ゴールドシップとの3年間 in アオハル杯   作:あぬびすびすこ

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 誰が付けたんだこの名前は


23、ユメガ・ヒロガリングス

「中山の直線は短かったぜ……」

 

 1年ぶり2回目の感想をありがとう。ゴルゴル神に感謝。

 

「ゴールドシップさんの力は知っていましたが、いざ勝負相手として走ると本当に強いですね。ですが、次は負けません」

「おう! またやろーぜ! フラッシュと走んのはおもしれーからな」

 

 フラッシュが闘志を燃やしてゴールドシップと対峙する。

 有マ記念で共に出走。菊花賞からしっかり休養したゴールドシップが機嫌よく千切り1着。

 既にシニア級で思いきり戦うことができる実力だと証明した。

 

 今のところトゥインクル・シリーズでは無敗の全勝。アオハル杯では個人成績だと全敗。

 レース間隔がちょっとキツイからな。プレシーズンの直前にあるGⅠレースに出走してるから。

 それでもしっかり入着しているのを考えると、基礎的な能力がずば抜けているのがよくわかるよ。

 

「やあ、ゴールドシップ。エイシンフラッシュ。トレーナーくん」

「あん?」

「シンボリルドルフさん」

 

 お互い見つめ合って火花を散らしている2人のところに現れたのはシンボリルドルフ。

 その後ろにはエアグルーヴもいる。生徒会メンバーだな。

 

「有マ記念。英姿颯爽、素晴らしい走りだったよ」

「ゴルシちゃん劇場はいつでもファンタジスタだからな!」

「もう少し行儀よくできんのかと思うがな……まあいい。おめでとう」

 

 シンボリルドルフは楽しそうに笑っているが、エアグルーヴはやれやれと苦笑いだ。

 まあね、思いきり出遅れて最後方になってから残り半分でロングスパートをかけて、最後に直線一気。

 おおよそまともなレース運びではないけど、それがゴールドシップの走りだからなぁ。

 行儀が悪かろうがなんだろうが、こればかりは直せないね。

 

「エイシンフラッシュもいい走りだったよ。次も期待している」

「ありがとうございます。これからも邁進していきたいと思っています」

「うん。ところでトレーナーくん。アオハル杯で、次のプレシーズン戦の対戦相手はもう知っているかな」

 

 唐突に話題がこちらに向いた。

 現状チーム<STAY GOLD>はCランク。今まで1つ上のランクのチームと戦ってきたし、次もその予定だ。

 Bランクのチームと対戦することになっているが……誰なのかはまだチェックしていない。

 

「そうか。なら教えよう。私が対戦相手だ」

 

 エアグルーヴが勝気な表情で俺たちを見た。

 なるほど、俺たちに宣戦布告をしに来たんだな。

 

「私たちのチーム、ユメガ・ヒロガリングスがお前たちを倒す。覚悟しておけ」

「は?」

 

 え、なんて?

 

「何故今の状況で聞き逃すんだ!」

「いえ、全部聞いていました。ゴールドシップさんたちが聞きたいのはチーム名のことではないでしょうか」

 

 まさしくその通り。

 ユメガ・ヒロガリングス……エアグルーヴがチームリーダーなんだろうが、いったい誰がこの名前をつけたんだ!

 

「……ああ、チーム名か。うん、そうか」

「私とマルゼンスキーで付けさせてもらったよ。エアグルーヴから頼まれてね」

 

 耳をぺちょんと畳んで眉尻を下げるエアグルーヴと、自信満々の笑みを浮かべているシンボリルドルフの対比がひどく悲しい。

 なるほどなるほど。ダジャレ好きらしいシンボリルドルフと、ノリがバブル世代のマルゼンスキー。

 それをかけ合わせたらこうもなるか。ゴールドシップが心配そうな顔になるぐらいには、何ともいえないチーム名だ。

 

「今度花に効く肥料やるからな」

「……期待しよう」

 

 ポンと肩を叩かれて、小さく息を吐くエアグルーヴ。

 シンボリルドルフは不思議そうに首を傾げるのだった。

 

