「何でマクロスがないんだ!」少年はそう叫んだ   作:カフェイン中毒

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闇からの帰還 彗星二条

 沈黙するエクシア、だらんと力が抜けたその機体のデュアルアイは光を失い、タツヤさんも無言でいる。だめか?だめなのか?プラフスキー粒子を使った賭けは無駄なのか?アランさん、俺たちはどうしたら…!

 

 「くっ…!うぅ…!ああああああ!!!!」

 

 「タツヤさんっ!?」

 

 突如コクピットの向こうでタツヤさんが苦悶の叫びをあげた。通信の先で付けているエンボディシステムの端末らしいサングラスを両手で掴んで引きはがそうともがいている。思わずコクピットの外に飛び出そうとしたがそれをしてしまったら失格の理由を向こうに与えてしまう。仮に今外に飛び出して失格になったとしたらタツヤさんを助けることができなくなる!

 

 「タツヤさん!しっかりしてください!」

 

 「…戻ってきて!」

 

 「アランさんも、セイもレイジも俺たちも!本当のタツヤさんが戻ってくるのを待ってるんです!マシンなんかに負ける貴方じゃないでしょう!?」

 

 システムに抗うタツヤさんの力になるよう通信先に向かって口々に叫ぶ俺たち。操縦桿に向かって動く手を押さえつけてサングラスを取ろうとするタツヤさん、負けないでくれ!俺の憧れたファイターはこんなところでくじけるような人じゃないって!俺たちに見せてくれよ!

 

 「タツヤアアアアアアアっ!!!」

 

 「アランさんっ!?」

 

 唐突な俺たち以外の声、驚いた俺とヒマリにツムギが目を向けるとSPらしい黒服に止められながらも無理やり突破してこちらに歩みを進めるアランさんの姿があった。まとわりつく邪魔者に押し戻されそうになりながら彼はタツヤさんに向かって叫ぶ

 

 「君は2代目を反面教師だといっただろう!今の君は君が嫌悪する2代目そのものだぞ!?思い出せ!何のためにメイジンになったのか!君のやりたかった事はなんだ!タツヤっ!!!」

 

 「くぅ…!うあああああああああああああああああっ!!!…ハァッ!…ハァッ…」

 

 黒服に無理やり押し込められながらも会場に響いたアランさんの叫び。タツヤさんは震える腕に力をこめて顔からサングラスを引きはがした!瞳を閉じて息を切らすタツヤさん。次にその目が俺たちを捉えた瞬間、俺たちは確信した。戻ってきた!あの燃え上がるような眼差し、鋭い視線!さっきまでの無表情無感情とは全く違う、ユウキ・タツヤの…本当の3代目メイジン・カワグチの姿がそこにはあった。

 

 「やったぁ!タツヤさん!」

 

 「…よかった!よかったよぉ!」

 

 「ちょっと目覚ましが大きすぎましたかね?おはようございます、タツヤさん」

 

 俺たちの呼びかけにタツヤさんは口の端をにやりとあげて返してきた。いつも通りの、自信にあふれた声で

 

 「すまない…少々、惑わされていたようだ!君たちの歌が、私の中に響いてきた。戻ってこれたのは君たちのおかげだ…こんなもの」

 

 そう言ってぐしゃりとエンボディシステム端末を握りつぶして投げ捨てるタツヤさん。アランさんは何とかSP達を突破してタツヤさんのもとへたどり着く。SPたちはタツヤさんの眼光におののいて近づけずにいる。だいぶ怒ってるなあれ。俺も頭にきてるんだけどね正直。そういえばアランさんがここにいるということは軟禁状態からは脱せたということだろうか?

