「何でマクロスがないんだ!」少年はそう叫んだ   作:カフェイン中毒

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何が始まるんです?大惨事プラモデル大戦だ

 「おっ?おっ!飛べた!行けた行け…うわああああっ?!」

 

 『あーフラップの操作ミスしましたね。あとちょっとです!上達早いですよ!』

 

 「やっべえ!めっちゃ気持ちいいな!マジで飛行機操作してるみたいじゃん!」

 

 「あー!お前何ちゃっかり乗りこなしてんだよ!負けねえぞこの野郎!」

 

 GPベースの上でおっかなびっくり飛ぶファイター形態のバルキリーたち。それとなくコツを言いながらレクチャーを続けてみたけどみんな筋金入りのビルダーらしく割とすぐ飛べるようにはなっている。というかバルキリーという共通の話題があるせいなのか初対面の人同士で話し合ったり競い合ったりと勝手に上達してるって感じ?あー、スロットルふかしすぎですよ、ほら言わんこっちゃないと俺は失速して墜落しようとしているVF-11を同じくVF-11を派遣して救出する。さあワンモアレッツチャレンジ!

 

 「意外と簡単だな。久しぶり、アルト君?」

 

 「あ!あなたは…」

 

 声をかけてきたのは懐かしのマゼラトップで俺と張り合ってきた人だ。確か名前はトバ・リョウさん。彼はVF-11を選んだらしくほかのどの参加者よりも華麗にファイターのバルキリーを乗りこなしていた。その軌道はまさに稲妻、サンダーボルトというペットネームに相応しい挙動だった。ちなみに待機状態の俺のVF-25の近くにキュルキュルとした音を立ててマゼラアタックがやってきていた。サラッと同時操作してるわこの人。もしかしてバルキリー適正高いんじゃないこれ?

 

 「素晴らしいねバルキリー、俺のはまだランナーから外してないけど帰ったらすぐ組み立てさせてもらうよ。いつかマゼラトップとミキシングしたいな」

 

 「光栄です。やっぱりというか何というか余裕綽々な感じですね」

 

 「はは、そう見えるかい?マゼラトップと似たようなもんだよ」

 

 確かに、と俺は異様に完成度が高いマゼラアタックを見る。頭の中でガウォークやバトロイドになるマゼラトップを想像して俺だったらどうやって変形させるか考えてると、彼がバトロイドに変形して腕を持ち上げてクイッと俺に振った。よっしゃ、バルキリーの飛び方というものを見せてやろうじゃないの!

 

 俺のVF-11、白と黒を基調にしたものとリョウさんの灰色のVF-11が並ぶように飛行する。その下、つまり地上では様々なもの、それこそロボットに限らずなプラモデルたちがお互いワイワイやっていた。隊列を組む戦車の群れ、車種はバラバラだけど妙に様になっている。「洗」という文字を基調としたマークが施されてるあたり同じ作品に出てくるものだったりするのかもしれない。

 

 どでかいトレーラーかと思えば赤と青のカラーのロボットに変形したり、なんか知らんが4脚の癖にすごい勢いでブースト吹かして横移動したり瞬間移動じみた加速を見せるロボット…何そのでっかいビルにスラスター貼り付けた鈍器のような何かは?あとむせそうなデザインしたやけに武骨なロボットもいる。あと赤と金のカラーリングなパワードスーツが飛んでいた。というか知ってる作品ばっかりだわ。意外とこの世界、ガンダムに押されてるだけで生き残ってるものは多いのかも。

 

 「横失礼!」

 

 その声と共に俺の横を横切ったのはバルキリーじゃない、でも飛行機だった。すげえ、イオリ模型や近くの大型店でもなかなか見ることができない戦闘機のプラモデルだ。それが4機、多分パイロットは別々だけど見事に噛み合った操縦で俺の斜め後ろに2機づつ付いた。確か、F-14 トムキャット。VF-1のモデルになった機体の一つだから俺も覚えている。なら、ここはこいつだろう。

 

 俺とリョウさんはするっと隊列を抜けて足だけを展開したファイターガウォークでブレーキをかけてホバリング、その代わりに地上から発進したVF-1が代わりに隊列に入った。ヒュゥ、と誰かが口笛を吹く音が聞こえる。即席の編隊飛行にその場にいたビルダーたちから歓声が上がる。どうやら操縦してる4人は知り合いらしく息の合った飛行を見せつけているが俺はそうじゃないのでとりあえずファイターで合わせて飛んでみる、とどうやら俺に追従してくる気のようなので広い空をぐるっと一周する。眼下に広がる大地にいるプラモデルたちが腕をあげて挨拶をしてくれていた。

