ゴールドシップとの3年間 in アオハル杯 作:あぬびすびすこ
アオハル杯のプレシーズン最終戦に向け、トレーニングを行う今日この頃。
トレーニングお休み中のゴールドシップと共にみんなの状態を確認していた。
「淀の坂はゆっくり上ってゆっくり下るんだからなー! 体に覚えさせろよー!」
「あんたが言うんじゃねー!」
ゴールドシップのアドバイスにキレつつ坂を駆けあがるジョーダン。
それもそのはず。先日の天皇賞春にて京都レース場の上り坂でスパートをかけ、そのまま全員潰して差しきったのだから。
前年の菊花賞もそうだったが、彼女のスタミナはどうなっているのだろうか。心肺機能と恵まれた体を活かしすぎている。
これでトゥインクル・シリーズではメイクデビューから無敗の7戦7勝。クラシック級ではオペラオーと同様、年間無敗を成し遂げている。
しかし、アオハル杯を考えると3戦0勝。全敗中だ。
ゴールドシップは前走との間隔がどうしても狭すぎるからしょうがないんだけども。グランプリ1着を取ってから数日後にレースは流石に危ない。
それでも怪我せず入着したりしているのは、ひとえに彼女の走りの巧さと丈夫さの賜物だろう。
「ふぅ……ゴルシさんのアドバイスは身に染みるね!」
「反面教師というものじゃないですか~?」
ガションガションと足音を立てながらオペラオーとフクキタルが歩いてきた。
かなり重い蹄鉄をつけたシューズでランニングしてもらっている。太ももを鍛えるための特注品だ。
つま先が重たくなるから、自然とケガしないためのフォームに改善されるのではないか……という意識もあるトレーニングなんだけど。
「おいおいフクよぉー? ケンカかぁ? あん?」
「だってタブーじゃないですか~!? 私が走った時もやっちゃダメだってトレーナーさんに言われましたよ!」
ゴールドシップに詰め寄られ、ジタバタと逃げながら話すフクキタル。
うん、なんかみんなパワーがかなりついていて、割と普通に歩いたり走ったりする。
流石にタイムは遅くなるが、それでもアップする時のスピードで走れているし。ちょっとみんな体幹とパワーありすぎでは?
フォームの改善ができているのかどうかわからない。最初から普通に走ってるから。
「えっほ、えっほ! 2人とも速いね~!」
「お! めちゃ速じゃねーか!」
「ウララ君! 今まで以上の速さだよ! 素晴らしいじゃないか!」
2人に続いてウララも走ってきた。同じようにガショガショと足音が鳴っている。
あまり遅れずに来ているということはすごいことだ。2人はGⅠウマ娘なわけだから。それに近い能力になってきたということだし。
――3人ともお疲れ様。今日はこれで終わりだから、水分補給とクールダウンをゆっくりやってね。アイシング用の保冷材はいつものバッグだ。
「ああ! 今日もいいトレーニングだったよ!」
「これでおわりだね! 脚がかるーい!」
「今日のドリンクは何味でしょうか!」
やいのやいのと盛り上がってドリンク置き場まで歩いていく。
その姿を見ていると、別の足音が聞こえてきた。
「トレーナーさん、メニューが終了しました」
「今日のはトレーニングになってるのかな? とっても楽しかったケド!」
「はい! バクシン的な楽しさがありましたね!!」
「こんな楽しいものを見せてもらえるなんてぇ! トレーナーさん、ありがとうございましゅぅぅううッ!!!」
逃げウマ娘3人衆withデジタル。
ファルコンを中心にライブを可能な限りしてもらい、デジタルはそれの応援というかコーレスをしてもらっていた。
楽しいだろうけど、ライブのダンスと歌って相当疲れる。最近みんなでスイーツを食べに行ったとブルボンから聞いたので、今日は絞りにいったわけだな。
デジタルは単純にご褒美だ。今日トレーニングお休みにしてたし。
「随分やったみてーだな。何曲歌ってたんだ?」
「20曲に加え、アンコールに5曲です」
3時間ぐらいやっていたからなぁ。
それだけ歌って踊れる3人がすごいし、それをずっと応援できるデジタルもすごい。
とりあえず喉のケアと水分補給をしっかりやってもらおう。
「わかりました!! クールダウンも大事ですからね! ここは学級委員長として模範的なクールダウンをお見せしましょう!!! バクシンバクシーン!!!」
「ステータス疑問を確認。あの全力疾走はクールダウンに相当するのでしょうか。私のデータ上ではトレーニングに該当します」
うん、あれはクールダウンじゃないよ。
とりあえず自分の思う通りにクールダウンしておいで。
「データを修正。了解しました、水分補給とストレッチを行います。ファルコンさん、ご協力いただけますか」
「モチロン☆ いっしょにクールダウンしよ!」
ダッシュしていくバクシンオーの後に続き、ドリンクを取りに行った。
なんというか、ウマドルとしてがんばっているファルコンよりバクシンオーとブルボンのほうがキャラが濃い。
常識が壁になってるのかなぁ。ゴールドシップを見ると目が合った。
「ん? ゴルシちゃんの美貌を見たくなったか? なら見せつけてやるぜ! 荒ぶる牛のポーズ!」
何故かヘドバンしながら突撃してきた!
