ゴールドシップとの3年間 in アオハル杯   作:あぬびすびすこ

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 ウマ娘、参戦!


9、トレーニングと新メンバー

「トレーナーさんはゲート練習やらないんデスカ?」

 

 チームでの合同トレーニング中、タイキシャトルにそう質問された。

 何故ゲート練習? と聞くと、ゴールドシップを指さす。

 

「ゴールドシップ、とっても出遅れマス」

「あん? なんだぁタイキ、何でもできるスーパーウマ娘ゴルシちゃんにケンカ売ってんのかー!? ケンカなら買うぜ! くらえ、荒ぶるシャモのポーズ!」

 

 こちらに走ってきて、みょんと首を伸ばしながらよくわからないポーズを取り出すゴールドシップ。

 タイキはシャモ? と首を傾げている。

 

 しかしタイキはこう、かなりデリケートな部分を突っ込んできたなぁ。

 まあ担当トレーナー自体はメガネの先輩だからな、他の担当トレーナーだから不思議に思うということもあるだろうけど。

 指で作った銃で撃つような構えをしてゴールドシップを追い詰めているタイキに、急にどうしたのと聞く。

 

「ワタシのトレーナーさんはいつもゲートトレーニングをしマス! ワタシも苦手デス!」

「タイキ、いつも周りを気にしてるから」

 

 ウォームアップで走っていたスズカもこちらに合流した。

 チームメンバーになってからみんなのレースを全部確認したわけだが、タイキはとにかく集中力が足りないみたいだ。

 日本のウマ娘としてシーキングザパールと共に制覇した海外レースでも、ゴール直前までずっとキョロキョロしていたし。

 

 タイキがいつもゲートトレーニングをしているというのは、集中力を高めるためなんだろう。

 特に短距離マイルだと出遅れは致命傷だからなぁ。

 

「別にできねーならできねーでいいだろ。出遅れたぐれーじゃアタシは負けないからな」

「スタートが速い方がいいと思うけど……」

「細けーことはいいんだよ! だろ?」

 

 ゴールドシップが視線を向けてきたので、もちろんと頷く。スズカはうそでしょ……と困惑しているけど。

 そもそも、どうしても出遅れが直らないなら、それでも勝てるように考えればいいと思ってる。

 特にゴールドシップは急加速が苦手だからスタートが鈍いことはわかっている。ならば、スタート以外で好き勝手できるようにすればいい。

 だからこそぱかプチを使ってコーナリングを極めたりしているわけだから。

 

「オウ! そうだったんデスネ!」

「うぅん……私の考えが固いのかしら……」

 

 俺の説明を聞いてタイキは納得したようだが、スズカはうーんと唸って困っていた。

 まあ、自分でこの思考がおかしいというか、定石から外れているというのはわかっているからスズカが困るのもよくわかる。

 だって普通は出遅れとか致命的な弱点だからな。とはいえ、俺もそのままにしておくわけじゃない。

 ゲートトレーニング以外の方法で、スタートの出遅れミスを解決するつもりだ。

 

「ま、走り方の違いってこった」

「ふぃ~! なになにー? どうしたのみんなー!」

「アップ終わったよ、トレーナーさん」

 

 ウララとライスもウォームアップが終わってこちらへ走ってくる。

 あとはフクキタルだけだ。今日は14がラッキーナンバーなので14周してきますと言っていたがはたしていつ終わるのか。

 ちなみにデジタルは海外遠征中のためここにはいない。まだ見ぬウマ娘を探しに行くと言っていたが、レースは……?

