「何でマクロスがないんだ!」少年はそう叫んだ 作:カフェイン中毒
PPSEって太っ腹なんだな、と今更ながら思ってる。なんでかって?今現在俺とヒマリ、ツムギ、セイ、レイジとコウサカは2台の車に分かれてとある目的のために移動しているからだ。ちなみに運転してるのは俺の父さんとラルさん、引率が母さんとリンコさん。というのも今回旅行に来ているのだ。
経緯を話そう、セイとレイジのコンビは第三ブロック予選を制した。決勝で戦ったのはあの軍団の魔術師。だが、セイの新たなガンプラ、ビルドガンダムMk-Ⅱと本気で楽しむことを決めたレイジの敵ではなかったというだけ。彼お得意のサテライトキャノンによる面制圧を発揮することもできずの秒殺だった。ちょっと不憫になったくらい。
で、優勝が決まって万々歳、何か祝い事がしたいなーと思って思い出したのはツムギ。確か優勝賞品の副賞として温泉旅行がついてきたはず、セイたちはどう?と聞いたら全く同じ旅館だったのでじゃあ日付合わせて一緒にいかね?という提案が為され今日にいたる。
いいよね旅館、楽しみだよ。車の中端に座ろうとしたら強制的に真ん中にされて今現在ヒマリとツムギに挟まれてるけどな!ええやんドアにもたれかからせてくれたって。お父ちゃん助けて…?え?だめ?じゃあお母ちゃん…聞こえないふりをされてらっしゃる?!ダレカタスケテ…
「すごいよねー玩具の大会の副賞が温泉旅行だなんて!いっぱいあそぼーねー!」
「…うん、海が近いっていうからまた海水浴できる」
「あーそういえば去年約束したな。また海で遊ぼうって。かなったわ」
「ねー!こんなこともあるんだね!楽しみ!」
「…アルト、今度はかけっこ負けないから」
「あれはヒマリがずるいだけだろうが」
「あー!ひどーい!」
去年不正スタートダッシュを決めたヒマリを弄っていると泊まる温泉旅館に着いた。いかにも老舗というか…言い方悪いけどちょっとぼろい?セイとレイジは何となく納得いかない顔をしてるけどこういうのは外見じゃなくて中身だから。さっそく中に入らせてもらうと
「おこしやす~」
「何してんの?マオ」
「あら、アルトはんにセイはんやないですか。何って手伝いです~」
「お前第五ブロック優勝者っつーことは客だろ。マジで何してんの?」
なぜか玄関先にはこの前セイとイマジネーションバトルを繰り広げていた日本第五ブロック優勝者のヤサカ・マオが私服の上から旅館の制服と思える半纏を着て俺たちを出迎えたのである。マジで何してんの?お前の実家ここ?京都じゃなかったっけ?すったもんだしてるうちに本来の旅館の従業員さんがきてまた面倒そうなことになった。はあ、マオが勝手に、手伝ってる。なるほどなるほど…ははーん?さては旅館の娘さんに惚れたなコイツ。顔がわっかりやすいわ。鼻の下伸ばしちゃってあ~あ~。
「こんなんが第五ブロック優勝者?冗談だろ」
「ちょっレイジ!」
「面白いこと言いますなあ。あんたがレイジはんやろ?冗談かどうか、試してみます?この旅館にはGPベースも置いてあるさかい」
「へえ、おもしれんがっ!?アルトてめえ何しやがる!?」
「ところ構わずケンカを売るな。まず荷物おいて、落ち着いて話し合ってからだろ」
「そうだよ、とりあえず案内してもらってから!」
昼から出発してもう夕方になりかけているわけなのでさっさと部屋に入りたい。慌てて案内してくれる旅館の人に申し訳なく思いながら俺たちは荷物を持ち上げるのだった。
「ねー、ハートの9止めてるの誰ー?」
「…私じゃないもん」
「俺でもねーな」
「アルトくんだー!」
「理不尽かお前っ!?」
なんとも眺めのいい部屋に案内してもらった俺たち。部屋割りは俺と父さん、ヒマリとツムギと母さん、セイとレイジとラルさん、コウサカとリンコさんの4部屋だ。もうすでに茜色の夕日が差し込む部屋で俺たちが何をしてるかといったら七並べである。セイはガンプラの調整、レイジはカードゲームは嗜まない。コウサカはセイと一緒である。せっかく全員で集まったんだからなんかやるべと思ったんだけど風呂入ったら卓球するかーという話に落ち着いて今は自由時間なのだ。
流石に3人でトランプはなかなか盛り上がらないのだけど業を煮やしたヒマリが暫定犯人とされてしまった俺に飛びかかってきた。フライングボディプレスを受けた俺は畳の上に押しつぶされる。ぐちゃぐちゃにされる盤面、空を舞う手札。なぜか追加される重量ってツムギが上に乗ってんのか!?
