「何でマクロスがないんだ!」少年はそう叫んだ   作:カフェイン中毒

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 日刊一位、ありがとうございます。ぶったまげました。


大口径主砲は男のロマン

 何とか勝ちを拾えた、んだけど本当だったら無傷で終わるハズのバトルは俺の無茶と無謀によって出来立てほやほやのVF-1に大きな傷を残した。まあ翼が無くなっただけだから割とすぐ直せるんだけど、ちょっと、いやだいぶショックだ。でも相手のグフのほうがダメージ大きいし…ダルマ状態だもん。

 

 「塗装なしの真っ白な状態でこれは…素晴らしいMSだな。腕も初心者にしては申し分ない」

 

 「ありがとうございます。とりあえずこいつはもう動かすのはやめとこ…」

 

 そういって俺はガウォークのままのVF-1をケースにしまう。代わりにと言わんばかりに手に取ったのはVB-6、ケーニッヒ・モンスターだ。こいつもVF-1と同じ、可変戦闘機…正確には可変爆撃機なんだけど、鈍重かつ重装甲、ドッグファイトはもってのほかで超遠距離からの爆撃や圧倒的火力にものを言わせての蹂躙を本質とする機体だ。爆撃機、といっても積んでるのは爆弾ではないし、遠距離砲撃が得意な感じだけどね!

 

 「ほう!2機目もあるとは…それもこのバルキリーと同じなのか?」

 

 「近接戦は全く想定してないけど、そうです」

 

 「さっきのバルキリーよりもおっきいよね。スペースシャトルみたい」

 

 セイのやつの感想を聞きながらもう一度GPベースを起動する。舞台は勿論宇宙、といきたいところだけど地上だ。大気圏内の飛行はあまり得意ではないモンスターだけど、GPベースの中ではあまり関係ない。ごうごうと熱核タービンエンジンとプラズマロケットをふかしながら巨体を強引に空へ浮かしている。でも俺がモンスターでやりたいのは飛ぶことじゃない。飛ぶならバルキリーがいいし。

 

 コンソールをいじって変形する。翼が外れ、機体下に移動して足になる、機体側面の格納庫カバーが外れ、ミサイルランチャーを兼ねた腕に、格納庫の中に収められていた4連装大口径レールキャノンが起きあがり、伸長しながら固定される。ズザアアアと地面をえぐりつつ豪快な着地をしたガウォークのケーニッヒ・モンスター。その全長以上はあろうかという主砲にわくわくとロマンが詰まっている気がする。

 

 『戦艦の主砲のようだな…』

 

 「そのレベルの威力はありますよ!」

 

 『あのモビルスーツは戦艦並みのビーム砲を持っているのか!?…なーんちゃって』

 

 「隙あらば名言かよ。こいつは実弾だけど戦艦くらいなら沈められるんじゃないかな?」

 

 俺はレールキャノンをコンソールで選択して発射を試みる。狙いは中空だけど、機体下の固定板が機体を固定し、レールキャノンが動き出す。スイッチを押し込むと、砲身からとんでもない爆炎と共に4発の砲弾が発射され、固定板で固定しているはずなのに、モンスターが少しずり下がった。足元が砂だからか。発射された砲弾は空中で盛大に爆発、いい威力だ。ロマンを感じる。デストロイドは、今日はいいかな。

 

 しかしまあ、よくも再現できるもんだ。マイクロミサイルはともかく、ガンポッドにレーザー機銃、このレールキャノンなんてガンダム世界にはないのに。プラフスキー粒子って人のイメージで動いてたりする?なーんて。と思っているともうすでに夕方の6時を過ぎてしまっている。これはまずい、門限が近いどころかやばい。帰らねば!

 

 そそくさとガウォークのケーニッヒ・モンスターを手に取ってラルさんとセイに挨拶して帰ることにする。帰ったら補修からだなあ…パック装備ももうすぐ完成するのに。やることが増えた、んだけどそれが面倒臭くなく楽しい。店の前で見送ってくれるセイとラルさんに大きく手を振り返して俺はイオリ模型を後にするのだった。

 

 

 「うへぇ…見れば見るほど、やっちまったなこりゃ」

 

 何とか門限に間に合い、夕食を頂いて自分の部屋に戻った俺は。翼のもげたバルキリーをケースから出して、へこんでいた。出来立てほやほやのバルキリーが見るも無残な姿。だけど大丈夫!こんなこともあろうかと、ある程度のパーツのストックを作ってある。正確には失敗作なんだけど。イオリ模型で言った予備パーツがないっていうのは会心の完成度を誇る全く同じパーツがないっていう意味。だから一時的な替えにならないことはない…んだけど!やっぱりちょっと微妙かも…早く新しいの作らないとね。まあそれよりも。

 

 「さって、と」

 

 用意するのは筆に塗料、マスキングテープ…そう、塗装だ。今じゃなきゃいけない気がしてる。今日、GPベースでバルキリーを飛ばしたイメージが焼き付いている今だからこそ最高の塗装ができるんじゃないかと思う。徹夜なんてしたくないけど…今回ばかりはちょっとね。目が冴えて眠れそうにないし。セイのプラモ相手とは言え練習させてもらったし、やろう

