「何でマクロスがないんだ!」少年はそう叫んだ 作:カフェイン中毒
「2日目も盛況だなあ!」
「…海ってあんまり人気ないと思ってた」
「たくさん船あるよー!あと女の子がたくさん!」
交流会2日目である。2日目、海洋戦のステージは正直言ってあんまり人が増えるとは思えなかったのだけど予想以上、というか昨日と変わらないくらい盛況だ。具体的には艦、艦、艦の山。往時の戦艦や空母が所せましと並んで船団を形成している。旗艦はおそらく、和傘をさして大きな大砲のようなメカを背負ったセーラー服の女性のアクションフィギュアを艦首に据えた戦艦大和。たぶん艦これってやつだろう。海の上で立っている女の子のフィギュアを見るとあれこれプラモ大会だよな?って錯覚するがそれもよし。プラモデルはいつだって自由だから。
「今日はアルトくんも参加するんだよね?」
「ああ、昨日のでカイザーさんに火が付いたみたいだからな。多分、当初より難易度上げるとか言ってたし、運営の方もゴーストのリミッターを少し上げるって言ってた。大筋は変わらないけど俺も参加したいんだよ」
「…いいな、アルト。私も行こうかな、VF-22で」
「いいんじゃね?ヒマリはどうするよ」
「クァドランちゃんは足場がないとどうもねー。宇宙ならいいんだけど…でも参加するよ!」
「そうこなくっちゃな。それに、デストロイドが対空に専念するとなるとマクロスへのタッチダウン、決めたくなるだろ?」
「「もっちろん!」」
会場内、盛り上がる物販と作業スペースを尻目に俺たちも盛り上がる。昨日のバトルイベントは俺が感動で打ち震えて使い物にならなくなってしまったので参加できなかったんだけど、ヒマリ達は参加しなくてよかったのかって聞いたら俺と参加したいから良かったんだと。俺の幼馴染とパートナーが最高すぎる。一応の一応立ち直った今日としては何としてでも参加したい、しなければならぬ。
マクロスは空中浮遊ではなく海に浮かんでいるので海中からの攻撃も可能だ。まあそれを許すカイザーさんじゃないけど、そして何といっても今日お披露目のハルプが大事なんだよなあ。あ、ちなみに昨日会ったマゼラトップの人ことリョウさんにイベントの後また会う機会があってこれこれこうで協力者探してるんですけど~~って言ったら二つ返事で受けてくれたよ!嬉しくなった俺はリョウさんの使う予定の素組みVF-11の足部分を俺のVF-11の予備パーツと交換、ついでに彼のパーソナルカラーであるモスグリーンに塗装してマゼラトップのノーズアートも入れてあげた。
これで彼のVF-11は性能落ちしたエンジンじゃなくていわば本物の熱核ジェットエンジンを手に入れたのである。なんでここまでしたかって言ったらリョウさんの操縦に素組みじゃついていけてなかったっぽいから。あの俺のバルキリーに追いすがってきたマゼラトップの動きに近づけるにはバルキリーをこの世界で一番理解している俺がやるのが一番手っ取り早くて正確だと思い彼に許可を取ってやらせてもらったのである。
「はいはーい、第六駆逐隊はこっち、白露型はあっち、吹雪型はそっち、金剛型は向こうね~」
「艦これ多すぎワロタ」
「きゅーそくせんこー、なんかめっちゃおる!?」
「ジオン水泳部とプラント水泳部じゃね?まとめてんのアトラスガンダムか」
「ゆーちゃんとろーちゃんをまとめて動かせる日が来るとは…!」
「でちでち火水木金金!今日も元気にオリョールでち!」
「やめろおっさんボイスで言うな。あとオリョクルは死んだんだ」
「いくぜ!カットバックドロップターン!」
「それ海でやらね?」
「リフは空中でやるもんだぜ~月光号!そっちどう?」
「アイアイ、問題ねーよ。しっかし、プラフスキー粒子をトラパー扱いできるなんてなあ」
「何その…赤い船」
「どこからどう見てもゴーカイガレオンに決まってるだろ」
うん、めっちゃいる。スクール水着の女の子たちと潜水艦が海の中に潜り、空中でサーフィンする赤白の機体、ピンクの機体、白銀の機体。なんか既視感のある4脚にチェーンソーを6本まとめたものを背負った機体とか。なんか漁船のプラモもある。大漁旗が妙にリアルっていうか確実に手書きだわ。銛めっちゃ積んでるしなんか漢って感じのフィギュア乗ってるからもしかして戦うつもりなのだろうか?必要なら足場として戦艦をいくつか用意しようかと思ってたけど艦隊が異様に多いから必要なさそうかな。というか普通に1mサイズの戦艦模型とかどうやって持ってきたんだろうか
「じゃあハルプのとこまでいくかあ」
「ふふっ、レンタルバルキリーの人たち驚くだろうね」
「…実際の戦艦からの発艦、喜ばないロボットファンは、いない」