「おいやめろ流石に重いわ!」
「なにをー!女の子は軽いんですー!」
「いくら軽くても二人乗ったら重いんだよ!」
「…アルト覚悟」
「まて、何する気だお前ら!?」
「くすぐり?」
「…こちょこちょ」
「ばっ!?抵抗できないこの姿勢はやめろおおおおおお!」
俺は女の子に対してのデリカシーの大切さを強制的に学ぶことになったのだった。呼吸困難になるかと思ったわ…
その後も自由時間であれこれしていたんだけど、唐突にとんでもない轟音が旅館の玄関先から響いた。まるで何かが突っ込んだかのような…!慌てて3人そろって外に出るとすでに父さんや母さんセイやレイジなど全員が集合していた。そしてそこには玄関に突っ込んだ軽トラックと大柄な男が二人、子分らしき男が一人…!
「事故か!?」
「ガキは黙っとれ。すまんな女将…ブレーキの利きが悪かったようやわ」
「これで営業は無理やのお。ええ加減ワイらにこの旅館売ってもらおうやないの」
「これって…」
「地上げか…!」
「あなたたち、これは立派な過失違反だ。しかも今の話を聞いてると意図しているだろう。女将さん、警察に連絡を」
「じゃかあしいわおどれ!こっちの話をしとるんじゃ黙っとらんかい!」
父さんが冷静にそういうがメンチを切った一人に胸倉をつかまれる。父さんは怯むことなく相手を睨みつけるがその手を横から出てきた手が握って無理やり離した。相手の手を握ってるのはラルさんだ。風呂に先に入ったのか浴衣姿のラルさんはその手を離すと口を開いた。
「人に手を出すほど落ちぶれたか…ゴウとタツ。「鋸のゴウ」「灼熱のタツ」と呼ばれたガンプラビルダーがここで何をしている」
「大尉っ!?」
「ラルの兄貴…!?」
「…知り合い?」
「第4,5世界選手権での日本代表に選ばれた者たちだ。それぞれ優秀なビルダーだった…何があった、二人とも」
「もうあんたとは関係ねえ!いいぜ、今は引き下がっても。その代わり、ここが更地になるまで何度でも来るけどなぁ!」
ラルさんの登場で一瞬優勢に持って行けると思ったが相手も相手でなかなか頑固だ。父さんが後ろ手で携帯を操作しようとしているのが見える。録音か通報か…今なら誤魔化せ…セイっ!?
