「何でマクロスがないんだ!」少年はそう叫んだ 作:カフェイン中毒
「きたね~~アルトくん!イベントの日だよ~~!」
「…アルト、よかったね」
「ああ、ありがとさん。いや~~~遂に来てしまったって感じだな!どんな感じになるんだろうなあ」
どうも、緊張してゲロ吐きそうなアルトです。やべえよやべえよ、まさかホントにイベントが開催される日が来てしまったよ…!ぶっちゃけ1か月くらい前までタチの悪い冗談か何かだと思ってたからね。マクロスができていくにつれてあっこれ現実だわ、とわかると同時にプレッシャーで胃を痛めてました。関係者である俺たちはとりあえず会場に行って何するか考えるぞ!セイたちとは別行動、俺責任者、自由にしてたら問題あるからね、しょうがないね。ヒマリとツムギは付いてくるって聞かなかったので、一緒に来ました。ヒマリのおかげで遅刻したけどなァ!
とりあえずこの世界においてマクロスはシェアードワールドとして二次創作…まあ俺からしたら三次創作?になるわけだけどそれがオッケーってことになってる。なんでかっつったら俺別にマクロスの原作者様じゃないし。元の世界のマクロス総監督とかに許可を取らずにこの世界にマクロス広めたのは正直、悪いと思ってる。好きなものがなかったから自家発電したかっただけなのにどうしてこうなった。まあ、つまり今の時点でこの世界のマクロスは俺が好き勝手描いた二次創作なわけで、それを全部俺が独り占めするのは違うかなって思うのだ。だから、公式作品はあれどみんながみんな、自由にマクロスを描いてほしいと思って、こうなった。
仮に俺の知ってるマクロスΔまで作り終わってしまったら、この世界オリジナルのマクロスが作られるかもだし?それを作るのは俺よりも優れた人間かもしれない。ぶっちゃけ俺は作る側じゃなくて消費する側の人間なので貯金が無くなったら役立たずだよ。セイみたいなオリジナリティがあるわけじゃないもの。
さて、現在俺がいる場所は会場であるドーム、の裏口です。表口?めっちゃ混んでたよ(大歓喜)やったぜ!人っ子一人いなかったらどうしようとか思ってたけど盛況なようで大変うれしい。嬉しいな~~~!
「アルトくん、楽しそうだね」
「…いつもより、笑顔」
「あれ!?顔に出てた!?はっず…」
などとからかわれながら裏口から入って会場内に行ってみる。途中で会ったスタッフさんに握手と挨拶(五体投地したいくらいに感謝してたが自重)してまず行ったのはフードコーナー。まあ軽食でもつまみましょ、という感じである。まあ一般的なフードコートと変わらないよ。ただ一つあるとすれば…俺が今頼んだものくらい?
「ステーキ、パインサラダ、パインケーキ…完璧だな!」
「なんの意味があるの?」
「俺にとっては重要なんだよ。でも食った後でバルキリー乗り回したくないな」
「…酔っちゃう?」
いや別にそういうわけじゃないんだけど。仮に俺が眼鏡をかけていたらその場でメガネが割れるかもしれないでおなじみ、マクロス死亡フラグセットである。一応パインケーキは克服者がいるのでワンチャン大丈夫じゃねって勝手に思ってるけど。なぜか無駄にジューシーなステーキを頬張る俺、パインサラダを食べるツムギ、パインケーキをかじるヒマリという感じである。あ、やっべざわざわしてきた。気づかれた?気づかれたっぽいわこれ。どうも、サオトメ・アルトです。マクロスをよろしくお願いします。イベント楽しんでいってね!できればバルキリー買って!ここで完売とかしてくれたら本社の方も本格的にシリーズ化するって言ってくれたから!そしたらスーパーパックとかの追加装備も発売出来るっすよ!
なんて言えるハズもなく、そそくさと食べるものだけ食べて退散するのでした、とほほ。握手とか求められたけど俺としてどうするの?ヒマリとツムギはデビュー控えた身だから許さないけど、俺が。握手自体はしたんだけど、イベント楽しんでほしいくらいしか言えないよ!マクロスの設定聞かれても明かせないのばっかりだから!ごめんなさい!とりあえず午後までまってちょうだい!