 

 「アランさん、よくここまで来れましたね。最後の一押し、助かりました」

 

 「ありがとう…3人とも。実は国際ガンプラバトル審判組合が警察を連れてきてくれたんだ。多分今はマシタ会長のところにも行ってるはず、だからこれ以上、無駄な妨害は入らないぞ」

 

 国際ガンプラバトル審判組合、ガンプラマフィアなどによる不正試合を防ぐために組織されたPPSEの息がかかってない中立組織だ。そこが動いたということは、今回の世界大会相当な厄ネタの集まりだったらしい。けど、いいことを聞いた。この組織が介入してきたということはこれ以上の不正は不可能になったという証左でもある。俺たちは顔を見合わせて笑う。思ってたのとは違うけど、仕切り直せるということだ。

 

 「タツヤさん、あなたとの試合…どんな形であれまだ終わらせたくありません。もう少しだけ、俺たちに付き合ってくれませんか?」

 

 「…不完全燃焼。さっきまでのタツヤさん、強かったけど…つまらなかった」

 

 「タツヤさん!私たち、まだまだ戦えますよ!」

 

 「当然だ!このような紛い物のシステムで操られたのは不覚、この汚名はバトルで雪がせてもらおう!アラン、今のこの3人を相手にするとなれば消耗した私では不安が残る。手伝ってほしい」

 

 「タツヤ、君ってやつは…!もちろんだとも!」

 

 「感謝する!今はメイジンではなく、ユウキ・タツヤとして!アルト君!ヒマリ君!ツムギ君!君たちに挑ませてもらう!」

 

 タツヤさんがそう言った瞬間、エクシアの追加装備が次々と外れていく。背負っていたバックパックを剣で一閃して破壊したエクシアは全く別の姿になっていた。鎧を脱ぎ捨てたその姿はさっきまでの毒毒しいまでの赤は無くなり、蒼く煌めくヒロイックな…まさにメイジンが乗るにふさわしい姿になった。剣の刃を外してビームライフルと合体させGNソードに変え、青い粒子を纏って飛んでいる。

 

 「…ね、アルト」

 

 「ああ、重いもんはもう邪魔だろ?とっちまえ」

 

 「はいはーい!増加装甲、ミサイル、全パージ!ツムギちゃん!楽しんでね!」

 

 それにこたえるようにヅダも重い鎧を脱ぎ捨てる。両肩の偽装シールドミサイルハッチも切り捨て、素の姿に。片手にバルキリーのシールドをつけ、ガンポッドを持ち、もう片手にヒートホークを持つ。本来の姿をさらして睨み合う2機に静かだった会場が沸いた。ああ、そうだよ。これがいいんだ。観客が楽しくて、戦ってる俺たちも楽しい!そんなバトルがしたかったんだ!

 

 「ユウキ・タツヤ…ガンダムアメイジングエクシア!」

 

 「…イロハ・ツムギ!ヅダ・マクロスパックプラス!」

 

 

 

 「「「「「勝負っ!!!」」」」」

 

 同時に飛び出したヅダとエクシアが切り結ぶ。GNソードとヒートホークのつばぜり合い、押し飛ばしたエクシアが斬りかかろうとするのをピンポイントバリアで防ぐヅダ。足を止めての戦闘は完全に不利!操縦のキレが戻ってきてる!タツヤさんの本当の実力が、あのエクシアによって引き出されてる。ツムギもそれがわかったのか、バックステップで離脱、そのままガンポッドの射撃を浴びせまくる。

 

 「この程度っ!」

 

 「増加装甲遠隔操作!マイクロミサイル順次発射するよっ!」

 

 「なにっ!?」

 

 タイミングを見ていたヒマリの操作でバラバラになってそこかしこを漂っていた増加装甲やシールドミサイルハッチの発射口が全て開放され残ってたミサイルが吐き出される。様々な軌道を描きながら上下左右あらゆる方向からエクシアに迫るミサイル。エクシアが腕の中に仕込まれているGNバルカンで次々撃墜していくが、俺のミサイルはちょっと特別なんですよタツヤさんっ!

 

 「くぅ!やってくれるっ!」

 

 あまりの物量にマニューバと弾幕でも対処できずに直撃する。シールドで守ったおかげで損害自体は少ないが隙ができた。

 

 「いけえっ!ツムギ!」

 

 「やあああああああああああ!!!」

 

 「甘いぞっ!そこだああああ!!」

 

 「…っ!ヒートホークがっ!」

 

 隙ができたエクシアに向かって超速で斬り込んだツムギであったがタツヤさんは本来の速度のヅダに対してカウンターを仕掛けてきた。振り下ろされるヒートホークの側面をGNソードで叩き、へし折ったのだ。まさかの対処に空振りしてしまうヅダ。そこを逃すほどタツヤさんは甘くない。返す刀の袈裟斬り、だけどヅダの敏捷性とツムギの反応速度が幸運を呼び込んだ。

