「何でマクロスがないんだ!」少年はそう叫んだ   作:カフェイン中毒

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叩きつけろ挑戦状

 レイジのやつがレセプションパーティーから逃亡した。ま、まあそれはいいんだけど…いや全くよくない。何度も言うがこのパーティーは一応の一応参加義務があるんだ。やむを得ない事情でもないかぎり欠席する人はないだろう。うーーーーーん、あ~~~~……

 

 「いいんじゃね?しーらね」

 

 「アルトはん諦めたらいけまへん!」

 

 「そうだよアルト!これでペナルティでももらったらどうすればいいんだよ~~~!」

 

 「だってもうどっか行って捕まえられないんだろ?あいつ携帯持ってないし。ならもう諦めていっそ開き直ったほうが得だよ。ペナルティは、甘んじて受けな」

 

 「そんな~~~!!」

 

 「よっアルト!それにイオリ・セイ!どうしたそんなに狼狽えて?」

 

 「あっフェリーニさん」

 

 俺たちに声をかけてきたのは燕尾服がよく似合うイタリアの伊達男ことリカルド・フェリーニさんだった。俺やツムギにヒマリは面識あるけどそういえばセイとマオはお初か。マオは有名ファイターであるフェリーニさんの登場にびっくりしてるしセイは名前を知られてることに滅茶苦茶驚いてる。

 

 「あーっ!フェリーニさん!お久しぶり~~!」

 

 「…お久しぶり、です。戦えるの、楽しみ」

 

 「やあセニョリータたち。良く似合ってるじゃないか。ああ、俺も楽しみだぜ」

 

 「ちょちょちょちょアルトはん!?あんさんリカルド・フェリーニと知り合いなんか!?」

 

 「ん、ああ。去年の世界選手権の時にいろいろ、他にもいるよ。例えばルワンさんとか、チョマーさんとか、グレコさんとか」

 

 「は、は~~~~…恐ろしい人やで…」

 

 「あ!あの!どうして僕の名前を…?」

 

 「お前の相棒の坊主からちっとな」

 

 「レイジから…あの…レイジのやつ、迷惑かけてませんでしたか…?」

 

 「いや~…それは、その…だな…」

 

 歯切れわっるっ!ま、まあ通算200戦も付き合わされたらそうもなるか。目どころか顔全体をそらすフェリーニさんを見たセイはがっくりと肩を落とした。あーまあその…俺も100戦くらい付き合ったからなんともな…。あいつマジで自分が納得するまで、具体的には勝つまで挑んでくるもんだから付き合うこっちは疲労困憊なんだよね。素組みガンプラが何体犠牲になったことか…

 

 「あ、あの!ワイ、ヤサカ・マオっていいます!」

 

 「知ってるぜ?ガンプラ心形流の秘蔵っ子だろ?よろしくな」

 

 「久しぶりね!セイくん!世界大会出場、おめでと☆」

 

 「…だれ?」

 

 「あちょっ!?キララだよキララ!ガンプラアイドルの!朝テレビに出てたでしょ」

 

 「…あ、思い出した」

 

 そこに合流したのは髪型を変えてはいたが髪色はそのままのミホシさんことキララだ。だけどツムギはあんまり興味がなかったらしく忘れていたようで、セイの注釈を聞いてようやく思い出した感じ。年下の少女に知らないといわれたせいかズーンと影を背負ってしまったキララさんを必死にセイが励ましてる。そしてフェリーニさんの目がきらりと輝る。あー…あ、うん。俺は何も見ねーから。あっチョマーさんだー、元気ですか~?え?フェリーニ絶対許さねえ?何があったんです?ちょっと、どこへ…行っちゃった。

 

 「お嬢さん、あなたに背を丸めた姿は似合いません、さあ胸を張って?よかったら私と飲みませんか?」

 

 「は、はいっ」

 

 「うわー、ガンプラバトルと同じ早業や」

 

