「何でマクロスがないんだ!」少年はそう叫んだ   作:カフェイン中毒

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第二ピリオド、巨影の激震

 「スタービルドストライクとガンダムX魔王まで残り200!圧縮粒子チャージ率70まで回復してるよー!」

 

 「ISCのリミッターは再設定、冷却のためちょっと切るぞ」

 

 「…ん。追いついた」

 

 「あ~~っ!ツムギはんたちやないですか!?よかったぁ~~!あの!レイジはんがルワンはんと交戦して攻撃を受けた勢いで大気圏に落ちてもうて…あの~~一応聞きますけど、協力しません?」

 

 「…そのつもりで追いかけてきた」

 

 遅れて俺たちも大気圏に突入する。ピンポイントバリアを前面に張って空気の熱を遮断しながら大気圏に入る。どうやらスタービルドストライクは一足先に大気圏を抜けた様子だ。俺たちも急いで追いかけないと完全にはぐれちまう。足の熱核バーストタービンを噴かしたヅダが加速して先に突入してたガンダムX魔王に追いつく。スタービルドストライクは…クソッ!姿勢が悪い!このまま突入したらいいカモだ!

 

 「ツムギ!先に行ってスタービルドストライクの援護に行こう!マオ、先行くぞ!」

 

 「…わかった!」

 

 「頼んます!ヒマリはん、ナビゲーションお願いしてもええですか?」

 

 「うん、いいよ~!通信繋いだままね!」

 

 土星エンジンを思いっきり吹かしてツムギはヅダを操り背中から地上に落下するセイたちのスタービルドストライクに近づいていく。強烈な大気の圧のおかげでまともに姿勢の変更ができないセイたちを守るために先に先行する。セイとレイジも俺たちに気づいたようだ。

 

 「アルト!ツムギ、ヒマリ!来てくれたんだ!」

 

 「タイミングわりーぜ。かっこ悪いとこ見られちまったじゃねえか!」

 

 「ルワンさんにやられたって?どこまで動けるんだ?」

 

 「大丈夫、ほとんど壊れてないよ!アルトたちの方はどうなのさ?」

 

 「…ピンピンしてる。そろそろ地上につくよ」

 

 「あっ!あそこ!ウイングガンダムフェニーチェ!あとは…飛行機?マオくん!その位置から南南西に300降下して!フェリーニさんがいたから!」

 

 「ガウだ!レイジ!助けに行こう!」

 

 地上について周りに目を光らせていたヒマリが発見したのは大量のMSとガウ攻撃空母に襲われるウイングガンダムフェニーチェの姿。マオに通信を入れてナビゲーションを行うヒマリと操縦桿を押し込むツムギ。反応してモノアイを光らせたヅダとツインアイが輝くストライクが加速して現地に向かう。フェニーチェに迫るMSのうち一機をストライクがライフルで撃ちぬく。

 

 「スタービルドストライク!?ってことはレイジか!?ヅダ…アルトたちも!?」

 

 「アルトだと…!?けっおいフェリーニ!ここまでにしといてやる!アルトォ!聞こえてるよな!?」

 

 「チョマーさんだったのか…!聞こえてますよ、もちろん!」

 

 「そりゃあいい!ツムギも、ヒマリも!大会前に話したこと覚えてるよなあ!?」

 

 「…おぼえてる。忘れるわけない」

 

 「覚えてます!約束ですから!」

 

 チョマーさんと大会前、レセプションパーティーで交わした約束。それは…

 

 「「「どこで当たっても敵同士!」」」

 

 「全力で戦い合うってーわけだ!このデカブツは邪魔だなぁ!こっちで勝負といこうぜ!」

 

 ガウのハッチが開き、そこの中からチョマーさんのパーソナルカラーに塗装され、スモーのスカートを履いたゲルググが姿を現した。チョマーさんの愛機だ。ルール上も特に問題はない。去年のカイザーさんがMSを搭載できるMAを使用したのと一緒でまとめて一機扱いになるからだ。さあチョマーさん、俺とツムギとヒマリのヅダとあなたのゲルググ、勝負といきましょう!

