「何でマクロスがないんだ!」少年はそう叫んだ   作:カフェイン中毒

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最終日 ミンメイ・アタック

 「じゃ、アルトくんイベント後にね~」

 

 「…アルト、応援してる」

 

 「ああ、二人とも協力してくれてありがとう。二人がいなかったら、どうなってたか…頼んだぜ」

 

 「もっちろん!最高の歌を歌ってくるよ!ね、ツムギちゃん!」

 

 「…ん。アルトが操縦できないくらい、釘付けにする」

 

 「ああ、お前らから目が離せないようにしてくれよ。それで落ちてやるつもりはないけどな」

 

 最終日の現地入り、昨日は完全に私用でイベント参加してしまったけど今日は俺たち全員まとめて演者だ。特に、今日のために作ったステージで歌うことになる二人は化粧やら衣装への着替えやらで先に俺たちと別れて準備をすることになる。次に会うのは会場のステージの上。あとは神頼みってな。いや違うか、成功させるんだ。俺たちの手で。

 

 控室、ここにいるのは俺が直接頼んだ精鋭たち、マオ、セイにレイジ、チョマーさんフェリーニさんグレコさん…そしてカイザーさん、タツヤさん…もう準備は出来てるようだ。細かい言葉はもういらないだろう。唯一違いがあるとすれば昨日までのイベントを見てマクロスの同時操作は難しいだろうとカイザーさん以外にもパイロットが増えたことだ。それは、挑んでくる参加者側が想定より手強いということで、嬉しい悲鳴というやつだ。だから、マクロスはカイザーさん、ハルプはグレコさん、そしてクォーターはチョマーさんが動かすことになった。歴戦のファイターたちだ、全く異論はない。

 

 「アルト君…君の夢の舞台にかかわらせてもらえる、礼を言わせてほしい。最善を尽くすよ、メイジンとして…ユウキ・タツヤとして!」

 

 「はい、タツヤさん。VF-27、貴方にこそ使ってほしかった。お願いします」

 

 「アルト、僕らも手伝うから」

 

 「へっ、お前らとの決勝前にいい準備運動だぜ!遊びだからこそ本気になれる、その通りだった。礼を言うぜアルト」

 

 「気にすんなよ。じゃ、やりましょうか!よろしくお願いします!」

 

 「「「「まかせとけっ!」」」」

 

 

 時間となる、シンと静かになった会場。この時だけは盛況な物販スペースも組み立て用スペースもすっからかんになって特設の巨大GPベースにみんな集まる。会場が暗くなり、ブリーフィング風の通信が始まった。

 

 『今マクロスは?』

 

 『はい、大気圏を超え月と地球の間にデフォールドしました。次のフォールドまでには1日はかかるものかと』

 

 『そうか、ならば今しかあるまい。ミンメイ・アタック…成功させねばならん。クォーターは?』

 

 『現在該当宙域に向かって航行中。分離中のため現地でのドッキングののち作戦を開始します。ハルプは現在補給と修理のためマクロスシティに停泊中。完了次第出撃予定です』

 

 『よし、では始めよう。クォーターへ連絡を取れ!こう伝えろ「歌で風穴でも開けてやれ」とな!』

 

 『了解!クォーター、デフォールドします!』

 

 さて、始まるぞ。俺が夢にまで見たマクロス同士の艦隊決戦、歌による戦いが。通信でつながった全員の顔が引き締まる、んじゃ、スタートだっ!!!

 

 『ミッション!マクロスとの最終決戦を援護してください。ミンメイ・アタックを成功させるためデフォールドするマクロス級、マクロス・クォーターのドッキングを最優先に!ご武運を!』

 

 「おっしゃあああ!行くぜ!チェェェェンジゲッタァァァウヮンッ!ゲッタァァ…トマホゥゥク!」

 

 「あの無人機がまた…!邪魔させるなよ!なんだかわからんが援護だ援護!」

 

 「おっしゃ任せとけ!どさくさに紛れて俺がいいとこかっさらってやる!」

 

 「ところでお前は何乗ってるの?」

 

 「風雲再起だけど?」

 