「いや~~~なんか有名人になった気分だぜ。ヒマリとツムギは大丈夫か?」
「いや~~私たちよりもアルトくんのほうがすごかったよ?人だかり」
「…アルトだけ囲まれてた。私たちはそのあとだったから」
「……なんで?」
「アルトくんが企画したイベントなんだからそういうものじゃないの?」
「俺よりもお前らのほうが花があるし楽しいと思うんだが」
「…ここにいるのは筋金入りのモデラーばっかり。マクロスのほうが気になると思う」
ヒマリとツムギの言葉に首をかしげながらやってきたのは物販ブース、俺としても気になるバルキリーの売り上げである。そんな心配は全く杞憂だったようでというか俺の予想の10倍くらい物販盛り上がってた。もうそれは積んであるバルキリーのプラモデルがまさに飛ぶように売れていく。しかも一番高いはずの完全変形RGバルキリーから。それ以外のモデルも売れている、というかRGのバルキリーの抱き合わせみたいな感じで他のも売れていくって感じだ。やばくない?やばいよ。み、みんなお金持ちなんだね…。
『VF-1、VF-11共に今日の分は残り僅かでーす!整理券の配布を終了しまーす!』
「え~~、まじかよ~」
「もう、楽しみにしてたのに~~」
「しゃーねえ、買えるもんだけ買ってGPベースいこうぜ!」
「売れてます?」
「ああ!アルト君!ヒマリさんにツムギさんも!いや、じつは予想以上に売れてまして、在庫が足りなくなっちゃいました。アルト君、これならシリーズ化は問題なく行けると思いますよ!アレを開放したときの反応が楽しみですね」
俺たちは物販スペースに入り込んで指揮を執っていた人に挨拶することにした。彼は俺たちを見ると破顔し、笑い声を響かせながらほとんど空になってしまった倉庫を指し示す。どうやら朝からGPベースとかよりも先に物販スペースにとんでもない長蛇の列が出来ていたらしい。それを見た彼は現場判断として購入制限を実施したのだがそれでも追い付かず昼にも差し掛からないあたりでもうすでに完売が見えてくるということになっているのだとか。確かに簡易作業スペースにはぎっしりと人がいて、列までできているのが見える。
正直、嬉しい。自分がこよなく愛するものが他人から見ても面白い、やってみたい、見てみたいと興味を持ってもらえるという事実がたまらなくうれしい。真剣な顔でキットのバルキリーを組み立てる人々の横顔がその俺の感想を確信に変えてくれる。
そしてアレ、とは今GPベースの端で立体映像に包まれて見えないようになっているマクロスの事だろう。ハルプとクォーターは別室の方に運び込まれているからな。今のGPベースは本当の意味での交流用になっている。いろんなプラモデルが所狭しと動き回っていて、ガンプラが圧倒的に多いのは仕方ないにしろ別作品のプラモデルも結構ある。意図を汲んでくれたのかはわからないけど、少し絡みに行きたいかも。
「あっそうだ!ヒマリさんにツムギさん、最終日のステージの調整でちょっと担当から話があるそうなので行ってもらってもいいですか?」
「わっかりました~~~!いこっツムギちゃん!」
「じゃあ、いく「アルトくんは自由行動!」はぁ?…なんで?」
「…アルト、GPベースのほう行きたいって顔してる。私たちについてくるよりも、アルトのしたいままにしてほしい」
「そうそう!アルトくんは今日までたくさん頑張りました!今日から3日間くらい楽しんでてもバチは当たりませ~~ん!」
「…それに、実際に歌うのは私たち、台本に変更がない限りアルトがいなくたって大丈夫だから、ね?」
「うんうん!それに、ずっと気をはってるアルトくんよりも…大会前みたいに笑ってるアルトくんの方が、私は好き。たまには頭空っぽにして遊ぶがよいぞ!ツムギちゃん、いこ!」
「…あとでね、アルト。今まで頑張った分、楽しんで」
そう言って2人は軽やかな足取りで物販スペースから出ていって裏方のスタッフさんと一緒にステージの裏まで走っていってしまった。確かに、大会中なんだかんだずっと気を張っていたのは事実だ。特に決勝トーナメントあたりからは完全に余裕がなくなって笑っているよりも眉間にしわが寄った回数のほうが多い気がする。ツムギに完璧な機体を作ってやるため、とかタツヤさんの事とかいろいろあったからしょうがないと思ってたんだけどヒマリとツムギにはお見通しだったらしい。二人の優しさに心が温かくなった。
「いや~~~愛されてるねえ、アルト君?いいパートナーたちじゃないか」
にやにやとした責任者の視線で俺は正気に戻った。周りのアルバイトとかの方々もニヤニヤしながら俺を見ている。一気に恥ずかしくなった俺は顔を熱でほてらせながらダッシュで逃げるのだった。くそう、とんだカウンターを
もらってしまった。でも、二人の気持ちは嬉しかったのでありがたく楽しむことにしようかな。
顔の熱を物陰でフード被って冷ました俺は二人の言う通りGPベースに向かった。そりゃあ、行きたかったのは事実だしみんながみんなバトルするわけでもなく互いの機体を自慢しあっているところだ。交流、バトル以外の方法でお互いの理解を深め合ういい光景だと思う。例えば
「いくぜぇ!チェェェェェェンジッ!!ゲッタァァァァァ…ゥワンッ!!!」
「すげえ!合体しやがった!」
「ゲッターじゃん!どうやったんだそれ!?」
「へっへ、市販のキットを改造してやったのよ!どうだこの…うぉっと!」
「あああああああ俺のチェイテピラミッド姫路城凱旋門がああああああ!?」
「「「何だそのプラモ!?」」」