 

 「お前ら!フェリーニは譲ってやるぜ!邪魔すんなよ!」

 

 「セイ、レイジ!フェリーニさん!チョマーさんは任せて!他は頼んだ!」

 

 「さあやろうぜ3人ともぉ!」

 

 「…チョマーさん!勝負!」

 

 『えっちょっヒマリはん!?そっちどうなってますのん!?』

 

 「うーんと、真剣勝負始まっちゃった!とにかく急いで~!」

 

 ガウは乗り捨てられ、スモーのスカートからバーニアを噴かしたゲルググとヅダが睨み合う。一瞬の間のうち動き出したのはヅダ、回り込みつつ対艦ライフルによる射撃をゲルググに浴びせるがあろうことかゲルググはビームナギナタで実弾を切り捨てたのだ。さすがは世界選手権に連続出場する腕をもつチョマーさんなだけある。ツムギの瞳が楽しそうに輝く。スロットルを押し込み、ガンポッドによる弾幕を張って近づく。ビームライフルによる射撃をバレルロールで躱しつつヒートホークを振り下ろす。青い光がビームナギナタとぶつかった。

 

 「甘いぞツムギィ!速いだけでチョマー様に勝てると思うなよ!」

 

 「…すごいっ!チョマーさん、こんなに強かったなんて!」

 

 瞬間移動するような動きに完璧に対応しだしているチョマーさん。反撃のビームナギナタをピンポイントバリアで受け、ピンポイントバリア越しにビームナギナタを掴む。そして、ヅダの胸アーマーが開き、そこからマイクロミサイルが顔を出した。

 

 「げぇっ!?ちょっおま…自爆する気か!?」

 

 「あいにくと!ヅダはそれより速いんでね!」

 

 チョマーさんの判断も素早い。とっさにビームナギナタを手放して離脱を図るがミサイルの発射が速かった。爆発寸前、圧縮粒子を爆風のように噴射したヅダが爆発半径から離脱する。いくつもの爆発ののち、ゲルググは黒焦げの無残な姿になってしまった。チョマーさんは助からないと判断したゲルググを切り捨て、今度はガウにメイン操作を移したらしく、滞空していたガウからミサイルが発射される。

 

 「やるじゃねえかツムギにアルト!今回は負けっつーことにしといて、や、る…?」

 

 「あ~っとマオくん!ナイスタイミングゥ!」

 

 「いや~ヒマリはんのおかげで迷わずに済みました。間に合いましたよね?」

 

 チョマーさんが逃げの態勢に入った瞬間、上から降ってきた極光がガウを撃沈した。降ってきたのはサテライトキャノン、ガンダムX魔王による長距離砲撃だ。隣でヒマリが困ったような声をあげていたと思ったらどうやらマオが結構な方向音痴であっちにふらふらこっちにふらふらしてたおかげでナビゲーションで苦労してたようだ。それでやっと着いたマオが一発かましたと。なるほど。

 

 「ヒマリ、お疲れさん」

 

 「マオくんこれでよく東京までヒッチハイクできたね~。びっくりしちゃった」

 

 「…チョマーさん、頑張って」

 

 「…ありがとよツムギ。俺に勝ったんだからお前らぜってえ生き残れよ!」

 

 そう言ってチョマーさんは通信を切ってフェードアウトしていった。チョマーさん、強かったな…何というか一回一回の判断が滅茶苦茶速かった。最適解じゃないにしてもリカバリーもとんでもなく巧かったからヅダのスピードと一瞬とはいえ拮抗できたのだろう。最後の一機を撃墜したセイたちと合流する。

 

 「わりぃなお前ら、借りができたみたいだ」

 

 「へっあんたとはサシで決着つけてーんだ。そう簡単にやらせねーよ」

 

 「でもさー、フェリーニさん。どうしてあんなにたくさんの人に襲われてたの?しかもみんな一丸!って感じだったし」

 

 「あっ!?えー、とそれはだな…」

 

 「このおっさんが女をとっかえひっかえしてたのが羨ましかったんだと。チョマーってやつは彼女をこいつにとられたっつってたな」

 

 「ちょっレイジ!」

 

 「あっレイジてめぇ!言うんじゃねえよ!」

 

 「あっ、そ…そうなんだね…」

 

 「…女の敵?」

 

 「指をさしてやるなツムギ」

 

 「やめろ!年下の女の子にそれ言われたら一番傷つくやつだわ!」

 

 「皆さんそこまで!なんかきますで!」

 あまりにもあんまりな理由の暴露をレイジからされたフェリーニさんが慌ててヒマリとツムギに言い訳してるのを画面から二歩三歩下がって聞き流す二人という和やか~な構図になったわけだが、周りを警戒していたマオからの警告で全員が気を張る。確かに何か来ている、揺れる地面、大きな足音。大型MA…!?いや、これはっ!?

