ゴールドシップとの3年間 in アオハル杯   作:あぬびすびすこ

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 出ては入り出ては入り


26、メンバー交代

 正月も終わり、ゴールドシップはクラシック級からシニア級になり、より一層の活躍が期待されている今日この頃。

 1月前半から慌ただしい日々を過ごしていた。

 

 理由はナカヤマとフラッシュの2人だ。

 

「トレーナー、チームから降りるぜ」

「私もチームから少し離れます」

 

 突然のチーム離脱。

 みんなで何故と困惑していたが、どうやら積極的な参加をしないということらしい。

 

「ゴールドシップがシニア級に上がってくるんだろ? なら、こっちも用意しないとなァ」

「トゥインクル・シリーズでのレースは去年より激しくなります。個人のトレーニング時間を増やしたいのです」

「へぇ、おもしれー。いいぜ! 勝負しようじゃねーか!」

 

 バチバチと火花を散らす3人。

 ゴールドシップとのレースに備えたいということで、実質名前だけのメンバーになる。

 

 2人の意志を尊重して送り出したものの、またチームメンバーが減ってしまった。

 現在フルメンバーなのはダートぐらいだ。というかダートだけ走れるメンバーが4人もいる。充実の砂。

 

「しっかしどーすんだ? チーム<ファースト>にケンカ売ってんだろ?」

「ケンカとは。トレーナーさん、説明を要求します」

 

 そう、そうなんだよなぁ。

 この前樫本代理に会った時、練習試合を申し込んでいたんだ。

 

 というのも、チーム<ファースト>のトレーニング風景というのは、傍から見てもかなりハード。

 良くも悪くも強烈で刺激的。多くのウマ娘たちが食らいついていく姿に圧倒されていた。

 だからこそ、そんなチームに挑めば自分たちの頑張りがわかるはず。ということで練習試合をしましょうと頼んだわけだ。

 

「私たちのチームと貴方のチームで練習試合ですか……そういえば、1度非公式で走っていましたね」

 

 おでこをトントンと叩いて眉尻を下げる。癖なのか、困ったときによく見る仕草だ。

 今回はもっとフラットな状態でやりましょうと話すと、少し考えて頷いてくれる。

 

「いいでしょう。互いの成長を感じられる機会です」

 

 と、いうわけでレースをすることになった。

 それを連絡しようとした直前にチームから少し離れると言われたものだからどうしたものかと……。

 

「どうするんですか~!? チーム<ファースト>と練習試合! それなのにメンバーが減っちゃうなんて~!」

「あの、ジョーダンさんはいいのかな……? フラッシュさんたち、抜けちゃったけど」

「あたし? あたしはここのトレーニングおもれーし、チーム練バイブス上がるから」

 

 ジョーダンの話が理解できないのか、質問していたライスは首を傾げて困っていた。

 このチームの居心地がいいからこのまま残るってことだよ。そう話すと、嬉しそうに笑う。

 

「でもでも、どうしまショウ? フルメンバーまであと4人デス!」

「うーん。ダートは揃ってるから、他の4部門で欲しいよね。ファル子の知り合いにいたかなぁ? ウインディちゃんはどうかな☆」

「ヒシアマは知ってるのだ!」

 

 ヒシアマゾンはチーム入りしている。この前戦ったばかりだし。

 どうしたものかな……みんなでうんうん唸る。

 

「はーっはっはっは! お困りのようだね!」

「ハッ!? この尊大で自信に満ち溢れた笑い声ッ!? ま、まさか――!」

 

 ビクン! と体を跳ねさせるデジタル。

 そして尊大な笑い声と共に部室のドアがバーンと開かれる。

 何奴っ!

 

「あぁ! このボク! テイ――」

「テイエムオペラオーーーーッ!」

「くっ、ボクの名乗りを奪うとは! やはり侮れないな、ゴルシさん!」

 

 正直笑い声だけでわかってはいたが、現れたのはテイエムオペラオーだ。

 以前パリコレを目指して美を叫んでいたゴールドシップと美の化身対決をしていたのを覚えている。

 そこはかとなくキャラクター性を感じる対決だったなアレは……。

 

「あのぉ~、メイショウドトウです~」

「おや! ドトウさんじゃないですか~!」

 

 オペラオーの後ろから現れたのはメイショウドトウだ。

 よくフクキタルと一緒に開運行脚をしているのを見かける。

 ライスと一緒に不運談義しているのを聞いたこともあるから、筋金入りなんだろうな。

 

 ところで何しに来たんだ?