「バカセイ!あぶねえから戻れ!」
「あなたたちがビルダーだというなら!ガンプラバトルで優劣を決めませんか!?」
「っ!せや!もしワイらが勝ったら!2度とその顔をミサキちゃんの前へ出すんやないで!」
「バトルだぁ…?ふん!いいだろう。ただし」
「俺らが勝ったらただでここの権利はもらう。それが条件だ。出るのはそこのガキ2人でいいのか?何だったらもっとかかってきてもいいぜ」
「んだと~~~!」
老舗の旅館をかけてガンプラバトル、ね。話がいよいよぶっ飛んできたな…でも正直腹立ってたんだよね。あんだけ好き放題言われて父さんに手出されてんだ。ここで引き下がって見届けるってのもないだろう。女将さんは、マオと娘のミサキさんを見て何か感じ入るものがあったのかその条件を飲んでしまった。二人が負けるとは思えないけど勝率をあげるに越したことはないはずだ。
「じゃあ、俺も参加させてもらうけどいいよな?」
「…私も。おじさんたち、きらい」
「ああ、いいぜクソガキども。どっからでもかかってきな」
2vs4、変則的なガンプラバトルになったが流石に俺も手加減だとかアホなこと言ってられん。最初っから本気だ。俺はVF-25にスーパーパックを取り付ける。ツムギはVF-22にこの間送ったフルブーストパックを付けている。ヅダはまだ完成してないからな。適正だけで言うならツムギはバルキリー向きだから…本人はヅダのほうがいいと言うけど。
「準備いいか?」
「ああ、いつでも」
「ワイも大丈夫です」
「…いつでも大丈夫」
「じゃ、行くか!全機!発進!」
燃え盛る街に設定されたステージにそれぞれの機体が飛び出す。空を飛ぶVF-25とVF-22、地を駆けるビルドガンダムMk-ⅡとガンダムX魔王。敵影はすぐ見つかった。でかい…超大型MAが2体!
「アプサラスⅢにラフレシアだ!レイジ、マオ!メガ粒子砲が来るぞ!」
「…横!Tロッド避けて!」
「任せろ!」
「大型MA2体とは豪華でんなあ!」
俺とツムギの警告を受けて二人が放たれた攻撃を避ける。同時に反撃のビームの光条が相手に直撃した。だが、そのビームは相手の表面で弾かれて傷一つつけることができない。これって…
「Iフィールド!?そんな!アプサラスⅢにはついてなかったはず!」
「んだそりゃ!?」
「ビームを無効化するフィールドですわ!ワイはバルカンだけやけど他の実弾兵器は!?」
「俺とツムギが持ってる!突っ込むから援護を!」
「しゃあねえ任せた!」
「…行こう!アルト!」
バルキリーの基本兵装は実弾だ。ミサイルにガンポッド、十分な威力がある。そして、ツムギも俺も、機動性においては絶対の自信がある。この場の誰よりも俺たちは速い!
「くっちょこまかと…!」
「落ち着けタツ。俺がやる、変わった機体使うなあ、アベックか?ずたずたにしてやるよ!」
「お二人さんさけぇ!Tロッド!倍はあるで!」
「はっ!この程度で止まるかよ!」
「…アルトのミサイルより、ずっと遅い!」
迫りくるチェーンソーがついた金属の触手。俺とツムギは偏向ノズルを次々方向を変えながら操って紙一重で避けていく。変形できないツムギのフォローを俺が変形を繰り返しながらガンポッドで当たりそうなものを防いでいく。まっすぐ行って、ぶっ放せ!
「おら持ってけええええ!」
「…直撃弾!あげる!」
ラフレシアの至近まで来た俺たちが温存していたマイクロミサイルを発射する。ラフレシアとアプサラスⅢに激突する前に進路を直上に変えて真上にバルキリーを飛ばしている。追いすがるTロッドごと遅れてマイクロミサイルの爆炎が二つのMAを飲み込む。
「ダメか…さすがは大型MAだな。装甲が硬いのなんの」
「…めんどくさい。あんなに強いのにこんなことしてるなんて変なの」
「3人とも、ワイにちょっと賭けてもらえへんか?」
「ああ?なんかできんのかよお前」
「アプサラスなら、ワイが何とかできる。だからアルトはん、ツムギはん。ラフレシアの方、お願いしてもええですか?レイジはんは、アプサラスに止めを」
言った瞬間、ガンダムX魔王がリフレクターを開く。サテライトキャノンか…!確かにあの威力ならIフィールドを突き破れるだろう。それがあの完成度を誇るガンダムX魔王ならなおさら!だけど…
「バカが!月が出てねえのにサテライトシステムは使えねえよ!」
「隙を晒したなクソガキ!」
そうだ、月が出ていない。GPベースにおいてサテライトシステムの運用には月が出ていることが条件とされている。マオのこの発言がブラフじゃないとしたら、賭けてみる価値は十分にある!
