「何でマクロスがないんだ!」少年はそう叫んだ 作:カフェイン中毒
カイザーさんとのバトル、それを世界選手権のものより大きなGPベースで行えるなんて…正直興奮している。俺のバルキリーが世界最強クラスの人にどれだけ通用するか。ヅダという前例はあるけどあれはあくまでガンプラだ。本気で制作したのは変わらないとはいえバルキリーじゃない。それに、カイザーさんと戦うのは約束していたし。それが世界大会の場じゃなかったのは残念だったけど戦えるならもう関係ないや。
俺はVF-25に新造パックを取り付ける。その名もトルネードパック、マクロスF劇場版に登場したアーマードより高価でおなじみ追加装備だ。背部の大型ビーム砲、主翼を覆う翼部ブースターに大型ミサイルポッドを懸架し先端部には回転式のエンジンポッド、勿論マイクロミサイル搭載済み。腕にはバーニア兼装甲、脚部にも同じくバーニア兼装甲を備えるスーパーパックとアーマードパックのいいとこどりをしたような装備だ。もちろん変形できる。というかVF-25から3段変形を邪魔しないのが主流になっているから、確定事項みたいなものだ。
「新装備か。よくやる」
「形にしないとダメなんですよ。放っておけないんです」
「ビルダーの性だな。あとは、戦場で語ろう」
「ええ、そうしましょう!」
広い広いGPベースの一部が起動する。全て起動しても大きすぎて接敵まで時間がかかりすぎるからだ。今回の目的はカイザーさんとのバトル、ならば不要な時間は削るべきだ。真空の宇宙、星が煌めく宵闇に白亜の救世主が射出される。今のVF-25は双発機ではなく疑似的な四発機だ。当然ながらスーパーパックよりも速いし、火力もある。それがファイター形態なら通常の巡航速度とは比較にならない。
「っ!?きたっ!」
黄色のメガ粒子、まだ機体は見えない、狙撃か?網の目のようにいろいろな方向から襲い掛かるメガ粒子のビームを偏向ノズルを方向変えまくってランダム回避する。明らかにこれはファンネルの挙動…!ってことはカイザーさんが乗ってるのは大型MA?しかもニュータイプ専用機…!もしや世界選手権予選で使っていたα・アジール?ケースの大きさ的にはMSサイズだったけど…っ!考え事しながら避けれる弾幕じゃない…!
「そこかっ!?」
背部のビーム砲を起動。本来ならMDEビームと呼称される空間ごとぶち抜くとかいう恐ろしい性能をしているビームなのであるがGPベースでの再現は流石に無理で普通の高出力のビームに変わっている。デブリを粉砕したその中から現れたのは…ジオング!しかも原作にない改造が加えられている!
大まかなシルエットは変わってないが有線式だった腕部マニピュレータは無線式に改造されている。しかもバーニアが強化されているのか速い。雨のような弾幕はこれが生み出していたのか…!背中にはおそらくサザビーから流用したと思われるファンネルラックがついている。完全に自分の超多数マニュアル制御を活かすためのMSだ。
「見つかったか。さあ、どうする?」
「こうしますよ!」
ミサイルポッドのミサイルを吐き出す。ジオングは、背中からもファンネルを射出しすべてを精密に狙撃し撃墜してきた。さすがっ!思考制御ではなくすべて手元のマニュアル制御だからこそできる芸当、反撃の腰部メガ粒子砲の極太ビームをバトロイドに変形してピンポイントバリアで受ける。にらみ合い、思わず笑みがこぼれる。やっぱり、強い!
ガンポッドによる狙撃、狙いは浮かぶファンネルたち、弾幕による面制圧!だが、当たらない!弾丸を見ている?いや、銃口の位置から狙いが絞られてるんだ!それで当たるファンネルを見切ってマニュアル操作で避けられている!マニピュレータの五連装メガ粒子砲が俺の周りを檻のように囲って逃げ場を封じ、その網の目をくぐるようにファンネルによる狙撃が入る。俺は胴体をピンポイントバリアで守り、腕と脚部を繊細に動かしてビームを避ける。一瞬の間をついてガウォークで脱出し、ミサイルをバラまきながら円軌道で回り込みにかかる。
当然落とされる、わけではなく。今回のミサイルはちょっと特別だ。俺の方で今しがたコースを設定している。今あるファンネルの位置から明後日の方向に飛ぶように。当たらないミサイルなんて無視するのが普通、カイザーさんもそれにのっとって無視する。よし!ここっ!ガンポッドと連装ビームによる狙撃、回避するファンネルにデブリを回り込んできたミサイルがブーメランのように背後から突き刺さった!俺のミサイルは直進して追尾するだけじゃないんですよ!