 

「ゲート練習しマセンネ! という話デス!」

「ほんとだー! トレーナー、ゲート嫌いなの? わたしも狭くてあんまり好きじゃないんだー。だからね、ここでみんなとやるトレーニングは楽しくてとっても好きだよ!」

「ライスは好きじゃないけど、嫌いじゃない、かな。でも、本当にいつも楽しいトレーニングばっかり」

 

 トレーニング自体はみんなに好評らしい。

 自分で色々なものを参考にしてやっているオリジナルだから、嬉しいことだ。

 ゴールドシップが飽きないように、体を丈夫にするようにと思ってのものだったが、他のウマ娘にも楽しんでもらえるならね。いいね。

 

「ええ、トレーニングはちょっと変だと思うけど……スキルアップしている感触がありますから。前よりも脚への負担も軽くなっている気がします」

 

 まだみんなとチームを組んでから半年だが、そこそこ成果がでているみたいだ。ケガしにくくなっているのを体感してもらえているのはとてもいい。

 俺にとっても自信につながるからな。この調子でしっかりトレーニングを考えていこう。

 

 というわけで、ゲートの練習に代わるトレーニングを考えてあるからそれをやる。ゴールドシップ!

 

「おう!」

 

 パチンと指を鳴らすと同時にどこかへ走っていったゴールドシップは、でっかいマットとポールを持ってきてくれた。

 俺も手伝っていそいそと準備する。

 

「ぜぇ、ぜぇ……う、ぐげげっ……は、走り終わりましたぁ~……」

「フクキタル、お疲れ様デス! ロングなウォームアップデスネ!」

「長すぎると思うけど……やっぱり14周はアップじゃないわ」

「そ、そうですよね……ところで、コレは一体……?」

 

 フクキタルもアップを終えてきたようだ。

 そうこうしているうちに、準備が終わった。

 さあ、今からやるのは走り高跳びだ!

 

「はしりたかとび? ジャンプするの?」

「そうだぞ。ウララ、アタシの華麗なる5回転アクセルを見とけよな!」

 

 不思議そうにこてんと首を傾げるウララにゴールドシップは宣言し、高跳びの棒に向かって走っていく。

 そして棒の手前でタンッと跳びあがると、美しいフォームでのはさみ跳びで跨ぎマットに着地した。

 うん、10点!

 

「ビューティフォー! 綺麗デス!」

「すっごーい! わたしもやりたい!」

「ら、ライスもやりたいな……!」

 

 タイキたちはゴールドシップに拍手して称える。

 今のデモンストレーションでやる気を引き出せたようだ。

 

「でも、なんで高跳びなの……?」

「はて? まあ楽しそうですし、いいじゃないですか。今日は思いきりジャンプするのが吉らしいですからね!」

「もう……いつもそうなんだから、フクキタル」

 

 スズカは若干懐疑的だったが、フクキタルの謎理論に絆されていた。

 とりあえずみんなにはトレーニング内容について説明する。やっぱり担当じゃないし、言っておかないと先輩たちにも悪いからね。

 

 高跳び自体は走りに直接影響がないかもしれないが、スローな走りから力強く踏みこんでフルパワーを出すというトレーニングになるかな……という期待のもと行っている。

 つまり、スタートや末脚を使う時の瞬発力を鍛えるものというわけだな。これが俺の考えたゲートトレーニングに代わるものだ。あとはバーの高さを調節して、必要な分だけ力を入れるケガ防止のためというのもある。

 まあ、集中力の強化という面では問題かもだけど。楽しめるだろうからね、モチベーション的にはいいハズ。

 

「着地のときは気をつけろよな。片脚で降りるから脚ひねるぞ」

「わかりマシタ! 行きマス! ゴー!」

 

 タイキがゴールドシップの説明を受けて跳び出し、跳びあがって棒を跨ぐ。

 やはりウマ娘の脚力だとすごい跳べるなぁ。

 

「よーし! わたしもいっぱい跳んじゃうからね!」

「ウララさん! 頑張ってください!」

「ウララちゃん、がんばって!」

 

 ウララも楽しそうに走っていき、バーに激突してポテンとマットに転がる。

 このトレーニングもそこそこ有用かも。楽しそうに笑ってこなしていくみんなを見て、トレーニングの記録をするのだった。

 

 

 

 

 

   ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 順調にチームトレーニングを行い、絆を深めていたある日。

 チームはオフの日ということで、俺はトレーナー室で仕事をしていた。ゴールドシップは1人ジェンガで遊んでいる。

 そのジェンガなんかデカくない? 見た時ない大きさなんだけど。

 

 横目に見ながら書類を書いていたらノックの音が。

 返事をすると扉が開き、たづなさんがやってきた。

 

