私がターフで転ぶまで   作:RKC

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誤字報告してくれた方、わざわざありがとうございます。

一応誤字脱字が無いかチェックしているのですが、やはり一人だけでは見逃しがあるので、皆さんに協力していただけると非常に助かります。


十四話 弱気

 出走表を見た日の夜。

 私は自分の部屋で、ナイトと二人きりの気まずい空間に晒されていました。

 

「……」

「……」

 

 ここ最近は会話のない夜を過ごしていた私たちですが、今日はそれにも増して雰囲気が重く感じられます。

 

 今読んでいる本から目を上げ、ナイトの様子を窺います。

 すると向こうも私の様子を窺っていたのか、目が合いました。

 

「っ……」

 

 しかし、ナイトはすぐに私から目を逸らします。そのまま膝を抱え込み、ベッドの上で三角座りの体勢に。

 まるで殻にこもってしまったかのよう。

 

 ……今日まで余所余所しかったのは私と同じレースに出る事、気にしてたからなのかな……

 

 ナイトが近しい人と競い合う事を嫌っている、と話してくれたのは少し前の事でしたっけ。

 その時、私とは別のレースに出るという話もしてくれました。

 

 それがどうして私と同じレースに……わざわざ私のレースに被せたって事は無いと思うけど……。

 何か事情があるのかそれとも……

 

 とにかく一人で考えてもしょうがないと思った私は、ナイトに話しかけることにしました。

 

「……その、一か月後だね。レース」

「……」

「出走表を見た時は驚いちゃった。

 まさかナイトと一緒に走る事になるとは思ってもなかったから……」

「……」

「ナイト、模擬レースでは凄い走りだったから、私も一層頑張らないとね……」

「……」

 

 適当に言葉を投げかけますが、ナイトから反応はありません。

 

 気、気まずい……。

 

 一方的に話すのに限界を感じた私は、口を閉じます。

 

 その日はそれ以降、一言も交わすことなく二人とも就寝しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……というわけなんですけど」

「なるほどなぁ……」

 

 ナイトとの気まずい夜を過ごした翌日。私はスパさんに相談しに行きました。

 

「競い合うのが怖い、か……難しい悩みやな」

「どうすれば良いと思いますか?」

「…………」

 

 スパさんはかなりの間沈黙した後、

 

「……悪いけど、力にはなれそうにないわ。

 ウチはそんな事思ったこと無いからかけるべき言葉がまったく思いつかん」

 

 そう言いました。

 

「う~ん……そんなに気にする事じゃないと思うんやけどなぁ……。

 走る以上、勝った負けたは当たり前。勝った方は嬉しい、負けた方は悔しい……そういうもんやないんか?」

 

「スパさんにとってはそうかもしれませんけど。ナイトにとってはすごく気にする事なんじゃないですか?

 同じレースに出る以上、そのメンバーで一着の奪い合いになるわけで。

 競争相手と認識してるならともかく、友達からその座を奪う、って考えると気が引けるのは何となくわかる気がします」

 

 それに加えてナイトは人間関係に対しては神経質な所があるので、ひとしお、といったところでしょうか。

 

「ん~……あかん。全然共感できへん。何か他に良い例えはないんか?」

 

「それなら……例えばスパさんが友達と二人で限定スイーツを食べに行って、ウキウキしながら待ってました。

 しかし「すいません。限定スイーツは残り一つしかありませんでした」と店員が言い、運ばれてきたスイーツは一つだけ。

 それを友人そっちのけにして一人で食べる、またはそっちのけにされて食べられる……みたいな心境に近いんじゃないですか?」

 

「それは…………い、いたたまれんわ……。

 仮にそんな事態になったら、食ってる方はスイーツの味なんかせんやろな……」

 

 スパさんはぞっとした様子で目を細めます。

 しかし、すぐに切り替えて私に質問を投げかけてきました。

 

「ナイトがそう思っとるのは分かったけんど、ノールはどうなんや? ナイトと競争する事、どう思っとるんや?」

 