 「あはは…」

 

 「セイー、マオー。俺たち他の知り合いの人に挨拶行ってくるわ。またあとでな」

 

 「はいな」

 

 「うん、わかった」

 

 キララさんの肩を抱いて別のテーブルに移っていったフェリーニさん。ツムギとヒマリの目を何とか塞ぎながら俺も挨拶回りに行くことにする。またどこかから現れたチョマーさんがハンカチをかみしめてるのが非常に印象的だった。

 

 ルワンさんにチョマーさんと挨拶を済ませてあとは声かけられた人にも丁寧に挨拶を返しておく。いやーいろんな人と知り合いになれていいイベントですなあ。

 

 「あの、サオトメ・アルトさんですね?」

 

 「えっそうですけど…どちら様ですか?」

 

 「ああ、申し遅れました。私はニルス・ニールセン、あなたと同じくヤジマ商事の支援を受けているファイターです」

 

 「ニルス・ニールセン…君がそうなんだ。グレコさんのトールギスを破った」

 

 「はい。貴方には近く挨拶をしたかった。スポンサーを同じくするものとして。そちらのお二人がイロハ・ツムギさんとスズカゼ・ヒマリさんですか」

 

 「…うん、そう。よろしく」

 

 「よろしくね~!」

 

 「はい、よろしくお願いします。では、会場で」

 

 そう言って彼は去っていってしまった。ニルス・ニールセン…アメリカの予選において決勝にのし上がりグレコさんの最新作、トールギス・ワルキューレをアストレイの改造機で破った通称「アーリー・ジーニアス」…早すぎた天才、か。彼は俺の事をまるで興味深いものを見るような目で見ていた。そう、まるでファイターというよりも研究者のような…。グレコさんとのバトルを見てて思ったけど、熱がない。負けたくない、あるいは絶対に勝つ…気持ちというものを感じられない冷淡で機械的なバトルをしていたのを覚えている。

 

 名前は知っていた。父さんから新しくファイターが入るという話は聞いていた。けど、結局直接会う機会はなく、挨拶もせずずるずるとここまでやってきたのだ。グレコさんから名前を聞いてやっとそういえばと思いだしたぐらい。

 

 だが、ヤジマのアメリカ支部が彼を推薦し本社が抱えた以上彼は優秀なファイターなのだろう。それにヤジマにとってはどっちが優勝をとっても得。抱えておく駒は多いほうがいいに決まっている。俺がそこに口を出すわけにはいかないんだ。彼はいったいどんな哲学を持ってなんのために戦うのかわからない。それだけが気がかりだ。警戒しておくべきだろう。

 

 「あっちゃ~~」

 

 「あ、フェリーニさんべろんべろん」

 

 「…また作画の事語ってる。」

 

 セイたちの元に戻ってくるとそこには顔を真っ赤にしてキララさんの肩に手をかけつつガンダム08小隊の特別映像の作画について延々と語っているフェリーニさんの姿がそこにはあった。これは去年の海に行った時もそうだったんだけどフェリーニさんって酔うと絡み酒するんだよね。しかもガンダムの事について延々と、しかも作画とかに関して詳しく語りだすタイプの変な酔い方をする。去年はチョマーさんとヅダの話につられたツムギ(ヅダの話じゃなくなった途端脱出してた)が被害を受けてたんだけど今回はキララさんが被害者か。

 

 「幻滅ですわ…」

 

 「あ、あ~…はは」

 

 苦笑いどころかドン引きするセイとマオ、知ってる俺らはキララさんを開放するべく引きはがしに向かう。周りの大人も中学生に介抱される大人という構図に苦笑いしながら手伝ってくれた。特にいつの間にか現れたチョマーさん、悪態をつきながらも情けない姿見せるんじゃねえってめっちゃ手伝ってくれた。もしかしてツンデレ?