 

 

 

 

   ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 というわけで作戦会議だ。

 秋からみんな忙しくてチーム戦でのトレーニングはあまりできていないが、チームワークを発揮できるようにトレーニングをしてきた。

 作戦会議と銘打っているが、最終的な確認のミーティングだな。

 

「プレシーズン第3戦のミーティングを開始します。進行はトレーナーさん、書記はミホノブルボンです」

「ヨロシクお願いしマス!」

「お願いします~!」

 

 みんなで一礼したところで、まずは距離別の出走者だ。

 まず短距離は今まで通りタイキがリーダー。そこにバクシンオーを入れて2人での出走になる。

 

「はいッ! この学級委員長にお任せを!!!」

「いっしょに頑張りまショウ!」

「よろしくお願いします!! 共にバクシンしていきましょう!!!!」

 

 耳をつんざく爆音が満ち満ちたやる気を感じさせる。

 うん、チームランクが上がって部室も大きくなったけどすっごい響くわ。

 

 記録するために耳を傾けていたブルボンが頭を回しているのを見つつ、マイルのメンバーを確認する。

 マイルはブルボンとデジタルだ。これも前回同様。

 

「聴覚のエラーより回復。オーダー了解しました。デジタルさん、よろしくお願いします」

「はッ!? はい! よろしくお願いしますッッッ」

 

 くらくらしていたデジタルはブルボンの声を聞いて耳が回復したらしい。

 ビタンと音が鳴りそうなぐらい頭を下げていた。

 

 先に確定してるダートから確認しようか。

 ウララがリーダー、スマートファルコンがサブ。ウインディが追加で出走だ。

 

「わたしがんばるよー! いっぱい練習したからね!」

「ウララちゃんもウインディちゃんも頑張ろうね☆」

「たくさん走ってかみついてやるのだ!」

 

 元気いっぱいなのはいいがほどほどにしてレースに集中してほしいところだ。

 まあスマートファルコンがうまくまとめてくれるからな。あまり心配はしていない。

 

 さて、中距離と長距離なんだが。

 今回ゴールドシップとフラッシュが有マ記念を走っている。長距離2回は流石にキツいしケガの心配もあるから、2人を中距離に入れたい。

 

「ありがとうございます。少しレース間隔が短いので、無理せず走らせていただきます」

「しょうがねーな。ま、面白きゃなんだっていいけどよ」

 

 ということで、中距離はゴールドシップがリーダー。そしてフラッシュともう1人。

 ライスとフクキタルは長距離を走れるからお願いするとして、ジョーダンとナカヤマをどちらに入ってもらうかだ。

 

「あたし長すぎるとテンサゲだわ」

「ジョーダンと同意見だ。どのぐらいかによる」

 

 今回は東京レース場の芝2,500mだな。

 

「目黒記念と同じか……いいぜ。ならアタシが出る」

「ナカヤマさん、よろしくねっ!」

「よろしくお願いしますよ~!」

「クク……漆黒のステイヤーとサイレンススズカを差したウマ娘によろしくされるなんてなァ」

 

 長距離はライス、フクキタル、ナカヤマの3人となった。

 じゃあ中距離にはジョーダン、よろしくな。

 

「りょ! あたしが中距離ね! で、どのぐらい?」

 

 中距離は2,000m。天皇賞秋と同じだな。

 

「マ? 勝ちじゃん! あたしに任しとけ!」

「ジョーダンさんは日本レコードの持ち主ですからね」

 

 天皇賞秋でもう2度と更新されることはないだろうというタイムで勝利しているジョーダンは自信満々だ。

 いやー、あのレースはすごかった。周囲がずっとざわついてたからね。

 

「お、じゃあおめーに任せるぜ! アタシは寝てっからあとよろしくな!」

「寝んな! ゴルシがリーダーじゃねーか!」

 

 そんな凄い記録を持っている彼女はいつでもゴールドシップにもてあそばれている。

 反応が楽しいからついついオラついてしまうとかなんとか。

 

「トレーナーさん! サクセンはどうしマスカ?」

 