「やってくれる…!」
「まだまだです!」
半分のファンネルを落とすことに成功したがまだ残っているし、この策はもう通じない。既にカイザーさんはファンネルを散開させるのをやめて自分の周りにうろつかせているし、マニピュレーターを接続して待ちの姿勢に入っている。俺は円軌道から直線に切り替えまっすぐにジオングに向かって突っ込む。
「くるか、アルト!」
途中でバレルロールと同時にミサイルを発射する。こうするとミサイルが機体の周りに配置されて余計複雑な軌道を描いて飛ぶため迎撃しにくい。ガンポッドを胴体、ビーム砲を顔、レーザー機銃でスカートを狙って射撃する。カイザーさんは冷静だった。微妙に体を傾け、精緻に機体を操り全てを躱す、反撃のメガ粒子砲を躱し、接近を続ける。ジオングには近接武装が存在しないはず、これならどうだ!
ISCを利用した加速でタイミングを狂わせた俺がバトロイドに変形しながらジオングの眼前に躍り出る。ピンポイントバリアパンチ、ジオングの肩に直撃が入る、と同時に俺のVF-25の胴体ど真ん中に衝撃、マニピュレーターをロケットパンチみたいに飛ばしてぶつけてきたのか…!上から降り注ぐファンネルのビームともう片手のメガ粒子砲を何とか躱して距離を取った。
「まだいけるだろう?アルト」
「勿論です!いくらだって!」
白亜の機体が加速し、無線誘導端末を従える皇帝がそれを迎え撃った。
「…ハァ、ここまで、ハァ、か…」
「ハァ、そうです…ね…!ハァ」
気づいたら汗だくでお互いにそう言っていた。GPベースの中、お互いの機体はボロボロでジオングは片方の角が折れ片腕を失い、ファンネルは全機撃墜、装甲も穴だらけ。俺のVF-25も片翼はもげ、片腕は肘からなくなりガンポッドは消失、ビームキャノンも片方喪失しレーザー機銃も喪失、シールドはズタボロで折れかけのアサルトナイフを握っている。ミサイルは空っぽなうえ全身は溶けかけだ。
お互い息も絶え絶えでGPベースのシステムが引き分けを宣言し、時計を見る。するとバトル開始から1時間が経過していた。えっこんなに戦ってたのっ!?ちょっとヒマリにツムギってリハーサルの方行ってるぅぅぅ!?あっスタッフさんは観戦してたんだ。えっ?休憩がてら代わる代わる?確かに長かったけども…!
「あっアルトくんたち終わった?やっぱり引き分け?」
「やっぱりってなんだよヒマリ」
「…私がそう言った。絶対決着つかないって」
「何を根拠にそう言った?」
「…15分くらいお互い無被弾だったから泥仕合になりそうって思った」
実際その通りだった俺とカイザーさんは何も言えずむふんという顔をしたツムギにパチパチと拍手を送った。なんかツムギ、世界大会に出場してから妙に勘やら予測やらが鋭くなってる気がする。でも、俺ははっきり言って限界に近いがカイザーさんは多分余裕がある。というか何度か撃墜されそうな場面でビーム来なかったから見逃されてたんだな畜生!内容は引き分けでも実際は俺の負けだこれ!