 「乗っていい?」

 

 「ええぞ」

 

 「ってまさかあれ…!もう一つ戦艦!?いや、5つか!サイズだいぶ小さいけど!」

 

 「おい馬鹿っ!なんか無人機殺到してるじゃねえか!止めろ止めろ!でかいほうは後回しだ!失敗したらいやだろっ!?」

 

 デフォールドの表現としてそれぞれ離れた位置からヒマリとツムギが乗ってる設定のセンターハル、左の空母艦になるARMD-L、同じく主砲のARMD-R、背部ブースターになるBASTER-L、BASTER-Rの5つの戦艦に分割した状態で戦場に現れた。俺、タツヤさん、フェリーニさん、レイジとセイ、マオが収まってるのはARMD-L、ここに離着陸システム、ついでにバルキリーの自動パック換装システムを仕込んである。他はスペースぎっちぎち、特に今までにない分離合体という機構が大きくスペースを圧迫しているのだ。ついでにフォールドサウンドステージもだけど。難しいな、プラモって。

 

 『マクロス・クォーター、ドッキングフォーメーションに入ります!』

 

 「マジかっ!合体だ合体!ロマンいっぱい夢いっぱい!」

 

 「すっげええええ!マクロスやべえ!何だあれ!」

 

 そうでしょうそうでしょう、マクロスってすごいんだぜ?ドッキングの準備に入ってフォーメーションを組んだクォーターに殺到するゴーストたちを様々な機体が撃墜していく。ある意味でMS乗りたちのホームともいえる宇宙戦のためなのか、それとも隠れた強者たちが最終日狙いでわんさかいるのかは分からないが…世界大会にも引けを取らない濃度かもしれない。

 

 クォーターがチョマーさんの操作で重厚な音を立てて合体する。要塞型で向かい合う2機のマクロス級、大きさの違いは一目瞭然なれどここからが本番、さあ頼むぜ二人とも!

 

 『クォーターの合体を確認!フォールドサウンドステージ、スタンバイ!フォールドサウンドステージ、スタンバイ!クォーターより各機、発進どうぞ!』

 

 「イオリ・セイ!」

 

 「レイジ!」

 

 「「スタービルドストライク!行きます!」」

 

 「ヤサカ・マオ、クロスボーンガンダム魔王、行きます!」

 

 「リカルド・フェリーニ、ガンダムフェニーチェリナーシタ、出る!」

 

 次々とクォーターの左腕、カタパルトの上から発進していく俺の戦友たち。クォーターの周りを飛び回りながら他の機体とは一線を画する動きでゴーストを次々排除していく。多分始まったらリミッター切れるだろうし。しかしセイのやつ、決勝用の機体で出るとか言い出すとはな。直すからいいんだ、レイジなら落ちないだろうし、アルトの本気にこたえたい、だなんて最高の親友を持ったよ俺は。

 

 「先に行かせてもらう。アンタレス1、出撃する!」

 

 続いてカタパルト下からせりあがってきた機体、VF-27ルシファーが初めて日の目を浴びた。新作の登場にまた会場が沸く、4基の熱核バーストタービンを唸らせて真空の宇宙に旅立った明けの明星は今までにないバルキリーの新装備であるビームガンポッドでゴーストたちを追い詰めていく。

 

 さて、俺も行こうか。クォーターの内部でアームに掴まれたトルネードパックが俺のVF-25に装着されていく。カタパルトに上がった俺のVF-25は、重力制御が無くなって軽く浮いたのを確認し、各部のチェック、偏向ノズル、エンジン、武器、ミサイル開閉、オールオッケー。

 

 「スカル4、行きます!」

 

 多くの言葉はいらない、画面のREADYの文字がGOになった瞬間、表示されるホログラフのレールに沿って俺のVF-25は宇宙へ飛び立った。それが終わった瞬間に、GPベースの外、ステージでは異変が起こる。せりあがってきた特設のステージ、立つのは左右非対称ながら二人で並ぶとシンメトリーになる衣装に身を包んだ歌姫の姿。ああ、よく似合ってるぜ二人とも!