 

 「よけたかっ!流石だ…!こっちから行くぞ!」

 

 「…アルトっ」

 

 「ああ、ゴーストシステムオンライン!ぶっちぎれ!」

 

 タックルで袈裟斬りよりも早く懐に飛び込んでエクシアを撥ね飛ばす。そこからゴーストシステムによる実体のある残像を無数に出して撹乱する。タツヤさんは射撃体勢をとるゴーストを無視してピンポイントバリアパンチによる近接攻撃を仕掛けるゴーストのみを対処、一瞬にして切り裂いた。見抜かれてる…!洗脳されていたにもかかわらずゴーストシステムの特性が把握されてる!流石だタツヤさん!

 

 「んんっ!!!」

 

 「そこかっ!ぐぅっ!?」

 

 真正面から一瞬で真後ろに回り込んだヅダがエクシアを弾切れのガンポッドで殴りつける。弾倉を交換しつつピンポイントバリアパンチ。GNソードと拮抗しあう。いったん距離を取って睨み合う2機、刹那、お互いの持つ最後の手段を同時に切った。

 

 「燃え上がれ!ガンプラぁ!!!トランザムッ!!!」

 

 「ゴーストシステム切断、ISC直列起動!フルドライブッ!」

 

 機体も、周りの粒子も紅く輝かせたエクシア。ゴーストシステムを捨て、ISCを2機ともフルドライブで起動することで化け物のような速度を理解の外側に放り投げるヅダがぶつかり合う。切り裂かれるピンポイントバリア、一瞬で消えては現れ、ゴーストを使わなくても出てくる残像が人の目を超過して周りに写り込む。正しくあれを操れるのは操縦席で、花が咲くように笑みを浮かべるツムギのみ。そしてそれを対処し続けるタツヤさん。ピンポイントバリアを切り裂いてもその先にはヅダはいない。切り裂かれた瞬間にそこから離脱しているから。お互いの機体が紅い彗星現象を纏う。紅く輝く機体同士が交差し続ける。

 

 「ここっ!」

 

 「ナイフだとっ!?」

 

 VF-25の兄弟機、VF-27「ルシファー」のシールドと同機能、盾の先からナイフを飛び出させたヅダの突きがピンポイントバリアを纏ってGNソードとつばぜり合う。大型実体剣のGNソードとピンポイントバリアナイフでは威力では劣るものの取り回しは圧倒的にこっちが上!懐に潜っての連撃に後ろに下がりながら対処するタツヤさん。逃がすものかとモノアイを光らせたヅダが引きはがされまいと後を追う。閃く剣閃が50を超えたあたりでエクシアの腕が展開し、バルカンの銃口からビームダガーが出現、ぶつかり合う、お互いの手首から先が消失、ナイフも折れた。

 

 「もらったああああああ!!!!」

 

 「みえたっ!やあああああああああああ!!!」

 

 好機と見たエクシアがGNソードを構え振り下ろす。紅く光る刃をピンポイントバリアとシールドで受け止める。圧縮粒子を利用して強度を高めたピンポイントバリアでもなおじりじりと切り込まれている。ツムギはもう後に引くつもりはないらしく、思いっきり土星エンジンと熱核バーストタービンを吹かしてエクシアとの我慢比べを続ける。

 

 「タツヤさんっ!私が、かつ!アルトが作ってくれたヅダであなたに勝つんだっ!」

 

 「私とて負けるわけにはいかない!この勝負、勝たせてもらおう!」

 

 交わされる言葉、飛び散る火花、それを終わらせたのはヅダだった。ガンポッドを投げ捨て、盾の裏に手を突っ込む。引き出されたものを見た瞬間、画面の向こうでタツヤさんが目を見開く。見覚えがあるでしょう?この赤く赤熱するナタを。

 

 「それはっ!!!」

 

 「ここだああああああっ!!!」

 

 「やっちゃえっ!!ツムギちゃんっ!!!」

 

 「いけえええええ!ツムギぃぃぃ!!」

 