 

 とりあえず分解できる最小限にVF-1を分解して俺はまず白の下地塗りを開始するのだった。さあ、長くなるぞ~~~

 

 

 

 「ガンプラバトル!レディィィィ…ゴオオオォォォ!!!」

 

 「よし、行くぞダブルエックス!」

 

 「フリーダム、出ます!」

 

 「お~やってるやってる。盛況だなあ」

 

 一月後、俺の姿はイオリ模型ではなく、街の大型模型店にあった。目的はガンプラバトル…と言いたいところだけど、実際は違う。GPベースだ。GPベースは六角形の形状になってて他のGPベースと合体させることでより広いフィールドを作り出すことができる。つまり、作り出す空も広大になる。イオリ模型のGPベースをいつまでも借りるわけにはいかないし、それに、戦場でどこまで空を飛べるか、腕試しをしたい。ラルさん曰く「磨けば光る」そうなのでじゃあ磨いてみっか!というやつだ。

 

 さっそく順番待ち用の端末に名前を打ち込んで調整用の机を一つ借りた。バルキリーを取り出すと隣で使っている少年にぎょっとしたような視線をもらう。分かってたけどちょっと鬱陶しい。俺はその視線をとりあえず無視して塗装を済ませ、一条輝の機体と同じ、白地に赤のライン、髑髏のエンブレムが入ったバルキリーにさらに取り出したパーツをくっつけていく。ラルさんとのバトルでも使った対空対地ミサイルとマイクロミサイルポッド、さらにもいっちょ完成までもっていったパック装備もだ。

 

 そう、パック装備。バルキリーのオプション、強化パーツのようなものでこのVF-1でのバリエーションは形態がバトロイドに固定されるものの圧倒的な火力を誇るアーマードパック、機動力を大幅に上げるスーパーパック、それの派生ともいえるストライクパックなどだ。他にも細かい分類わけはあるけども、大まかにこんな感じ。で、俺が選ぶのはスーパーパック、マクロスの主人公たちが歴代愛用しているものだ。

 

 VF-1の足ともいえるエンジン部側面に増加槽兼スラスター、背中には大型ロケットエンジン兼マイクロミサイルポッド、腕にはマイクロミサイルコンテナを装備する。っか~~~!一気にごつくなってカッチョいい!自分で作ったからやはり感動もひとしお!しかもこれで変形には支障ないときたもんだ!ああ、順番早く来ないかなあ!塗装を済ませたんだから性能も上がってるだろうしさらにスーパーパックで倍率ドンだ!楽しみ~~!

 

 『サオトメ・アルト君~!GPベースの前に来てください~~~!』

 

 呼び出されちゃった。荷物まとめてGPベースの前へ。俺のプラモを見た対戦相手が不可思議なものを見る顔をしているけどごめんよ。舞台は…宇宙だ。うん、うってつけ!相手は、ジェガン?ガンダムじゃなくて量産機とは渋いねえ。俺もひとの事言えんか。

 

 「ジェガン、出ます!」

 

 「スカル4、でるぞ!」

 

 同時に空へ舞い上がる。まず感じたのはフィールドの広さ。イオリ模型にあったものならすぐ相手が見つかったんだけど今回はそんなことない。スーパーパックのブースターを噴かせながら戦場となった宇宙を飛ぶ。周りで見てる観客はガンプラでなく飛行機が飛んでいることに不思議を隠せない様子。そして、接敵。ジェガンだ。相手も俺を見つけたらしくすぐさまビームライフルで射撃をしてくる。

 

 迫りくるビームに対して俺は、エンジン側面についてるスラスターを片側だけ全力噴射、するとまっすぐ飛んだまま機体がスライドしてビームを躱す。現実の飛行機じゃ無理なバルキリーでのみ可能なマニューバだ。

 

 「よけられた!?」

 

 紙一重でビームを躱した俺はお返しとばかりにガンポッドを連射する。吐き出された無数の銃弾に対して驚きで反応が遅れた相手はかろうじてシールドでやり過ごすがシールドはガンポッドの威力に耐え切れずボロボロだ。素組みのあっちに対して俺は完全フルスクラッチ、手間のかけ方が違うから性能差もはっきり出てる。怒ったようにライフルを撃ちまくる相手だが俺が操るVF-1はするりするりと光条を躱して反撃のガンポッドをお見舞いする。相手も撃ってくるのがわかってるからかよけてはいるがやりづらそうだ。

 

 「くっそぉ!卑怯だぞ!」

 

 「えぇ…」

 

 卑怯呼ばわりされた俺はしゃーなしにガンポッドの連射をやめてターンを決めると相手を回り込むような軌道にVF-1をのせる。怒ったようにビームサーベルを抜きながら迫ってくる相手、真正面から馬鹿正直に突っ込んでくるジェガンに対し、ちょっとカチンときたので武装をすべて選択してぶっぱしてやることにした。VF-1に装備されたスーパーパックの各所が開きそこからマイクロミサイルが次々と発射される。おまけに両方の翼にあるマイクロミサイルポッドと対空対地ミサイルもだ。総計100発ほどのミサイルの嵐。