 

 『フォールドサウンドステージ、展開!ピンポイントバリア集中!フォールドウェーブ、正常!ミンメイ・アタック、開始します!』

 

 『ミッション更新!ミンメイ・アタックへの妨害を防いでください!わかり合うための歌を途切れさせないで!』

 

 「何だか知らんが盛り上がってきたあああ!」

 

 「あれは…ヒマリちゃんにツムギちゃんだ!まさか…」

 

 「歌…歌だ!戦場に、歌が流れる!」

 

 「言われなくても傷一つつけるかよ!おら、お前ら気張れや!機械に負けて満足か!?」

 

 音楽が、流れる。ミンメイ・アタックとは、ゼントラーディの文化に対する免疫のなさを利用した戦術、文化を相手に叩きつけることでカルチャーショックによる混乱を引き起こす、ある意味では兵器。だけど今回は、分かり合うための歌。ミサイル飛び交う戦場の中の歌姫たちが、高らかに歌い上げる。

 

「「私たちの、歌を聞けーっ!!」」

 

 ヒマリとツムギ、二人そろって指を天にさしてのポージング、その声にひかれるようにマクロスが進路を変えた。

 

 「星を廻せ 世界の真ん中で くしゃみすればどこかの森で蝶が乱舞」

 

 「君が守る ドアの鍵デタラメ 恥ずかしい物語」

 

「「舐め合ってもライオンは強い」」

 

 爆音で流れる音楽、GPベースの上の参加者だけでなくその外周で見守る観客たちが一気に盛り上がる。ライオンだ!という二人のファンと思わしき人の声。さあ、歌を聞け!GPベースの上だろうがそうじゃなかろうが、この歌を聞いてマクロスの世界に入っていってほしい。

 

 「ライオン来たあああ!」

 

 「おいっ無人機、ゴーストっつったっけ!?」

 

 「動きぶれてきてんぞ!押し流せっ!」

 

 「「生き残りたい 生き残りたい まだ生きてたくなる」」

 「星座の導きでいま 見つめ合った」

 「「生き残りたい 途方にくれて キラリ枯れてゆく」」

 「本気の身体見せつけるまで」

 

 「私眠らない」 

 

 ライオンのサビが終わった瞬間にマクロスの動きが止まる、カイザーさんの仕込みだ。ここで始まるのはバスターキャノンによる主砲の発射、これを防げば成功、発射させてしまえば失敗のルート分岐だ。さあ、どう出る。主砲に集まる光、それを前にして回避運動を取る機体の中、一機だけ真反対に突っ込む機体。

 

 「撃たせて、たまるもんですかっ…!行くわよっ!スゥゥゥゥパァァァァ、イナズマァァ…キィィッッックッッッ!!」

 

 「ガンバスターだっ!反則だ!」

 

 「気合完璧だぁ!後で話そうぜ!」

 

 「巻き込まれた俺氏について一言」

 

 「さっさと下がれよローストチキン」

 

 「誰がチキンじゃい!」

 

 閃光一閃、大型サイズの黒いスーパーロボットが放った稲妻を纏った飛び蹴りは、バスターキャノンの片方をピンポイントバリアを貫通してへし折った。すっげええええ!!いやマジですげえ!あの裂帛の気合をプラフスキー粒子が受け取ったに違いない。ここで分岐終了だ。ミッションは成功、拍手喝采だぜ!

 

 曲調が変わる、するっと入ったのに気づいた観客たちがメドレーだっ!と俄かに沸き立つ、成功演出だぜ、ここで失敗してたら一回曲が止まるからな。

 

 「「消えることのない希望が この手にあるから」」

 「サヨナラを抱きしめて 愛しさを抱きしめて 君への」

 「「思いで世界」」

 「埋め尽くしたい」

 

 まさかの主砲使用不能という事態に対して操縦席にいるカイザーさんが通信越しにニヤリと片頬を上げた。当然それは強者たりうるファイター全員に言えること、共通しているのは「戦ってみたい」それだけ。VF-27がバトロイドになってミサイルをまき散らす、とてもバルキリー歴が浅いとは思えない動き、さすがはメイジン。負けてられない、背部ビームキャノンを縦横無尽に動かしてゴーストを次々狙撃していく。歌があると気合の入りが違うな、動きもよくなるってもんだ!