 

 

 

 

 「楽しそうだったね、アルトくん」

 

 「…いい顔してた」

 

 「そりゃな。なかなかないだろ、あんなふうにいろいろやれるのって」

 

 GPベースから離れた場所で一息つく。途中で見ていたらしい二人と合流して自販機で買った飲み物を持って3人で囲んで話す。GPベースの上ではマゼラトップが飛び立って他のバルキリーを翻弄していた。うっわー磨きがかかってるー。俺が抜けた穴はイベントでバルキリーを操縦する予定のスタッフさんが何人か入って埋めてくれた。むしろ謝られたんだけど、想定してなかった俺が悪いのに。おかげか何かわからないけど結構飛べる人が増えている感じがした。何と何とテレビ局も来ているらしくGPベースの前でリポーターが紹介してくれてるや。ありがたや。あ、カメラ向いた。様子を流す程度だろうけど映ったら面白いので3人そろって手をぶんぶん振っておく。子供のやることだから何も言われず流された。それともそっとしておいてくれたのかな?

 

 『皆様、ご来場ありがとうございます。今から15分後より大交流会限定オリジナルシナリオによるバトルイベントを開催いたします。プラモデルの破損の可能性がございますので参加をご希望されないお客様に関しましてはGPベース内からプラモデルを回収していただきますようお願いいたします。繰り返します……』

 

 「おっ来た!来ちゃったかあ…」

 

 「…来た、お披露目。びっくりぽんって」

 

 「アルトくんったらサプライズ大好きだよね~」

 

 「そりゃあ、ビックリさせて笑ってくれたら嬉しいだろ?」

 

 そう言いながら俺たちはGPベースをぐるりと回ってイベント本部へ向かう。GPベースの機能を統括している本部の中はあわただしく人が動いていてその中にはパイロット役の人たちが指の準備運動をしたり、半自動操縦になっているデストロイド隊のプログラムの最終調整をしていたりと忙しそうだ。それでも俺たちを見つけると嬉しそうに挨拶をしてくれて俺も嬉しくなった。そして、その中にはペットボトルのスポーツドリンクを口に含むカイザーさんが不敵に笑っている。彼は俺を見ると片手をあげて笑い、本部を出ていく。マクロス操縦用の部屋に行くのだろう。あの大きさの機体の操縦となれば俯瞰視点が必要になるのでその場操縦は無理だ、いくつかのモニターを設置した部屋で操縦することになっている。俺は彼に頭を下げて見送った。

 

 

 「イベントだってよ!」

 

 「何があるんだろうなあ、大会?」

 

 「それ世界大会と被るだろ!」

 

 「俺のティーガーちゃんが火を噴くぜ!」

 

 「ブロウクンマグナム不可避」

 

 「光にするなよ?絶対だぞ?」

 

 「ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ…」

 

 「ヤメルルォ!!ってそれ違うか。スマン」

 

 ざわざわと聞こえる話し声の中、時間が来る。主任さんが一つ頷いてスイッチを押すと、ドームの中に音声が流れ出した。

 

 『よう、どうだ?調子は』

 

 『悪くないわ。そっちも、どうなの?マクロスの整備』

 

 『上々さ、そっちのプログラムもどうなんだ?』

 

 『問題ないわよ。さって、そろそろチェックがおわ…きゃぁっ!?』

 

 爆発音、続いて低く機械的で不明瞭な音声、慌てた二人の人物のやり取りが続く。参加者たちのざわめきが大きくなる。マクロスって?プログラム?そんな感じだろう。

 

 『何があった!?っておい!スクランブル!?マクロスが…動き出してる!?』

 

 『うそ、プログラムが外部から乗っ取られて…無人で動くなんて…!この識別コード、アンノウン?名無しの男(ジョン・ドゥ)…まさか、開発中のAI…?』

 

 『バカな!あれは未完成のはずだ!くそっ!おい統合軍!町がやばい!止めろ!』

 

 『Σよりγへ!緊急事態発生!マクロスが乗っ取られた!試験運用中の兵器類もだ!あれが解き放たれたら首都が吹っ飛ぶぞ!誰でもいい!マクロスを止めてくれ!』

 

 その音声と同時にブツッと音を立てて通信が切れる。音声が終わり、女性の声でミッション内容が説明される。参加者のざわめきは限界に達し我先にとGPベースに張り付いて機体を置き、立体映像に身を包んでいく。