「私ですか? 私は……ナイトと競い合う事がどうこうの前に、まず勝てるかどうかが怪しいですから……。

 模擬レースを見ましたけど、あの時のタイムで走られたらまず私じゃ勝てません。

 だから今はどうしたらナイトに勝てるようになるかを考えるので手一杯で、心情的な事は後回しですね……」

 

 私の自己ベストより速いタイムでナイトに走られれば、私には為すすべありません。

 ならば私はどうするべきか。単純に練習を重ねて走力を伸ばすべきなのか、ナイトを徹底マークして本来の走りをさせないようにするべきなのか、はたまた他の方法を考えるべきなのか……。

 

「ノール……ノール!」

「……え? あ、すいません……考えこんじゃって……」

 

 スパさんが私の肩をゆすってくれた事で、飛躍してしまった思考が戻ってきました。そのまま話を戻します。

 

「……まぁ確かにノールはその心配が先やな。

 ナイトはクラシック世代の中でもトップクラスのウマ娘や。

 それに勝つとなると……まぁ尋常な事やないやろうな」

「じ、尋常って……でもそれくらいには遠い道のりって事ですよね……」

 

 難しい、とか困難、とか他にも言い回しはあったはずなのに、「尋常ではない」という言葉選び。

 しかし、その表現に納得してしまう程には、ナイトと私に走力の差がある事を感じていました。

 

 後一か月足らずでその差を埋めるなんて、どうすれば……

 

 再び思考の海に沈みそうになった意識を引き上げ、スパさんとの会話に集中します。

 

「ま、とにかくナイトがノールを避けとるんなら、ウチの方でナイトと話をしてみるわ。根本の解決は難しいやろうけど、気休めぐらいは出来ると思うしな」

「本当ですか? そうしてくれると助かります。ナイトにどうしたら勝てるかで頭がいっぱいとは言ったものの、やっぱりナイトが調子を落としていると、私も影響されちゃいますから……」

 

 これから毎日あの気まずい夜を過ごすと思うと、それだけで気が滅入りそうです。

 このままだと私もナイトも調子を崩して、レースどころではなくなるかもしれません。

 

 ……もし私だけ平気な顔が出来てれば、ナイトだけ調子を崩して勝ちの目が見えたりしたのかな……。

 

 そこまで考えた所で、頭を振りました。いくら勝ちたいとは思っても、そういう事に期待するのはいけないと思ったからです。

 

「とにかく、ウチが出来る事はやっとくからノールは練習に集中しいや。

 変な悩み事に囚われて、二人とも全力が出せんような事態になったらレースを見に来る人も、見に行くウチもがっかりやで」

「そうですよね……」

 

 私の場合は今日まで指導してくれたトレーナーさんに対しても面目が立ちません。この問題は速く解決しないと……

 

 しかし、有効な解決策を思いつく事なく、その場は解散しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……って事だったんだけど、どうすれば良いかな?」

「昨日の今日で原因究明かよ……そんでまた俺の所に相談しに来んのな……」

 

 時は変わってお昼時。昨日のようにジェミニの対面に座り、半ば無理やり昼食の席を共にしています。

 

「ジェミニには昨日も相談したから、説明が楽だと思って……それで、どうすれば良いと思う?」

「どうすれば、って言われてもな……結局はそいつの問題だろ? お前にはどうしようもねぇよ」

「ど、どうしようもないって……」

 

 かなり乱暴な言い分に、少しどもってしまいます。

 

「流石にどうしようもないって事は無いんじゃ……」

 

「どんな気休めの言葉を掛けた所で一時しのぎだし、説教臭く諭したところで他人を変える事は出来ねぇ。

 そいつ自身が、自分の意志で考えを変えなきゃ何の解決にもなりゃしねぇんだ。だからお前に出来る事は何にもねぇよ」

 

「う~ん……」

 

 あまりに極端な意見。ジェミニらしいと言えばそうかもしれませんが、私からすればとても賛同できる物ではありませんでした。

 

