「何でマクロスがないんだ!」少年はそう叫んだ   作:カフェイン中毒

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 今回ガンプラ要素はありません


トライアングラーって見てる分には面白いよね

 ゴーストを撃破したみたいにボロボロになったYF-21を回収した俺と、爆発させた割には原型が残っているヅダを回収したツムギ、さっきの事が頭にこびりついてる俺はかくかくと不審な動きになってるかもしれない。というかツムギの距離が近い!ヒマリ並みに近いぞ!?ヒマリは幼馴染だから近づかれてもいい具合の距離感を分かってくれてるけどツムギはストレートにぐいぐい来る。あ、今更3着の人が来た。えーっと、あ!キュリオスガストの人だ!4着がZで5着がゲドラフ?アインラッド付だとしてもすげえや。

 

 「…アルト、楽しかった。またあそぼ?」

 

 「おう、というか今から遊ぼうぜ。ヒマリも呼んでな」

 

 どうせ今から暇だしまた出店でも回ろっかと思ってたら運営スタッフのTシャツを着た人が俺に向かってちょいちょい手招きしてる。俺がそっちに行くとあわあわとツムギも一緒になってついてきた。親の後ろについてくる子犬か何かかお前は。で、スタッフさん何の用?

 

 え?さすがに一昨日、昨日、今日とイベント総なめしすぎ?申し訳ないけど君が出たら必ず勝つだろうからエンターテインメントとして成り立たない?ちょっとそれは他のファイター舐めすぎじゃない?え?今日のレースがなかったらまだ出れてた?差をつけすぎて参加者が冷めてたからお願い?まあもうこれ以上出る気ないけど。YF-21直したいし。

 

 というわけでイベント出禁である。良いけどさ。これ以上出る気しないし約束もないし。めっちゃ飛べて今は満足してるし。とりあえず暫くガンプラバトルはいいかな~~。

 

 「ところでツムギ、ヅダなんで原型保ってるの?」

 

 「…ホントに壊しちゃうのは直すの大変。だけど、様式美というかこれがヅダだから…それっぽい爆発が出る感じに作ったの…お小遣い、無くなっちゃうし」

 

 「世知辛いな、お互い」

 

 「…アルトも?」

 

 そう、俺もである。フルスクラッチという関係上材料費にとにかく金がかかる。俺は常に金欠なのだ。今回は楽しんで来いということで両親から軍資金をもらったので比較的裕福だけど本来だったら出先でジュースを買うことにすら苦渋の決断をせねばならない。だから安くプラ板とかを売ってくれるイオリ模型には頭が上がらない。常に五体投地しているレベル。心の中でな!

 

 「…アルトと仲間、仲間…ふふふ…」

 

 「みょーに嬉しそうだけど誇れる仲間じゃないからな?ただの金無し同盟なんて」

 

 「…うん」

 

 「俺が悪かった。悪かったからその捨てられる寸前みたいな悲しそうな雰囲気を今すぐやめろ。悪いことしてるみたいだろ」

 

 一気にシュンとした雰囲気に変わるツムギ、こいつこんなに分かりやすかったっけ?無表情なのに雰囲気だけで何考えてるかわかるぞ。尻尾と犬耳つけたらわんこだこれ。

 

 「あー!アルトくんツムギちゃんいじめてるの!?」

 

 「おいヒマリ、お前は俺の事なんだと思ってるんだ?」

 

 「うーん…飛行機バカ?」

 

 「全く否定できんがともかく俺はツムギをいじめているわけじゃねえ!」

 

 流石幼馴染のヒマリさん、俺の事をよくわかってらっしゃる。いやそれは置いといて、いじめているわけではないということを声を大にして言いたい。俺とヒマリのじゃれ合いを見て完全におろおろしてるツムギ、ちょっとだけ抗議を続けさせてくれ、そのあといくらでも謝るから。さあ戦争だぜヒマリーーーー!!!