 

 「驚いたわ~。まさかフェリーニさんがあんな人やったなんて」

 

 「なんかちょっとショックかも…」

 

 「やめてやれよ。人には欠点の一つや二つあるもんだって」

 

 「アルトくんそれフォローになってないよ」

 

 「…フェリーニさん、お酒臭い。明日絶対二日酔い」

 

 千鳥足で自分の部屋に帰るフェリーニさんを見送った俺たちも自分たちも部屋に帰ることにした。結局レイジのやつは来なかったな…何してるんだろ。食い倒れとかしてるならまだいいけどなんかトラブルとか起こしてないだろうな…やめてくれよ選手権の前に問題起こして大会でれなくなるとか。

 

 「んじゃ、ワイはこの階なんで、明日からよろしく頼んます~」

 

 「僕も、ここだから。みんなまた明日ね!は~、レイジどこいったんだろ…」

 

 「おう、おつかれさん。ヒマリ、ツムギ、足痛くないか?」

 

 「大丈夫、ヒール高くないから。凄いよねーパーティーのためだけにドレス貸し出しなんて」

 

 「…ありがと、アルト。明日からがんばろ」

 

 「そうだな」

 

 そう言って俺たちはそれぞれ自分の部屋に戻るのだった。あ~~~普段着って素晴らしい!なんか肩こるよな~~。あーさっさと脱いで風呂入ろ。心の洗濯しね~とな。俺は鼻歌を歌いながら風呂を沸かして燕尾服をたたんで元あったように戻し、寝間着を持ってバスルームに入るのだった。

 

 

 『こんにちは!みんなのキララだよっ☆第七回ガンプラバトル世界選手権、本日より開催となります。第一ピリオドは~~~!こちら!』

 

 時間に間に合うように起きた俺は同じようにおき、られなかったヒマリを回収してヅダをツムギに渡し、ヒマリを背負いながら選手控室にやってきた。すよすよもーどなヒマリをソファに移してこっちに気づいたマオに挨拶する。

 

 「おはよう、マオ」

 

 「お~は~よ~」

 

 「…マオ、おはよ」

 

 「お、おはようございます。あの~ヒマリはんのこれはいったい…」

 

 「気にすんな。特別朝に弱いんだ。20分もすれば起きるよ。それよりもセイとレイジ見てないか?」

 

 「いえ、まだ来てないみたいで…フェリーニさんもみてない言うてますし」

 

 「この状態に聞くとか相当勇気あるなマオ…」

 

 俺の目線の先には昨日の反動か完全に二日酔いでグロッキー状態のフェリーニさんだ。天を仰ぎ時折喘いでいる。これホント大丈夫か?そうこうしてるうちにマオの出番がきた。今回の第一ピリオドは4人同時戦闘。最後の一人に4ポイント、他順位でポイント変動のシンプルなバトルだ。

 

 「ほんなら、行ってきます」

 

 「おう、頑張ってこい」

 

 そして次、マオが呼ばれたため移動。マオは危なげなく勝利してこちらに戻ってくる。続くフェリーニさんも、酔いに苦しみながら勝利。流石はイタリアの伊達男、飲酒運転も極めてるなんて…笑えないジョークは置いといて次はセイとレイジが呼ばれた…!まだ来てないぞ!と思いきや会場の方に直接やってきたようだ。今まさに寝坊して遅刻したみたいな恰好で。勘弁してくれよ…レイジだな絶対!

 

 そして、GPベースに置かれる新しい二人のガンプラ、スタービルドストライク!直接見せてもらったことはあるがどんな機能があるかは聞いてない。流石セイ、完成度は極上といっていいだろう。滾らせてくれるじゃないか!