「そんな事無いと思うけどなぁ……。

 他人を変えることは出来ない、って言うけど、私はトレーナーさんの言葉に影響されて考えが変わる事があったよ。

 確かに与えられる影響は小さいかもしれないけど、出来る事が無いってことはないんじゃない?」

 

 私がそう反論すると、ジェミニは口元を手で覆い隠しました。

 隠してはいるものの、手の隙間から口角が上がっているのが少し見えたので、どうやら笑っているようです。

 

「なんでそこで笑うの?」

「……いや、悪ぃ。お前の意見を笑ったわけじゃねぇんだ。ただ、俺が思った通りに話が進んでなんだか可笑しくなっちまった」

 

 ジェミニは手を机に降ろし、笑ったまま続けます。

 

「さっき俺はお前に対して持論を喋ったけど、お前はなんだかんだでそれに反論して聞き入れなかった……俺の言葉じゃお前を変えられなかったってわけだ。

 この展開がそのまま俺の考えを裏付ける根拠にならねぇか?」

「それは……ん~……確かに……」

 

 やりこめられたようで少し不本意ですが、自分自身が体験したことを引き合いに出されては納得せざるを得ませんでした。

 

 ……やっぱりナイトを説得するのは無理なのかなぁ……。

 

 そこで、ふと思いました。

 

「ん? でも今、私、考え変わりそうだったよ!?

 他人の考えを変えられないのかな、って思った。ジェミニの言葉を受けてさ!

 これって他人の考えを変えられる根拠にならないかな? ……あれ? 何か矛盾してるような……?」

 

 自分で言っててよく分からなくなってきました。

 顎に手を当てて考え込みますが、上手く頭の中を整理できません。

 

「それ以上は堂々巡りだぞ……とにかく! 俺とお前、どっちの意見が正しいかは場合によるだろ」

「結局ケースバイケースって事?」

 

 あれ程、「これが正しい」と言わんばかりに堂々と語っていた割には、場合によるという結論に。少し拍子抜けです。

 

「……それでも一つだけ言えるのは、感情に起因している考えを変えるのはかなり難しいって事か。

 いくらデータを並べて理論立てても、そいつがどう感じるかを変えるのは厳しいだろうしな」

「う~ん……」

 

 感情を説得するのは無理……か。

 

 そう言われれば確かにそうだと思います。

 

「理論がダメなら……こっちも感情で対抗する、とか? ……安易な考えかもしれないけど」

「それが良いんじゃねぇか? お前が思ってる事全部ぶちまけちまえよ。

 「上から目線で偉そうに語りやがって、勝って心を痛める心配をするより、見下してるやつに負けて後悔する心配をするんだな、慢心野郎が。首を洗って待っとけ!」……とか」

「そ、そんな事私思ってもないけど!?」

 

 ジェミニは私の心を代弁するかのように語りましたが、その内容は私の心にはかすりもしていません。

 思わず声を荒げて反論してしまいました。

 

「それに上から目線で見下してるって……勝手な事言わないでよ。ナイトの事を良く知りもしないのに」

 

 そしてナイトの気持ちまで悪く推し量った事を非難しました。

 しかし、ジェミニは毅然とした態度のまま話を続けます。

 

「お前からの話を聞く限りだと、そいつの言い分は勝つ事が前提じゃねぇか。

 お前に勝つのは大前提、それはそれとして友人から勝利を奪ってしまって心が痛む……って事だろ。

 それのどこが上から目線でもなく、見下されてもないって言えるんだ?」

「…………それは……」

 

 ジェミニの言葉に対し、反論しようと思えば出来たはずですが、私の口は上手く動きませんでした。

 それはジェミニの言葉が事実だからというわけではなく、自分自身がその言葉を認めてしまったところが大きいと思います。

 

 私とナイトが普通に競走すれば、まず間違いなくナイトが勝つ。

 

 それが私の中に前提としてあったため、妙な納得感を得てしまいました。

 

「そこで黙っちまうのかよ……」

 