 

 「ヒラリヒラリ飛んでった ポロリポロリ泣いちゃった 約束の地の果てで」

 「「もう一度」」

 「会いたい」

 

 「うおおおおおヒマリちゃんツムギちゃあああああん!」

 

 「ファンクラブねえの!?入らせてくれ!というか作る!」

 

 「うおおおお去年から追っててよかった!ゲリラライブなんて…!」

 

 ステージ上では歌い踊る二人の姿に観客席の人たちが大盛り上がりしてる。凄いな二人とも初めてのステージとは思えない。二人そろってパチリとウインク、わぁっと沸く会場、あんなに恥ずかしいだの何だの言ってたヒマリは完全に振り切れてアイドルそのものだし、ツムギも堂に入っている。つまり、最高の歌姫たちなわけだ。

 

 『マクロス、電子制御システムの防御を放棄!中枢AIへの侵入を誘っています!データ受信!これは…全機一旦攻勢を中止してください!マクロス停止します!』

 

 「おっしゃやったあああああ!」

 

 「これが宇宙蟹の力じゃ!タスマニアキングクラブ!食べてもうまいぞ!」

 

 「R-typeの波動砲は宇宙一ィィィィィ!」

 

 マクロスが推進と弾幕をやめ、ゴーストたちも次々と停止していく。ここで俺とタツヤさんは変形、ファイター状態で曲芸飛行、目指すはクォーターにあるフォールドサウンドステージ、歌い踊る彼女らも俺らに合わせた振付へと変わる。白亜の救世主と赤紫の明けの明星の軌跡が歌に彩を添える。

 

 「キューン」「キューン」「キューン」「キューン」

 

 「私の彼は」

 

 ツムギの指が俺のVF-25を指し示す、小首をかしげて片方の碧眼をつぶる彼女、不覚にも魅了されそうになった。何だそのアドリブ!?

 

 「私の彼は」

  

 同じようにヒマリの指が俺を指し示す。いたずらに成功したような彼女の笑顔でこれは完全に仕込んでいたなと悟る。多分これ絶対スタッフたちも仕込んでただろ!俺に秘密で!まあいいや乗ってやろうじゃない!はじけるようなヒマリの笑顔、きっと最高に楽しいんだろう。ちょっと、いやかなり目を奪われた、ここだけの話。

 

 「パイロット」

 「パイロット」

 

 二人の声が重なって響く、こっちを指し示した指を鉄砲を撃つようにパンと息を合わして動かすと、二人の指先からハート形のビームが打ち出された。GPベースを利用してのエフェクト操作、多分これ当たっても大丈夫というか当たるのが前提の演出だ。避けたら、いや当たってくれると信じていたのか。当然、あたってやろうじゃん?

 

 回避行動をとらなかった俺のVF-25にビームが直撃、思った通りダメージは皆無だったけど、メサイアを中心として大きな大きなハート形の花火が打ちあがった。マジか~~~~、やってくれたな二人とも。楽しいから許す!続き、頼んだぜ!

 

 見えないはずのアイコンタクト、なのにお互い分からないモニター越しにばっちり目があった俺たちは、前へ向き直るのだった。

 

 




 いやはやお待たせしました。最近ちょっと忙しかったもんでこっちがおざなりになりましたね。番外編とどっちを更新するか迷ったんですけど待ってる人がおおそうなこっちにしました。
 さて次回、もしくは全中後半かもしれませんがクライマックスです。ちなみにもう作者のロボストックネタがないので新機体は期待しないで。その代わり頑張るのでゆるしてください

 皆さん予想していたと思いますけどメドレーです、はい。いやだって最終決戦ってこういうメドレーのほうが燃え…作者の好みですごめんなさい。

 ではまた次回、お会いしましょう

プラモデル大交流会の時他作品ネタを出してもいいか

  • どんなネタでも出していいよ
  • 機体のみにしておけ
  • やはりガンダムに限る
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