 

 『ミッション。謎のAIに乗っ取られたSDF-1「マクロス」の攻撃より街を防衛してください。また、マクロスの撃破による損害を考慮し現地点でのマクロスの撃沈は禁止するものとします。ご武運を』

 

 同時にバァッ!と奥の立体映像が消えて全長8mという規格外の大きさのプラモデルが姿を現した。そう、マクロスである。カイザーさんが操縦するマクロスはその大きさとは思えないほどの滑らかな動きで艦首を町のほうまで向ける。同時に地面ではデストロイド部隊が降り立ち町へ進撃を始めた。

 

 

 「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」」

 

 「なんだあれ!?戦艦!?」

 

 「でかすぎないか!?反則だぜありがとう!」

 

 「マクロス…あれがか!」

 

 「あんなもん作るなんて馬鹿じゃねえの!?最高だぜ!」

 

 「おっしゃあああ一番槍はおれじゃああああ!!!」

 

 「あれがデストロイドか…むせる!」

 

 爆発したかのように沸いた会場。デストロイドはトマホーク、ディフェンダー、スパルタン、ファランクス、そしてモンスターの5つ。設計はもちろん俺。何だったらフルスクラッチ版を作ったからな!地面を進む戦車たち、空を舞う戦闘機とバルキリー、MS。そして迎え撃つは様々な作品の機体が一堂に会したドリームチームだ。非常に絵になる。参加したいなあ、いいなあ。正直動くマクロス見ただけで胸がいっぱいになってまともに操縦できる感じじゃないや。まだしばらく見てたい。

 

 「一発もらったぁ!」

 

 「チェンジ!ゲッタァ!ツゥ!」

 

 「パイルダーオン!ルスト!ハリケェェェェェェン!!!」

 

 「うおっしゃあ見せてやるぜ現代兵器の力!って俺の敵取るんじゃねえ!」

 

 「速いもん勝ちだぜぇ!おらっ!」

 

 やはり強いのは自力でスーパーロボットを作った人たち。各種会社にお願いしてエフェクト設定して作っていい?って聞いてオッケーもらったからほとんどのスーパーロボットの必殺技が使えるようになっているはずだ。お父さんが頭を下げまくってくれたと聞いた。販促になるからオッケーとくれた他の権利者の皆さん、ありがとう。ドリルで薙ぎ払うゲッター2、強酸の竜巻を吐き出すマジンガーZ、MSのほとんどがビームを撃ちまくっている。デストロイド部隊は余りある数の代わりに1体1体の機体操縦は甘く設定しているからちょっとした無双気分が味わえるはずだ。

 

 「ここだぁ!ロケットパァァァンチッ!」

 

 「あってめ撃沈ダメだっつってただろうが!」

 

 「やっべ忘れてた!バリアっ!?」

 

 乗りに乗ってしまったらしいマジンガーZの操縦者がロケットパンチをマクロスにぶつけるがあっさりとピンポイントバリアに防がれる。あーあ、やっちまった。マクロス操縦してるのカイザーさんだぜ?

 

 「げぇっ!?ミサイル!?」

 

 「うわてめ巻き添えやめろやあああ!?」

 

 「しなばもろともおおおお!」

 

 「おらぁ!戦車の力みたか!」

 

 対艦ミサイルと副砲のレールガンが火を噴く。躱すロボットたち、その隙にスパルタンが前線に突入して格闘用クローハンドや火炎放射機を振り回し、両肩のミサイルをぶっ放す。遠くからモンスターによる超長距離砲撃が着弾しているが当たらなかった戦車の主砲が隙を見せたトマホークを撃ち抜いた!すっげえビンゴだ!空を飛ぶマゼラトップが弾幕をすり抜けて次々とデストロイを破壊している。そしてその後ろから

 

 「はっはあ!チョマー様のお通りだぁ!道を開けろお!」

 

 「あっチョマーだ!」

 

 「ジェスタキャノンだ!」

 

 「おうとも!アルトォ!楽しませてもらうぜぇ!」

 

 前線に突っ込んできたのはベースジャバーに乗ったジェスタキャノン、シールドのビームマシンガンをぶっ放し、もう片手には大型ビームライフルを持ちビームキャノンと合わせて乱れ打ちを披露している。次々と撃ち抜かれるデストロイドたちだが、一機のディフェンダーが放った銃撃の雨がベースジャバーをぶっ壊した。チョマーさんは慌てず残りの銃撃をシールドで防ぎ反撃で撃ち抜く。流石って感じだな。

 

 『警告、マクロスに高エネルギー反応。主砲発射を阻止してください』

 

 その警告と同時にマクロスの主砲であるバスターキャノンに光が集まる。流石にヤバイと思ったらしい参加者たちは攻撃を集中して防ごうとするが揺らぐマクロスではない。まあ発射はシナリオ内だから問題ないっ!?マジかっ!?