 

 「超大型のザク!?」

 

 「違う!48分の一サイズのメガサイズザクだよ!こんな機体開始直後にはいなかったのになんでっ!?」

 

 「知らねーよそんなの!セイ!んなことより躱すの考えろ!来るぞ!」

 

 「来ます!ザクマシンガン!」

 

 地響きを立てて現れたのは俺たちの機体の優に3倍はあろうかという大きさのザク。誰が乗ってる!?それよりも、このサイズ差でMSだとしたら…パワーの差は明白だ!あのザクマシンガンですら一発でも直撃したらお陀仏…すべて躱すしかない!

 

 『皆様にお知らせします。現在フィールドにあります超大型ザクはPPSEによるサプライズギミックになります。けして不測の事態ではありません。ご安心ください』

 

 「ステージギミックだあ?おいレイジ、アルト!マオ!なら戦う必要はねえ!逃げるぞ!」

 

 「そうです!生き残れば勝ちですよ!」

 

 「んなこと言ってもよお…!」

 

 「…おかしい!セイたちばっかり狙ってる!危ない!」

 

 砲撃の威力で乱発されるザクマシンガンを躱しながら作戦会議をする俺たち、なぜかザクはスタービルドストライクを狙っている。ランドセルから爆炎を吐き出し大ジャンプをしたメガサイズザクが手を伸ばしてストライクを握ろうと迫る。

 

 「…させないっ!」

 

 真下からかっとんだヅダのドロップキックが腕を跳ね上げ、その隙にストライクは難を逃れる。遅れてフェリーニさんたちの援護によるビームがザクを直撃するがサイズの違いによる装甲の分厚さでほとんど効いてない。

 

 「…アルト、どうする?」

 

 「逆に聞くけど、どうしたい?逃げるほうが賢いか?」

 

 「…じゃあ私は馬鹿でいいや」

 

 「だって!フェリーニさんとマオくんはどうする?セイくんたちも!」

 

 「こんな事されて黙ってられるかってんだ!なあセイ!」

 

 「うん!倒そう!レイジ!」

 

 「…こん人たちは…!ええです!ワイも最後まで付き合いましょ!」

 

 「っか~~~!若いってのはいいなあ!大人が逃げるわけにはいかなくなったじゃねえか!」

 

 全員の意見があの木偶の坊の打倒という一致をみせた。ザクマシンガンをよけながらだと埒が明かないので誰かが隙を作るしかない、ここでそれができるのは俺たちだ!

 

 「…隙を作る!みんな突っ込んで!」

 

 「「「応!!」」」

 

 ヅダが疑似マクロスキャノンを構えて、サテライトキャノンに匹敵するほどの螺旋の光を発射する。でかいぶん動きが鈍いザクはまともに直撃し、装甲が赤熱していくが貫徹には至らない!そこに突っ込んでいくビームサーベルを構えた3機!振りかぶった近接武器ですれ違いざまに切りつけるが埒が明かない。なんて装甲の硬さだ。これを貫徹するとしたら…ダイダロスアタックだ。

 

 「これで効かないとか反則じゃね?」

 

 「んだよ泣き言かアルト。逃げてもいいぜ?」

 

 「冗談だっつの。ぶっ壊す方法に心当たりがあるやつは?ちなみにうちのヅダにはあるぞ」

 

 「バスターライフルは弾切れだ、すまん」

 

 「さっきのザクマシンガンでサテライトキャノンがいかれてもうて…すんません」

 

 「僕たちは…ある。隙さえできれば…打ち込める」

 

 「ああ、どっちが最後だ?」

 

 「ヅダのは近づかないとダメだ。レイジたちは?」

 

 「僕らは離れてても大丈夫。じゃあレイジ!僕たちが先だ!」

 

 「おうよ!援護任せたぞ!」

 

 「みんな!クラッカーが来るよ!」

 

 集まって作戦会議を終えた俺たちが離散してザクの注意を引く。ビームが直撃しても意に介さないザクに対してどれだけ意味があるかはわかんないけどやらないよりはましだろう!残りのミサイルぶっこんじまえツムギ!ツムギの操作によりヅダのアーマーの稼働箇所が全て開いてヅダを覆い隠す噴射煙を発しながらほぼ全方位からザクに直撃する!爆発の中、レイジたちが上空でため込んだ粒子を開放し、ビームライフルとシールドを合体変形してチャージの態勢に入る。それを目撃したザクは俺たちを意に介さないようにクラッカーを手に取って投げようとする。

 

 「させへんでっ!」

 

 「もう一発だ!」

 

 マオが手に持ったクラッカーを、フェリーニさんが腰元のクラッカーを撃ち抜いて誘爆させ、さらに行動を封じる。準備をするなら今!