思わず避けると、またこちらを向いてブルルンと嘶きながら突っ込んでくる。
「オラァ! 闘牛祭りじゃあーーい!」
「何してんだあんたら!」
闘牛士の遊びをしていたらジョーダンに怒られてしまった。最近よく怒られる。
「ねえ、いつもこんな感じなの? 噂通りではあるけどさ」
「大体こんな感じ。緩いっつーか、でもでも走りはガチ的な?」
「あん? 誰だ?」
ジョーダンの後ろに誰かいる。
すごい美しい髪色をしたウマ娘のようだが……。
「ども。ゴールドシチーです」
ファサっと髪をなびかせて、ゴールドシチーは挨拶をしてくれた。
「おめーはゴルシじゃねーか! じゃあゴルシ2世だな!」
「逆だろ! シチーがデビュー先だし!」
ゴールドシチーは今を時めくウマ娘モデルだ。
華のある見た目と、泥臭くも粘りのある力強さで走る姿が大人気のウマ娘。
ジョーダンが時々話をしていたからすごいモデルというのだけは知っているが、正直走りの映像を見たことしかない。
「珍しいね。モデルのほうを知らないで、走りを知ってるんだ」
「ゴルシのトレーナーあんま雑誌とか見ないし。月刊トゥインクルぐらいっしょ?」
それはそう。
なんか綺麗な娘が表紙だなぁぐらいでしか見ないから。
レースの映像はよく見るから、走りのほうばっかり知ってるかなぁ。
「ふーん。ジョーダンが誘うだけあるわ」
「っしょー? シチーもバイブス上がると思うわけ!」
「あん? なんだっつーんだ?」
つまりどういうこと?
「ほら、マイルのメンバー空いてんじゃん。だからシチー誘ったわけ」
「大丈夫ならよろしく。かなり遅い時期だと思うけど」
「おー、成程な! ジョーダンも中々やるじゃねーか! ゴルシをもう1人連れてくるとはな」
「シチーをゴルシって言うとヘンな感じするからやめろ!」
おお、マイラーがもう1人!
ぜひお願いしたいね。人数足りてないから。
「ん、わかった。これからよろしく」
「お? 誰なのだ?」
ゴールドシチーがメンバーに入ってくれた!
と思ったら、ウインディがやってきた。トレーニングが終わったらしい。
ん? ウインディも誰か連れてきてる?
「こんちは! バクシンオー先輩に呼ばれたから来たぞ!」
ガッツポーズで挨拶するのは、ビコーペガサス。
ヒーローになりたいとがんばっているウマ娘だ。時々バクシンオーと校内を巡回しているのを見かける。
走りすぎてエアグルーヴに怒られているのも見かけるが。
「バクシンオーのやつ、自分でビコーを呼んでたのに忘れてたのだ」
「先輩、時々バクシンして忘れちゃうんだ。でも話は聞いてるぞ! アオハル杯のチームに入らないかってことだろ?」
バクシンオーの意図は読めないが、チームに入ってくれると非常に助かる。
短距離メンバーも1人足りないからな。
「先輩たちは悪の管理キョーイクに立ち向かってるんだ! アタシもヒーローとして戦うぞ!」
「いいじゃねーか! 爆走戦隊ウマソルジャーⅤ結成だぜ!」
「おお、カッコいい! アタシレッドがいい!」
「残りの10人はどこにいったのだ?」
ビコーペガサスもチームに入ってくれるらしい!
これで15人全員揃ったな!
「ハァイ! トレーナーさん! トレーニング……オウ? ビコー! シチーもいマース!」
「どうしたんですかぁ~? あれ? シチーさん……」
「な、なんだろう……またライス何かしちゃったかな」
タイキたちも戻ってきて、わいわい話が始まる。
ドリンクを飲んで水分補給していたみんなもなんだなんだとこちらに来た。
みんなで盛り上がっているのを見て、すぐに馴染めそうだなとチームの雰囲気の良さに感心するのだった。
これで全メンバー集結です。
予想は当たりましたかな?
短距離:タイキシャトル・サクラバクシンオー・ビコーペガサス
マイル:ミホノブルボン・アグネスデジタル・ゴールドシチー
中距離:マチカネフクキタル・トーセンジョーダン・メイショウドトウ
長距離:ゴールドシップ・ライスシャワー・テイエムオペラオー
ダート:ハルウララ・スマートファルコン・シンコウウインディ
うーん……華がありすぎる!