そう、あのマクロスもそうだけどハルプにもバルキリー、デストロイド、クァドラン系列の発艦機構を設計して乗っけた。あの小さい艦体で戦闘力と分割機能の両立を目ざしつつ発艦機能も実装したためにスペースが圧迫されたクォーターと違って大きいハルプとマクロスのそれはかなりの無茶がきく容量で収めた。俺とヤジマ、超がんばった。ふっへっへ~。
そう言いながら俺たちはマクロスと同じように隠されているハルプのもとへ向かい、待機用のスペースに各々の機体をセットする。ヒマリはクァドラン・レア、ツムギはVF-22フルブーストパック、俺はツムギがそっちならばとYF-19スーパーアーマードパックで行くことにして同じく機体をセット、参加者列に並んでる人たちに軽く挨拶をしてGPベースの場所を確保する。
『皆様、ご来場ありがとうございます。これより15分後に昨日に引き続きバトルイベントを開催いたします。プラモデルの破損の可能性がございますので参加をご希望されないお客様はGPベースよりご退室をお願い致します。繰り返します…』
「きたああああああ!」
「もう待ちきれないよ!早くしてくれ!」
「ついにこの日本艦隊オールスターズで海戦ができる日が…!」
「紫電、烈風…大戦の飛行機が飛ばせる日が来るなんて…!」
「レンタルバルキリーは別場所から発進ってなんだろうな?」
「なんで戦艦の上に必ず女の子乗ってんだ?」
「アルペジオ方式でしょ」
「そうじゃないのもたくさんいるんだけど」
放送が流れたことにより昨日よりも数段多いざわつきが会場内を駆け巡る。ああ、このワクワク感がたまらない。何が起きるかは台本として知っているけどその台本通りに絶対に行かないという確信が持てる。だってほら、俺の知らない機体、俺の知らない作品、製作技術だって俺に負けない機体が沢山、俺の想定をどこまでも上回ってくれるから。あっという間の待機時間が過ぎてまた通信風のやり取りが放送される。
『マクロスは今どうなってる?』
『誘導された海上より動いていません。おそらく大気圏を離脱し、フォールドによる空間跳躍を試みているものかと』
『くっ、やはり、か!増援はどうなっている!?』
『現地点で近くの宙域にいるのはハルプとクォーター、うちクォーターは別任務遂行のため援軍には行けないとのこと。ハルプが現在、フォールド航行中です』
『マクロスが動きます!』
『なんだとぉっ!?くそっ!いいか!マクロスには新型の反応弾がしこたま積んである!撃沈なんかさせてみろ!周囲の地図を書き換える羽目になるぞ!何としてでもハルプが来るまであの場所に釘付けにしろ!』
『了解!これよりスクランブルに入ります!現地協力者への依頼急いで!』
「きたああああああ!!行くぜ!チェンジ、ゲッタースリー!」
「西村艦隊!全員帰ってみせようぜ!」
「「「「「おっしゃあああああ!!!!」」」」
「ところでお前のそれ何?」
「何って…どっからどう見ても蟹だろ?正確にはタスマニアキングクラブ」
「顔面への着弾は何としてでも…」
「それするくらいならもう棄権しなさいよ、野暮だけど。ところで今度はその美少女だれ?」
「どっからどう見てもセシリアたんだろうがああああああ!!!貴様それでもオルコッ党かッッ!!!!」
「いやしらねえええええよ!あと俺はしいて言うならティファ派閥だよ!」
「「「「ティファの相手はガロードだ、貴様は死刑にしてやる」」」」
「うわああああお助けええええええ!!!???」
なんか始まる前から仲間割れが始まってるんだけど大丈夫だろうか?まるでコントのようなやり取りにヒマリがツボってしまったらしくお腹を抱えて笑っている、ツムギに至っては折角出した瞳をまた髪で顔全部隠してフルフル震えてる所からこっちもツボったらしい。大丈夫かこれ、ユーモアはたっぷりだろうけど。
「ちなみにアルトくんは誰派閥なのかな?」
「…わくわく」
「ノーコメントで」
「「「「「「ええ~~~」」」」」
「なんで他の人もそんな聞き耳立ててんの!?」
マクロスじゃないキャラ…しいて言うなら俺はルナマリアが好き、って言おうと思ったけどなんか言ったらえらい目に合いそうな予感がしたのでノーコメントとしたら周りの参加者も含めて盛大なブーイングが帰ってきた。さっきまで追いかけっこしてた人たちも含めてだ。なんでそんなに気にしてんのさ?下手なこと言ったらさっきのティファ党の彼みたいになるんでしょ?じゃあ言わないよそりゃ。
『ミッション!大気圏を離脱しようとしているマクロスをその場に留めてください!新型の戦術核兵器である反応弾の誤爆を防ぐため直撃を避け、航行能力を奪うことに専念してください!ご武運を!』
「「「「「「行くぞオラアアアアア!!!」」」」」
「なんか今日みんな荒っぽくない?」
「海の男ってやつ?」
「…偏見がすごい」
