SIREN VS. BIOHAZARD(サイレンVSバイオハザード)   作:ドラ麦茶

2 / 5
第二話

美浜奈保子 大字波羅宿/耶辺集落 初日/十八時十五分〇三秒

 

 

 

「では、第2試合を行います。屍人さんの中堅は前へ」

 

 安野さんの呼び出しで新たな屍人が前に出る。今度の屍人は、身体は人間だが顔はカニみたに突起したギョロ目になっており、背中にはトンボのような四枚の(はね)が生えている。半屍人が進化した姿・羽根屍人だ。だが、その格好は村でよく見かける羽根屍人とは明らかに違っている。農作業着ではなく防弾ベストを身に着け、膝や肘も各種プロテクター装備、ベルトのホルダーにはコンバットナイフ、そして、肩に大きなロケットランチャーを担いでいる。軍人とか特殊部隊員とかの格好だ。

 

「……なんでしょう、あれは?」あたしは安野さんに訊いた。

 

「ロケットランチャー装備の羽根屍人さんです。屍人さんの身体能力は人間とほぼ同じですから、生前きちんとした訓練を受けた人なら、屍人になってもロケットランチャーを使えるのです。なので、今回特別にバイオハザードのクリス・レッドフィールドさんに死んでいただき、屍人さんになってもらいました」

 

「ずいぶんとムチャなことをしますね」

 

「あらゆる状況で検証しなければ実験する意味がありませんからね。必要な犠牲というヤツです」

 

 にこやかな顔で物騒なことを言う安野さん。完全にマッドサイエンティストの発想だ。いや、安野さんの専攻は民俗学だから、マッドフォークロリストと呼ぶべきか。

 

「でも、いいんですか? バイオ側の登場人物を殺しちゃったりして」

 

「このサイトでは別に珍しいことではありません。ちゃんとタグに原作キャラ死亡を付けてますから、大丈夫でしょう」

 

「なにを言っているのか判りませんが、なにかあった時はそちらの責任でお願いします。ところで、屍人の第二段階になる条件って、はっきりと判ってないんですよね? うまい具合に羽根屍人になって良かったですね」

 

 第二段階の屍人は四種類存在する。羽根屍人の他に、蜘蛛のような姿をした蜘蛛屍人、犬のような姿をした犬屍人、そして、それらの屍人を操る頭脳(ブレイン)と呼べる存在の頭脳屍人である。どれもそのまんまやないかというネーミングだが、この内、男性は蜘蛛屍人、女性は犬屍人になることは判明しているが、それ以外の条件はイマイチ不明だと、誰かが言っていたような気がする。

 

「その辺は、長年の研究でかなり判ってきました」と、安野さん。「概ね、生前学があった人が頭脳屍人、警察官や猟師など銃に関わりが深かった人が羽根屍人、それ以外の人が蜘蛛屍人や犬屍人になるようです。なので、ラクーン市警特殊部隊S.T.A.R.S.所属のクリスさんなら、まず間違いなく羽根屍人になるだろうと思いました。まあ、うまくいかなかった場合は別の人で試そうと思って、ジルさんやレベッカさんにも待機してもらってたんですけどね」

 

 他ゲームの登場人物の命を何だと思ってるんだコイツは。まあいい。とにかく第2試合開始だ。あたしはゴングを鳴らした。

 

 試合開始と同時にタイラントは突進する。第1試合と同じ展開だが、今度の屍人はきちんと軍事訓練を受けた戦闘員だ。屍人は背中の翅ではばたいてタイラントの地獄突きをかわすと、上空からロケットランチャーをぶっ放した。タイラントは直撃を受け、バラバラになって吹っ飛んだ。

 

「バイオ側のクリーチャーはゾンビと呼ばれまていますが、死んでいるわけではなく、T-ウィルスに感染してゾンビのような姿になっただけです」と安野さん。「強靭な肉体を持ってますが不死ではないので、バラバラになったらさすがに生きていられません。ということでこの勝負、屍人さんの勝ちです。第1試合と違い、あっさり勝負がつきましたね」

 

「そりゃあ、屍人にロケットランチャーを装備させるなんてチート技を使えば早く決着するでしょうよ。まあ、早く終わるならあたしはその方がいいんですけど」

 

 あたしはゴングを打ち鳴らした。これで第1試合の遅れを大幅に取り戻すことができた。この調子で、今日中に終わればいいけど。

 

 

 

第2試合

(中堅)羽根屍人(クリス・レッドフィールド)○――×スーパータイラント(先鋒)

(5秒 ロケットランチャー)

 

 

 

(終了条件達成(エピソードクリア)

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。