ゴールドシップとの3年間 in アオハル杯   作:あぬびすびすこ

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 ついにチーム名が!


4,チーム名決定!

「チーム<HOP CHEERS>がいいデス!」

「<ハレノヒ・ランナーズ>が大吉ですよ~!」

「わたしは<にんじんぷりん>がいいなー!」

「<ブルームス>なんてどうかな……?」

「無難に<キャロッツ>でいいんじゃないかしら」

 

 チーム名を決めなければということで、現在トレーナー室に集まっている。

 自分発案のチーム名を主張し合って白熱した論争が行われているところだ。

 

 それぞれがわかりやすいぐらい自己主張がしっかりしたチーム名だ。

 スズカのキャロッツが本当に無難に見える。

 

「デジタルさんは何か考えてきましたか?」

「あ、あたしですか!? みなさんの名前が輝いてると思うんですハイ!」

 

 デジタルはチーム名をつけるなんて恐れ多いといってブンブン首を振っている。

 スズカも彼女も協力してくれることになったというものの、ちょっと引き気味というか、あまりチームの前面に立ちたがらない。

 意見を参考にしたいと思ったんだが……。

 

「ゴールドシップはどうデスカ?」

「フナボシはなー、並行世界のゴルシちゃんのもんだからなー、どうすっかなー」

 

 いつも通り不思議なことを言いながら、両手を頭の後ろにやってフラフラ揺れる。

 肘が俺に当たるんだけど?

 

「うっし! このピアノテクニックを見とけ!」

 

 軽く笑いながらメモ用紙に今まで出てきたチームの名前を書き始める。

 一度整理するのだろうか……と思ったら、突然すごいスピードで折りたたみ始めた!

 数秒後にできあがったのは……船?

 

「すごーい! 船だー!」

「ボートみたい……折り紙って、こんなに立体的になるんだね」

 

 立体的な折り紙の船がテーブルの上に鎮座している。

 流石の多芸さだなと思うわけだが……それで、どういうことなんだろう。

 

「特に意味はねーぞ」

 

 ウララ以外ずっこけた。

 

「今のなんだったんですか~!?」

「ゴールドシップさん相変わらずですねー! しかし、その奇抜さがイイっ!」

 

 楽しそうにみんなが笑い、ゴールドシップは満足そうにしている。

 チーム名、ゴールドシップがリーダーのチーム名かー。

 

 従来のチーム名であれば一等星の名前を付けるのが通例になっている。

 チームスピカとか、リギルとか、カノープスとか、フォーマルハウトとか。

 しかし、アオハル杯は非公式レースのチームだ。そういった通例は存在しない。

 というか新規企画だから通例は今年からできるものだし。

 

 今のところ俺が知っているのは樫本代理のチーム<ファースト>と、マックイーンとテイオーが主体のチーム<ガンバルゾ>ぐらいだ。

 らしいというかなんというか。名は体を表すというか。

 

「トレーナーさん、どうしよう……何かいいアイデアはないかな」

「みんなで別々の名前を薦めているから、絞れないわね」

 

 ライスとスズカが眉尻を下げ、うぅんと唸る。

 俺も顎に手を当てて、同じように唸ってしまう。

 

 ふと目の前にある船を手に取り、くるくると色々な角度から見る。

 船の中を覗きこむと、金色の何かが。

 え、なんか光ってるんだけど。

 

 指を入れて摘み取ると、金色に輝く薄っぺらなもの。

 

「ゴールデンオリガミ! 1枚だけ入っているあれデスネ!」

「メモ用紙で折ってたのにいつの間に……すごいね、ゴールドシップさん」

「殺風景だから金箔入れといたぜ。ありがたく食っとけよな!」

 

 そう言って俺の手から船を取り上げて口の中に突っ込もうとしてくる。

 や、やめ、やめろー! そっちは金箔じゃないだろ!

 というか金箔であっても食べたくないわ!

 

「……賑やかなチームね」

「そっちのほうが楽しいじゃないですか!」

「ええ、そうね。騒がしいけど、嫌じゃないわ」

 

 楽し気にしてないで止めてくれー!

 

 

 

 

 

 なんとか猛攻に耐え、気を取り直してチーム名を決める。

 とりあえずリーダーがゴールドシップなので、それっぽい名前にすると言うところまではきたのだが。

 

「<いちごだいふく>なんてどうかな!」

「ゴールドシップさんは海が好きということで<ゑびす>が吉ですよ!」

 

 ――中々名前が決まらない!

 山とか海とか色合いとかで出していくが、コレだ! というものが出てこないのだ。

 かれこれ30分は考えているが、難航気味だ。

 

「ふぁ~……飽きてきたでゴルシ」

「が、がんばろう! いい名前なら、きっと楽しいよ!」

 

 興味がないことを長時間続けないタイプのゴールドシップは既にでろんと溶けだしている。

 ライスが鼓舞しているも、時間の問題だろう。

 どうしたものかと腕を組んで上を向いていたら、あっとスズカが声を出す。

 

「今まで出た名前からトレーナーさんが決めるのはどうですか?」

「そうです! トレーナーさんが決めるなら納得ですからね! あたしの魂も同じ部屋の空気を吸い続けて限界だって叫んでますから! さあ!」

 

 何故か顔を真っ赤にしているデジタルに催促された。ちょっと限界に来すぎてない?