3機の飛行機が合体変形し赤い機体、初代ゲッターロボのゲッターワンにチェンジし、それに周りが歓声を上げているところだった。それに気をよくした操縦者の人が説明しているうちに操縦を誤り体勢を崩したゲッターロボは手を近くにあった城のような冒涜的な物体につく、プラモの一部が崩れる。轟く悲鳴、響く突っ込み。というかなんであの超冒涜城にさらに凱旋門をのせようと思ったのか、これがわからない。一部の人たちは見ただけで動悸が止まらないようで青い顔をしてる人もいるくらい。
「だあくっそ!せっかく借りられたのに難しいなバルキリー!」
「な!面白いけどガンプラと操縦全然違うわ!」
「乗りこなして見せるで~~~!」
そんな声が聞こえたので顔を向けるとレンタルバルキリーの集団がふらふらと蛇行しながらなんとか空を飛んでる所だった。バルキリーの操縦はコツがいる。そのコツというのが曲者でガンプラで必要なスキルじゃないからタツヤさんとかカイザーさんとかみたいな世界上位組でもない限りあんなふうになるのもしょうがない気がする。んだけど、それでバルキリー難しいわやーめた!ってなったら俺は悲しい。のでちょっとだけお手伝いさせてもらおうかな。俺はGPベースコーナーの担当の人のところまで行ってとりあえず挨拶する
「ああ、アルト君、来てたんだね。すごいよー、大盛況さ。バルキリーの方も貸し出し待ちが出来てるくらいね」
「嬉しいです、本当に。あの、きちんと飛べてる人どんだけいます?」
「いや、みんな苦戦してるって印象だよ。なかなか難しいみたいだね」
「やっぱりですか…あの、ピンマイクあります?ちょっと乱入させてもらっても?」
俺がそういうと担当の人はにやりと笑って、許可をくれて耳にかけるタイプのピンマイクを出してくれた。俺はそこでケースの中から素の状態のVF-1とVF-11、ついでにVF-25をとりだしてGPベースの上に載せてマイクのスイッチをオンにした。
『あー、あー、マイクテスト…え?聞こえてる?アハイ。突然失礼します!ヤジマ所属ビルダーのサオトメ・アルトです』
「えっ?マジ?」
「うおっ!あれがフルスクラッチバルキリー…すっげえ…」
『突然ですけど、皆さんバルキリーの操縦に苦戦してるようなのでお節介をさせてもらおうと思います。バルキリーの飛行講座、というわけでご清聴いただける方はこちらまでお願いしまーす!』
そう言ってバトロイドに変形させた3機が合わせて手を振る。なんだなんだとバルキリーに乗った人やそうじゃない人が集まって結構な大所帯になってしまったが、気にせず進めることにしよう。
『ありがとうございます。じゃあ早速、バルキリーとMSの違いなんですけど、まず姿勢制御、MSって全身にスラスターが付いているんです。いわゆる姿勢制御スラスターですね。だからガンプラバトルで結構楽に姿勢制御が効きます。バルキリーにはそれがありません。この2つのエンジンと副機が全ての推力を担っています』
そう、バルキリーは航空力学を利用して飛ぶ機体だ。人型のまま大気圏を飛ぶとかやらかすガンダムとは違う。姿勢制御スラスターに頼ろうとするから変な飛び方になるのだ。2つのエンジンと副機を組み合わせてバランスを取るのが大事なのである。
『なので、まずはバトロイドから始めてみましょう。使用感がMSに近いので。まずはホバリングからです』
俺がVF-1を浮かべるとそれにならって他のレンタルバルキリーを使っている人がメインエンジンから火を噴かせて機体を浮かばせ始める。MSに近い操縦感に変わったおかげなのか割と難なく成功している人が多いし、飛行ほど苦戦している人はいない。俺はそれを確認して次のステップへ。
『それができたら次はガウォークへ行きましょう。そしたら次はガウォークで移動を、そこから上達出来たら次はファイターで飛んでみてください。実はバルキリーの上達ってファイターからじゃなくてバトロイドからやったほうが楽なんです。ちなみに慣れたらこんなこともできます』
そう言って俺はVF-25とVF-11を発進させて空へ飛ばす。参加者の視線を奪う2機が変形を繰り返しながら射線の取り合いをして、ガンポッドを向けあう。そして2機はミサイルをぶっ放してお互いを撃墜しにかかる。まあ、俺が操作してるんで軽くかわせるんだけどね。ひらりひらりとミサイルを躱し、撃ち落とし、すべて無傷で乗り切った2機が参加者の眼前に降りる。
『バルキリーの空戦の花はミサイル戦です。今みたいなことができたら、きっと気持ちいいと思いますよ?』
そう言って俺は締める。ガンポッドを両手で持つ2機をワクワクとした目で見つめながら参加者が自身のレンタルバルキリーに向き合うのを眺めて、俺は笑みを深めるのであった。もうちょっと詳しく聞きたいんだったらいつでも聞いてくださいね~~。あーーー!楽しい!
ミッションにはいれなかった…!待て、次回!
さてアルト君はマクロス死亡フラグ欲張りセットの呪縛をへし折ることができるのか…!
本年、あと少しの更新になるでしょうがよろしくお願いします。
プラモデル大交流会の時他作品ネタを出してもいいか
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どんなネタでも出していいよ
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機体のみにしておけ
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やはりガンダムに限る