 

 「まあアルトくんがそうなのは今に始まったことじゃないからいいけど、ユウキさんが遊びに行こうって誘ってくれてるの。ツムギちゃんも、行かない?」

 

 「行くってどこへ?まだモラトリアムは3日あるぞ?」

 

 「…私も行っていいの?」

 

 「いいよ!こっちから誘ってるのに!それにユウキさんも話したいって!」

 

 「…アルトは、いく?」

 

 「こいつがこう言いだしたら基本俺に拒否権はないぞ」

 

 「…素直じゃない」

 

 「んだと髪の毛ツーサイドアップにしてデコ丸出しにしてやろうか!?」

 

 「…やってくれるの?友達に髪の毛結んでもらうの、憧れてた。やって?」

 

 「あれ?普通こういうのって嫌がるもんじゃないの?なあヒマリ?」

 

 「しりませーん。アルトくんのとーへんぼくー」

 

 「おかしい、なんで俺が四面楚歌なんだ…」

 

 俺が頭を抱えてるとヒマリがツムギの腕を取って先に行ってしまった。慌てて俺が後を追う。っつーか…

 

 「まだどこに行くか聞いてねーんだけど!?」

 

 「どこって、海だよ?」

 

 「海ぃ?」

 

 俺の素っ頓狂な声が、その場にむなしく木霊した。海ってあの海か?しょっぱい生命の源のやつ?GPベースで再現したやつじゃなくて?

 

 急いで二人の後を追った俺はなぜかジープを運転しているグレコさんに同乗するチョマーさん、タツヤさんとお初のフェリーニさんが待ってた。

 

 「よう色男、新しい女ひっかけたのか、やるな」

 

 「やっぱり喧嘩売ってますよねチョマーさん!?」

 

 「ちょっとこれは私もフォローできないよアルト君。何があったんだい?」

 

 「昨日クラスメイトの一人がここ2日間くらいちょっとした噂だった妙にすごいヅダのビルダーだったことが発覚しました」

 

 「ちょっとこれは私でも困惑しそうかな…彼女が?」

 

 タツヤさんの視線と一緒に大人たちの視線が全部ツムギに注がれる。彼女はまさか世界選手権出場者しかいないとは思ってなかったらしく小動物のようにフルフルと震えてしまいにはヒマリの元を離れて俺の後ろに隠れてしまった。

 

 「…き、聞いてない。アルト、こんなすごい人たちと一緒だなんて聞いてない」

 

 「すまん、いうの忘れてた。えーっと、クラスメイトのイロハ・ツムギです。ヅダが好きらしくて、ファイターとしてもビルダーとしても凄いやつですよ。今日のレース見てもらったらわかるでしょうけど」

 

 「…イロハ・ツムギ、です。ヅダが好きで、えっと…フルスクラッチとか、やって、ます…?」

 

 「よろしくねイロハさん。ユウキ・タツヤだ。今から海に行くんだけど一緒にどうかな?水着とかは貸し出してもらえるから手ぶらで大丈夫だけど」

 

 「せっかくだし行こうよ!ツムギちゃんと仲良くなりたいな!」

 

 「…うん、行く。よろしくお願いします」

 

 「話は決まったかー?初めましてだな可変機乗りさん?俺はリカルド・フェリーニ、イタリアの代表だって知ってるか。グレコに誘われてついてきたけどこりゃ来て正解だったな。いろいろ話聞かせてくれよ」

 

 「サオトメ・アルトです。こっちは幼馴染のスズカゼ・ヒマリ、会えてうれしいです」

 

 「んじゃ乗ってくれ。BBQの用意もあるからな。そっちは任せておいて子供は派手に遊ぶこった」

 

 男前にそう言い切るグレコさんに促されて俺は軍用車であるはずのでっかいジープに乗り込むのだった。両隣女の子っておかしくない?ちょっとチョマーさんそっちの席行っていい?引き留めるなヒマリ!ええい袖をつまむなツムギ!大人どもは面白そうににやにや笑うんじゃねえ!助けろや!

 

 「この年でこれたぁ将来が楽しみだな。どうだ?ナンパの方法教えてやろうか?」

 

 「リカルド、子供相手に何言ってるんだ。チョマーの顔見てみろ」

 

 「てめぇ俺の女に手出したら許さねえからな」

 

 「おーこわいこわい。ところであのヅダ作ったのってホントにお嬢さん?」

 

 「…はい!ヅダのデザインとロマンに溢れた設定が好きで!」

 

 「ほー。それがわかるたあ嬢ちゃん見どころがあるな。あの機体やっぱりフルスクラッチか?」

 