「うん!やろう!行くよレイジ!」
「ああ、任せとけ!しくじるんじゃねえぞ!」
「ツムギ、ラフレシアをアプサラスから離すぞ」
「…うん。ついでに墜とそう」
「ありがとうございます…お前ら!ワイを誰やと思っとんねん!ガンプラ心形流の継承者!ヤサカ・マオやぞ!そんなんとっくの昔に克服済みやわあああ!」
俺とツムギのバルキリーが一気にラフレシアに近づいていく。殺到するチェーンソー付きの触手をこれ見よがしに躱していく。改造で数を倍増させたラフレシアのTロッドだろうが所詮は有線兵器、躱すのなんて俺とツムギにしたら容易い。たとえ全方位から来ようとな!隙間があるんだよ!ガンポッドで引きちぎれる程度の強度でバルキリーが捕まると思うな!
おちょくる様にコックピット周辺を飛ぶVF-25とVF-22にイラついたのかラフレシアが俺たちに集中しだした。よし、これでいい!後は頼んだぜ!
「ハイパーサテライトキャノン!いっけえええ!!」
「もらったあああ!」
宣言通りマオのガンダムX魔王が発射したサテライトキャノンはアプサラスⅢのIフィールドごと機体をえぐった。大穴をあけられてなお動く死に体のアプサラスⅢにビルドガンダムMk-Ⅱが大穴に向かってビームライフルを乱射する。捻じ開けられたIフィールドはそれを完璧に素通りさせアプサラスⅢに致命的な爆発をもたらした。撃破だ。負けてらんないな!
「タツ!クソガキども覚悟せえよ!」
「やったなあいつら!さて、ツムギ…俺たちも応えないとな?」
「…うん!突っ込もうアルト!援護して!」
「おっしゃ!任せとけ!」
ツムギがまっすぐにラフレシアのコクピットへ進路を変える。Tロッドを気にもしていない。加速の態勢に入ったからだ。ツムギに渡したフルブーストパックには俺のとは違う改造が施してある。それは、ファイター形態でもピンポイントバリアが使用可能なことだ。そして、それを利用して機体ごとぶつける質量弾としての使い方がある。マクロスプラスでガルドが行ったゴーストへの体当たりをリスペクトした機能だ。
だが今回は加速距離が短い。既に手足を切り離したハイマニューバモードになっているがTロッドをよけながらでは助走が足りない。けどそれはツムギ一人ならの話!今はここに俺がいる!VF-25のステージⅡ熱核バーストタービンが唸る。ISCのリミッターを解除する。ここから120秒間だけ、俺は空中では何物にも追いつかれない!
「あた…らねえ!?まっすぐ突っ込んできてるだけなのに!?」
「はっ!いつも避けてるミサイルに比べたらあんたのTロッドなんて遅すぎるんだよ!」
「舐めるなクソガキッ!」
四方八方から迫るチェーンソー、予測位置にミサイルを置き、ガンポッドで狙撃し、次々と数を減らす。ツムギは完全に俺を信頼して前しか見てない。ピンポイントバリアがVF-22の機首を包み込む。仕上げとばかりにミサイルを全弾ぶっ放しTロッドを一掃、メガ粒子砲も残らずガンポッドで撃ち抜く。丸裸になったラフレシアを青色の隕石が突き破った。
「そんな…」
「ばかなっ!?」
崩れ落ちる地上げ屋二人組をよそに、勝った俺たちは目を合わせてパン!とお互いの手を叩きあうのだった。大人たちはほっとした顔でそれを見ていた。えっちょヒマリ!?本日2度目のフライングプレスは…ぬわああああああ!?
なんか(描写のキレ)足んねえよなあ?
もうちょっと語彙力増やしたい次第。というわけで4人のチーム戦でした。やっぱ戦闘描写ってむずかしいですね。