 ジェミニは面白くなさそうに頬杖を突きます。

 

「黙るって事は認めたって事だぞ」

 

 そして私を責めるような口調でそう言います。

 

「……だってその前提、正しいから……ナイトがそう思ってるかどうかは置いておいてね」

「だったらレースを棄権したらどうだ? 負けるのが前提ならレースに出る意味はねぇ。

 そうすりゃ相部屋相手の悩みも解決するぞ」

 

 煽るようにそう言われ、私はかっとなって言い返します。

 

「今の段階ではって話! まだ一か月あるからそれまでにどうにかする…つもり……だけど……」

 

 感情的に言い返したものの、勝つための具体的な案を思いついていないので、後半の方は尻すぼみになってしまいました。

 

「……その様子じゃ、どうにも出来なさそうだな」

 

 ジェミニにも見抜かれたようです。

 

「うん……後一か月、普通に練習しててもゴマ粒程度から米粒程度の勝算になるくらいだと思う。

 かといって今から劇的に速くなる方法を知ってるわけでもないから……」

 

 ジェット走法を習得することで、劇的に速くなれたものの、もうすでに習得してしまった今、他に速くなる方法の見当は全く付いていません。

 

「一か月……後一か月……一か月かぁ。…………あ~~! 時間が全然足りない!」

 

 画期的な練習方法を考える時間も、練習して上達するための時間も足りません。

 制限時間がある事を意識してしまうと、嫌でも焦燥心が湧いて出てきます。その上ハードルも高いと来たものだから尚更です。

 

 後一か月でナイトに勝つためには……。

 

 そう考えると、自然に模擬レースでのナイトの走りを思い出してしまいます。

 後続を寄せ付けない圧倒的な走り……追いつく妄想をするのすらおこがましいと思ってしまう程でした。

 

「……そもそもどれだけ時間があって練習出来ても、あの走りと勝負するなんて無理なんじゃ……」

「……」

 

 模擬レースを観戦していた時は、ナイトの走りに感動し、少しでも何かを盗めないものかと謙虚な思いを抱きました。

 しかし彼女と競争するとなった今では、その感動の分、弱気な思いが溢れてきます。

 

 ナイトはデビューしたての頃からトレーナーの指導を受けてGIのレースに出て、勝って……対して私は最近トレーナーさんと会って、そこから頑張り始めて……大きな差があるのは当たり前で……

 

 一度心の栓が外れると、ドンドン弱気な考えが湧いて出てきます。

 

 それにナイトはゾーンにも入れるし、足の指も長かったな……。

 それに身長も高くて……私には無いものをいっぱい持ってる……。

 どれだけ頑張っても埋められない差もあって……。

 

 持って生まれた体の造り。それらで優位に立たれている以上、どれだけ頑張っても最終的にはその差が出てしまうのではないでしょうか。

 

「やっぱり棄権した方が良いのかな…………」

 

 その瞬間、頬を引っ張られました。

 

「い、いひゃい……いきなり何!?」

「……別に、ちょっとイラッとしただけだ」

「ど、どこにそんな要素が……? 私、一人で考え込んでただけだけど……」

 

 いきなりの事にそう聞き返します。

 

「独り言が漏れてんだよ」

 

「え……口に出てた?」

 

「ばっちりな。やっぱり棄権した方が良いのかな……なんて弱気なこと言いやがって」

 

「で、でもそれはジェミニから言い出したことじゃん……」

 

「阿呆、冗談に決まってるだろ。そん時はお前も言い返したじゃねぇか」

 

「でもよく考えると、やっぱり勝ち目が無いと思って……」

 

「……だから諦めるのか?」

 

「……棄権、は言い過ぎだったけど、勝ち目が無い勝負に出る意味は無いのかな……って思った」

 

「……チッ」

 

 ジェミニは大きく舌打ちをした後、私の方に大きく身を乗り出してきました。私とジェミニの間にはテーブルが挟まっているにも関わらず、ジェミニの顔がすぐ目の前にあります。