 案外馴染むのが速い…?いや、ヅダの話だから好きが先行して乗っかっていってるだけか。これはフェリーニさんうまいな、好きな話題で緊張をほぐそうとしてくれてるんだ。というかツムギの溢れるヅダ愛がすごすぎる。そしてそれを理解して余裕をもって話し出す大人組、マクロスなら負ける気しないけどガンダムはいまだ修行中の身ですから…お手上げです。拍手を送っとこう、ぱちぱち。ちなみにヒマリは最初から何もわかってない。頭の上に?マークがファイターしてくるくるしている。撫でておこう、よしよし。

 

 なんか隣から視線感じるけど無視だ無視、ヒマリみたいな特別仲がいい女の子なら今みたいなことはできるけどいくらクラスメイトとはいえ今日友達になったばっかりの子にそんなことするわけないだろ!俺は節操なしじゃないんだ!たとえこの視線が極寒のブリザードであろうと耐えてみせる!

 

 「…うぅ」

 

 「アルトくん?」

 

 違う、これは決して隣の構ってオーラに負けたわけじゃない。ヒマリの撫でてあげなよという視線に負けたのだ。この手が隣のウェーブが特徴的で柔らかな髪をすかしているのもヒマリのやってあげなよ視線のせいなんだよ!だからにやにや見るな周りの大人ども!俺は新しいおもちゃじゃないんだぞ~~~~!!!!

 

 

 

 

 「はぁ…なんかガンプラバトルより疲れた…」

 

 「役得だろ。よかったな」

 

 「チョマーさんなんかあたりきつくないですか?」

 

 「理由くらいわかるだろこのミニフェリーニ」

 

 「あんたさっきからフェリーニさんを悪口みたいに言うのやめろや!」

 

 「おめーはあいつのこと知らねーからそんなこと言えんだよ。あれ見ろ」

 

 海パンにラッシュガードという一般水着姿に着替えた俺。ヒマリにツムギが着替えるのを待ちながら海に入るつもりはないらしいビールを片手に持ったチョマーさんに弄られてる。彼が、指さした方を見るとフェリーニさんがめっちゃ精巧に組み立てたヴィクトリーガンダム片手に見目麗しい女性をナンパしているところだった。

 

 「俺はなんも見ていません」

 

 「おいそりゃねーだろ。ナンパが趣味なんだよあいつ。ガンプラ出汁にして女を誘ってるのさ」

 

 「知りたくなかったです…」

 

 「教えたくなかったけどな」

 

 益体もないくだらないことをあーだこーだとチョマーさんと話している俺。タツヤさんとグレコさんはBBQの準備をしている。というかタツヤさんの水着ブーメランなんだけど?よく着れるなびっくりした。俺も手伝おうとしたら女の子をほっておくなと怒られたのでこうして待ってる次第である。チョマーさんとフェリーニさん?サボりだよ。

 

 「アルトくーん、お待たせ~!」

 

 「…お待たせ」

 

 「はいはい。待ってはないけど…うん、似合ってるな二人とも」

 

 「でしょ~?たくさんあって迷っちゃった!」

 

 「…私は学校の水着でよかった」

 

 「ダメだよツムギちゃん!せっかく可愛いんだからおめかししないと!」

 

 そういうヒマリは黄色のビキニに白のTシャツを胸のところで結んでへそを出している。頭に乗せたサングラスが妙に似合ってる。ハイビスカスでも頭に挿してやりたくなる南国風味だ。で、ツムギも同じく黄色の水着だけどセパレートタイプで水色の長袖ラッシュガードを着ている。ちなみに顔は出している。髪型はハーフアップでヒマリがやったらしい。でも目はサングラスかけてるけど。眩しいんだってさ。目がいいのも大変だねえ。

 

 「で、何すんの?城でも作る?」

 

 「せっかく来たんだから泳ごうよ!」

 

 「…私、泳げない。浮けない」

 

 「マジで?」

 

 「…うん。浅瀬で歩くくらいしかできない」

 

 「じゃあ足の着くところまでいくか。良いよな、ヒマリ?」

 

 「いいよ~~!競争しよ!スタート!」

 

 「あっセコイ!ほら、行こうぜツムギ!」

 

 「…うん!」

 

 勝手にスタートをして小走りで走っていったヒマリを追うためにツムギとはぐれないように手を差し出す。ちょっと迷ってから俺の手を取る彼女を引っ張りながら、楽しそうに水しぶきをあげるヒマリの後を追って、二人して海にダイブするのだった。