 

「ふふ、ここに来たのは他でもない! 何やら困っているらしいじゃないか!」

「さっきナカヤマさんたちに会いましたぁ……メンバー少なくなっちゃったんですよね……?」

「そこで! ボクたちがチームに入ろうということさ!」

「な、なんですとおぉぉおおおーーーーッ!?」

 

 決めポーズを取りながら高らかに宣言するオペラオー。そして叫ぶデジタル。

 経緯は今一つかめないが、とりあえずメンバーが補填されたようだ。

 年間無敗の覇王に、その覇王を怒涛の差しで倒したウマ娘。そして覇王怒涛に落日を告げた勇者。この3人が仲間というのは、なんというか。

 凄いドラマティックなチームになったな。

 

「デジタル君! 覇王に刃を向けて打倒した君といっしょに走れるなんてね! 共に輝かしいヴィクトリーロードを歩もうじゃないか!」

「ひ、ひぇっ、ひょッ」

「はわわわわぁ……だ、大丈夫ですかぁ~?」

 

 バターンと倒れてしまった。

 そういえばデジタルの最推しがオペラオーとドトウだって言ってたな。

 尊みを感じて限界を迎えてしまったか……。

 

 ともあれメンバーが足りていない現状、非常にありがたい。

 よろしく頼むよ、2人とも。

 

「ボクが来たのだから常勝必勝は当然さ! 光り輝く時をお見せしようじゃないか! はーっはっはっは!」

「あのぉ……私なんかでよければ。よろしくお願いしますぅ」

 

 オペラオーの高笑いにのまれながら小さくなるドトウ。

 また個性的なウマ娘が入ったなぁと笑いながら歓迎するのであった。

 

 

 

 

 

   ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 ナカヤマとフラッシュが離れるというアクシデントがあったものの、オペラオーとドトウが参加してチームとしてかなり勢いがよくなった。

 

「すばらしいじゃないかライスさん! 1度しがみついたら離さないというブリュンヒルデのような強い想い! 思わずボクの心臓が張り裂けそうだったよ!」

「そ、そうかな……? えへへ」

 

 まずオペラオーがとにかくみんなを褒める。ベタ褒めだ。

 それでいて自分に厳しく、気を抜くことはない。

 本人のキャラクター性もあって目立つため、他のみんなも楽しくやりつつメリハリがさらにできていて非常に助かっている。

 

「ドトウさん! ここを、こうですよ!」

「わかりましたぁ……よ、よぉーし」

 

 ドトウは何でも確認するから、周りのみんなが今までやってきたトレーニングについて説明している。

 やってきたことを教えることになるから、技術的なものへの理解も深まっていてこれまたプラスだ。

 

 新規参入があるだけでこんなにいい効果が表れるものなんだなぁと驚いている。

 

「本当にやってるんやなぁ」

「びっくりしますね……」

 

 チーム入りしたことで見学に来たオペラオーとドトウのトレーナー2人。

 どちらも目の前で行われている『第564回! ぱかプチつけて走らなければにっちもさっちもいかんで賞』を見て苦笑いだ。

 ゴールドシップが持ってきた横断幕は非常に達筆なんだけど誰が書いたのだろうか。

 

 オペラオーもドトウも流石の実力者だ。最初から大きなぱかプチをつけて走っても全く地面に落ちない。

 危ないと思うところも持ち前の根性でどうにかしてしまうし。最初からトレーニングについていってくれるのは頼もしい限り。

 高笑いが響き渡るのはまだ慣れないけども。

 

「オペさんよう笑うやろ。ずっとわろてるやろうけど慣れといてな」

「ドトウも引っ込み思案なところがありますけど素直な子ですから、たくさんトレーニングしてあげてくださいね」

 

 先輩トレーナーたちからそれぞれお願いされる。

 こちらこそよろしくお願いしますと礼をして笑い合った。

 

「しっかしまー、よくこんなトレーニング思いつくわ。チーム全員がコーナー巧者になるわけや」

 

 コーナーで膨らんだドトウの内側から凄まじい勢いで上がってくるフクキタルを見てそう話す。

 もともとコーナーが巧いゴールドシップがいたから考え付いたものではある。

 それ以上につまらないトレーニングだとちゃんと走らないゴールドシップのためにとにかくキャッチーなものを考えなきゃいけなかったという前提はあるけど。

 

「キミも大変だったみたいですね」

 

 けど楽しいですよと話すと、うんうんと頷いてくれた。

 

「トレーナーが楽しいって言えてるならええわ。その内生きがいになって仕事が趣味になるからな」

「休日も担当のウマ娘と一緒に買い物したりするようになりますよね」

 

 既にそうなってます。

 2人の話を聞いて、この世界にどっぷりつかってるんだなぁと思うのだった。




 覇王と怒涛IN!
 実力は全盛期のものとする
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