 

 「う、うわあああああああああ!?」

 

 上下左右、ありとあらゆるところから迫りくるミサイルに対してジェガンは棒立ち、何もすることもできず全弾直撃、かと思いきやミサイルが全て消えて俺の目の前にバトルが終了したというシステムメッセージが表示された。ジェガンを動かしてた子が降参したことによりバトルが強制終了したのだ。一応、俺の勝ちだけどいいのかな?相手の子はちょっと傷ついたジェガンを持ちながら俺のほうに大股で歩み寄ってくる。

 

 「今回は負けたけど、次は勝つから!逃げんなよ!」

 

 「…わかった!俺も楽しみにしてる!」

 

 文句の一つでも言われると思ったけど宣戦布告された上に握手を求められた。こういうのだったらまたやりたいかな。俺も、大人気ないことしたし。お相子ってことで。VF-1を回収してまた順番待ちの端末を操作して順番を待つことにする。でも次はVF-1じゃなくてVB-6のほう。ケーニッヒ・モンスターで行こうかな。

 

 もちろんモンスターも塗装済みだ。ダークブラウンを基調にした塗装でもちろんノーズアートとしてモンスターの顔と横に銀河の妖精、シェリル・ノームと超時空シンデレラ、ランカ・リーのイラストが描いてある。筆が乗ったお遊びであるけど正直気に入っている。また違うもん出したぞみたいなひそひそ声が聞こえてくるが、ええやん楽しんだもん勝ちでしょ?スーパーパックを外したVF-1をケースにしまい込んでもう一度俺の名が呼ばれたのを確認しGPベースにVB-6をセットする。

 

 「さっきの戦い見てたよ。よろしくね」

 

 「こちらこそ。手加減なしでな」

 

 相手と軽く挨拶をして相手のガンプラを見ると…ZZガンダムか。思ったけど素組みが多いな。改造してるのは少数派、というか好きで好きでたまらないっていうタイプだけか。ただ遊ぶ分には素組みで十分なのかもしれない…ってことはこんなところでフルスクラッチ持ち出してる俺って相当変態に見えてるんじゃ…?気づいちゃいけない事実に気づいたがバトルが始まったので考えないものとする。

 

 場所は砂漠。開けてるから視界が大変良い、ということで男のロマンをぶっ放してやろう。飛んでるVB-6がガウォークに変形して砂煙を上げて着地する。変形した瞬間ギャラリーから小さくないざわめきが聞こえた。さっきは結局変形せずにファイターの状態で終わったからな。それにすでに相手のZZガンダムも見つけているのでこのレールキャノンの威力を見せてくれようぞ。モビルアーマー形態のままこちらに飛行してくるZZガンダムに対して照準を合わせ、トリガーを引く。轟音と共に吐き出された砲弾は狙い通り、とはいかずZZを素通りして背後で爆発した。

 

 原因は単純、砂漠なので固定が甘く狙いがずれたことだ。おまけに気づかれたし。けど問題ない、両手のミサイルランチャーからミサイルを斉射して俺自身はブーストふかして移動する。バルキリーに比べりゃ遅いけどエンジンパワーはこっちのほうが上だ。移動は容易い。牽制のビームキャノンがかすめていく。ミサイルは過たず相手に殺到するが、MSに変形してシールドバインダーで防御された。その隙にもう一度レールキャノンをぶっ放す。狙いは地面、爆炎がZZを吹っ飛ばした。その隙に離れようとブースト入れての大ジャンプを試みる俺だが一瞬相手が早く、ダブルビームライフルのビームが直撃コースでVB-6に迫ってくる。

 

 やばい、と咄嗟に操作できたのは直前に使ってたレールキャノンだ。狙いも付けず発射されたが反動で空中にいたVB-6はずれて、直撃だったはずのビームライフルを躱すことに成功した。俺はそのままブーストを盛大に吹かして勢いのままZZに体当たりをぶちかます。爆音とともに跳ね飛ばされたZZの胸部装甲がひしゃげる。破れかぶれで発射されたハイメガキャノンをバックステップで躱してモンスターの顔部分についているタレット機銃と両腕のミサイルを至近距離でぶちかまし、ダウンを取る。さすがは主役機、これだけ攻撃を受けてもなお健在だ。だけど!

 

 ぐしゃり、とモンスターの足でZZを踏み、身動きを取れなくしたうえで、両腕、機銃、レールキャノンを突き付ける。チェックメイトだ。程なくしてバトルエンドのメッセージが走り、ガンプラバトルは終了した。相手の子は特に恨み節を言うことなく、むしろ「それすげえな!どうやって作ったんだ!?」と聞いてきた。フルスクラッチだぜ、と言ったらやっぱり!すげえ!全国大会でんの!?と尋ねられたりした。

 

 ガンプラバトルの全国大会かあ…興味ないわけじゃないんだけどガンダムじゃないし俺のプラモ。まず出れんのかな?と俺は首をかしげるのだった。




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