 タイキに言われてそういえばと説明する。

 距離別に話していくと、みんな目を輝かせたり丸くしたりと忙しい。

 

「なるほど! つまりバクシンすればいいのですねッ!!!」

「オウ! 外からデスカ!」

 

 短距離はバクシンオーが開幕から全力で逃げ。タイキが外めに付けて先行だ。

 東京の短距離は1,400mのみだから、マイルに近い。バクシンオーは奇をてらわずに行ってほしいし、タイキは強い走りをしてくれればいい。

 目立つウマ娘はいないし、実力で勝とう。

 

「了解。前回の走りをリピートします」

「またあの走りが見れるんですね……! デジたんに耐えられるでしょうかッ!?」

 

 マイルは1,600mが選ばれている。今回はブルボンがスローペースのラップを刻み、デジタルが最後に大外をぶん回す作戦だ。

 問題は相手にウオッカがいることだ。ジョーダンの前に天皇賞秋のレコードを持っていた常識破りの女帝。

 ハイペースになると周りが垂れたところで一気に抜いてくるが、スローペースに弱いという明確な弱点がある。

 ラップ走を完璧にこなせるブルボンがいるわけだし、利用させてもらう。

 

 あとはニシノフラワー。バクシンオーがスプリントレースで唯一敗北したウマ娘だ。

 マイルでも結果を残しているし、スローペースを作ることから注意しなければならない。

 レース中の走りについてはデジタルが詳しいから、駆け引きは一任する。

 

「うーん、ファル子ちゃん。どーすればいいの?」

「ウララちゃんは一生懸命走ってくれれば大丈夫!」

「ウララはウインディちゃんに続くのだ!」

 

 ダートはスマートファルコンが大逃げ、ウインディが周りにちょっかいをかけてウララは楽しくがんばる。

 ウララが適当すぎると言われるかもしれないが、ウインディによってごちゃつく中1人だけ普通に走れる。1発がある走り方ということだ。

 負ける前提での走りなんてさせないからな。

 

「すごい作戦ですね~!」

「ククク、ずいぶんと博打じゃないか……いいねェ、アツくなってきた」

「ら、ライスにできるかな……」

 

 長距離の2,500m。2,400mと100mしか変わらないが、全く別の資質が必要になる距離だ。

 東京レース場特有の切れ味勝負ではなく、スタミナが大いにかかわる持久力勝負になりやすいレース。

 相手は3着以下になったことのないダイワスカーレット。マイルから長距離まで走れる強いウマ娘だ。

 しかし長距離は得意というより走れるといった距離らしい。それを踏まえて、ライスにダイワスカーレットをびっちりマークして掛からせ、思いきり逃げてもらう。

 これが成功すれば後は差しで待機しているフクキタルたちが有利になるわけだ。ミスパーフェクト相手にかなり難しいことを要求してるんだけどね。

 

「あたしが主役!? マジかよヤベー!」

「なんだよトレーナー、アタシじゃねーのかよ」

「私とゴールドシップさんはレースの疲れがありますから。ここは譲りましょう」

 

 中距離はジョーダンをメインに考える。

 単純にゴールドシップとフラッシュに無理させずに勝つにはこれが一番だし。

 やる事も簡単だ。ジョーダンが得意なスタミナを要求するハイペースに仕向けて頑張ってもらう。それだけ。

 

 相手は女帝エアグルーヴに女傑ヒシアマゾン。並大抵の作戦では押し通せないだろう。

 日本レコード保持者相手だから苦手な展開にしようとアクションを起こしてくるかもしれないが、果たしてゴールドシップの放つプレッシャーに勝てるかな?

 

 一通り作戦について説明した。

 後は実践あるのみだ。みんな、楽しく勝とう!

 

『はいッ!』

「イエス!」

「おう!」

 

 あんまりそろわず、みんなで笑い合う。

 ちょっとバラバラなのがうちのチームらしいなと思うのであった。




 作戦がだんだん緻密になってきてトレーナーとしての能力が上がり始めているトレぴっぴ。
 なお成功するかは割と運次第。
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