立体映像が消えてマクロスが現れる。要塞型のまま海に浮かぶマクロスの上にはデストロイドが並んでいて対空をガッチガチに固めているのだろう。それを知ってか知らずか雄たけびを上げたビルダーとファイターたちが自らのプラモを操って海に浮かぶマクロスへ突撃をかける、と見せかけて先陣を切ったのは海に浮かぶ艦隊たち、空母機動部隊が次々にプロペラ機やらジェット機やらの戦闘機を発艦させている、多分全部にパイロットが乗っている、ここで会ったからやらせてくれないかと頼んだんだろう。
「一番槍じゃなくて一番銛ィィィ!」
「まさかの漁船に先を越された!?」
「どうやって入り込んだあいつ!?」
うっそぉ?まさか先に一撃マクロスに食らわせたのは大漁旗を掲げた漁船、漢らしいプラモが投げた銛がファランクスを貫いたのだ。いや、まさかそっちが一番槍取るとは思わなかったよ。しかもなんだあの動き!?波を巧みに乗り越えて弾幕をするりするりと躱している。面食らったのは俺だけじゃないらしい。
「おい、漁船に負けられるか!」
「全くだ!現代兵器パワーを見せてくれるわああああ!!!」
「食らえ46㎝3連装砲を!」
艦隊が次々砲弾を吐き出していく、当然マクロスを操縦するのは前世界最強の男、カルロス・カイザー、当たるもののみピンポイントバリアを巧みに移動させて受けている。空を埋め尽くす戦闘機がマクロスに向かって爆弾を投下しようとするが分厚い弾幕に阻まれ、撃墜されるか逃げかえっている…一部を除いては。トムキャットの4人衆だ。彼らは巧みに弾幕を避けて反撃で見事にデストロイドを撃ち抜いている。すっげえ、あれならバルキリーも余裕で操縦出来るんじゃないか!?今度会えたら勧めてみようかな!でも会えるかなあ、実際にパイロットやってる凄い人たちみたいだし。
「ニルヴァーシュ、909はそのまま回り込め!デビルフィッシュはこのまま突撃する!」
「オッケー!いい波が来てる!」
「俺もノリノリだぜ~~~!!」
「いくよ!ジ・エンド!バスクード…クライシス!」
マジか!?サーフィンしながら弾幕避けてるぞ!?そういうものだって分かってるけど見たら衝撃度がたっか…ニルヴァーシュSpec2なのか!?変形しやがった!是非とも是非ともビルダーと語り合いたい機体が出てきてしまった。というかどうやってるんだそのサーフィン…粒子変容塗料か?いやそれしかないか。すげえなあ、あの緑の波を残して飛ぶ姿。俺もあそこに並びたい、うずうずしてきたよ、ほんとに。さて、まだかな。
「なーレンタルバルキリー組の出撃まだかー?」
「待機画面から変わらないんだけど?」
「俺たちもやらせろ~~」
あーそりゃフラストレーションたまるはずだよね。でも大丈夫、そろそろ来るはずだから、時間だ。降ってくるぞ、もう一つのマクロスが。
『ミッション更新!マクロス・ハルプがフォールド航行を終了しました!これより現場への強硬突入及び大気圏の突破に入ります!無防備になるハルプをマクロスの攻撃から守ってください!』
「なんだハルプって?」
「マクロスっつったよな?」
「まさか…」
そう、そのまさか!上空の立体映像が取り払われ艦首を下にしたもう一つのマクロス艦、マクロス・ハルプが大気圏突破の影響で赤く染まりながら姿を現した。ここからが2日目の本当のスタートだ、なんせここからマクロス世界において屈指の兵器の一つであるゴーストが出てくるのだから。あとは俺たちハルプから発進するバルキリー組がどれだけ頑張れるかだ。
「うおおおおおおおおおおおおお!!!!」
「もう一つ!もう一つあった!」
「いや、小さいぞ!?でもすげえヤジマ!」
「もう俺ヤジマの奴隷でいいよ…」
周りが大盛り上がりする中、俺は待機画面が切り替わり起動していく中マクロスを見つめる。ちょっと違うけど、勝負ですよ、カイザーさん。
読んでいただきありがとうございました。同時に番外編も投稿しておりますので合わせてお楽しみください。
本当だったら一話でサクッと終わらせるつもりだったんですけど予想以上に長くなってしまったので前後編です。これ三日目前中後編になりそうで作者ちょっと怖い。
ちなみに作者はエウレカは割と好きです。ちゃんと全話見て映画も見て漫画も全館持ってます。AOは…うん、まあ?
あと少しで完結、皆様ラストスパートにしばしお付き合いください。
プラモデル大交流会の時他作品ネタを出してもいいか
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どんなネタでも出していいよ
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機体のみにしておけ
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やはりガンダムに限る