ゴールドシップとの3年間 in アオハル杯   作:あぬびすびすこ

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 いろんなことを経てちょっと強くなる


22、ブランニュー<STAY GOLD>

 チーム<ファースト>との模擬レースとライスの奮起により、チーム<STAY GOLD>はさらなる進化を遂げた!

 具体的にはみんなのやる気がモリモリと上がっている。

 

「ゴーゴー!」

「バクシーーーーンッ!!!」

 

 タイキとバクシンオーが1,200mダッシュを行っている。

 模擬レースでは相手リーダーのジュエルネフライトの逃げに対して渾身の末脚で勝利。

 ゴールはクビ差程度で、お互いに強いということを知らしめていた。

 それにしても逃げウマ娘なのにゲートが苦手らしい。中々大変そうだがゴールドシップもゲート難で勝ってるし頑張ってほしい。

 

「準備完了。開始します」

「こんなご褒美があっていいんでしょうかッ!?」

 

 軽やかに高跳びを決めるブルボンとそれを見て興奮するデジタル。

 ブルボンはデュオジャヌイヤと対戦。得意のラップ走とハイペースな逃げをかましていたが、スタミナをうまく温存していたデュオジャヌイヤが直線で加速してデッドヒート。

 目測ではほぼ同着で、お互いに勝ったとは思えないということでドロー。再戦して決着をつけようと話していた。

 

「開運方向に発射~!」

「クク……運否天賦か。どこに転ぶんだろうなァ」

「意味わかんねー!」

 

 フクキタル、ナカヤマ、ジョーダンはショットガンタッチでスピードを鍛えている。フクキタルが開運方向という謎の方角に投げたボールをキャッチするトレーニングだ。

 中距離の勝負は見ていなかったが、フクキタルが言うにはビターグラッセに完全敗北。2バ身差をつけられてしまったらしい。

 位置取り加速力最高速度共に完璧だったようで、彼女の末脚をもってしても詰めれなかったと言っていた。

 

「えっほ、えっほ!」

「ウインディちゃんの得意なやつなのだ! 任せろ!」

「きゃっ! ぺっぺっ! 土だらけになっちゃうよ~!」

 

 ウララとウインディはコース外で滅茶苦茶に土を掘っていた。スマートファルコンはそれをかぶってしまったようで、髪の毛に入った土を必死に落としている。

 ダート戦は予想通りの完敗で、ドミツィアーナの圧勝だ。とはいえ、ウララはスタミナがしっかりついてきたし、ゴールになるまで手を抜かずに走っていた。

 ウララの成長が感じられる走りではあったので、個人的には満足している。ドミツィアーナたちは本当に中央のウマ娘なのかと懐疑的な視線を向けていたけども。

 

「お? なんだ、前に進まねーな」

「ゴールドシップさん、草が噛んでいますよ」

「色々と間違ってると思うな……?」

 

 セグウェイでランニングしていたゴールドシップが不具合で停止。フラッシュと困った顔のライスが集まっている。

 長距離はゴールドシップの提案で2vs2での勝負となった。相手はリトルココンとクレセントエースだ。

 逃げ先行差し追込と綺麗に分かれての勝負となったが、ライスはその時絶不調。いとも簡単に差されてしまった。

 結果としてはリトルココンが1着でゴールドシップが1バ身差2着という形に。

 

 1勝3敗1分で負け越してしまったが、レースでの経験からゴールドシップを除く参加者5人の熱はかなり高まっている。

 現在いっしょにトレーニングしているが、なんというか爆発するかのように練習効率が上がっていた。

 急にみんなの能力が上がってとても驚いている。気持ちの変化でここまで変わるものなんだなぁ。

 

 しばらくそれぞれの個別トレーニングを行っていたが、締めのトレーニングを行うためにみんなを集める。

 クールダウンも兼ね、かつ体幹も鍛えられるコレを使うぞ!