 

 「…ダイダロス、形成開始」

 

 ヅダの両肩のミサイルシールドが外れ、合体し変形する。ヅダの右腕を完成したダイダロスにはめ込み、ヅダの本体から今までため込まれた圧縮粒子をすべてダイダロスへ移していく。

 

 「圧縮粒子充填中!60、80、臨界!ダイダロス内部の圧力、想定内だよ!」

 

 「ISCリミッターを全リリース。圧縮粒子不足のため上限を20秒に設定するぞ。ツムギ、あとはまっすぐ行ってぶち込め!」

 

 「うんっ!ピンポイントバリア!全集中!」

 

 「危ないっ!ツムギはん!」

 

 最後のあがきとばかりにザクが足元のミサイルを発射する。躱そうとするツムギの横を何かが通り過ぎてミサイルを貫通して爆発させた!さらに遠くからのビームがザクの足場を崩しバランスを失ったザクがたたらを踏む。誰かは知らないけどありがとうよ!

 

 「ディスチャージ終了!撃てるよ!レイジ!」

 

 「おうっ!くぅらぁえぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

 変形したライフルから赤い高出力ビームを発射したスタービルドストライク。そのビームは中空で形成されたゲートを通過するとまるで雨のように飽和し分裂しながらメガサイズザクのありとあらゆる場所に降り注ぐ。ほぼ全壊といっていい状態まで変化したザクは、悪あがきを続けようと刃が半分に折れたヒートホークを投げようと振りかぶる、がそこに青い閃光が乱入した。青いピンポイントバリアの光を右腕にまとったヅダが体当たりでヒートホークを粉砕し、懐に入り込む。

 

 「おっしゃツムギ!ぶちかませええええええ!!!」

 

 「これが、ダイダロスアタックだあああああ!!!」

 

 「敵機内部への侵入に成功!圧縮粒子、全開放だよ!」

 

 轟音を立ててメガサイズザクの胸部にピンポイントバリアを纏ったダイダロスがぶち込まれる。中に入ったダイダロスの前面が開き、内部で圧縮に圧縮を重ねて限界までため込まれた粒子が指向性を持って解放された。その粒子はザクの内部にとどまらず背中を貫通してすべてをえぐり去っていく。ダイダロスとの結合部から余った粒子が蒸気のように吹き出してヅダのモノアイが光る。

 

 甲高い音を立てて引き抜かれたダイダロス、ザクはそのまま仰向けに倒れて爆発もすることなく機能を停止する。穿たれた大穴から散る火花の音だけが、そこには響いていた。

 

 『そこまで。参加者の人数が規定値まで減りました。これにて第二ピリオドを終了します。お疲れ様でした』

 

 「勝った…!勝ったよ!レイジ!アルト!みんな!」

 

 「やったぜセイ!」

 

 「アルトくん!勝てちゃったよ!ツムギちゃんすごいっ!」

 

 「…楽しかった。もう一回やりたい」

 

 「俺も楽しかったわ。できれば今度は自分で操縦してーな」

 

 「いや、もう勘弁ですわ…楽しかったですけど」

 

 「いや、確かに危なかったけど楽しかったな!よくやるぜあいつらも」

 

 試合終了のアナウンスが流れた瞬間、わっと沸いた会場の空気につられて緊張を解いた俺たちがお互いを褒め合いながら感想を並べる。いや、ほんとやばかったけど、その分めっちゃ楽しかったわ。惜しむらくは本当に自分で操作できなかったことだな。まあもう一回やれって言われたら…ちょっとやりたいかも。言わないけどな!




 チョマーさん実は強い説をこの小説では採用してます。情けないチョマーさんもいいけどかっこいいチョマーさんもみたい…見たくない?

 そしてダイダロスアタック成功。ミサイルはまたいつかということで
 
 次回掲示板やります
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