「こんにちは、トレーナーさん。ゴールドシップさんもいらっしゃるんですね」

「お? たづなさんじゃねーか。トレーナーと出かけんのか? 明日は早めに帰れよな」

「この前はちょっと盛り上がってしまっただけですから。そうではなくて、お2人に用事があるんです」

 

 この前たづなさんとウマ娘の話題で盛り上がりすぎた結果朝帰りになってしまった。ゴールドシップは若干根に持っている。

 というのも、次の日がゴールドシップのオフの日だから遊びに行く気だったらしい。強制で俺を連れて。

 なのに家にいないし学園にもいないし連絡もつかないものだから不機嫌になって、たづなさんと2人で帰ってきた俺がドロップキックを食らったのだ。

 それからは出かけるときはゴールドシップに連絡するようになったというのは別の話。

 

 ところで用事って何だろうか。

 

「チーム<STAY GOLD>に参加したいというウマ娘がいるんです。紹介してもいいですか?」

「お、マジか! 誰だ?」

 

 ゴールドシップはテンション高くジェンガを振り回して目を輝かせる。

 チームでトレーニングするのがお気に召しているらしいので、メンバーが増えることに好意的だからな。

 入ってきたのは4人だ。

 

「よぉ、ゴールドシップ」

「こんにちは、ゴールドシップさん。トレーナーさん」

「おおー! ナカヤマとフラッシュじゃねーか!」

 

 先に入ってきた2人はナカヤマフェスタとエイシンフラッシュ。

 どちらも一足先にトゥインクル・シリーズで活躍しているウマ娘だ。

 

「どうしたんだ? ナカヤマがチームってのも珍しいじゃねーか」

「面白そうだと思ってな。このチーム」

 

 ククッと笑いながら俺を見た。

 え、俺?

 

「あんなヘンなトレーニングをしてるくせして、走りのキレは抜群だ。面白いヤツじゃないか、あんたのトレーナーは」

「そりゃあそうだろ! アタシが直々に選んだヤツだ! もっと面白くなる予定だぜ!」

「とても楽しみです。トレーニングは一見効率的ではありませんが、チーム<ファースト>の樫本代理もその有用性を認めています。興味深いところですので、是非よろしければ」

 

 自信満々に話すゴールドシップたち。

 ウマ娘からそう言ってもらえると嬉しい。褒められているのかは微妙だけど。

 頬をかいていると、こちらに歩いてくる2人のウマ娘が。

 

「こんにちは、スマートファルコンです! ファル子って呼んでね☆」

「ライスさんに紹介されてきました。ミホノブルボンです」

 

 こちらはこちらで有名どころの2人だ。

 スマートファルコンはダートで最強と言われる逃げウマ娘、ミホノブルボンもライスシャワーに菊花賞で負けるまでは無敗の二冠ウマ娘だ。

 ミホノブルボンはライスの友人兼ライバルだからわかるけど、スマートファルコンは何故このチームに?

 

「逃げシスのみんながいるんだもん☆ ファル子も一緒に走りたいなって!」

「説明します。逃げシスとは逃げウマ娘だけで構成されたウマドルユニット、逃げ切りシスターズのことです。こちらにはスマートファルコンさん、サイレンススズカさんが参加しています」

 

 スズカは巻きこまれているだけなんだろうなというのがこの2人のキャラの濃さで感じる。

 まあ、一緒に走ってくれるというのなら嬉しい。

 特に拒否とかは無いから、4人とも一緒に走っていこう!

 

「はい。オーダーを受理、これよりチーム<STAY GOLD>に参加します」

「ありがとう☆ ファル子、頑張るね!」

「ククッ、いつだってアツい勝負を期待してるさ」

「アオハル杯用のスケジュールに変更します。これからよろしくお願いします」

 

 新たに4人の新メンバーが加わった。

 チームのさらなる盛り上がりに期待できそうだ!




 というわけで新メンバー加入です!
 ナカヤマフェスタ、エイシンフラッシュ、スマートファルコン、ミホノブルボンです。
 このチーム逃げと差しばっかで先行少ないな?
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