 ピンポイントバリアを切り裂こうとGNソードに片手を使った状態では、ヅダのもう片手のヒートナタを防ぐ手段はない!かろうじて手首がない腕を防御に差し込んだタツヤさんであるが、この人が一番分かっているはずだ。製作者本人、もともとの己の愛機の武装の威力のほどを。ヒートナタは腕をぶった切ってその向こうにあるエクシアのコックピットを袈裟懸けに切り裂く。GNソードがその数瞬後、ピンポイントバリアを突破してヅダの腕ごと胴体を切り裂いた。

 

 「…見事だ!3人とも!」

 

 システムが終了して、勝者を判断する。画面に書かれているのは…俺たちの、名前。勝った?勝った!勝ったんだ!あのタツヤさんに!3人で顔を合わせて、口を開こうとした…けど、言葉が出ない。代わりに2つの衝撃が俺を襲って思いっきり後ろに倒れる。真正面から俺に抱き着いてきた二人に押し倒された形となった俺が、改めて二人の顔を見る。笑っていた、それはもう全開の笑顔で。目尻に光るものはあったけど、それは俺も同じこと。タツヤさんとアランさんは、何も言わず俺たちに拍手を送ってくれていた。

 

 

 

 

 

 

 「やっぱり、そうなるんですね…」

 

 「ああ、マシタ会長は…逮捕された。秘書のベイカーもだ。この大会は公式審判組合の管轄に置き換わったが…来年以降またPPSEが関われるかどうかはわからない。開催すら危ぶまれている」

 

 あの後、激戦の疲れからか3人そろって気絶してしまった俺たちが目覚めたのは医務室だった。医者の診断を受けて何もないことが分かった俺たちはそのままホテルに帰って、まあセイやレイジ、マオといったやつのお怒りの言葉をもらった。結局、タツヤさんに何があったかを話すことはなく、あの後行われた準決勝を勝ち抜いたセイとレイジとお互い悔いのないバトルをしようと、そう約束をして解散した。

 

 そして、今俺と話しているのは事情聴取を一通り終えたタツヤさんだ。メイジンとしての姿ではなく、髪を下ろしたユウキ・タツヤの姿でこれからどうなるかを説明してくれた。まず、黒幕はPPSEの会長であるマシタという人物とその秘書、ベイカー。俺はあったことないし、どんな人物かも知らないけど…セイとレイジに異様な恐怖感を示していて、勝ち進むのを阻止するために様々な妨害をしていたらしい。

 

 「幸い、警察が踏み込んで速やかに外へ引き釣り出してくれたおかげでシステムを操作され私は廃人になることなく、君たちとのバトルを辛うじて汚さずに済んだ。あの歌を聞けたのは少々得した気分だけどね」

 

 「やめてくださいよ。良かったです、歌…気持ちが届いて」

 

 なんでも決勝トーナメント前の4日間のモラトリアム、そう、レイジが初めてガンプラを作った日に、会場でガンプラマフィアが逮捕されたらしい。そのマフィアが使っている機体が、セイとレイジの第6ピリオドであるレースで妨害行為を行ったトラップがおかしいと感じた匿名の通報者たちから提供された画像と一致したもんだからさあ大変、事態を重く見た公式審判組合が調査を開始したらしい。その調査の中で様々な黒い話が出まくって、タツヤさんのエンボディシステムの話も発掘、極めつけは逮捕されたガンプラマフィアが秘書のベイカーの名前を出したことで、逮捕に至ったらしい。

 

 「…大丈夫なんですか?」

 

 「ああ、メイジンとしては、失格だろう。だが、私は諦めない。何度でも挑んで、真のメイジンとして「楽しいガンプラ」を普及させていこうと思う」

 

 そう言ったタツヤさんの瞳はバトルと同じように燃え上がっていた。またこの人に挑めるなら、今度こそ俺自身で勝ちたい。強くそう思うのだった。




 やっと、やっとモラトリアムまで行けそう!これであとイベント書いて、決勝戦書いて終わり!閉廷!
 掲示板どうしよっかなあ。ここまで行ったら書いてもしょうがない気がしてきた。

 マシタ会長、ベイカーさん、アウトー(デデーン

プラモデル大交流会の時他作品ネタを出してもいいか

  • どんなネタでも出していいよ
  • 機体のみにしておけ
  • やはりガンダムに限る
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