 

 「不明なユニットが接続されましたーってな!おらぁっ!」

 

 すさまじいスピードで近づいてきた1機の機体、4脚にあの鈍器のようなものを装備した機体が、ピンポイントバリアの上から思いっきりそのブーストで極限に加速した鈍器でぶん殴ったのだ。その衝撃で機体は自壊してしまったがその衝撃、それこそセイやマオといったビルダーの機体に搭載された必殺技に匹敵する威力はマクロスを揺るがして若干の狙いをそらすことに成功した。発射されたバスターキャノンが逸れた先に集まっていたのは金色のMS群、アカツキだ。ヤタノカガミ装甲で受けきって分散してバスターキャノンをマクロスにそのまま返してしまった。

 

 「はっはあ!」

 

 「見たかこれがオーブの力!」

 

 「おまえそれ百式じゃねえか!?」

 

 「えっこれ金色繋がりじゃねえの!?ぐわあああああ!?」

 

 「ハヤオオオオオオオ!?」

 

 マクロスはピンポイントバリアで防ぐが流石に自分の主砲の威力のため押し込まれてしまった。すげえ、想定外な対処だ。やっぱこう来なくっちゃな。でも今のでミッションの成功ラインにマクロスを押し込むことに成功してしまった。また放送が流れる

 

 『こちら新統合軍!貴君らの奮戦に感謝する。これよりマクロスを海上に誘導する!全機、オールウェポンフリー!』

 

 『『『『ウーラ・サー!』』』』

 

 GPベースに現れたのはVF-1とVF-11の大部隊。スーパーパックを付けた彼らがマクロスの対空砲火をくぐって火力を集中すると、それにうっとおしがるようにマクロスは向きを変えて街とは別の方向に艦首を向け、去っていった。残されたデストロイド部隊が残らずぶっ壊されると同時にミッション成功の知らせが響く。

 

 『ミッション成功です!現場の皆さんの多大なる協力に感謝を!』

 

 「「「「「いよっしゃああああ!!!!」」」」

 

 拍手と歓声が会場を包む。俺もヒマリもツムギも見ていただけだけど非常にワクワクした。一瞬シナリオなんか忘れてしまうほどに。明日は海上戦か。楽しみだなあ、明日こそは参加しようかな?明日からはゴーストが投入されるから今日よりもきつくなる。どうなるかは参加者の人次第だけど、今日みたいな感じなら楽しくなるんじゃないかな。

 

 『お疲れ様でした。これにて1日目のバトルイベントを終了いたします。引き続きGPベースの使用は可能ですので是非ともお楽しみください。また、イベントで登場したSDF-1「マクロス」はこれ以降見学が可能ですので是非ともお立ち寄りください。それでは、よい一日を』

 

 「まじで、あれ見れんの!?」

 

 「おいいこうぜ!近くで見たいんだよ!」

 

 「実用サイズの巨大プラモ…!」

 

 「くそう!なんで俺は全日程のチケットを取らなかったんだ!あんなのがあるなら全部参加してえよ!」

 

 「あーあ、アセンブルしなおさないと」

 

 「ところでそのゲッターどうやって変形してんの?」

 

 「あーこれ?企業秘密」

 

 「戦車同好会こっちー!」

 

 「ぐわああまた鯖がおちたああああ!もうやだああああ!」




 お待たせしました!1日目終了です。いや書いてみてわかりましたけどいろんな機体を出すの難しいですね。なので作者がそれなりに知ってるもの以外は作品名ぼかしてます。

 次回は2日目ですかね。巻きで行きます!

 ついでに私事ですがマクロスΔを改めて全話見ました。結果なぜ絶対LIVEを見なかったのかと激しく後悔しています。仕事を休めばよかった…!

 まあその結果マクロスΔの二次創作書きたくてたまらなくなったりしてこの作品おざなりになりそうでちょっと後悔してたり。

プラモデル大交流会の時他作品ネタを出してもいいか

  • どんなネタでも出していいよ
  • 機体のみにしておけ
  • やはりガンダムに限る
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