「あー、アルト君?お疲れのところ悪いけどイベントの流れ、確認してもらっていい?あといいバトルだったよ。さすがだね」
「すいません、私用でGPベース使って。ありがとうございます。えーっとこれが1日目でっと…」
タイミングを見計らっていたらしいスタッフさんがタオルと一緒に俺とカイザーさん、ヒマリとツムギにイベント全体のタイムスケジュールをくれた。ざっくり内容を読んでいこう。ちなみに今回の内容はすべて俺がどんな内容にするかを決めた。だって、この世界においてマクロスを唯一完全に理解しているのは俺だけだから。他の人に任せてこんなのマクロスじゃねぇよ!ってしたくないし。3日通してミッション形式で進んでいき、ストーリー仕立てになっている。モチーフは「シャロン・アップル事件」だ。もちろん完全再現なんてできないし全然内容違うけど。んで内容はっと…
1日目、中枢都市近くに停泊していた戦艦「マクロス」が
2日目、都市への被害を最小限にするため意図的にマクロスを洋上へ誘導することに成功。舞台は海上戦へ変わり、そこから宇宙に飛び立とうとするマクロスを押しとどめるのと、援軍として大気圏を突入してくるマクロス・ハルプを援護するのがミッションだ。マクロスは今回飛ぶのではなく海上に浮き、全力で障害を排除しに来る。ここでマクロス側はある兵器を投入してくる。ゴーストX-9だ。航空戦力として動かしてくるこれらをハルプから発進するバルキリーと現地の航空戦力で迎え撃つ。もちろん洋上戦力での攻撃も忘れてはいけない。ジオン水泳部とか来てくれたりすると楽しいかもしれない。
そして最後の3日目、奮戦むなしくマクロスは宇宙へあがってしまった。司令本部は最後の手段としてジョン・ドゥとの「相互理解」のために「歌」を使用することを決意、別任務遂行のため各地に散らばるマクロス・クォーターを構成する5つの艦艇を護衛し、合流ポイントにて合体したマクロス・クォーターに乗って現地に向かう歌姫を護衛し、ジョン・ドゥとの和解を為せ!というのがミッションである。で、このミッションに限って成否でストーリーが分岐する。ミッションが成功し、ジョン・ドゥとの和解が成った場合、黒幕が乗るマクロス・ハルプとのバトルでマクロスを操るジョン・ドゥと共闘することになる。これでハルプを撃破しハッピーエンド。仮に失敗した場合、ジョン・ドゥとは和解できず苦しみながら暴走し続ける彼とマクロス・ハルプの2体を同時に相手取るハメになる。つまり上がノーマルモード、下がベリーハードモードだ。
こうなった場合、ハルプを撃破すれば自動的にジョン・ドゥは消滅、元通りという感じに終わる予定だ。といっても、参加者がちょっとしたことに気づけば必ず成功に終わる簡単なミッションである。それは「徹頭徹尾マクロスを破壊せよ」というミッションは下されていない、ということに気づけるかどうか。破壊のためのAIに歌というカールチューンを叩き込んで文化に目覚めさせて味方につける、というゼントラーディにやったことをAIにやってやろう!っていうやつだ。
どうして腕がたつファイターが沢山必要かといったらこの3日目のミッションが万が一失敗したときのための保険だ。もしマクロスとハルプをクォーター一機で相手する場合流石に無理がある、ので質の高いファイターによる戦力の拡充が必要だったんだ。じゃあ失敗ルートとか消せよ!って思うけど失敗の可能性があるからこそ生まれる緊張感が必要だと感じたんだ。それに、仮に失敗してもマクロスはほぼ置物になってしまうからたぶん大丈夫なハズ。結局必要なのはマクロス・ハルプの無力化なんだよね。
「…なるほどな、面白い。3日かけてのイベントというのも理解できる」
「とりあえずはマクロスの操縦はヤジマの人がやりますけど…」
「私にやらせてはくれないか?」
「カイザーさんやったらムリゲーになりません?」
「問題ない、エンターテインメントは理解しているつもりだ」
「ちなみにどれをやるつもりですか?」
「全部に決まってるだろう」
「…本気ですか?」
「ああ、そっちの方がいい。全部私ならタイミング取りで失敗したりはしない」
「な、なるほど…」
カイザーさんにしか口にできない理由でマクロスの搭乗者が決まってしまった。設計俺、作成ヤジマの半自動操縦プログラムが組まれたゴーストとデストロイドはともかくマクロスはマニュアル制御なんだけど…というかクォーターはチョマーさんに頼もうと思ってたんだよね。あの人大型MAの操縦得意だし。今大会滅茶苦茶調子いいし。
けど、カイザーさんがやれるというなら絶対やれるだろうし、少なくとも操縦技術において俺はかなわない。だから、任せるのがいいだろう。そこら辺はイベントの責任者さんと話し合ったり実際に操縦してみたりして決めてほしい。これはヤジマとしても巨額がかかってるのでそこら辺は俺の裁量一つで決められないのだ。特に戦艦3つの同時操作なんて猶更。一応俺の方から頼んだ人たちにどれに乗ってもらいたいというのはヤジマの方に話してあるのでそこら辺は話し合い、かな。当日ほとんどアドリブで動くんだぜ?え?台本?あっても吹っ飛ぶよ内容なんて。GPベースの上に乗ったらそういうもんさ。
スタッフとカイザーさんに後を任せて、俺たちは帰路について選手村に帰るのだった。あととんでもないことが起こったんだけど、何とレイジが自分でガンプラを作ったのだそうだ。初心者にしてはなかなかの完成度だけど、その教えてくれたひげ面のおっさんって誰なんだろうか。
よし!イベントの内容をかけた!満足!失踪準備ヨシ!(現場デストロイド)投稿終わり!閉廷!以上!みんな解散!
仕事が休みになったら戻ってきます!(多分)
プラモデル大交流会の時他作品ネタを出してもいいか
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どんなネタでも出していいよ
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機体のみにしておけ
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やはりガンダムに限る