 

「おれぇい!」

 

 ゴールドシップがバサッとシートを置く。

 そこに描かれているのは赤青黄緑の丸。

 

「あ、ツイスターゲームじゃん。ウマトックで見たことあるわ」

「ツイスターゲーム!? デジたんウマ娘ちゃんと触れ合うのは解釈違いなんですが!?」

 

 デジタルが叫んでいるが気にしない。

 今日の締めはツイスターゲーム。バランスを崩さないように手足を指定の色に置いていくパーティゲームだな。

 トレーニングとは銘打っているが、今日のコレは確認作業だ。今までのトレーニングの成果が出ていれば、みんな倒れず触れ合わずにできるはず。

 

「本当ですか~? あんまり自信ないですよ~」

「おもしろそー! わたし最初にやりたい!」

「ライスもやっていい、かな?」

「ここは学級委員長として! 模範を見せましょう!」

 

 ウララとライス、バクシンオーがやりたいということでやってもらう。ついでにゴールドシップも追加だ。

 じゃあ回してもらうか。はいタイキ。

 

「イエス! ルーレット、スタート!」

 

 ルーレットを回してもらい、それぞれが手足をつけていく。

 数十回やっていくと、みんな体勢がおかしなことになっていた。ゴールドシップはブリッジしているし、ライスとウララは上下にくっついている。

 バクシンオーだけ体がねじれているけど、その体勢はどうやったらなるんだ。

 

「うわ、ヤバ! ライス先輩もウララっちも余裕じゃん!」

「すごーい! みんなカッコイイね☆」

「どどどどうでしょうか! バクシン的なバランス感覚ですよ!!!!」

「おーい、次なんだ? そろそろゴルシちゃんの天才的頭脳がパンパンになっちまうぜ」

 

 バクシンオーは流石に体勢が悪いのかプルプル震えている。

 他の3人は微動だにせず。ライスにほぼ乗られているようなウララもニコニコと楽しそうにしている。

 

「楽しいねライスちゃん!」

「うん。ウララちゃん、重くない?」

「だいじょーぶ! 今日のウララは負ける気がしないもん!」

「ぐっはあああぁぁぁぁ~~~ッ!!!」

 

 思わずハジケ飛んでいくデジタルを全員がスルー。

 しかし思った以上に体幹を鍛えた効果が出ている。最初からいっしょにトレーニングしていたライスとウララはしっかりと成果が出たようだ。

 ゴールドシップは最初からこんな感じだったけども。

 

「いたずらしてやるのだ! えいえい!」

「ウインディ! 危ないデス!」

「ちょわ!?」

 

 ウインディがバクシンオーの脇腹をつつき、驚いた彼女が倒れてしまった。

 

「くらうのだ! えいえい!」

「なんだぁ今のは? 蚊に刺されるよりもやさしいぜ!」

「なんだとー! くらえー!」

「ハッハッハァー! 効かねーなぁ!」

「おいおい……マジか?」

 

 続いてゴールドシップを標的にしてツンツンし始めたが、全く動きもしない。

 怒ったウインディがお腹にドスンと乗ったが揺れもしないからさらにふくれっ面だ。

 いやぁ……惚れ惚れするパワーだ。なんだかんだトレーニングのおかげかさらに強くなってる。

 やる気さえあれば誰にも負けないだろうになぁ。

 

「ゴールドシップ、すごいデス!」

「ウララさんとライスさんも素晴らしいです。しっかり体幹を鍛えた成果が出ていますね」

 

 褒められて照れるウララとライス。

 よし、そこまでにして交代しようか。

 

「ぐぬぬ……トレーナーさん! もう一度やらせてくださいッ!! 必ずバクシン的ツイスターを見せましょう!」

 

 全員交代したらねと話すと、わかりましたッ!!! と耳がキーンとなった。

 バクシンオーは運が悪かっただけで体幹も筋力も相当なものだ。ちゃんとやれば同じような結果になったはず。

 