 

「あのなぁ……お前がそうやってウジウジしてると、お前に負けた俺の方が情けなくなってくるんだよ。

 俺はこんな根性なしに負けたのか……ってな。

 走る前からウダウダ言う前に、もっと考えろ、練習しやがれ。そうやってお前は俺に勝ったんじゃあねぇのか?」

 

 ジェミニは私の首元に指を突き付けながらそう言います。

 口調こそ落ち着いたものでしたが、強い怒りが伝わってきました。

 

「……そう、だね。……ごめん……」

 

 ナイトと私の間には大きな差があるものの、それを理由に無理だと勝負を諦める事は、ジェミニをないがしろにする事に繋がります。

 それに、なにより私を担当してくれたトレーナーさんや、特別に指導してくれたスパさんをないがしろにしてしまうような気もしました。

 

 そういうしがらみが、萎えかけた私の心を何とか支えてくれます。

 

「ふん、分かりゃあいいんだよ……」

 

 私の言葉を聞いて矛を収めてくれたのか、ジェミニは椅子に座り直しました。

 

「ま、これで精神面は何とかなったが……とはいえ現実問題、勝つのは難しいんだろ?」

 

「うん……今のままだと多分、ナイトの不調かミスを待つしか勝ち目が無いかな……」

 

「それは……かなり消極的だな。

 何かこう、ジャイアントキリングを達成する方法でもありゃあいいんだが……」

 

 そこからは無言の時間が続きました。

 思案しますが、今まで思いつかなかったのに、ここに来て急にひらめくという事は当然無く……

 

「……何か思いついた?」

 

 ジェミニにそう聞いてみます。

 

「……いや、これといったのは思いつかねぇ」

「だよね……」

 

 しかし期待通りの返答は得られませんでした。やはり一筋縄ではいかない問題のようです。

 

「学力テストとかだったらヤマ張るなりして上振れを狙えるんだが……レースとなるとそうもいかねぇだろうし……」

「……ヤマ、かぁ……」

 

 ヤマを張る。ジェミニの何気ない一言が少し引っ掛かりました。

 しかしそれが具体的な何かに昇華される事はなく、予鈴のチャイムが鳴ります。

 

「もうこんな時間か」

 

「結局何にも思いつかなかったなぁ……」

 

「というか話が凄い脱線してたような気が……初めは何の相談だったっけか?」

 

「えっと……同室相手についての相談、だね。……結局はその問題も残ったままだし……」

 

「そっちについては放置でもいいんじゃねぇか? 相手が勝手に調子崩してくれるんなら万々歳だろ」

 

「私もその子に影響されて不調気味なの……今日のウジウジもそのせいかもなぁ……」

 

 そう言った後、机に力なく突っ伏します。ナイトの事とレースの事。

 一つでも手に余るのに、二ついっぺんに抱えてしまって、正直キャパオーバー気味です。その事を再認識すると、改めて気が重くなってきました。

 

「……ま、弱った時はまた相談しに来い。喝ならいくらでも入れてやるからよ……」

 

 お通夜ムードの私を見かねたかのか、そう言ってくれるジェミニ。

 目線を逸らし、少し恥ずかしそうにではありますが。

 

 私がナイトとの大きな差に打ちのめされそうになった時も、今さっき元気がなさそうにしていた時も言葉を掛けてくれたのは、やはり私の事を思っての事でしょう。

 

「……うん、ありがと。優しいね、ジェミニは」

 

 今は素直にその厚意に甘え、お礼を言います。

 

「……べ、別に優しいなんてもんじゃねぇよ。

 ただ、昼飯時の話し相手にちょうど良いってだけだ……/// ほら、早く教室戻るぞ」

 

 お礼を言われるのが恥ずかしかったのか、誤魔化すように席を立つジェミニ。その後に私も続いた。

 




心理描写を入れるとどうしてもテンポが悪くなってしまう……

しかし心理描写が無いと感情移入しにくくなるので、そこのトレードオフが難しいですね……
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