 そうだなぁ、とメモを見る。

 

 WHITE RACING、トリックスター、アバレンボー、金色船、いちごだいふく、ゑびす。

 どれもそうだなぁという感じだ。

 うーん、白……トリック……船……旅……おいしい。

 金色……黄金……光る……輝き、輝きかぁ。

 

「トレぴっぴよー、頭から煙出てるぞ」

「わー! きかんしゃみたい!」

 

 ゴールドシップがそう言うと、ウララが楽しそうに俺の頭をぺしぺし叩いたり撫でまわしたりする。

 実際は煙が出ているわけじゃない……いやなんか後頭部があったかいな!?

 なんだと思って頭に手を当てると黒い画用紙が。そして焦げた跡もある。

 そしてゴールドシップの手元には虫眼鏡。

 

「ははは! 右脳だけ知恵熱だな!」

 

 髪の毛が燃えて光り輝くわ、ははは。

 思わず笑い合っていると、何故かウララとデジタル以外からえぇ……と凄い顔で見られた。

 

 しかし輝くかぁー。

 あ、そうだ。

 

 ――STAY GOLDは?

 

「ん?」

 

 俺の言葉にゴールドシップが反応した。

 みんなも顔を上げて俺を見てくる。

 

 以前見た昔の名作映画の主題歌がSTAY GOLDという名前で、主役の子が最後にいうセリフが『Stay gold.』。

 「輝きつづけろ」「いつまでも美しくあれ」「成功し続けろ」とかそういう意味。

 そしてその映画は青春映画だったから『gold』は誠実とか青春という意味で受け取れる。つまり『Stay gold.』は「青春(アオハル)を楽しみ続けろ」と読み解くことができる。

 意訳も意訳になっちゃうとおもうけどね。

 

 そう話すと、みんながおお! と瞳を輝かせた。

 

「いいじゃないですか! アオハル杯を謳歌する私たちにぴったりです!」

「ええ、いいと思います」

「みんなで青春するのかな! 青春て何するの?」

「いっしょに遊んだり、走ったり、かな」

「う、ウマ娘ちゃんたちと一緒に青春!? アオハルッ!? そ、そんなッ! 耐えられないッ! ひょああぁぁ~~!!!」

 

 なんとなくで発した名前だったが、みんなが賛同してくれた。

 デジタルが何故か後方に吹き飛んでいったけどこれは慣れるべきなんだろうと気にしない。

 

「うっし! おめーらアタシについてきな! このゴールドシップ様が宇宙の果てまで連れていってやるぜ!」

 

 ゴールドシップの掛け声におーーー! とみんなで手を上げる。

 チーム<STAY GOLD>の命名がここに決まったのであった!

 

 

 

 

 

   ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 名前とチームメンバーが決まったところで、たづなさんに書類を提出する。

 

「チーム<STAY GOLD>。いい名前ですね!」

 

 両手を合わせて笑顔でそう言ってくれた。

 個人的にも渾身の名前だったので、褒められると嬉しいものがある。

 

「以前見た映画を思い出しますね。青春映画で、思わずハッとしてしまう名作でした」

 

 あれ、もしかして……。

 たづなさんに映画のタイトルを話すと、驚いた様子で口に手を当てた。

 どうやら同じものを見ていたようだ。

 

「ふふ、なんだか嬉しいですね」

 

 微笑むたづなさんに、そうですねと返して俺も笑う。

 ちょっとした話から盛り上がりしばらく話し込んでいると、脚音が聞こえてきた。

 理事長室前だからウマ娘じゃないよなぁと思って振り向くと、歩いてきたのは樫本代理だ。

 

「おや、あなたは……」

 

 こんにちはとあいさつすると、不思議そうに腕を組む。

 チーム名が決まったから申請してたんですと話すと、成程と頷いた。

 

「まだ決めていなかったのですね。チーム名は士気にもかかわります、速く決めなければならないものですよ」

 

 そう言ってたづなさんから資料を受け取り、内容を確認する。

 チーム名を見て、樫本代理はぽつりとつぶやく。

 口にしたのは、先ほどまでたづなさんと話していた映画のタイトルだ。

 樫本代理もあの映画見たんですねと話すと、少し驚いた様子で目を泳がせ、ええ、と頷いた。

 

「青春映画は思春期の子を理解するのに良いと聞きましたから」

「ウマ娘たちの指導に使えるかどうか……難しいと思いますけど……」

 

 たづなさんの言う通り、なんというか、参考にならないと思う。

 あれは不良と富裕層の対立みたいなものを描いた青春映画だからなぁ。

 というか誰に勧められたんだあんなの。

 

「そうでしょうか。思春期特有の複雑な心境を考察するにはいいと思うのですが」

 

 いや、作品が問題だと思うんですけど。

 首を傾げる樫本代理にそう言うと、少し考えこむ様子を見せると、眉尻を下げた。

 

「……薄々は感じていました。あの作品は参考になりませんね」

 

 そりゃあそうだ。たづなさんと目を合わせて笑ってしまう。

 樫本代理は、思ったより堅物というわけじゃないのかな。

 少し困ったようにおでこをトントン叩く彼女を見てそう思うのだった。




 というわけで、チーム<STAY GOLD>結成!
 いつまでも輝きつづけるチームでありますように。
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