「はい! 私にやらせてくださ~い! ライスさんとウララさんができたのなら!」

「ワタシもやりたいデス!」

「ファル子もやりたいな☆」

 

 今のゲームを見てみんなもこぞってやりたいと言い始めた。

 トレーニングの効果が目に見えるからね。できるとモチベーションに繋がる。

 しばらくの間誰も失敗しないツイスターゲームを楽しむのであった。

 

 

 

 

 

   ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 ということをしていました。

 

「なるほど……うん、なるほど……」

 

 チーム<STAY GOLD>で預かっているウマ娘のトレーナーたちを月1で集めるトレーナー会議。

 そこで先日のライスが絶不調から復活したこと、ウララが目に見えてよくなっていることなどを話した。

 ウララを担当している先輩トレーナーはその報告を聞いて神妙に頷き、ハンカチで目頭をおさえる。

 

「最近本当にタイムも縮んでてさ。トレーニングが苦しくても頑張るんだ。成長しているんだ……ありがとう、本当にありがとう……」

「泣きすぎだ……とは言えないな。お前さん、ずっと悩んでたもんな」

 

 癖毛の先輩が苦笑いして肩を叩く。

 ハルウララという名前は、決して勝つことがないウマ娘として有名だった。伝説の有マ記念出走なんて、学園に入る前から話題になっていたぐらいだ。

 現在も連敗していて、ついに3桁にも達したらしい。先輩は今もなお悩み続けている。

 しかし、以前よりも強い走りを見せているウララを何度も見て、絶対に大舞台で勝たせてやるんだと話してくれた。

 

「君は恩人だ。ウララのもう1人のトレーナーだよ。非公式でもいい。いっしょに頑張ってウララを勝たせてあげよう」

 

 もちろんです! 先輩と拳をぶつけ合う。

 

「私からも。ライスのこと、ありがとう。もうチームでいっしょに走れないなんて言ってたから……」

「タイキも心配していたわ。でも、すぐに解決するんだもの……コミュニケーション能力については、新人とは言えないわね」

 

 先輩から褒められて、恐縮してしまう。

 ライスについてはゴールドシップが何とかしたところがあるし、俺はあんまり動いてないんだけどなぁ。

 

「ふふ……そういうことにしておくわ」

「大活躍だなぁ、お前さん。プレシーズンも2連勝、ゴールドシップも無敗で二冠ときたもんだ」

「そうね。ただ、チーム<ファースト>と野良レースは問題よ」

 

 褒められたと思ったら怒られてしまった。

 確かに管理不足だったところはある。

 

「レース自体は、まあうまく収めたから目を瞑るわよ。でも、対処の仕方が問題なの」

「そうだね。ウマ娘は思春期の学生。大人の土下座はかなりショックだったんじゃないかな」

 

 うっと思わず声が漏れる。

 あの時はライスを助けたい一心でやったけれど、その他の影響を考慮してなかった。

 解決したけど大人としてはあまり良くない対応だったなぁ……。

 

「あまり気落ちしなくていいわ。話を聞いたら、正解なんてわからなかったし」

「ああ。その後に模擬レースにしてわだかまりを無くしてるからな。最良とは言えないが、全部悪かったわけじゃない」

 

 そうですかね?

 

「おう。ま、これも経験ってことにしとけ。よくやったよ」

「次からは気をつけなさい……貴方にはみんな期待してるんだから」

 

 先輩たちが励ましの言葉をくれる。

 俺、がんばります! と元気よく言うと、先輩たちは笑顔を見せてくれたのだった。




 アオハル爆発が初期メンバーで起きたの巻。

 チーム<ファースト>にチーム<STAY GOLD>のトレーナーが土下座したと聞いて先輩たちは心配していたのに、何故か好意的な感じで噂が流れていたのでヘンなヤツだなと思われてました。
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