

「違います! 『トレーニングの時間を無駄づかいしている』とおっしゃっていたのです!」

 

 ごもっともすぎる。

 いや、普通に反省点なんだけど。

 

「おう! ブラジルにまで届くぐれー反省しろよな!」

「あなたのせいでしょう! とにかく!」

 

 マックイーンが話を戻そうと怒りながら俺とゴールドシップを見た。

 

「理事長代理、厳しい方のようです。今までのように自由に動くことはできなくなるかもしれません」

 

 真面目な顔でそう忠告された。

 俺は会っていないものの、メジロ家のマックイーンがそう言うんだ。きちんと聞いておこう。

 なんとなく不安だなと3人で話して、その日は解散となった。

 

 そして翌日。

 その不安は的中することになるのだった。




 このトレーナーはトレセン学園所属前からゴールドシップに目をつけられた人物
 イメージとしては2作目の関係性にちょっと近い感じですね!
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