 

 「ビームを吸収、自分の力に変える、か」

 

 「…ね、アルト。今のって」

 

 「アルトくんのヅダと同じ?」

 

 「いや、違う。セイのほうが完成度が高いかもしれない。俺はその場にある粒子を利用するだけ。セイのは防御に転用できる、違いは大きい」

 

 スタービルドストライクは相手のビームを吸収し、自分の力に変えた。光の翼を持って相手を落としていく姿に控室の空気が変わる。侮れないガンプラだと。だがそれは俺たちのヅダと同じ、次の戦いは俺たちだ。ツムギの操縦が一番鋭く、俺が作ったヅダが一番速いのを教えてやろう。

 

 『第一ピリオド第八試合、スタートまで待機してください』

 

 「ツムギ、調子はどうだ?」

 

 「…ん、大丈夫。ヒマリ、目は覚めた?」

 

 「ごめんね~大丈夫!頑張ろうね、ツムギちゃん!アルトくん!」

 

 「おうさ」

 

 「…ん、アルト、ヒマリ」

 

 「どうした?」

 

 「なに?」

 

 「…10秒で終わらせよう。アルトはISCの制御。ヒマリはカウントお願い」

 

 ツムギは自信満々にそう言った。普段はそんなことを言わないツムギが、この大舞台で宣言した。それに俺たちは顔を見合わせて笑う。やってやろうじゃん、10秒。盛大に宣言してやろう、優勝するのは俺たちだって。3人でハイタッチ、意思の疎通は完璧、今の俺たち3人にできないことは何もない!

 

 『では!第八試合、スタートします!』

 

 「ヅダ・マクロスパック!出ます!」

 

 強烈な加速、一気に前へ出る。ISCの負荷の数値は想定内、レーダー良好。ヒマリのカウントが始まる。

 

 「1!」

 

 「えっ?」

 

 瞬間移動のような加速、ヅダは相手のリックドムの前へ瞬時に移動、武器を抜く手間も惜しいのか右の拳を握ってピンポイントバリアパンチをかます。相手は疑問の声をあげたが反応できるわけもなく胴体に風穴をあけられて爆散する。

 

 「2!」

 

 左のビーム砲を展開、腰だめに構える。エネルギーが渦を巻き、今か今かと発射を待っている。

 

 「3!」

 

 トリガーが引かれる。エネルギーを最大まで溜め3つのバレルを開放したビーム砲が螺旋を描く極太のビームを発射する。遠くで様子を伺っていたガンダムデュナメスを青色の極光が飲み込んだ。これであと1人。ISCのロックを解除。より自由な操作をツムギにさせるためにすべての操作を彼女に譲渡する。眠たげな蒼い目をかっぴらいた彼女が操縦桿をぐっと押し込む。

 

 「4!」

 

 「まだ!ヅダ!もっと…もっと速く!」

 

 「うわ、く、くるなああああ!?」

 

 残った相手はゴッドガンダム、格闘機でスピードに優れるその機体でも遅すぎる。刹那の移動の間に抜いたヒートホークがピンポイントバリアの青を纏って眼前のガンプラに襲い掛かる。

 

 「5!」

 

 振り上げられた断頭斧は過たず首を刎ね飛ばし、相手を行動不能にせしめた。試合開始からヒマリのカウントとはいえ5秒の出来事である。会場は何が起こったのかわからず、シンと静まり返っている。

 

 「…残り5秒いらなかった」

 

 ぽつん、とツムギが呟いた瞬間に会場が爆発したかと思わんばかりの歓声が響く。何というか、やってのけた。これしか言えない。ツムギの操縦の冴えが、前にもまして鋭くなっている。順応してるんだ、このヅダのスピードに。やっぱりこいつ、とんでもないや。

 

 とにかく、俺たちが世界に叩きつけた挑戦状はこれ以上ない形で受け取られたと考えていいだろう。もう一度3人でやったハイタッチの音は、歓声が響く中でもよく聞こえた。

 




 というわけでヅダとツムギちゃんに暴れてもらいました。いやー自分で書いておいてなんだけど強すぎますね。これに勝てるやついる?まあ原作主人公達に何とか頑張ってもらいたいんですけど。

 最後の姿とか完全に死神か何かですよね
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