 

 

 「うっま…え?うっま…BBQすげえ」

 

 「おいし~~~!グレコさんすっごい!」

 

 「…おいしい」

 

 「おう、アメリカの男はBBQできるのが当たり前だからな!遠慮せずどんどん食ってでかくなれ!ほらタツヤ!お前も細いんだから食え食え!」

 

 「食べてます食べてます!だからさらに山盛り置かないでください!」

 

 「正直グレコさんほど太くなれる気がしない。筋肉もりもりだ」

 

 「がっはっは!たくさん食ってたくさん動く!そうすれば自然とこうなるさ!」

 

 BBQ奉行をしているグレコさん、珍しいことにさらに肉を山盛りにされて自分のペースを失っているタツヤさんという珍しいものを見ることができた。そしてグレコさんとタツヤさん以外の大人は酒飲んでる。具体的にはビールがぶ飲みするチョマーさんと頬にでっかい紅葉があるフェリーニさんだ。チョマーさんすげえ嬉しそう。

 

 「えー、あの…」

 

 「アルト、あっちは見るな。悪い見本だ、タツヤもああなるんじゃないぞ」

 

 「えっあの、はい」

 

 「は、はい」

 

 真剣な顔でそういうグレコさんに押されて俺とタツヤさんはそろってそう頷くのだった。グレコさんがスペアリブを切り分けるのを見ながら、俺は遠い目をするのだった。隣でタツヤさんは皿の肉の山をみてもっと遠い顔をしている。

 

 「…アルト、だいじょぶ?」

 

 「ん、ああ大丈夫大丈夫。昨日と今日はいろいろあったなーって思ってな」

 

 「ねー。ツムギちゃんがあんなにガンプラバトル上手だなんて思わなかった」

 

 「…私も、ヒマリがあんなに歌が上手だなんて知らなかった。すごかった、よ?」

 

 「わあ!聞いててくれたんだ!?嬉しいな~~~!ねえ今度ツムギちゃんも一緒に歌おうよ!?」

 

 「…えっ!?わ、私は、その…」

 

 「ん、やってみてもいいんじゃないか?二人用の曲作ってたよな」

 

 「そうそう、まだ途中だけどアルト君が熱烈プレゼンしてきたやつー!ツムギちゃんと一緒に歌えるなら嬉しい!」

 

 「…アルトは、聞いてみたい?私の、歌…」

 

 「正直に言うなら聞いてみたいけど、お前の好きにしたらいい。ま、ヒマリに付き合ってやってほしいとは思うけどな」

 

 「…じゃ、じゃあ…やって、みる」

 

 「そうこなくっちゃ!ああ~楽しみだな~~!ね、ツムギちゃん!帰ったらまた遊ぼうね!約束!」

 

 「…う、うん!約束…」

 

 小指を出してツムギに向けるヒマリ、ツムギも何するかは知っているので小指を出して絡める。俺がそんな光景を眺めていると、ヒマリがこっちをじとっと見つめてきた。何さ?

 

 「アルト君も、ほら!小指出して!」

 

 「俺もか!?」

 

 「アルト君も!約束!ほら早く早く!」

 

 「…!えへへ」

 

 「じゃ、約束だ」

 

 3人で小指をぎゅっと絡めて、約束。ゆ~びきり拳万、嘘ついたら、ハイマニューバモードのYF-21に乗っても~らうっと。破らない約束だし、どんな無茶苦茶言ってもいいよな。俺たちのそんな光景を大人たちは微笑ましそうに見つめていた。具体的にはグレコさん。タツヤさんは肉の山に沈み、チョマーさんは飲み続け、フェリーニさんは延々とチョマーさんにガンダムの話をしている。

 

 率直に言って、収拾がついてなかった。俺はそんな光景を見なかったことにして、眩しい二人の笑顔を見つめることにするのだった。

 




 うん、なんだこの話(書いておいてこのざまである)

 トライアングラー出来てなくない?ヒマリちゃんが設定上いい子過ぎて嫉妬とかそういうのをあまり抱きそうにない。困った。

 お前たちが俺の翼ルートでもいいけど、そんなん非難を免れぬ。未来のアホ主人公に幸あれ
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